yocyaの観てきた!クチコミ一覧

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レプリカ

レプリカ

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笹塚ファクトリー(東京都)

2016/01/13 (水) ~ 2016/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

再演を強く希望します。
今年最初の涙。

当日券飛び込みキャンセル待ちでしたが望外の良席で観られ、2時間半休憩無しでも全く問題無く楽しめました。しかし、確かに落涙必至の作品ではあったものの、少々脚本の粗が目につき、主人公への感情移入はしきれませんでした。

物語の大前提となるのは、 アンドロイドだと判明する事が日常を剥奪される事を意味するという必然性なのですが、その大前提が共有されず、観客を置き去りにしたままで物語が進行してしまっているように感じました。

そもそもの疑問ですが、何故アンドロイドは処分されなければならなかったのでしょうか? 劇中ではその理由は「政府の決定」としか語られず、何故その決定に到ったのか、アンドロイドが人類にどのような災禍をもたらす恐れがあるのかの説明が全くありません。

それ故、枕崎刑事が何故一般人に銃を向ける程ヒステリックにアンドロイドを憎み、恐れるのかが判らないので、どうしても彼の方が不当な暴力を振るう絶対悪のようにしか見えず、一人浮いているように感じました。結末に直に繋がるキーパーソンの行動には、それなりの理由付けが無いと物語の説得力を持ち得ません。

そこは、実際にアンドロイドの暴走によって起きた事例、例えば過去に枕崎刑事の家族が暴走したアンドロイドに殺されたなどのエピソードがあれば、アンドロイドを処分しようとする側の正義も説得力を持ち、観客は正義と倫理の狭間で葬られなければならない主人公の悲しみに、もっと寄り添えたのではないかと思いました。

ラストも「?」が残る少々釈然としないものでした。

とは言え、 劇中何度も涙腺が緩み、上倉刑事が感情を露わにする場面ではついに決壊に到りました。 いろいろと惜しい点はありましたが、心に残る作品である事に違いはありません。多くの人に観て欲しい舞台です。再演を強く希望します。

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余談ですが、パンフレットは2000円という値段にしては写真ばかりで内容が薄いですね。もっと作品の内面に踏み込んだ文章などが欲しかったです。あと、あそこまで豪快にネタバレするなら終演後のみの販売にするべきだと思います。

夢も希望もなく。

夢も希望もなく。

月刊「根本宗子」

駅前劇場(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

あの繊細さを最後まで持続できれば
本作品では、登場人物の過去と未来が時系列に描かれるのではなく、舞台の下手上手に設置された同じ間取りの部屋で、同時並行で描かれます。つまり、同じ人物の過去と未来を、それぞれ二人の役者が、時にはシンクロしながら同時に演じるという、独特の手法がとられています。下手(10年前)での行動が、上手(10年後)にいかに作用するかや、登場人物の10年間の変化(もしくは変わらなさ)を同時に見つめるその手法は、ある時は未来の暗示のようでもあり、ある時は回想シーンのようにも見えます。「テレビや映画じゃ観られないものを作りたくて演劇をやっている」という、パンフレットの根本宗子の言葉通り、まさに演劇以外では成し得ない表現方法といえるでしょう。

舞台が二つに分かれている以上、観客の意識は常にそのうちどちらか一方に向けられていることになりますが、スポットが当たっていない方の舞台でも芝居は続行されます。その、台詞の無い「間」の部分に至るまで行き届いた細かい描写は、複数回観劇することでさらに気付くこともあり、作品の奥行きを増していました。何気ない台詞や所作の一つ一つまで繊細で丁寧なのもまた、根本宗子作品の魅力の一つでしょう。だからこそ、最終場面の、「今、私は~と感じています!」と、まくし立てるように半ば強引に纏めてしまう締め方は本当に勿体ない。あの繊細さを最後の最後まで持続できるか。そこだけは今後に残された課題なのではないかと思います。

次回作は是非、もっと大きな劇場で、もっと多くの人の目に触れて欲しい。これからも根本宗子作品は一作品たりとも見逃したくありません。

見切り発車シスターズ

見切り発車シスターズ

劇団ハーベスト

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

格段の進化を遂げた劇団ハーベスト
まさか前作「位置について!~girls start up!~」よりも、ここまで格段に良い作品が観られるとは思ってもいませんでした。

前作で感じた抑揚の無さや人物の判別しにくさなどは全て解消され、テンポも良く、明確な主人公を据えたことで、すぐに物語に惹き込まれました。主演の山本萌花さんをはじめ、出演者全員が溌剌として台詞も聞きやすく、前作よりも役者の個性が確立されていました。(不覚にも「アンジェラ・アキ」で笑ってしまいました。) 抱腹絶倒は言い過ぎですが、彼女らの輝きを受けて元気になれる、そんな舞台です。

ひとつ演出上の難点を上げるとしたら、いくつかの場面で、物語の進行が舞台上から映像へと完全に切り替わってしまったこと。それにより、映像の中という、舞台上とは分離された別の世界ができてしまい、観客はその都度舞台から現実に戻されてしまいます。とりわけ映像で表現する必然性のあるシーンとも思えませんでしたし、季節感を出す意図があったのかもしれませんが、お芝居の演出としてはちょっと反則かと。

おそらく物語自体はごくありふれたものです。しかしそのありふれた結末に向かい、有り余る青春のエネルギーを持って一直線に全力疾走するこの爽快感は他ではまず見られません。

今後、少女歌劇の分野で天下を取るのは彼女たちかも知れません。
次の公演が心から待ち遠しい。

しばらくはこの「劇団ハーベスト」から目が離せそうにありません。

走馬灯株式会社

走馬灯株式会社

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2016/03/09 (水) ~ 2016/03/13 (日)公演終了

満足度★★★★

まさか泣かされるなんて!
漫画は普段読まないので、原作も知りませんでした。自分が、主演の中江友梨さんの所属する東京女子流のファンで無かったら、恐らく気づきもしなかった舞台でしょう。中江さんが出演しているからという軽い気持ちでチケットを買いましたが、結果的に、観に行って本当に良かったです。

正直言って、開演してしばらくは、滑り気味のギャグの連続に少々辟易しましたし、不要なボケも多過ぎに感じました。竹林を表現する竹を持った黒子たちが、人物の歩く方向に合わせて移動しようと右往左往するメタ的なギャグなども、ドタバタして台詞を聴きづらくしているだけで、たいした笑いも生んでいなかったし、もしかしてこれは外したかな? と思いながら観ていました。

ところが、後半から舞台は急展開。それまでのエピソードに巧みに張られた伏線が次々と結合し合い、予想もしなかった結末へとなだれ込みます。コメディかと思って観ていたら、突如出現したのは、親子の情愛の物語。そこで描かれる親が子を思う気持ちの貴さに、気が付けば自然と涙が流れていました。キャスト目当てで観た舞台でしたが、思いがけない良作と出会えたことに感謝です。

中江さんは、ラストシーンの感情を露わにする場面の演技は充分に説得力があったものの、それ以外の場面では、リアクションや台詞のトーンの変化に乏しさを感じたりと、少々一本調子なところがありました。その辺りの細かい演技力を磨いていけば、さらに良い女優になれるのではないかと思います。

猥り現(みだりうつつ)

猥り現(みだりうつつ)

TRASHMASTERS

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/02/18 (木) ~ 2016/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

そこに客席との対話はあったのか
恐らく、TRASHMASTERSという劇団が観客に投げかけ続ける最も重要なテーマの一つが、「対話の大切さ」なのだと思います。前作『そぞろの民』と同様、本作でも登場人物たちは激しく議論を戦わせ、互いの意見をぶつけ合います。それは時には会話の自然な流れとしては、幾ばくかの不自然さや唐突さが感じられることはあるものの、激しい論戦は観客を舞台に惹き込み続けるに充分な魅力があり、この舞台の大きな推進力となっています。しかし、今回は前作と比べると、その不自然さを感じる度合いが高かったと同時に、一方の意見に肩入れし過ぎないバランス感が不足しているように思えました。

不自然さとは、例えば後半の討論の場面で話題が宗教史に及んだ際、 不動産屋の御手洗がテンプル騎士団の資産没収について当然のように話し出す事などです。 歴史の専門家でもなければ熱心なカトリック信者ですらない彼の発言としては、唐突に感じました。

不自然さを感じたのは台詞だけではありません。イランと日本のハーフであるラシードが、警官に「カード出して」と永住許可証の提示を求められた際、彼は「持ってません」と答えます。しかし、もとより国籍が日本であるなら、その返答はおかしい。その場で国籍を明かして堂々と身分証を出すのが自然な行為の筈です。彼の素振りは、いかにも怪しんでくださいと言わんばかりにも見えました。

役者が台詞を発するには、まず気持ちの流れがあり、その先に口から言葉が出るという行為がある筈です。その気持ちの流れと行為に齟齬が感じられてしまうと、観客には、役者が台詞を「言わされている」ように見えてしまいます。

劇中で描かれる主義主張についても、気になった点はあります。

冒頭の場面でハサンが戸辺に話す「(自爆テロを)発明したのは日本ですよ。」という台詞。一体、いつ日本が自爆テロを発明したというのでしょうか? これがまさか神風特攻隊の事を指しているのであれば、あまりに不見識です。仮に自爆攻撃という手段のみを指しているとしても、そのような攻撃手段が歴史に登場したのは何も日本が最初ではありません。中国地方を毛利氏の前に治めていたのが大内氏である事を知っている程に歴史に造詣の深いハサンという人物が、このような間違いをするとは思えません。

そして何より、終盤での「自衛隊=人殺し」であるかのような表現。これは呆れるほどの暴論です。能力の無い役立たずが生きていく為には自衛隊に行って人を殺すしか無いというのは、あまりに自衛隊を冒涜しています。中津留さんには自衛隊をそこまで貶めなければならない何か理由があるのでしょうか?

「 憲法には戦争が出来ないと書いてあるのに出来ると解釈しようとする男たちにはヘドがでるわ。 」という台詞を、終始絶対的正義として君臨する女性弁護士に強い口調で言わせているのは、恐らく中津留さんの主張であり、怒りなのでしょう。政治的主張を演劇に盛り込む事は大いに結構だと思います。しかし、意見の別れる事案については一方に肩入れし過ぎるのではなく、観客に考えさせる余地も残して欲しい。そうでなければ、そこは演劇鑑賞の場というよりも、劇作家の主義主張を聞かされる場にもなりかねません。今回は特にそうしたバランス感の不足を感じました。

とは言え、主張の強烈さ、そして、誰もが目を背け、見て見ぬふりをするような心の内を引っ張り出して突き付けてくる手腕は、この劇団の大きな魅力でもあります。テーブルを囲んだ討論の場面では、相手の欠点をあげつらう事でしか自我を保てない大学院生が、区議会議員らの反論にあっけなく沈みます。典型的な日本人として描かれるその大学院生をあえて客席に背を向けて座らせる事によって、観客は否応なしに彼に同化させられます。「世界を動かす言葉を探せ!」という区議会議員の言葉はその大学院生の背中を貫き、観客の胸にまっすぐに突き刺さりました。

「日本人は宗教に寛容なのではなく無関心なだけだ。」というハサンの言葉には、成る程と思いました。確かに、日本人でイスラムの教えを理解している人はそう多くはいないでしょう。自分もこの作品を通して初めて知る事ばかりでした。

ラストの展開を荒唐無稽と感じるか、現実と地続きの出来事として感じるかはその人次第でしょう。自分には、それが全くあり得ない非現実的な話とも言い切れないような、一抹の怖さを感じました。

己の言葉も持たない日本人に警鐘を鳴らしたという点で、この作品が上演された意義は大いにあったと思います。

チェリーボーイズ

チェリーボーイズ

バードランドミュージックエンタテインメント

博品館劇場(東京都)

2016/04/13 (水) ~ 2016/04/17 (日)公演終了

満足度★★★★

限りなく★5つに近い
確かに青臭い青春劇かも知れません。ありきたりな泣かせの手法かも知れないし、どこかで聞いたようなエピソードもあったかも知れません。それでも、この作品を観て流した涙はきっといつまでも忘れないし、この作品から貰ったものはずっと心に残り続けるでしょう。

涙が止まらなくなったあの場面を何度も思い出します。今までにあんな風に大切な人の為に命を燃やした事があっただろうか。誰かを思いやったり、誰かを心から信じた事があっただろうか。仲間と一緒に、あんな風に輝いた事があっただろうか。誰かの為に祈った事があっただろうか。

こんな世の中だし、生きていれば悲しい事もたくさんあるけど、それでも人はこんなにまでも輝ける。何歳になろうと、人は青春時代のように輝く事ができる…。

大切なものをたくさん頂きました。まさに今の自分に必要な作品でした。

女優・新垣里沙さんを追い続けて数年、『チェリーボーイズ』は今までに彼女に出逢わせてもらった中でも屈指の舞台です。

そして、『殺人鬼フジコの衝動』に続いて『チェリーボーイズ』でも新垣さんの新たな魅力を引き出してくれた林清プロデューサーに感謝します。ありがとうございました。

ミュージカル「ひめゆり」2013 ご来場ありがとうございました。

ミュージカル「ひめゆり」2013 ご来場ありがとうございました。

ミュージカル座

THEATRE1010(東京都)

2013/07/25 (木) ~ 2013/07/30 (火)公演終了

満足度★★★★

圧巻の歌唱でした。
台詞のほとんどが歌唱によるもので、
前半は多少単調に感じましたが、後半は圧巻でした。

独り芝居『審判』

独り芝居『審判』

多田直人案

吉祥寺シアター(東京都)

2014/01/15 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

観客もまた誇りを持って
「観劇してきた」というよりは、「陪審員として裁判を体験してきた」という方が相応しいでしょう。

敵軍の捕虜となったロシア軍の将校7人は、地下牢に閉じ込められ、水も食料も与えられないまま置き去りにされてしまいます。60日後、ようやく味方に救出された生存者は2人。彼らはいかにして生き残ったのか。生存者の1人ヴァホフ大尉の証言によって、仲間を1人ずつ殺し、その肉を食らって生き延びてきた様子が、時に生々しく、時に激しさを持って語られます。

人が人を殺して肉を削ぎ、貪り食う極限状態の描写。そのあまりの凄惨さのせいでしょうか。途中退席する人や、体調を崩して倒れてしまう人が現れるほどでした。今後の上演に当たっては、そうした描写が苦手な人のケアや事前の注意は必要かもしれません。

セットも小道具も最低限に抑えられたシンプルな舞台でたった一人、2時間強の間、一瞬も緊張感を落とす事無く訴え続ける気迫には圧倒されるばかりでした。

多田直人の演劇人生のターニングポイントになるだろうというこの舞台。観客もまた近い将来、本作品を観たことを誇りを持って思い出すことでしょう。

裏と表とコーヒーフロート

裏と表とコーヒーフロート

劇団ハーベスト

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2014/07/30 (水) ~ 2014/08/07 (木)公演終了

満足度★★★★

原点回帰の次へ
今回は前作「反重力ガール -starting over!!-」と違い、明確な主役脇役を据えるのではなく、2チームに分けた上でメンバー全員の役の大きさを概ね均等にし、全員に見せ場を作っていました。それによって前作のような物語への吸引力や疾走感は薄くなり、途中までは少々散漫かなという印象はありましたが、その分、今までの公演で気付くことのできなかったメンバーの魅力を発見する良い機会になりました。

コーヒーチーム、フロートチームの両公演を観劇させて頂きましたが、今回最も印象に残ったのは広瀬咲楽さん。演技力も表情も一番光っていました。もちろん彼女以外のメンバーも、過去の作品とは違う新たな印象で魅せてくれました。作品ごとに成長を続ける彼女たち全員に、心からの拍手を送りたい。

当日パンフレットの人物相関図の助けもあり、今回でメンバー全員の名前を覚えました。今度はもっと大きな会場で劇団ハーベストの公演を観られることを願ってやみません。

心のデトックスをありがとうございます。今作で初心に立ち戻った彼女たちは、次はどんなステージを創り出してくれるのか。

次回公演を心から楽しみにしております。

おとこたち

おとこたち

ハイバイ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2016/04/04 (月) ~ 2016/04/17 (日)公演終了

満足度★★★★

「老い」への恐怖
ずっと目を背けていたものを目の前に突き付けられる思いがしました。1回目の観劇ではボケや認知症というものに思いが至りませんでしたが、そこを理解した2回目では一気に「老い」というものが怖くなりました。舞台上に表示された、年齢を現す数字の変化するスパンが少しずつ短くなっていくのも、人生の怖さを煽っているように感じました。

いつか自分が電車で席を譲られたとき、どう思うのか。あるいは、「シニア割」の看板を見て、自分がその対象に含まれていると気づいた時、どんな気持ちになるのか。逃れられない「老い」という現実を、どのように受け止められるのか。

お前はそのままの生き方で良いのかと、問い詰められているようでした。


夫婦

夫婦

ハイバイ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2016/01/24 (日) ~ 2016/02/04 (木)公演終了

満足度★★★★

終演後に涙が
劇場を去った後にじわじわと涙が込み上げて来る、そんな作品でした。

主人公の岩井さんと暴力的な父親との関係を描いているように見えて、初めは何故このタイトルなのだろうと思いながら観ていましたが、最後に全て理解できました。

終盤、幼少の頃に散々父親の暴力を受けていた岩井さんが成長し、年老いた父親と言い争う場面。「勝手に荷物を置くな」と怒る息子に「そんなに老いぼれを苛めるなよ」という父親。「俺が何も出来ないガキだった頃、お前は俺に何をした!」と息子に突き飛ばされても、父親は抵抗も出来ずに崩れ落ちる。そんな親子の様子に、胸が締め付けられる思いでした。

劇の稽古シーンとして描かれるその場面で見せる、父親への最期の敵意。そして続くラストシーンで見せる、父親へ最期の敬意。本当に見事でした。

鶴かもしれない2016

鶴かもしれない2016

EPOCH MAN〈エポックマン〉

OFF OFFシアター(東京都)

2016/01/20 (水) ~ 2016/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

一人芝居である事を忘れる程に
角度を変えて2度観劇。夢を語る恋人の声に聞き入る鶴子の表情から、彼女が何を考えているのかが伝わってきた時、ただ胸が苦しくなりました。どうしてそんな方法しか選べなかったのかと。

小沢さんの所作は、自動再生される音声との会話のやり取りだけでなく、まな板に包丁を下ろすタイミングの一つ一つまで完璧に効果音と一致させる細かさ。

そして音声相手の会話から小沢さんの一人二役に切り替わった瞬間にも、その男女の演じ分けの巧みさに息を飲み、それが一人芝居である事を忘れる程でした。

終演時には汗やら何やらで顔中びっしょりの小沢さん。

「鶴の恩返し」という古めかしい題材に新たな命が吹き込まれるのを目の当たりにした55分でした。

花より男子 The Musical

花より男子 The Musical

東宝・キューブ・ネルケプランニング

シアタークリエ(東京都)

2016/01/05 (火) ~ 2016/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

加藤梨里香さんの表現力の高さ
主人公「牧野つくし」役の加藤梨里香さんの表現力の高さにすっかり魅了され、心打たれ続けました。

10代~20代の若い女性のみの演劇集団「劇団ハーベスト」の一員でもある彼女。
幼少の頃から舞台に立ち続けているだけあり、その歌唱力と演技力の素晴らしさは、客席を魅了し尽くして余りあるものでした。

より大きな舞台へと飛躍し続ける彼女の輝きはとても眩しくて、次の出演舞台が楽しみで仕方ありません。

今年の良い観劇初めとなりました。

ミュージカルの楽しさがたっぷり詰まった約3時間。お薦めです。

《大千秋楽・31日14時開演、当日券ございます!》キルミーアゲイン

《大千秋楽・31日14時開演、当日券ございます!》キルミーアゲイン

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2016/01/09 (土) ~ 2016/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

電車は行くよ 僕を乗せて
登場人物とエピソードの多さと時系列の行き来に置き去りにされかけながらも何とか食らい付き、ラストでは本当に鳥肌が立ちました。

シンプルかと思われたセットも終盤には劇的に変化し、照明の使い方も効果的で、改めて総合芸術としての演劇の楽しさを感じました。

あの楽団の音が聞こえると、あぁ、鹿殺しだなぁと込み上げてくるものがあります。

ネタバレBOX

エンディングは『無休電車』を彷彿とさせるものでしたが、あれはセルフオマージュだったのでしょうか?
夜明け

夜明け

EPOCH MAN〈エポックマン〉

ひつじ座(東京都)

2017/01/06 (金) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/07 (土)

心の奥で忘れかけていたおもちゃ箱をそっと開けてみた。溢れ出る暖かな光に、心が満たされる思いがした。懐かしい風景に、自分を生んで育ててくれた人に、改めて感謝を伝えたくなった。そんな舞台です。

小沢道成さんは今回の彼も生ける舞台芸術そのもののようでした。その美しさと輝きと舞台への思いに、自らを省みずにいられず、思わず足を踏みしめます。

ほとけのいろは

ほとけのいろは

劇団 CAT MINT

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2017/01/11 (水) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/14 (土)

新垣里沙さんの出演したCATMINT作品では一番面白かったです。
「八風吹けども動ぜず天辺の月」という禅の言葉の作家さんなりの解釈がテーマとの事で、主人公の明るさ、ポジティブさには、琴線に触れるものがありました。

ただ、出演者の演技力の差が大きくて、台詞に出す必要の無いツッコミが多く、それが作品のテンポを落としていたように思えます。

ブロマイドが3枚で1000円というのは高過ぎますし、パンフレットも値段の割には内容が薄くて残念です。

ネタバレBOX

オチのあれも全く必要の無いものでした。背中に文字の入った肌色のTシャツが刺青を表現しているのはわかりましたが、いかにもTシャツを着ているようにしか見えず、興ざめでした。素肌にペイントするのが事務所NGなのであれば、表現方法かキャストを変えるべきでしょう。それぐらいの台無し感でした。「ほとけのいろは」というタイトルに持って行くにしても強引過ぎます。
SIMPLY BECAUSE IMITATION -偽物だからこそ-

SIMPLY BECAUSE IMITATION -偽物だからこそ-

SECOND・N PRODUCE

高田馬場ラビネスト(東京都)

2017/01/24 (火) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/28 (土)

作品はとても良かったのですが、作品外の部分で残念な点の多い公演でした。

自由席の公演で確実に希望の席を取りたい人は、早めに来て並んだりと努力をしています。なのに、劇団側が何のお断りもなく、約束の時間よりも早く開場するというのは如何なものでしょう?

先に入った人が後から来るお連れさんの席を取っておく事を係員が認めてしまっているのも、公平さを欠いていると思います。

客を詰め過ぎて窮屈で仕方なかったりと、とても快適とは言い難い観劇環境でしたし、出演者の一人の「アンケート書いて下さい。暇な時に読みますから。」と言うのも、冗談にしてもあまり気分のいいものではありませんでした。

文句ばかり言ってしまいましたが、作品自体はとても良かったです。自分の恋人がもしそうだったら…、など、いろいろと考えさせられました。良い作品と出会えました。ありがとうございます。

翼とクチバシもください

翼とクチバシもください

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★★

終始戸惑いっ放しでした
こちらの劇団の作品は初めて観ました。

たくさんの演劇を観てきて、未だ観た事の無いような表現方法に出会う事はそうそう無いだろうと思っていましたが、まだまだあるものですね。

あの意味の無い擬音の応酬が、この劇団の持ち味の一つなのか、本作のみの表現なのかは存じませんが、初めての事に終始戸惑いっ放しで、最後まで理解力が及ばず、初めは興味深く観ていたものの、終盤にはそれがだんだん子守歌に…。

クロムモリブデンを楽しむには、もう何作品か観続ける必要がありそうです。

「きみがいた時間 ぼくのいく時間」「フォーゲット・ミー・ノット」

「きみがいた時間 ぼくのいく時間」「フォーゲット・ミー・ノット」

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2016/03/11 (金) ~ 2016/03/27 (日)公演終了

満足度★★★

観る順番は大事
ニ作品を同日に観劇。両作品とも楽しめたものの、『フォーゲット・ミー・ノット』を100%楽しむためには、『きみがいた時間 ぼくのいく時間』を先に観ていないと解らない点がありました。観られる日がこの日しかなかったのですが、出来れば、どの日もこの順番で観られるように日程を組んで頂きたかったです。

ちょうど一年前に上演された『クロノス』は涙なしには観られませんでしたが、今回は落涙には至りませんでした。過去に戻ってそのまま滞在できる「クロノス・スパイラル」は、すぐに未来に弾き飛ばされてしまう「クロノス・ジョウンター」に比べると、展開の変化に乏しく、悲劇的なドラマを生みにくかったのではないでしょうか。

あと、人が未来からタイムスリップして来たという現象を、登場人物がほとんど疑うことなく受け入れているように見えました。あまり簡単に現実と認めてしまってはリアリティが無くなりますし、逆に認めるまでの過程をリアルに描こうとすれば冗長になってしまいますので、そこはタイムスリップものの難しいところではあります。

しかし、複雑に絡み合う時系列にも全く混乱することなく物語を追う事が出来たのは、演出の妙と、役者さんたちの熱演の賜物だと思います。

ランドスライドワールド【本日大千秋楽!!14時の回 当日券ございます!!】

ランドスライドワールド【本日大千秋楽!!14時の回 当日券ございます!!】

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2015/01/11 (日) ~ 2015/02/01 (日)公演終了

満足度★★★

物語の軸が見えにくい
「無休電車」以来久しぶりの劇団鹿殺し。あの楽団や独特のカオスな感じには懐かしささえ覚えました。
ただし、今回はそのカオスさ故に、物語の軸が見えにくかったように思えます。

ネタバレBOX

序盤に登場してはいたものの印象の薄かった人物が、最後に突如現れてあの結末をもたらすというのは、物語の流れからは唐突に思えました。そこに至る過程がもっと丁寧に描かれていれば良かったのですが。

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