みさの観てきた!クチコミ一覧

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ゴショク

ゴショク

マォーティーズインディアン

OFF OFFシアター(東京都)

2008/06/11 (水) ~ 2008/06/17 (火)公演終了

満足度★★

「日射し」のついでに
折角薬局、下北沢に行ったのだから・・とふらふら~と入って何の情報もなく観た芝居。

何しろ初の劇団なので、「ゴショク」って何?

みたいな呆然とフライヤーを見て、どうも一泊2800円のホテルらしい。。というだけで観た!(^0^)

ネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

まあ、いきなり観たのだから仕方ないけれど、指定席ってのが、嫌だよね。。

席は最後方、目の前は大男が3人も座高をこれでもかってくらい伸ばしちゃってるものだから、

「もしかしてコレ、ロシアのブロックですか?」

と勘違いするくらい、男子バレー顔負けの最高のディフェンスなんです。



でもって、案の定、指定席ってのは遅れてきた輩はど真ん中に入りづらく、大抵は入り口近くにパイプ椅子で座る羽目になるから、客席は軽くドーナツ化現象がおきちゃってるのです。

そんなドーナツ化現象の空白の真ん中を恨めしそうに横目で見ながら、こちとら、ロシアのブロックに真っ青になりながら、振り子のように首を揺らしながら観ようと努力する訳ですよ。


しかし・・・ワタクシが振り子のように首を動かしながら観ようとしてるのに前のロシアは同じような振り子運動になってるではないですかっ!

よくよく見ると、ロシアブロック、コックリコックリ頷きながら寝てます!(・・!)


そんな訳で役者のしぐさは半分くらいしか観てません。


で、内容。

安いホテルのオープンスペースのソファーに宿泊している人たちが集まって、それぞれの5組の人間模様を描いた作品。

5組の人たちは少しずつ訳ありで問題を抱えて生きている設定。


中でもある夫婦の夫のほうが精神的に病んでいて、毎回、ものを書くたびに誤植する。
それをいちいち妻が間違いを正し、面倒をみながらフォローしていく。



ゴショクとは5組のそれぞれの5人5色のゴショク。
病んだ夫の誤植のゴショク。


う~~ん、筋書きが曖昧な分、インパクトも薄く何を表現したかったのかが散漫で解りづらかった。

日射し

日射し

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2008/06/14 (土) ~ 2008/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★

陽だまりの中で。
家族がテーマです。

ある家族の風景を描いた作品。
セットは淡い色の布で一面を包み柔らかい雰囲気を演出しています。

冒頭、女性3人がリーディングで、物語を進めていきますが、全体的に優しく丁寧に丁寧に仕上げた作品です。

公演中なのでネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

3人の姉妹を軸にして両親の結婚に至った経緯や兄・太陽が3歳で亡くなった後の家族、3人の姉妹の生き様などを、とても優しく柔らかく描いてゆきます。

3人の姉妹はそれぞれ独立し育った家から離れてゆきますが、自分たちの生活に追われて実家とは疎遠になっていきます。


母の臨終には結局、父しか間に合わなくて父はずっと母に「ありがとう。ありがとう。ありがとう。」と何十回も何百回も何時間も言い続けていた姿を目のあたりにした姉妹は、あんなに父に愛されていた母は幸せだった。としみじみ思うのです。



母が居なくなって父が一人になっても姉妹は「お父さん、大丈夫?不安だね。」と言葉はかけても、父の元には帰らず、やがて半年が経ちます。


ここでセットの布は外されバックには茶の間が出現します。
中々の工夫です!




父の誕生日に実家に集まった3人は不思議な体験をします。

父が以前好きだった同級生のさよこの話を聞かされ複雑な心境になりますが、同時に自分たち3人の現在置かれてる環境も見直すきっかけとなります。


一方で先天性の病で亡くなった兄・太陽はずっとこの家に住んで家族を見守っています。


会社でリストラされても強がってるひじりに対して太陽は「いつも前向きな自分にも後ろはある。」と慰めてやったり、ひなたが縁側で物思いに耽ってる場面ではひなたの頭にそっと手を触れてナデナデするシーンもあり、涙を誘います。


非常に繊細で美しく、ちょっとしたシーンの演出が見事です。


黄泉の国からのさよこの出現は現実と曖昧さのギリラインですが、この部分、観客の感覚に委ねる演出も素敵です。

明らかにさよこは死んでおり、死んださよこが今でも父を見守っているのです。。
かつての父を思い遣ったがためにさよこが出した別れの経緯についても、姉妹は知る事になり、そのさよこのセリフで「家族」の大切さを再確認する事につながります。


場面は変わり・・・
太陽が亡くなって直ぐに母は父に別れを切り出しました。

「あなたの心には別の女性が居る事を知っていました。太陽が死んだ今、別れたほうがいいと思います。」


父は言います。
「太陽は死んでも私たちの近くにいます。太陽が発した光が日差しとなって、私たちの家を暖かく照らしてくれている。私たちはきっと、大丈夫です。もっともっと幸せになれます。この陽だまりの中で一緒に生きていきましょう。これから沢山の家族と共に。私たちはまだまだ大丈夫です。どうか、これからも宜しくお願いします。」

そうやって、この家には明るい日差しがいつも照らされているのです。




ああ、何と強い日差しなのでしょう。




美しく希望に満ちた作品でした。

こうゆう暖かな作品を観ると、家族が欲しくなるんだよね。。

うなぎとそうめん

うなぎとそうめん

TOCA*

名曲喫茶ミニヨン(東京都)

2008/06/13 (金) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

まるごと舞台
毎回の如く、甲斐の作品には女優石川油は欠かせない。
なぜなら、甲斐の作品自体が生活臭があるからだ。

それは孤独を補う薄汚れた臆病な犬だったり、枯れた鉢植えだったり、生活に疲れたオンナだったり、堕落した色あせた画像が浮かびあがるのです。


ですから、彼の作品には派手な目鼻だちくっきりのオーラのある女優は似合わない。


で、石川油なのです。
彼女には幸薄い役がよく似合う。

非常に素晴らしい女優です。
ビニール袋を提げた、うらぶれたオンナの役を本当に自然に演じてました。


以下はネタバレBOXに。。

ネタバレBOX


名曲喫茶ミニヨンでの一室の全てを舞台にした作品。
観客はワタクシ達ですが、同時にワタクシ達はそこに座っている事で既に客という役柄を演じているのです。

ワタクシ達を巻き込み、あたかも本当にそこで起こっていると感じてしまうような設定です。


選曲はボレロとカノンです。
カノン・・・現在の著名な音楽にカノンコードが使われてると言っても過言ではないカノン。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=463875363&owner_id=7113540




荻窪の喫茶店ミニヨンに集まった黒い服の女(川端の妻)とスーパー帰りの女(川端の元カノ)と珈琲を入れ忘れる女(川端を愛したオンナ)の3人が川端が亡くなった今でも、川端を愛し、川端の思い出に浸り、どうしようもない思いにかられる情景を切なく時には激しく揺れながら、それでも自分を騙し騙し今を生きるオンナ三様を描いた作品。


「川端はあなたを抱きましたか?」

妻が珈琲を入れ忘れる女に質問した言葉。
これが妻の全ての感情の集約です。


甲斐の本には必ずといっていいほど、季節や匂いや温度や湿度、埃、食べ物、色が表現される。

それらは生活であり錆びた血の匂いであり、息遣いだ。


表現する手法は決して広くない。
時代を遡り時空を超えてロマンを追求するものでは、決して無い。

舞台の設定はレストランだったり、喫茶店だったり、身近な場所なのだ。
物語りも決して難しいものではない。
切り口は実に単純で現実に起こりうる作風なのだ。



そうして、必ず人間とは何か、生きるとはなにか、という
普遍的なテーマを一貫して追求する。



今回も夏蝉のジージーと鳴く暑苦しい声や、先輩の背中から射す逆光、部室の汗や埃の匂いの表現は素晴らしいです。


よくぞ、ここまで。。

人間の感情の流れを描いたら、彼の右に出るものはいないのではないか?


そう思わせる作品でした。。


相変わらず素晴らしいです。

Sunshine

Sunshine

こちらスーパーうさぎ帝国

明石スタジオ(東京都)

2008/06/12 (木) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★

怒涛のテンション!(^0^)
初見でしたが、オープニングダンスから飛ばしまくり!
いあいあ、非常に楽しいです。

テンポも軽快!それに合わせた選曲もすんばらしいです。

笑って楽しめる!

以下、ネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

ラビットエレクトロ二クス社の営業マンの関根は営業に行った先の会社の社員が皆、頭に三角布(死んでる証明)をつけてる事から、この会社の全員が交通事故で亡くなっている事が判明するが、なんだかんだこじつけられて、その会社の空間転送装置を営業するはめになってしまう。


ここまでの展開が怒涛のごとくハイスピードで楽しく笑える。

関根のお人よし営業マンぶりぶりや、幽霊たちに突っ込む場面は、愉快ったりゃありゃしない。

真面目そうなどこにでも居そうな営業マンの役は見事としかいいようがなく、「ああ~、居る居る!こんな営業マンばかり。」と妙に納得したのでした。


空間転送装置をとある会社に買ってもらうべく奮闘する関根の営業ぶりや、島田耕作役の不思議な突っ込みは、まったくもって満点でした。。

ただ、終盤になってそのハイテンションが下降気味になった事や、ワシントンまで飛んでいく設定に無理があり、この場面はやや流れが止まった感がしてちょっと残念でした。

この部分をもうちょっと工夫してくれたなら☆5つは確実でした。
その位、楽しく素敵な芝居でした。

演じてる役者も脇はいない面々で、個性溢れる粒ぞろいの役者でした。

次回も観ます!(^0^)

man&woman

man&woman

カラスカ

劇場バイタス(東京都)

2008/06/13 (金) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

笑いの王道でしょう。
去年の7月にこりっちの会員になってもうそろそろ1年。
1年弱で実に229本を観た事になるけれど、笑いに関しては第一位を誇るかもしれないです。

最初から最後まで笑いっぱなし!


公演中なのでネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

恋愛ネタ。

4本の作品に区切って公演。100分。

「青春☆ラプソディ」
タッチを題材にしたアニメ満載のコメディ。


「世界の中心で会いに行きます」
タクヤの両親の愛をビデオでつづる。


「Change!」
合コンを舞台にダメ男をモテル男にチェンジする。アルフィーネタ!


「ガラス男」
身も心もガラスのような繊細な男が自分の意思を通すまでの過程を綴った作品。




いあいあいあ、馬鹿らしくてゆるくて涙を流しながら笑える!
明日、暇だー!
というあなた!
1000円だから騙されたと思って観て来るといいよ。

とにかくおもろい!
キモイし、笑いのセンスは抜群です。
会場は満席でした。
雰囲気は絶好調でした。
観客は最初から最後まで笑い通しでした。


絶対、お勧め!(^0^)


雷神ウツボ

雷神ウツボ

ひげ太夫

萬劇場(東京都)

2008/06/12 (木) ~ 2008/06/16 (月)公演終了

満足度★★

芝居というより出し物
こうゆう種類のものは好きか嫌いか。と問われたら好きではない。と答えます。。

セリフの半分以上が音ゼリフ。

以下、ネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

組み体操をしながら、サヤサヤサヤ・・・ソヨソヨ・・・ヒューヒュー・・・ガシャーン・・・バザーン・・・組み体操をしながら、ヒューグルグルシュー・・・パシャー・・・チョキチョキ・・・組み体操をしながら、パシャンパシャン・・・バターン・・・ストーン・・・パサパサ・・・ドドーン・・・キラリーン・・・組み体操をしながら、ドカーン・・・ゴロピシャドーン・・・ネバーエンディングストーリー。。

はっきりいって眠くなります。


そんなだから、音ゼリフだけが耳の周りをくるくる廻ってから、耳の中にストン!と入ってきて、次の音ゼリフも同じように、耳の周りをくるくる廻って耳の中にストン!


そんなこんなで音ゼリフはくるくるストン!くるくるストン!くるくるストン!。。

これでは物語自体があるのかないのか??
いあ、あるのだろうけれど・・濁音だけが残ります。

よく理解をできずにワタクシは、後方の椅子の上でちんまりと独り孤独に時を過ごしたのでした。


まったく好みの芝居ではありませんでした。

ちょっと良かったと感じたのは最後の部分のみでした。。

タイマー

タイマー

Dotoo!

赤坂RED/THEATER(東京都)

2008/06/11 (水) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★

コメディってほどでは・・・。
1968年の新宿の物語。

以下は公演中のためネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

「ジョイマップ」というタウン誌の編集室での出来事。

ジョイマップには常に多種多様の人たちが集まってくる。

グリーンハウス(屋根のない芝生)で生きるラリったフーテンやヒッピー、学生運動家や女性闘士のゲバルト・ローザ、フォークゲリラや警察官、ヤクザなどである。

全共闘といわれた時代を背景に、一本がきっかけに過去(1968年)と現在(2008年)のジョイマップ編集者同士がなぜか繋がって過去の編集者に未来の編集者が現在までの日本を教えていく。

着眼点は面白いネタだが、何故か物足りない。
コメディもかすりが多く大きな笑いは聞こえてこない。
コメディの練りも甘ければ、本編のうねりも少ない。

毎回、思うことだが、芝居を上演するまでには相応の努力があったはずだ。
その努力を笑いの渦で満たす為にも、もうちょっと頑張ってほしいのだ。


40ちょい前それがどうしたチェリーボーイズ

40ちょい前それがどうしたチェリーボーイズ

劇団サードクォーター

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2008/06/11 (水) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★

振り出しに戻る!
行ってきました観て来ました!

今回の芝居は前回の続き。ってことで、前回を観ていたほうがより楽しめるけれど、前回のあらすじをちょっと触れて説明していたから初見の方でも、でんでんOKでっす!

以下はネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

作田が結婚してしまった事により、自分も幸せになろうと、塾を辞めたニキータ桃子は「ちょいモテ女塾」に入り、そこの先生に騙されて500万を貢いでしまう。

明らかに詐欺られてると感じた桜井・桜木・桜田門のチェリーボーイズが桃子の目を覚まそうと奮闘する。

一方、桜田門は可愛い女性に一目ぼれし、桃子同様、詐欺られる。

今回も前回同様、居酒屋でのトークあり、喫茶店でのトークあり~の、悲しく切ない笑いのネタはちりばめられる。


作田は妻に逃げられ幼子をおんぶして、「ちょいモテ女塾」に駆け込み桃子に相談する。

桃子はやっぱり、私がついていないと。と「ちょいモテ女塾」を再開する。
相変わらずチェリーボーイズはモテナイまま、完結編と至る訳だけれど、やっぱ、チェリーボーイズはもててはいけない。

モテナイからこそ観客は同情し哀れみ、自分を励ます!(^0^)



今回、作田の出番が少なかったです。
作田ファンのワタクシとしては、ちょっと寂しかった!

次回はもっと出して!
玉手箱

玉手箱

劇団黒テント

イワト劇場(東京都)

2008/05/31 (土) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★

フライヤーに騙されましたっ!(・・)
玉手箱というタイトルといい、伝説のストリッパーとのフレコミといい、勝手に煌びやかな宝石箱を開けるとそこは伝説の豊満な、時には幻想的なストリッパーが、生まれたままのお姿でプロ意識を丸出しにしてサービスしてくれるんじゃね?(・・)

なんつーて、思い込んでいたワタクシ。。


以下はネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

見事に甘い期待は裏切られ、そんなに世の中、甘くねー。ってな感じで打ちのめされたのでした。

イメージというのは、あな恐ろしや!

考えてみたら、3500円で裸なんか見せてたまるか!の世界なんらす。

ストリッパーという響きだけでちょっとは脱いでくれるよね?よね?(・・)
と、ワタクシ同様、期待に胸を膨らまして会場入りした下心満点の男性も多かったはず。

なんせ、会場入りした皆々さまは、これまた夢見ごこちでお顔もいくぶん火照っていたように思います。



ところがどっこい!



物語はストリッパーセーラ望月の一生をシンプルにごくごく真面目に描いた作品だったから、期待が大きかった分だけ、帰りはしょぼくれちまう。というパターンが俗っぽい人間の決まりごとでして・・・。

帰りの道々を歩いてる男性の、心なしか元気のない死にそうながらも足を引きずり下向き加減で精一杯帰路につくお姿は、哀れ蚊のようで、痛々しいったりゃあ、ありゃしません!


そうゆうワタクシだって、足の一つも見せろよ!なんつーて心で叫んだことには違いありません。


フライヤーはあんなに色っぽく開放感溢れちゃってるのに、以外に地味な展開で、打ちのめされたのでした。



caffellatte

caffellatte

Island

【閉館】江古田ストアハウス(東京都)

2008/06/07 (土) ~ 2008/06/08 (日)公演終了

満足度★★★

もうちょっと
ヒューマンパニック風シチュエーションラブコメディ!って事でしたが、コメディの笑わせようとする意識とワタクシの笑いの意識がかみ合わない。


以下はネタバレBOXに。

ネタバレBOX

とある画廊の日々を描いた作品。

この画廊ではキャラの濃そうな連中が押しかけ、毎日が賑やかに営まれている様子。

ある日、ゴッホやモネなど有名な絵画の贋作を持ち込まれた事により、その贋作を書いたのが画廊のオーナーの元恋人だという事が解ってしまう。

全体的にバタバタ劇だが、内容にしまりが無い。
あれもこれも・・・と欲張りすぎた結果、焦点が定まらず散漫になってしまった為、記憶の中では薄い内容となってしまった。

肝心のラブのゆくえもそれぞれが簡単にくっついて、誰でもいいの?みたいな笑えない結果に。

ラブコメを主体にするのか、贋作のミステリーを主体にするのか、絞ったほうが良いと思った。

ねこになった漱石

ねこになった漱石

東京ギンガ堂

歌舞伎町「大久保公園シアターパーク」特設劇場(東京都)

2008/06/07 (土) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

リズミカルな舞台
大久保公演には体育館ほどの大きなテントが出現しておりました。
会場に入ると既に満席状態でした。
自由席ですので、早めに行く事をお勧めします。

この日は新宿区長がご挨拶しておりました。
地元の方も多そうです。


流石に、日本版“キャッツ”というだけあってタップダンスで楽しませてくれます。
ミュージカルに近い。

しかし、タイツ姿のキャッツは居ません(^^;)

舞台の隅に置かれたグランドピアノでの生演奏も素敵です。



公演中なのでネタバレBOXに。。

ネタバレBOX


漱石の生い立ちから晩年までを描いた作品。

もう殆どの方がご存知の通り、漱石の実母は祖母だったが実姉を母として育てられた経緯や、成人してから仲間と暮らし始めた長屋、義理の姉に対しての恋心、その兄嫁の死、コレラが蔓延し箱根に居た頃、学校の先生になった頃、英語研究のためロンドンに渡った頃の貧困生活、極度の緊張から精神を崩した事。

その頃の体験から

人間とはなんとメンドクサイ生きものなんだ。
メンドクサイ世の中でシチメンドクサイ人間になってしまった。
とかくこの世は住みにくい。
自由気儘な猫になりたかった。
たくさんのしがらみもない猫になりたかった。





創作で活動の拠点とした「漱石工房」には、安部能成、寺田寅彦、芥川龍之介、武者小路実篤、志賀直哉らが集まり、連日の深酒の情景がそこここにちりばめられ、漱石好きのワタクシには、なんとも心地のいい芝居でした。

晩年の漱石が司会進行役で登場し、それぞれの年代の漱石を見守る形で時々解説を入れます。

この手法も解り易く直ぐに馴染めます。


コメディ的ミュージカルといった方が解り易い。


非常に楽しめて優雅な時間を過ごせます。

終焉後、最後の最後まで観客が乗りに乗って手拍子が鳴り止まない舞台でした。
リズミカルに始まってリズミカルに終了した舞台。


たった10年間で沢山の本を書いた漱石。

「いつか、シェイクスピアのように文豪と呼ばれる日が来るかも。」と劇中のセリフにありましたが、見事に文豪になった漱石。


これだから、舞台も漱石も素晴らしい!(^0^)わっしょい!


Noir 永遠の夜の彼方に

Noir 永遠の夜の彼方に

水族館劇場

駒込大観音(東京都)

2008/05/23 (金) ~ 2008/06/09 (月)公演終了

満足度★★★★★

一夜限りの幻
早めに境内に到着すると既に小さな縁日が繰り広げられている。
ここで販売している方達は地元の本屋さんや、この劇団を応援支持している方達で、毎年、この大観音の境内で公演をして貰うべく働きかけをしているボランティアなのだ。
だから、売上金は劇団に上納される(^0^)



午後7時、ノスタルジックな野外の写真館の舞台から、物語は始まる。

以下はネタバレBOXに。。

ネタバレBOX



従軍慰安婦キリハと銀杏堂(偽者の写真館)のせむし男の登場で、一気にオドロおどろした闇の世界に引きずり込まれる。。

写真館の前には古い鏡があって、これが白骨島への入り口となり、舞台が回転した裏側は、やはり写真館の同セットがあり、鏡子という女優がキリハの役を演じているのだ。
いきなりトロッコに乗った映画監督が現れ、そのシーンを撮り、更に「黒の牙城」の屋根の部分、両サイドから板梯子が半回転し錬金術師が登場したりする。

いあいあ、これはもう、普通の仕掛けではないです。一夜限りの幻の体験です。

この物語は長崎に点在する海底炭鉱の島、白骨島を舞台に、徴用として強制連行された朝鮮人坑夫と従軍慰安婦を映画化するという設定のお話です。

キリハ役の女優鏡子は、鏡の入り口から当時の世界に入ってしまいます。

そこは、「鏡の中の迷宮」です。
有馬は当時の白骨島の秘密病院で堕胎もこなす医者でした。
その堕胎を手伝う黒い天使がキリハです。

炭鉱労働者として暗い地の底の黒ダイヤを掘り、生死を彷徨い、故郷に帰れなくなった朝鮮人坑夫の屍が暗い海の底で、彷徨い浮遊しています。


この本はキリハ役の女優鏡子を登場させることで当時の歴史を観客に伝え、何かを訴え、感じて貰いたい。という脚本家の意図が見え隠れします。


そこに加味してセットが素晴らしいです。
ねずみーランドの如く、トロッコは走る。スプラッシュマウンテンばりばりの滝のようなセットといい、箱舟のような船が登場したり、トロッコが吊り上ったり、板張りを開けるとプールのように水がはってあったり・・・。

なんじゃーこりゃあー(名言!)

一体この大量の水をどこから・・・(@@!)

前方のバラックが壊され、遥か前方には高くそびえ立つ炭鉱の風景がリアルに映し出されます。

素晴らしいです。
大きな一枚の画像を見ているような感覚になります。
これはもう、観た人でないと理解できないでしょう。

野外で公演する理由。
普通の舞台では絶対無理です。


ただ、残念だったのは、一部の役者の発音が聞き取りにくい。
早口で聞こえない。
ここが不満でした。
セリフを聞き取れない。というのは観客にとって、ストレスになります。
一語一句聞き漏らしたくないから。

しかしながら、この劇団は発声練習をしないらしい。
役者の未完成度や毎回毎回の一回限りの必死の格闘や「ずれ」を重視しているらしいが、ワタクシは聞き取れないセリフは言ってないのも同然と受け取る。
少なくとも観客から料金を取るプロなら、その対価として、観客の耳に届くセリフの発声くらいはしてほしい。


とにかく、今夜は一夜限りの幻の体験をしたと思っている。

フローズン・ビーチ

フローズン・ビーチ

UNIT天然色

遊空間がざびぃ(東京都)

2008/06/05 (木) ~ 2008/06/08 (日)公演終了

満足度★★★★

強く生きるオンナたち
ケラリーノ・サンドロヴィッチの作品と言えばご存知の方も多いはず。
しかし、ケラリーノの作品を少しアレンジした悲しくも狂気に満ちた作品です。

以下はネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

1987年、海辺の家には愛と双子の姉の萌、チズ、市子がバカンスを楽しんでいた。

双子の父は彼女らの3歳違いの咲恵を車で撥ねて失明させた負い目から妻と離婚し、咲恵を妻にした。

結果、双子の母は海で自殺をしてしまった。
愛はその事で咲恵をずっと恨んでいた。


一方、チヅと市子は愛と仲良くしながらも、心の底では愛を宜しく思ってなく寝込みを襲って殺そうと計画する。

市子は精神的に病んでおり、いらいらしたり、感情の収まりがつかなくなると、突発的に何をするか解らないところがある。

ひょんな事から、市子は愛をベランダから突き落としてしまう。
その際、愛はチヅに助けを求めるがチヅは見てみぬふりをする。
愛は失意のうちに殺された。という設定だったが、小枝に掴まって一命を取り留める。

家の中では咲恵の浮気と男に金を貢いでいた事が萌にばれてしまい、口論となって萌を殺してしまう。
そこへ、愛が自力で這い上がって部屋に戻ると咲恵は錯乱状態だった。
盲目の咲恵は愛が戻った事が解らない。
そこで愛は萌と入れ替わる事を思いつく。

結果、チヅと市子は日本に帰るが愛を殺してしまったという負い目を持つことになる。

人には癒える傷と癒えない傷の二種類ある。。



1995年、愛の父は事業に失敗し破産して2年前に死んだ。
この年もチヅと市子は愛の家にバカンスにやってくるが、そこで、愛と萌が入れ替わった事実を知り、復讐を決意し、おみやげに毒を盛る。

それを食べた咲恵は痙攣を起こし、愛はチヅと市子と争いナイフで刺してしまう。しかし、傷は浅く一命は取りとめ、チヅも致命的な毒ではなかったことから、助かる。


愛はかつて、二人に殺されそうになった不信の傷。
市子とチヅは愛を殺してしまったという後悔の傷。
両方にそれぞれの深い傷があったのだった。


その後、愛は地元の有力者と結婚し少しの間裕福に幸せに暮らしていたが、島が地盤沈下にあい、一切合切を失い夫は自殺してしまう。



2003年、愛はピストルで自殺しようとする。

そこへ、チヅ、市子、咲恵がやってくる。
チヅは4人目の男と結婚し、市子は相変わらず入退院を繰り返し、咲恵は18歳年下の男と友人になる。

愛はそんな3人の能天気ぶりをみて、自殺を止める。



人生には色々あるが、それでも逞しく生きる女4人の物語。

役者はたった4人で演じるが迫真の演技で非常に素晴らしいです。
心に残る作品。心の闇や鬱の部分を探る作品だが、意外に明るくみせて、カラッとした存在感すらある。
愛の下着姿になる脱ぎっぷりも素敵だ!(^0^)
どんでん返しの繰り返しで最初から最後まで、ワクワクドキドキの連続でした。

お勧め!



黒子ノ譲志

黒子ノ譲志

グワィニャオン

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2008/06/04 (水) ~ 2008/06/08 (日)公演終了

満足度★★★★

着眼点が素晴らしい
今回のキャスト、総勢45名。
いあいあ、賑やかお祭り騒ぎですわ!(^0^)

で、大衆演劇で賑わう浅草の芝居小屋と譲志という小屋付きの黒子のお話。



以下はネタバレBOXに。

ネタバレBOX


今回のストーリーは5人の黒子の物語。
5人の黒子達は、今は黒子に徹し、人助けをしているが、彼らは犯罪者だった。

罪は殺人罪。

一人の黒子は子供を殺し、一人の黒子は強盗に入って、そこの家人を殺し、一人の黒子は浮気した夫を殺し、一人の黒子はバイクを転がして人を殺し、一人の黒子は親を殴り殺した。

それぞれの黒子はそれぞれの理由があったが、今は必死に人助けをしている。むじなに落ちた人を引き上げようと人助けをする。


その中でも平塚純子のキャラがいい!(^0^)
あの、ダルダルした感じが絶妙なのだ!


終盤に黒子の譲志と恭子(譲志の母)が絡むシーンがあったが、もう・・ここが泣けて泣けて泣けて

ドバーッ(┬┬_┬┬)滝のような涙




相変わらず、お笑いネタ満載!

泣き(。┰ω┰。) ネタ満載!



ちょっと雑な部分を省けば、素晴らしい舞台です。


えっと・・主宰の歌はいらないです。
声がでかすぎて、嬢志のセリフとカブってセリフが聞き取れない。
観劇者にとって、セリフが飛ぶ。聞こえない。という事は物凄く後悔するんです。
そのセリフが重要だったりするからね。



まあ、主宰の歌いたい~。っていう、デブ(違っ)ウブな気持ちも解らなくはないですが、歌にそれ程、重みを置かなくてもええんやないの?(´-ノo-`)ボソッ...

そうじゃあなくても重いでしょう?
内容も・・・それなりに・・。


手持ちブタさだからって、何も・・・そこまで・・・しかもCD作ってます。

1000円だって。(*゜◇゜)yヽ~ ポロッ



乗りに乗ってます。
脂ぎってます。
飛んじゃってます。

紅の豚も真っ青です。(´- `)フッ





次回も頑張ってください。

えっと・・・着ぐるみ着ていたのが主宰よね?(´-ノo-`)ボソッ...

最近では白いぷーさんもいてるんですね。ヽ(*´∀`)ノ
伝説の男

伝説の男

三田村組

ザ・ポケット(東京都)

2008/06/03 (火) ~ 2008/06/08 (日)公演終了

満足度★★★★

生きるということ
小屋に入ると、観客はいつもの年齢層とちと違う!
たぶん、三田村が長いこと芝居をやり続けている所以だろう。
観客はきっと、ずっと観続けているのだ。


そう感じさせる内容の濃い充実したお芝居でした。



とにかく笑える!(^0^)
登場するキャラクターがハンパないのだ!

そうして・・終盤ではホロリ・・。とさせられる場面も。


以下、ネタばれBOXに。。


ネタバレBOX




レトロ感溢れるセットが素晴らしいです。
劇中、メロンの種を埋めるシーンがあるのだが、土も入れてありました。


小説家を目指してコンテストに応募し続けている男が居る。
重十郎の傍には、常に若かりし頃の重十郎が見守る格好で話しかけたりしながら付いている。

この若かりし頃の重十郎は現在の重十郎しか見えない。
このふたりの会話が絶妙です。


若かりし頃の重十郎演じる、正村 嘉浩(FINE BERRY)が自然で気負いがない。
非常に素晴らしいです。



まったく売れずにいた貧乏小説家をずっと支え続けていた和代はある日、突然、金持ちの男と結婚する。と言い実家に帰ってしまう。

一人になった重十郎は30年間パッとせず、やがてホームレスになって、病気を患い、死を直前に控えるが、ホームレス仲間や売春婦の純子らがきっかけとなり、出版社から依頼を受ける。

しかし、この出版社は詐欺だった事が判明するが、やっと夢が叶ったと喜んでいる重十郎に仲間達は本当の事を言えない。

そこで、みんなでお金を出し合って製本しようという事になり、それぞれがお金を作る為に奮闘し、やがて製本する事が出来る。

重十郎はとても喜び、「夢を追っかけていた頃の俺をずーっと支えてくれてさー、感謝してるんだよなー、30年前の事。」と懐かしむ。


昔の彼女に手紙を出すが、新たな事実が発覚する。

彼女は30年前に白血病を患い重さんの夢を邪魔したくないから、金持ちと結婚すると嘘をついて実家に帰り、そのまま入院し、亡くなった事が解る。



重十郎は、

「彼女の墓が山の上にあって見晴らしのいい所だった。遠くにぱぁーって海が広がってて・・。いつも元気で病気だなんて全然思わなかった。いつも明るくてさ・・。全然、気が付かなかった。彼女と約束したから・・、最後までやりきるって。我武者羅にやれば何とかなるもんだな、もっと初めから我武者羅にやってたら俺の人生もどうにかなってたかなぁ・・。でも最後までやった・・。最後の最後に幸せだった。本当にありがとう・・。」

と、一冊だけ売れた本の代金で買った焼酎を飲みながら、幸せそうに息を引き取るのだ。。



下町のホームレス仲間や売春婦達の人情物語。

「何百年後でもいいから、この本がいつか認められて、重さん、伝説の男になるといいよなぁ・・。」




非常に素晴らしいです。
どんだけ笑わせんの!と訴えたいほど佐久間 淳也(FINE BERRY)の土下座には、泣きながら笑った!(^0^)

全員が主役的な存在です。
どれも素晴らしい。




夢なんか持つから、人生は、苦しい。
 でも、夢のない人生なんて、生きることも出来ない。

飛び降りたらトランポリン

飛び降りたらトランポリン

なるせゆうせい

ベニサン・ピット(東京都)

2008/06/03 (火) ~ 2008/06/08 (日)公演終了

満足度★★★

確かに物足りない
舞台は檻の中に閉じ込められた平賀判内が釈放される場面から始まる。
舞台の使い方は上手い。2階部分に、渡り橋を設置してダムを想像させる。。

以下はネタバレBOXに・・。

ネタバレBOX

以前、このダムの前には小さな村があった。
この村はたまにサーカス団が来るくらいの小さな村だった。
ある日この村で流行り病が発生し、村の9割の男は殺され、村の9割の女は強姦され、そして殺され、残った村人は、この地から逃げた。

その途中、ある女が抱いていた赤子は、足手まといになるからという理由で、ダムの中に投げ捨てられてしまった「紅ばち」という名の、成長したそのごの物語です。

捨てられた紅ばちはツチフマズ(ザリガニ星人のような妖怪ばりばりのおっさん)に拾われ、屍を乗り越えて、しぶとく生きる事を教えられる。
そう・・・それは以前見た、サーカス団の綱渡りのように、1本の綱をなんとかバランスを保ちながら、そんなギリギリのところで生きる世界だ。

かつての流行り病、コロリ菌を持ったコロリ患者を全て絶滅させる。というおふれの下、紅ばち達は常に追われる身だ。

紅ばちは生きるために、金も命も奪ってきた。そして、かつて殺された仲間たちの為に復讐を誓う。

それでも紅ばちは嬉しかったのだ。
生きてるだけで・・。



平賀版内が釈放された理由はコロリ患者を一瞬にして絶滅させるコロリンの発明をするという使命があった。

平賀と紅ばちの関わりあいのなかで、平賀はコロリンを打ち上げる事で、紅ばちが死んでしまうことに苦悩するが、

「例え、目の前の先が真っ暗だとしても、100年後の未来の為に戦えってことだ!」

とひらめく。


やがてコロリンは打ち上げられるが、紅ばちは「おでん」という平賀の作った、人間の感情を持った操り人形の願いが叶い、命を落とさずに済む。




全体的にコメディなのか、シリアスなのか中途半端で分らない。
物足りない。理由はこんなところだ。

役者のセリフの発音が悪いのか、それとも早口なのか・・・聞き取りにくい箇所があり、ストーリーの展開、運び方が甘い。

平賀役の役者がイケメンすぎる。
発明家という設定の場合、ちょっとイッチャッテル感の髪はボサボサ、、眼鏡をかけた、鉄腕アトムの博士みたいなハカセじゃあないとね~。

そんでもって、おでんの動きが操り人形っぽくないのよ。

要するに細かい演出が雑で甘い。

その中でも光ってたのが紅ばち。。



                                        以上。




小部屋の中のマリー

小部屋の中のマリー

DULL-COLORED POP

タイニイアリス(東京都)

2008/06/04 (水) ~ 2008/06/09 (月)公演終了

満足度★★★

カラーを得たマリー
勿論、セットは黒と白。
マリーは白い衣装で登場し、中央に積んである四角い白と黒をける。

以下はネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

16歳までマリーは父親に12畳の部屋に監禁され自分と父親以外の誰も知らない世界で生きてきた。

父はマリーにビタミン剤と牛乳、耳を取ったパン、豆腐や限られた食べ物しか与えず、他の時間はひたすら本ばかり読んで過ごした。

本の中で覚える青や赤、緑は実際には見たことがなく、父親が幼女監禁罪で逮捕された時に、マリーは初めて外の景色を見ることになる。

空・森・川の色に感動しながらも、マリーはまた外界との接触を拒まれ一部屋に閉じ込められ、教授達やカウンセラーの研究材料となってしまう。

人格障害や、多重人格の検知から分離心理学について、調べられ、今までの育った経緯やどんな事を考えていたかを聞かれるが、マリーは、心を閉ざして開かない。

そんなマリーの部屋で安城と須賀はマリーの扱い方について口論となる。


その様子を見てマリーは須賀の嘘を見抜き、安城に心を許し、安城だけに口をきく。という行為にでる。

そんな状況下、当然のことながら安城は他のドクターたちより、優位になる。

毎日のように安城とマリーは話をしながら、「人間って面白いねー、まるで哲学的ゾンビみたい。」などと、たわいもない会話もする。

そんなマリーに、安城は「俺にしか話しちゃだめだ。他の人間とは口をきいちゃだめだ。」と約束させる。

この頃からマリーは「人間の心には物理学や心理学には説明できないものがあるらしい。クジラは色んな色を食べてとっても綺麗になったけれど、人は本や映画では解らない。他の人がどんな色を持っているのか、知りたかった!」とひとりごち、色を知ったマリーは、もう今までのマリーではなくなってしまっていた。


一方安城はマリーを題材に学会で発表する計画や本を出版して有名になる野心を抱く。

しかし、マリーはそんな安城を見透かしたように、ある日、安城が自分の体を触ったと証言し、安城を陥れる。

安城の立場が悪くなると、追い討ちをかけるように、須賀は、「実は自分は安城が触っているところを見た。」と嘘の証言をする。

安城を陥れる為にそれぞれの人間が利己的に傲慢に動く様子を伺い、ほくそ笑むマリー。。

マリーの表情が見事です。
素晴らしい!!


自分の研究室でそんな事件が起きた事を隠そうとする教授。

そんな思惑の中、安城は罪をきせられ、教授から、希望退職するように、要請される。

安城は須賀に「俺とマリーだけは解っているからな。覚えてろよ!」と吐き捨て、マリーには、「マリー、面白かったか?!」と言って外に出る。

純真無垢だったマリーは人と関わりながら色を得ることによって、真っ白くてピカピカだった心と真っ黒でピカピカの心を失ってしまいました。


それでも・・・「私はパパが好きだった!」


父親への卑屈な愛だけは今も健在なのです。





非常に重いテーマですが、それほどの暗いイメージはない。

むしろ、マリーの目に映る人間を実験してる様子が悪魔的で面白い。
そう・・・マリー以外の人間はマリーの実験材料だったのだ。



ルドルフ

ルドルフ

東宝

帝国劇場(東京都)

2008/05/06 (火) ~ 2008/06/01 (日)公演終了

満足度★★★

うーん。軽すぎる。
舞台には大きな絵画が一つ。

そこから、始まる。


以下はネタばれBOXに。。

ネタバレBOX




ルドルフは母エリザベートの影響により自由主義を信奉し、自らの出自にもかかわらず貴族に対して批判的な態度を取っていた。

そのためルドルフはフランツ・ヨーゼフ1世の保守的な思想とは異なり、そのことからフランツ・ヨーゼフ1世と対立することが多かった。

だがエリザベートはウィーンを嫌って旅行することが多かったため、彼女はルドルフの理解者とはなり得なかった。


エドゥアルト・ターフェの二回目の首相就任以降は、自由主義を固持するルドルフの政治的立場は不安定なものとなっていった。

ルドルフは、妻との性格の不一致は深刻なもので、二人の仲は冷え切っていた。

その後、ルドルフは16歳のマリー・ヴェッツェラと出会った。小柄の美しい娘であった。やがてルドルフはマリー・ヴェッツェラに惹かれて、恋に落ちる。

ルドルフは政治的にも孤立し、マリーとの結婚も叶わず、マリーと共に追い詰められていく。

最終的に不倫の果ては・・・



やがて、二人はステージの奥、大きな樹木の絵画の中に吸い込まれていく。

そこで、2発の銃声が鳴り響き、舞台は終わる。。





事実はルドルフの部屋から2発の銃声を聞いた執事が駆けつけたところ、部屋は内側から施錠されており、執事は斧でドアを破って入った。
と言う事になってるから、演出の関係上、やはり、舞台だから美しく・・・に徹したのだろうか?

しかし、ルドルフは結婚以前から、貴族専門の娼婦や女優たちとの関係があって、特にミッツィ・カスパルは、彼の一番のお気に入りの女性だったんだよね~。

つまり、オンナたらしだった。

で、ルドルフは自殺願望も色濃く持ってた人だったから、悲恋で自殺した訳じゃあないと思ってる。


そこの追求をもっと、観たかったのだけれど、そういう深刻な場面や深層心理に触れる箇所が欠落してた。。



そういう点でこの舞台の脚本は薄っぺらです。



まあ、豪華な衣装と華やかな舞台を観たいなら○かも。。



LAPUTA FALL -ラピュータフォール-(アップ風景画像UP)

LAPUTA FALL -ラピュータフォール-(アップ風景画像UP)

エムキチビート

萬劇場(東京都)

2008/05/27 (火) ~ 2008/06/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

非常に素晴らしい!天才でしょう!
非常に素晴らしいです!大絶賛!

この物語には夢とロマンと、戦争で犠牲になった背景やら歴史やら、とにかく盛りだくさんの黄泉の国のファンタジーです。。


最初から最後まで無我夢中で拝見し、無我夢中でメモを取りました。


以下はネタバレBOXに。。

ネタバレBOX




冒頭、軍人達が秘密裏に機能させている中島飛行機工場で働く人たちの影踏みから始まります。

「影やどうろく神~十三夜のぼたもち~サア踏んで見ィしゃいナ。」


非常にのどかな光景から穏やかに時間は流れていきますが、相変わらずトリッキーなギャグネタも入り乱れ、それなりに観客を引きつけていきます。


飛行機工場では敵国アメリカと戦う為に、世界最大の飛行機『富嶽』を作る技術者が集まって機能しています。



イズモは養護施設から来たのか、純粋無垢な知恵遅れの子です。

このイズモを演じた瀬戸千夏、実に素晴らしいです。
何の気負いもなく自然に演じてます。


後半、会場からのすすり泣きは、死に行くイズモのあどけない表情です。



話を元に戻します。


もう一つの影踏み遊び。

こちらは「黄泉比良坂」を目指して坂を登る者達5人と、坂を登らせない者達2人の果てしない抗争です。

登る5人は登らせまいとする2人から毎回、影を踏まれて振り出しに戻ってしまいます。

登る、踏まれる、戻る、登る、踏まれる、戻る・・・

ネバーエンディングストーリー。




そうこうしているうちに、イズモは坂を登っているうちの一人ツクヨと不思議な交信をするようになります。


「応答願います。応答願います。いま貴方は大空の中でしょうか。」



「応答願います。こちらは抜けるような快晴。空の底が見えそうです。」



交信が密になると、やがて、イズモは原爆投下の情報をツクヨから、知らされます。



次の新月になったら、新月の夜になったらあの月を目指して飛び立たないと工場は『富嶽』もろとも原爆によって無くなってしまいます。



おりしも、東条英樹の失脚から世の情勢は激変し、中島飛行機工場は閉鎖される事になってしまいます。


しかい、『富嶽』を作る夢は捨てられません。
この工場に関わった軍人や技術者、工場長は『富嶽』を守る為に自分の身を犠牲にします。


一方、黄泉比良坂では、相変わらず、雲に囲まれた天空に浮かぶ坂で・・・黄泉へと繋がる坂で、登る者と阻む者が命を賭した影踏み遊戯が新月の下で繰り広げられています。

「影やどうろく神~十三夜のぼたもち~サア踏んで見ィしゃいナ。」




今や軍人も撃たれ、悲惨な光景の中、工場では、イズモが『富嶽』を動かす事になります。


「イズモは空に行ってみんなが作った飛行機でツクヨに逢いに行くんだー。でっかいんだー。空の城だーー!」

と、飛び立ちます。



こうして・・・始まりの場所と終わりの場所、つまり、飛行機工場の技術者イズモら5人と、坂を登る者達ツクヨら5人が繋がりリンクします。

そう、イヅモら5人とツクヨら5人は1線を隔てた同一者だったのです。



1945年、広島に投下された原子爆弾は養護施設を吹き飛ばし、光によって体が消えた!
影だけが残って、その影が工場を作ったまま、時間は止まらなかった。

影を見守る道の神様(どうろく神)は時間が止まらないように、ツクヨらが黄泉の国へ行かないように影踏みをして、留まらせていたのでした。。



「影やどうろく神~十三夜のぼたもち~サア踏んで見ィしゃいナ。」




八遣庸靖 、素晴らしいです。

蟷螂の斧

蟷螂の斧

10・Quatre

あうるすぽっと(東京都)

2008/05/28 (水) ~ 2008/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★

本公演:【蟷螂の斧】バージョン
【華~HANA~】 バージョンを観た後、こちらも観たくなって観た。

いあいあ、流石は本公演!
やはり、いいです。

観てよかった!


ネタバレBOXに。。

ネタバレBOX

次郎吉は、偽の将軍暗殺の覚書を手に入れるため、動き出します。

やがて橋本道場にその覚書があることを着きとめます。

一方、ザンカイ党の悪巧みによって極龍組の若石が殺され、橋本道場は焼かれてしまいます。

ザンカイ党の一員だった大吾は命により極龍組の若石を殺してしまったが、騙されて居た事が解り、最後は橋本道場の娘を庇って、ザンカイ党の党首に殺されてしまいます。

大吾は死ぬ間際に次郎吉に「たった一つの願いをきいちゃあくれねえか?(ザンカイ党党首の)命を盗んできてもらえねえか?」と、息を引き取ります。


次郎吉は遺言どおり、命を貰います。
「これで終わりだと思うなよ。幕府転覆を企む者はワシだけではないぞ!」と言って、党首も息を引き取ります。

太刀捌きが素晴らしいです。
物凄く、練習したのだろうね~。。

次郎吉(高橋)の動きが素晴らしいです。
飛んだり跳ねたり、切ったり・・。

党首を殺す時の鬼のような形相、ゾクゾクしました。
髪がおどろに乱れ、汗と唾で、凄まじくも恐ろしい夜叉の顔でした。


合間合間にコメディが入ってテンポも良く観客を飽きさせないです。
意外にギャグネタがおもろい!(^0^)



思った以上に素晴らしい芝居です。
次回もみたいですねー。。




思った以上に素晴らしかった!

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