みさの観てきた!クチコミ一覧

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森蔭アパートメント

森蔭アパートメント

劇団大樹

小劇場てあとるらぽう(東京都)

2009/12/09 (水) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

緩やかな時空を彷徨う
こんなタイトルが似合う空間の舞台。セットが実に素敵だ。舞台の片隅に古びた蔦の絡まる「森蔭アパートメント」の入り口があって、元ちっさな医院だったのが窺われる。舞台のど真ん中にアートのように主張する大樹。秋の気配を演出した美しいセットだ。この拘りにまず、感激する。
そうして、この大樹が劇団大樹のシンボルであることを匂わせる。この庭の大樹の傍には椅子とテーブルが設置され、アパートの住人が集まる場所であり暮らしの中心だ。そして劇団大樹の主宰も自分の作る舞台そのものが観客やキャストらにこのような癒しの場所となるように願っているのだと感じた。
物語はマリンバとブロッケンを奏でながら演じられるというどこまでも緩やかに優しい上品な舞台だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


とある小劇団の女優が自分の境遇に疲れてはててちっさな旅に出る。その途中にあったベンチには古びた不思議な鞄が置かれてあった。女優はその鞄をに誘われるように鞄を開けてみると・・。
そこは「森蔭アパートメント」の庭だったのだ。女優はここで、ここに暮らす、不思議な住人たちと、ネコと幽霊たちと暮らすうちに、大切な事を学ぶ。

ここで暮らす住人たちは、忙しく雑多な日常から解き放たれたような時を刻む住人たちだったのだ。それはお茶を楽しみながら、緩やかに流れる時間を楽しむような暮らしだ。アナログ時代のその流れは本来の人の心を優しく包むかのような情景だ。「気合を入れて楽しいことをするんだよ。」なんて言いながら、カフェオレの香りをゆっくり楽しむような生き方だ。

女優はそんな彼らと暮らすうちに自分自身の生き方を見つめなおすようになる。そうして、「自分に合った劇団を探すわ。気合を入れて楽しいことをするの。」と言って前を向いて歩き出すのだ。

この舞台は、傷ついていた女優が鞄の中に迷い込んだら、そこには違った世界で息づく人たちの暮らしがあって、その人たちに癒され、再び前向きに生きようとする。という物語だった。

人生に疲れて癒された~~い。という人に特にお勧め!
シャッフル・ルーム

シャッフル・ルーム

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★

こういった部屋のシャッフルは
以前も他の劇団で観たけれど、思いのほか、笑えなかった。たぶんそれはワタクシがコメディを見過ぎてるのかもしれないが・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語はひじょうにベタで解り易い。筋は良く出来ていたと思う。夫のいる身の妻がテニスコーチとちょっとおイタをしちゃおうかしら?なんて下心満点で元カレの同じ作りの部屋と自分の部屋をシャッフルするところから始まるが、なんせ、もっと笑いが欲しい。

おいっす!のコメディって、落語に似てるような気がする。ネタの先取りが出来てしまうのだ。つまり、たぶん、この展開のこの先はこんな笑いを持ってくるんだろうなー。と想像できてしまうのだ。だから、本当にそうなった時に、やっぱり・・。なんつって、妙に醒めてしまってパンチがたりない。コメディって時間との戦いだと思うけれど、そこには意外性というか、「おお~!そうきたか!」と観客を嬉々とさせる技もみたいと思う。

おいっす!は割に緩やかに笑いをとる劇団で、他の小劇団のコメディと比較しても、スピード感に欠けるし、笑いのネタが古いような気がした。むしろこのお芝居はコメディではないんです。と言われた方が納得したかもしれない。

他の劇団のコメディってこんなもんじゃないのだ。
【AchiTION!Q&A】

【AchiTION!Q&A】

シネマ系スパイスコメディAchiTION!

しもきた空間リバティ(東京都)

2009/12/04 (金) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

もう、これは・・・苦笑!
当日はキャンセル待ち続出で満員御礼状態でした。そんなだからスタッフもニコニコ。キャストもニコニコ。今頃は左うちわ状態・・・。

青池のカマ風味と谷合の女を捨てちゃってる演技には誰も敵わないんじゃないかしら。でもって福丸の体型キャラクターには、登場しただけで・・・笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

【ダイエットをする女の話】では谷合の演技に「そこまでやらなくても」という同情に似た感情が沸騰する。その沸騰してる最中に福丸がトレーナーとして登場するわけよね。お前が痩せろよ。みたいな突っ込みが会場を包む。

【血液型の話】では人間の姿をしたドラキュラが気分屋で自己中であるB型の血液型を吸うと死ぬという設定の中、飲み屋に集まった客の血液型から今夜の犠牲となる人物を探し出そうとするも、全員がB型だった。仕方がないのでドラキュラは苦し紛れに自分の血を吸うがB型だったため死んでしまう。B型って凄く嫌われちゃってるよね。何となく解るけど。笑

【一本のバットと二つのボール?】では、おかまバーに来た客の同級生がそこで働いていた事から、バットを取る手術を見合わせるように説得するも客の方がおかまになっちゃった。というお話。

【羊が一匹?】眠れない時に数える羊の様子を画像で紹介する。

【私のどこが好き?】大富豪の家に育った娘は近寄る男性が金目当てなことから、自分の過去を隠して異性と付き合うが彼女の過去を調べ上げた末に知らないふりをして付き合っていた詐欺男と両親の庇護のもと自立できない女の話。

【学校の七不思議】理科室の人体や音楽室からのピアノの音、二宮金次郎像らは夜な夜な動き出すが、彼らは一様にトイレの花子さんに恋をしていた。告白するも、肝心の花子さんは先生に恋をしていて先生に取憑く。

【台風の目?】将来、目が見えなくなってしまう少女と現在盲目の女性と、医療ミスで母を殺されてしまった3人の物語。

全体的にコメディと不条理劇をMIXさせたような舞台だった。終盤、司会者がウソつきを殺せ!という指示を出すが、結局薬局、司会者が殺されてしまう。ウソつきは彼だった、というオチ。
一番好みだったのは【一本のバットと二つのボール?】
やっぱ、おかま達のハイテンションな突っ込みとボケがいい。おかまたちって話し方も面白いからウケルし、キャストキャラは動物園みたいなナリ!笑
ここに出演する女優って凄いわっ。身を削って演じてる!笑



演劇/大学09秋 桜美林大学 『カサブタ』

演劇/大学09秋 桜美林大学 『カサブタ』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/12/05 (土) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★

オヤジ健在!
当日券を購入しようと財布を出したら、「あの・・、チケットが1枚余ってますので貰って頂けますか?」ときたもんだ!飛んでひにいる夏の虫!
ゼウスか?!それともキリスト降臨か?クリスマスも近い事だし・・。ワタクシ、嬉しさのあまりその男性の後ろに廻って背中を見ちゃった。したら、付いてないの、天使の羽は。で、またまた前に戻って、すかさず「え?!いいんですか、頂いてしまって。」とニコニコしながら言葉よりも先に手が出てた。「しまった!」この場合、後から手を出すんだった。(苦笑!)


そんなこんなで・・劇場は
桟敷席に中年以降のオヤジ達が陣取る凄まじさ!ったら凄いわけよ。そんな光景をダンス公演の時のみ目の辺りに見慣れてるワタクシとしては、はは~ん、今回も際どいエロさ満開なのかしら?なんつって想像しちゃうわけよね?
をい!をい!オヤジたち、女子大生相手にそんな、はぁはぁしちゃってどーする!?と声を高らかにあげたいところだったけれど、よくよく考えたら、女子大生だから価値があるのだった。これだから、オヤジのダンス好きが多いのは頷ける。笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

そんなワタクシとオヤジたちの期待を裏切るかの如く、ごくごく真面目な普通のダンス!衣装も普段着で各自がバラバラなお衣装なものだから、たまぁ~~にバレエなんか観に行くワタクシとしてはちょっと眠くなってしまう。つまりワタクシの中のダンスとは衣装、音楽、空気感を絶妙に加味したハイレベルな芸術だと考えていたからだ。たぶん、この考え自体が間違っているのかも知れない。だとしたら、普通に普段着で踊るダンスには、まったく共感できない特異体質なのかもしれない。

しかし、後半舞台の空気が一変する。女子大生がキャミドレス1枚を身にまとって数人で踊る踊る踊る!そのお姿はオルゴールの上にちょこんと乗っかったバレエ少女以上の清楚なお色気満点で、ぐはっ!(吐血!)なんちって、おじさんは・・モトイ、ワタクシは一気に目覚めて激しく動揺!この場合、寝てる場合じゃないっしょ?!

なんせ、目の前の女子大生がおぱんつ丸出しで白い太ももを露に、もうちょっとでバストも見えちゃうんじゃね?くらいの壮絶なクライマックスを逆さになったり開脚しながら存分に見せちゃうわけよね。いあいあ、おじさん・・モトイ、ワタクシはまさに樹海レベルに磁場が狂ってしまって薄れゆく意識の中で「ああ、昇天!」なんつって、ちょっとしたコメントしちゃった。生きてることが精一杯ってなりで、精神は極限状態になりながらも目はしっかりと全開で、目の前の女子大生と1on1のサシ勝負みたいな気持ちになって、その躍動感溢れすぎちゃってるダイナミックさに、「ああ、幸せ・・。」なんつって、おじさんは・・モトイ、ワタクシは満足して帰ったのでした。。

ちょっとちょっとダンスという高尚な芸術をそんなオヤジ的眼力で観ないでよ!なんつって声を発したいそこのアナタ!
ごめんなさいね。ワタクシの目はどちらかというとオヤジ的眼力なのでした。俗に目ヂカラともいう。(違っ!)


コントン・クラブ

コントン・クラブ

K Dash Stage

博品館劇場(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

た、た、た、た、楽しい!(^0^)
オムニバスコントかと思いきや、ショートコントの羅列!
歌あり、ダンスあり、爆乳あり、コント満載で観客をとことん楽しませようと意識した舞台。
スタッフの対応も実に細やかで気持ちが良かった。
以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

関西からピッチピッチならぬパッツパッツの「ハレルヤシスターズ」を呼んでその名に恥じない爆乳をブルンブルン揺らせながら、めっさハイテンションで客いじりをする訳よね。
するって~と客は客で、なんとーなく親近感が沸騰しちゃってるハレルヤシスターズの言いなりになって、乗るわ!乗るわ!乗っちゃうわけよ。
まあ、こういったシスターズを嫌いになる客なんて皆無だろうから、一気に会場のテンションが上がりまくったところで、その空気感を逃がさないようにコントをぶつけてくる演出は流石!

そのコントネタにヨーヨー世界大会の2006年、2007年の覇者・川田祐が、芸は身を助ける!じゃあないけれど、ヨーヨーを魅せちゃうのだから、これまた一気に観客はテンションが急上昇しちゃって、「ああ、天にも登る心地ってのはこんな感じね。」なんつって酔いしれちゃうわけ!

その合間にコントは続き、更に[PureBoys]の長岡たくやをゲストに呼んで即興ネタで振りいじくりながら、観客を楽しませる。そしてちょっとホロっとくるコントネタを披露したかと思いきや、中村龍介のすんばらしいダンスを魅せちゃうのだから、(まるで猿!)ワタクシ、卒倒しそうになって、「ぼわんそわーるっ!ふらんすめていてそう・・」、なんつって胸をドッキドッキさせながら、地下鉄に乗って、目の前のおっさんを見つめながら、そのギャップに目をぱちくりしちゃったのでした。おしまい。
午后は、すっかり雪

午后は、すっかり雪

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

いつもの吉田小夏らしい仕上がり
そして、「花とアスファルト」の時のキャストと同じだったから、なんだか懐かしくて嬉しかった!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

向田邦子の家族の背景と恋人との関係を描いた物語。
まず、邦子と恋人・西沢との関係が素敵だ。西沢の母親は邦子に「あの子の事、見捨てないでね。」と哀願するが、彼の体が不自由なことは恋愛感情においてなんら障害にはならないような気がする。恋愛とは何かを超越した精神的な関係が成立するからだ。だから邦子のほうが西沢を必要としてるのが見てとれる。西沢は寝る暇もないほど忙しい邦子の癒しなのだ。

しかし、西沢は邦子にこじんまりとしたちっさな目標を目指してほしくない。だから「俺に合わせないでほしい。ちゃんと自分に合わせて目標をもっと遠い所にしなきゃ。そういうことが出来る人なんだから・・。」と言って邦子から離れようとする。無性に切ない。ここでの西沢の心理は邦子を愛してるが故に負担となりつつある自分の存在を消して邦子にもっと有名になって欲しいと願う。

愛って深くて悲しいな、って思う。また同時に一方があまりにも有名になりつつあると、もう一方が離れようとする心理はなんとなく解る。片方のみの秀逸した才能はこんな場面で障害となってしまうのだ。二人のやわらかな指が絡み合う場面はエロチックで美しいと感じたからこそ、愛は永遠であって欲しかった。

また邦子の家族の描写も楽しくて厳しい。亭主関白な父親と良妻賢母の母と3人の姉妹。この3人の姉妹のうちの一人は生涯独身を通し、一人は結婚するも亭主関白というよりも横暴な夫に仕えてなんだか不幸に見える。そして邦子だ。母が娘に妻の心得「結婚したら隅から隅まで気を回してもダメ。物事をすっぱりといってしまってもダメ。少しぼーっとしてて、いつもニコニコしてればいいの。」と教える。

これって現代では通じないよね?女性が働く今、ぼーっとしていてニコニコしてられないもの。いあ、働かなくていいなら出来るかも。要はバカのふりするってことでしょう?笑

相変わらず照明とキャストのちょっとした動きに工夫を凝らした演出で魅せた。豆腐屋と父親役のキャスト・藤川のギャップが可笑しかったのと、役者って、やっぱ凄いな。と感じた舞台だった。終盤の雪が舞い落ちるシーンでは、父親と和子(娘)の家族の絆が読み取れて美しく穏やかだった。

雪の冷たさと対比してぬくもりのある舞台。その描写はどこまでも美しい。。
演劇/大学09秋 近畿大学 『腰巻お仙─義理人情いろはにほへと篇』

演劇/大学09秋 近畿大学 『腰巻お仙─義理人情いろはにほへと篇』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/03 (木)公演終了

満足度★★★

アングラ唐カラー
アングラって、そもそも何?って話だが、アンダーグラウンドの略で本来の意味は地下。「アングラ」という場合は、1960年代アメリカから西側世界に波及した地下運動、反体制活動、反商業主義の前衛運動・実験芸術などを意味した。日本では、唐十郎、寺山修司、佐藤信、串田和美などのアングラ演劇、新宿蠍座で多く上映されたアングラ映画などがある。ってことだけれど・・。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX


主軸は母を捜して三千里!じゃあないけれど、孤児・忠太郎が「葛飾区のせんべいや」出身の母を捜して彷徨う心の旅と、アニメチックなドクター袋小路の妄想の物語だと思う。

とにかく、このドクター袋小路役のキャスト・小林徳久が今回の役にドンピシャで、この物語の空気感を一手に引き受けていたような気がする。とにかくそのキャラクターが凄まじいのだっ!すんばらしいです。笑

一方で母親を慕っているのに、いざ死んでいく母を目の前にしても、何も言えない忠太郎の心理を思うと哀しいが、唐独特の物語の展開が後半、むちゃくちゃで、ってか、唐自身は作り手だから解っているのだろうけれど、ワタクシには、なぜ母さんがああなるのかも理解出来なかったし、その母さんが「私はみんなの母さんよ。」とのセリフも??状態だった。

とにかく、オカマの尻出しやら、犬殺しやら、包帯だらけのかおるやら、死んだ母親の腹から石の塊が出てきたりとか、エロ看護婦とか・・・エグイのだ。

こりゃあ、あれだな。見世物小屋みたいな雰囲気だと思えば理解できるかも・・かも!笑
占いホテル

占いホテル

劇団あおきりみかん

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

マジおもろい!(^0^)
あおきりの芝居は縁あって何度となく観てるが、今回の物語が一番良かったような気がする。セットの作りも上手いなぁ。2Fがホテルの部屋になってる。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

失踪した友人の行方を尋ねて、その友人の日記をもとに新藤という男がアーバンカントリーホテルにやってきた。友人の失踪した原因が、『占い』にあると信じていた新藤はのっけから占い師を疑う。またここに登場する占い師の占いとはなんぞや?みたいな説明をナビする論者もいたりして、いちいち頷けるし笑える。

相談者からヒントを誘導し、相談者の大半は懺悔をしにくるのだから、それを導き出せばいい。なんつって相談者の心理を読み取り、はたまた、相談者に質問する際の占い師は、イエスともノーとも回答されても大丈夫なような内容にしておく。つまり、質問はどっちにも取れる曖昧な質問ばかりで、相手の表情と話し方で察知するのだ。(苦笑!)
そんな悪魔なのか天使なのかペテン師なのか解らない占い師らの本音の声と建前の声が交差して呟きとも取れ、いちいちやることが面白くて可笑しくて仕方がないのだった。
まるで、左の肩には天使が、右の肩には悪魔が存在し、いちいち両者が相対して主張してるような感覚なのだっ!笑

一方でこれらと同時進行的に失踪した友人・野沢の足跡を想像しながら追う新藤と、新藤が妄想の中で動く野沢の対比が愉快なのだ。野沢の彼女に対するしぐさや行動がコミカルで大いに笑う。笑う、笑う!(^0^)

登場人物のどれもが表と裏の顔を持ち、彼らの裏の顔がどうやら新藤が思い描く妄想の中の出来事でもあり、願望でもあるらしい。

結局薬局、野沢は占いに目覚め、自ら占い師になって各地を転々と歩いていた。っつーオチだから、新藤君もやられちゃってる訳よね。(失笑!)

ハイテンションでコミカルで観客を全く飽きさせないパラダイスな芝居だった。ワタクシの好みの作風。
ああ、楽しかったなぁ・・、次回はどんな夢を見させてくれるのだろうか。

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

「11月戦争とその後の6ヶ月」を観た
ひたむきな愛は冷えた心を癒してくれるから、最後にそこにたどり着くのかもしれない。
ナオもミサもこうして愛しさが溢れる恋人に気が付いたのだ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

今回の物語は「愛」がテーマだ。だからナオの研究やその他の経過は、その真髄に触れるまでの予兆にすぎない。

ナオを想うマコとミサを想うサトルの真剣さは同等で大人の恋に相応しい。
一方でナオとミサのそれはどこかふらついている。ナオはマコと付き合いながらも昔の彼女ミサと寝るし、ミサの現在の彼・サトルはナオの友人でもある。
当初、この4人の関係がぐちゃぐちゃで、一体どーなってんだ?!と思いきや、そのうち、ミサはナオのことがまだ好きで別れた後もナオを忘れられない感情があるのが見てとれる。

しかし、ナオもミサもマコとサトルのひたむきさにいつしか惹かれ真剣に想うようになるが、ミサからナオの不実を明かされたマコはナオから離れる事を決意する。しかし、別れを告げられたナオは自分こそがマコを真剣に求めていたのだと今更ながら気づくのだった。

ある日、好きな相手がいなくなるということは、もはや言葉を交わすことも、あの穏やかな笑顔を見ることもなくなるということなのだ。この不思議な空白、何かが断ち切られたような寂しさを生々しく思い出すとナオは自分の一部がもぎ取られたような暴力的な不在に気がめいってしまっていた。

ここで、ワタクシが一番注目したのはマコの幼馴染のタイチの存在だ。彼がこの物語に絶妙に関わる事でそれぞれの登場人物の癒し的な存在になり、時にはナオを、時にはマコを、と、くるくると転がして見守る。彼こそが最後までマコを愛し続けていた存在に他ならない。父親のような愛だ。

やがて、タイチのキューピットのお陰でマコとナオは再び結ばれるが、ナオが開発したワクチンのウイルスを悪用する輩のせいで世界中がインフルエンザウイルス感染の猛威に脅かされることとなってしまう。研究室に戻るように指示されたナオを待ちながら、やがてマコも感染し帰らぬ人となってしまう。

残されたタイチの孤独はマコがナオに思いを寄せた時の孤独と同等なのだろうか?季節の変化が突然やってくるように、自分の大切にしていた人が他の男を好きになった、と解ったときの突然の孤独。それまでもずっと孤独を感じていたのに目の前で愛する人が亡くなった孤独。

今回は自分の孤独と戦いながらも、なんとか二人に関わり紛れ込んで普通のふりをしていたタイチを想う時、愛しくて仕方がなかった芝居だった。

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

「王国」を観た!
最近の高校生は凄いです!ってか金子君が凄いです。これは11月14~15日に東京芸術劇場で観た高校演劇の集大成でも確認済みです。いやはや、おもろい!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

元学生運動家の男は自身の妄想の中で生きていた。かつての学生運動のリーダー的存在として闘争していた頃が、彼の青春であり充実していた時期だったからだ。そのころ出会った女を妻としたが、妻は組織の中で男をとっかえひっかえしながら多情な浮気癖でこの男を裏切った揚句、逃げてしまう。
一方で男は実父から性的虐待も受けていた。

そんな過去の闇が男の実娘とかつての妻を混同させて、娘を性的虐待する。虐待の連鎖だ。しかし、そんな父親を娘は容認する。乱暴な愛撫にも容認する。いや、容認というよりも受け入れてる。娘は学校へも行かず家にこもる。二人の愛は傍から見ると歪んでいるが、その乾きはどちらがどちらを支えているのか、互いに困っているのか、必要としあっているのかも良く解らない。なんともグロテスクなフォルムだ。「親子は相手が誰よりも大事なんだから何をしてもいいのよ。」なんて声が聞こえてきそうだ。

互いに繋がれて、どちらも相手から逃げられない親子はこの父の「王国」で運命的で、いやな感じの中で生き、二人の輪郭がどんどん緩んで正体が解らなくなっていっても、この王国が二人のネバーランドなのだ。

素晴らしいです。凄い本を書くなぁ・・と圧倒された時間だった。そして野口の安定した実力のある演技とフレッシュな藤崎のタッグ。決して出しゃばらない青木の演技。そして、金子。
彼らの「王国」はその名に相応しい王国でした。

BOOKEND

BOOKEND

INUTOKUSHI

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/12/01 (火)公演終了

満足度★★★

やりすぎ!
コメディもここまで脱ぐと、ただのパロディになっちゃう。つまり質の良さは境界で決まるのだと思う。ある一線を越えて暴走しまくったら、それは学芸会となんら変わりない。11月15日に観た高校演劇の方がレベルは格段に上だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

作者はモラルがないから、モラルとネーミングしたのだろうか?そしたら、アンモラルと名づけなきゃあ駄目だよね。確かにモラル母は「息子にこんなことさせる為に仕送りしてる訳じゃあないっ。」って気持ちは解る。笑

個人的にはここの劇団の笑いのネタふりは好きだ。テンポもいいし、真髄もついちゃってるから確実に笑える。だがだがしかし、だがしかし!
おでんネタはかなり引いたし、ケーキねただって古すぎる。決して下ネタは嫌いじゃあないけれど、ゲセワ神こと岡本空の脱ぎっぷりは犯罪じゃね?

クレヨンしんちゃん並の脱ぎっぷりで、お尻もおちんちんまでをも露出して、観客にまで堂々と見せる始末。この物語で脱ぐ必要があったのだろうか?ドン引きしたし、物語の内容も前作と比較して雑だった。まあ、それでも笑箇所はあったのだけれど・・。

次回公演もこんな感じなのだろうか?だとしたらわざわざ観にいく価値はないなぁ。多くの小劇団がレベルの高い芝居を見せる為に競ってるというのに。

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

「影のあるオンナ」を観た
基本的にミチコさんが好きです。しかも最近の痩せたミチコさんが好きです。そのミチコさんがあられもないお姿でアミタイツなんか穿いちゃうてんだから、これは見逃せないぞ!ってな言い知れぬ感情で観に行ったわけさ。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX


そんなミチコさんは特別な能力があり、ミチコさんが触れた者は自らの本音を暴露させちゃうってんだから、こりゃあ「しまった!」としか言いようがない。

そんなミチコさんの「能力を使ってみないか?」のXメンからの誘いを受け、ミチコさんは、キャッツアイばりばりに暗躍するかと思いきや、以外にその能力の使い道がなく、最終的に舞台での仕事がミッションされる。笑
ショートコント。すごく楽しい!(^0^)
庭の果実

庭の果実

ノアノオモチャバコ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/27 (金) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

ぞくぞくした!
マザー・グースの『誰が駒鳥殺したの』は、ミステリアスでもあり、ホラーでもあり、妖しくもあり、とても好きな作品だ。その物語と今回の作風を平行しながら、似たような空想の中に観客を誘う。「秘密の花園」をアレンジしたような作品に仕上がっていた。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

新進気鋭の作家は広大な敷地に建てられた豪邸に住んでいた。そこで一人の家政婦が失踪してしまう。それをかぎつけたフリーライターは真相を暴こうと躍起になる。ライターは作家が家政婦を殺したと考えたからだった。ライターは作家とここで働く庭師から事情を聞き出すうちに、庭師と家政婦が恋仲だったことが解る。「主人(作家)は二人の関係を知って嫉妬し妬んでいた。僕たちは二人でこの屋敷を去ろう!と話していた。」とライターに事の筋を説明する庭師だったが、それは結局、真実ではなかったのだった。

家政婦を殺したのは庭師であり、「優しく埋める事しか出来なかった。」と告白する。ここでの庭師は結局薬局、どこにも行く事が出来ず、主人の下でこの広大な庭の管理をする事しか生きる術がなかった。という結末。

上記の物語をノアノオモチャバコ 風にキャストの動きをロボットのような動きに似せた演出で、魅せる!その動きはある意味、殺されるかもしれないという恐怖でもあり、こいつが首を絞めて殺した!という確信を観客にみせびらかす。主人が狂気となって家政婦を追いかける風景や、家政婦が逃げ惑う動きは、それはそれはホラー以外のなにものでもない。
「見た~~?」と言ってニタリと笑う作家の表情はこの世のものとは思えないほど、イヤらしく歪み、恐ろしい獣のようだった。私の中で、ぞわっ~とした感情が逆流するように流れ、その特異な機械仕立ての動きと共に「限界です、限界です、限界なんです!」なんて闇の声が聞こえるようだった。

つまり、すっかりワタクシはその庭に迷い込んで禁断の果実を食べたようだった。それほどの完全無欠な芝居!すんばらしいです!


乾かせないもの【御来場有難うございました】

乾かせないもの【御来場有難うございました】

机上風景

タイニイアリス(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

ああ、何て素晴らしいんでしょ
これだから、古川の描く世界は見逃せないのです。西洋の風景が簡単に思い描く事のできる演出は劇中導入の音楽と、待つ女達の衣装、バックに干してある洗濯物だけで表現する。その情景は美しく、天を見上げれば澄み切った青空の下での女たちの想いが空中を彷徨い、やがてその感情は・・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

やがてその感情は伍長の帰還によって一変する。彼の報告で希望を失った女たちは自分の身に起きたことが、いかにおぞましく、「待つ」という少しの希望さえも無くなり、この先の長い道のりに消えない絶望を押し付けられてしまったからだ。身内の死と直面し、絶望と悲しみの感情はやがて、一人の帰還兵士とその妻への怒り、妬み、嫉みとなって攻撃してしまう。

その感情は深い亀裂のような恐怖と絶望と屈辱の混じった表情でもって、一組の夫婦を追い詰めてしまい、双方の感情はもはや拭い去ることが出来ない烙印が自分たちの上に刻み込まれたことを思い知るのだった。一組の夫婦はこの地に居場所が無くなりいたたまれなくなって、除隊を決める。

一方で夫・ビン軍曹の死を報告された妻は自害してしまう。残された妻たちは、大切な人を待つ必要が無くなったことから、陸軍に志願して前線に出て戦いたいと言い出し、彼女らの感情はぶつかり合う。そんな折、ビン軍曹がひょっこり帰還する。

この世の不条理と己の身の上に押された烙印の深さを思い知らされた舞台だった。待つ女たちの感情と心理描写をさりげなく深く訴えた作品だったと思う。ほんと、素晴らしい!

そして、古川大輔って、セクシーだよね。あの尋常じゃないセクシーさはどこから発汗されるのか・・笑
フォト・ロマンス(ラビア・ムルエ、リナ・サーネー)

フォト・ロマンス(ラビア・ムルエ、リナ・サーネー)

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★

適度に退屈
「歴史=物語」が交錯する、ベイルートの「特別な一日」ってなキャッチフレーズで仰々しい内容なのかなーなんて考えてたけれど、なんてことはない。個人的な男女のロマンス。これで4500円は高い。1500円程度の価格が妥当。

以下はネタばれBOXにて。。



ネタバレBOX


映像の画質が悪い。国を二分するデモの風景を映像で紹介し、対立する二大勢力のデモの様子を観たとき、コレを基礎にして何か、とんでもないことが始まるんじゃないか?って期待した。だって4500円のチケットだから・・。

しかし、物語は二大勢力とはかけ離れ、家族のこじんまりした描写を紹介したかと思うと、今度は家族がデモに参加してるすきに、留守を預かった女性が、向かいに住んでる男性との情事に勤しむ。という極めて個人的な問題を、激しく画像の悪い映像で、創作したシロモノだった。字幕のタイミングも悪く、女性がセリフってる内容と字幕が違うという素人並みの技あり!失笑

まあ、確かにタイトルは「フォト・ロマンス」ってくらいだから、間違ってはないけれど、4500円はないだろ。桁間違えたんじゃないのかっ?

最後の料理人

最後の料理人

味わい堂々

OFF OFFシアター(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★★

作家が描いたおとぎ話
おとぎ話というにはファンタジーでもないし、ましてや、赤頭巾ちゃんや白雪姫や、とんがり帽子の7人の小人や、はたまた、白馬に乗った王子さまなんて登場しないのだっ!

だから、おとぎ話にはちと、遠いが、それでも作家はおとぎ話といいはるのだった。(苦笑!

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

ちなみに白馬に乗った王子さまは、中々見つからないと思う。だって白馬自体、あまり見かけないよね。王子を見つけるより白馬を見つけるほうがムズイ・・・。

その昔、作家は母から聞かされていた「伝説の料理人」というおとぎ話の中のキャラクター、おかあさんを探す為にとある喫茶店を訪れる。そこには見た目もまんま、おっかさ~~ん!と叫びたくなるような、味噌汁の香りのするおかか(喫茶店の女主人)が居た。

その喫茶店には出会い系サイトにハマル婦人、折鶴ばかりを作る女、嘘ばかりついて現実から逃避する女、万引き常習犯の喫茶店バイトの女、言葉の発音がオカシイ女・・・、と全員が満たされない女たちが集っている。

と、同時にこの物語を書いてる作家・たまこ自身も満たされていない。かつて、「母の作る料理を食べると幸せになるぞー。」と言っていた母は、たまこが幼い時に何処かへ行ってしまったのだった。

そんな闇を抱えた女たちがおかかの作ったオムレツを食べて満たされたい。と願う物語だったが、それを明るくダークに表現してたと思う。大きな笑いこそなかったが、それぞれの登場人物のキャラクターが個性的だった為に救われた。
始まりの映像が素敵だったなぁ。誰が作ったんでしょうか?あの言葉のない映像が延々と続けばいいのに。と心から思っていたのでした。

お家に帰ってオムライス作ろう!っと♪


動員挿話【公演終了!ありがとうございました】

動員挿話【公演終了!ありがとうございました】

サラダボール

アトリエ春風舎(東京都)

2009/11/21 (土) ~ 2009/11/25 (水)公演終了

満足度★★★★

それだけっ!
という言葉には絶対の意味がある。
そして、とにかく楽しい!女性は前列に座ることをお勧めします。おまけを頂くと尚嬉しい。前列は観客イジリならぬ観客遊びがあって、そのご褒美におまけが貰えます。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

主人に出征を促された馬丁の友吉は世間的立場と、友吉が主人について戦地に行くのを反対する妻の決意の固さの間で板挟みになって見事なまでに揺れる。見事なまでの優柔不断さとその時代の流れに翻弄されるさまが観ていて可笑しい。。

一方で友吉の女房の数代の主張は自意識の塊だが、夫を愛するが故に命をかけても友吉をいかせまいとして、宇治や夫人の説得も数代はがんとして聞き入れず、「貴方が行くといったら、今ここで死んでみせるわ。」と友吉に詰め寄るシーンはお見事!

そうして「おだてられちゃ駄目よ。調子にのっちゃ駄目よ。貴方はただの馬丁よ。旦那様のように陸軍少佐が出征なさるのと訳が違うの。こっちはお国の為に、なんて考えてても、肝心のお国が目をかけてくれなかったら何にもならないわ!」と、友吉を説得し、「愛する夫がどこか遠くの戦地に行ってしまうのを平気で見送れる女は女じゃない。毎晩毎晩、貴方が生きてるか死んでるかも解らず、夫を想い続けてだんだん、私は痩せて行くのよ。」

しかし、友吉は主人との義理、世間の風当たりに悩み、同僚にも促され、ついに戦地へ行く決心をしてしまう。それを聞いた数代は失望のあまり自害してしまう。

数代役のキャストがレトロな顔立ちでキュートでした。一心に貫く情熱は観ていて気持ちが良いほど。男性も女性もあんな風に誰かに自分を好きになって欲しいって願ってるよね。女中のよし役のキャストも魅力的で、今回は全員のキャストに魅力を感じた舞台だった。演出もお見事でした。コメディだけで突っ走るのか?と思いきや、後半はシリアスな展開をそのまま、ぶつけてきて全体的に沢山の要素の入った宝石箱のような舞台でした。
SO SHOW 天国

SO SHOW 天国

劇屋いっぷく堂

劇場HOPE(東京都)

2009/11/21 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

ひまわりさんを観た!
こんなタイトルを書くと、幼稚園の学芸会みたいだけれど、実際、幼稚園児みたいに唾飛ばしまくって煩い梅林には閉口。だって服が濡れちゃう・・。(苦笑!)
その唾がまるで意思を持ってワタクシの胸元を滴り落ちてく様は、ホラーでしたっ!(唾は生きてる!そう思った瞬間!)

以下はネタバレBOXにて。。


ネタバレBOX


中嶋法律事務所では、4人の弁護士と事務員が業務を行っているが、どんな有能な集団にも一人くらいは、しょもない輩ってのが居る。これだから、人生は楽しくて仕方がないのだ。そんな事務所に勤める柏木の元に友人の代田が妻との離婚で子供の親権をとる為の弁護を依頼してくる。この代田の友人である探偵の長柄、バカ丸出しの唾吐き男・梅林が関わってくることでコメディみたいなナリになるが、ここは有能な弁護士・長島真希が特別な魔法を持った猛獣使いのように、こやつらを制御する。笑

一方で代田の妻とその弁護士・小幡は同じく子供の親権を勝ち取る為に動くが、妻には離婚調停前からの恋人・浜崎の存在が浮上してしまう。この浜崎は実は結婚詐欺師だったことも判明し、物語はクライマックスを迎える。どちらの弁護士も戦いの為に士気を上げるが、中嶋法律事務所の戦略は、あくまでも依頼人の心を大切に。と考え、誠実さに重きをおくが、かたや、小幡弁護士は依頼人の勝算と自分の仕事に対するプライドで勝ち取ろうと考える。

そんな戦いの場に身を置き、恋人の存在を暴露された料理研究科の代田さゆりはTVから受けるイメージが崩れるのではないか?と恐れ、息子の親権を手放そうとしてしまう。

物語の筋はよくある設定だと思う。今回の目玉は弁護士同士の真剣な戦いとその裏で渦巻くそれぞれの思惑や利益や葛藤の表現が面白かったと思う。その中でも女弁護士の戦いは一見の価値があったと思う。

こういった物語は、コメディとしての息抜きはいらないと感じるがどうなのだろうか?むしろ真剣勝負で突っ走っても充分な舞台だったと感じる。
最後に結婚詐欺られた美穂子が包丁を買いに行くシーンは、やっぱ、浜崎への殺意なのだ!と解釈したほうが正当だろうか・・?

ま、まさか!!浜崎の肉を食べる!という獣気ではないよね?(@@!)
緋の鳥

緋の鳥

少年かしこ

OFF OFFシアター(東京都)

2009/11/18 (水) ~ 2009/11/23 (月)公演終了

満足度★★★

核心に触れるまでが長い
少年かしこの世界は現実とかけ離れた不思議な世界感が魅力だと思う。しかし、今回は核心部分に触れるまでの前座が長すぎる。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


舞台の始まりでおちゃらけた落語の前座のような出だしは好きになれない。物語本来の気迫が薄くなってしまうからだ。

その後、手もなく足もなく目も鼻もない少女が現れた時には不思議な感覚になって物凄く興奮した。つまり、「シカガネ」より、もっと凄いものが観られるんじゃないか?と感じたからだ。しかし、舞台は少女とは関係ないところ、病院での設定らしいが、ここでの展開のスピードが遅すぎる為に間延びした感があり、ちょっと飽きる。

そのうち心理カウンセラーの手塚はカウンセラーではなく患者で手塚自身が現実逃避して独自の妄想の世界を作り上げているのだと理解する。

人間の弱さや心の闇を描いて、手塚治虫の『火の鳥』を下地に哲学的な事も取り入れた作品だったが、観る側にもっと考えさせて、想像させてくれる所が有っても良かったのかなぁと、感じた。もっと、削って削って再構築してシンプルに仕上げたら、違う印象になったのかなと・・・。
ちょっと演出が煩く感じたものの、死霊に取り囲まれた手塚の演出はお見事!だった。

アワード

アワード

ZIPANGU Stage

シアターサンモール(東京都)

2009/11/20 (金) ~ 2009/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★

小説のような・・。
ここの劇団の芝居って、毎回、ベタで解り易い。そういう意味では観客の年齢を問わない、誰にでも受け入れられる舞台なのかと。。

以下はネタばれBOXにて。。


ネタバレBOX

文学賞アワード賞の受賞をめぐって、作家とそれぞれの作家の担当編集者が自分の利益の為に仕組むさまを、その会場場所となったホテルに勤めるホテルマンらの大げさなほどの芝居がかった芝居でもって迎え撃つ。笑

賞の有力候補の作家・坂口が会場に来ないため、苦肉の策を考えた坂口の編集担当者はホテルマンの夏目にその代役をやらせることを考え付く。夏目は自ら、小説家になりたかったこともあり、しぶしぶ引き受けることになるが、坂口には殺人容疑がかけられていた。

坂口の作家としての小説を、同じ小説家の与謝野が賞賛していることもあり、犯人探しが始まる。その間の外野のどーでもいいようなコメディを織り込みながら、やがて、与謝野の為に彼女の担当編集者・芥川が仕組んだことがバレル。
結局薬局、夏目は坂口ではない。ということもバレテしまうが、坂口の弟子になり、将来の作品の題材として、同じホテルマンの宮沢をネタに小説を描くことを決意する。

物語は大爆笑こそなかったが、安心してゆる~~く観られる芝居。太宰役の日澤雄介って、物凄いキャラだよね、そのまま突っ走ってほしい!(^0^)

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