午后は、すっかり雪 公演情報 青☆組「午后は、すっかり雪」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    いつもの吉田小夏らしい仕上がり
    そして、「花とアスファルト」の時のキャストと同じだったから、なんだか懐かしくて嬉しかった!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    向田邦子の家族の背景と恋人との関係を描いた物語。
    まず、邦子と恋人・西沢との関係が素敵だ。西沢の母親は邦子に「あの子の事、見捨てないでね。」と哀願するが、彼の体が不自由なことは恋愛感情においてなんら障害にはならないような気がする。恋愛とは何かを超越した精神的な関係が成立するからだ。だから邦子のほうが西沢を必要としてるのが見てとれる。西沢は寝る暇もないほど忙しい邦子の癒しなのだ。

    しかし、西沢は邦子にこじんまりとしたちっさな目標を目指してほしくない。だから「俺に合わせないでほしい。ちゃんと自分に合わせて目標をもっと遠い所にしなきゃ。そういうことが出来る人なんだから・・。」と言って邦子から離れようとする。無性に切ない。ここでの西沢の心理は邦子を愛してるが故に負担となりつつある自分の存在を消して邦子にもっと有名になって欲しいと願う。

    愛って深くて悲しいな、って思う。また同時に一方があまりにも有名になりつつあると、もう一方が離れようとする心理はなんとなく解る。片方のみの秀逸した才能はこんな場面で障害となってしまうのだ。二人のやわらかな指が絡み合う場面はエロチックで美しいと感じたからこそ、愛は永遠であって欲しかった。

    また邦子の家族の描写も楽しくて厳しい。亭主関白な父親と良妻賢母の母と3人の姉妹。この3人の姉妹のうちの一人は生涯独身を通し、一人は結婚するも亭主関白というよりも横暴な夫に仕えてなんだか不幸に見える。そして邦子だ。母が娘に妻の心得「結婚したら隅から隅まで気を回してもダメ。物事をすっぱりといってしまってもダメ。少しぼーっとしてて、いつもニコニコしてればいいの。」と教える。

    これって現代では通じないよね?女性が働く今、ぼーっとしていてニコニコしてられないもの。いあ、働かなくていいなら出来るかも。要はバカのふりするってことでしょう?笑

    相変わらず照明とキャストのちょっとした動きに工夫を凝らした演出で魅せた。豆腐屋と父親役のキャスト・藤川のギャップが可笑しかったのと、役者って、やっぱ凄いな。と感じた舞台だった。終盤の雪が舞い落ちるシーンでは、父親と和子(娘)の家族の絆が読み取れて美しく穏やかだった。

    雪の冷たさと対比してぬくもりのある舞台。その描写はどこまでも美しい。。

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    2009/12/04 18:25

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