満足度★★★★
すべてにおいて質が高い!
若い女性がこのような本格的な芝居をていねいに作っていることに驚嘆する。昭和の家庭を描写しながら、そのテーマは普遍的だ。うまい役者を揃え、それらの役者を自然に演技させながらも演出家の目指す世界を的確に表現させている。劇中ドラマティックな事件が起こるわけではない。たんたんと物語は進む。それにもかかわらず、われわれは心の中で強い感動を覚えた。吉田小夏お見事である。
役者は全員好演だが、中でも邦子の恋人西沢を演じた足立誠の渋い声と演技にまずしびれた。長女邦子役の福寿奈央の明るい強さ、一発でフアンになった。こういう女性好きだな。二女迪子役の高橋智子の表現した女性の二面性も見事だった。そして、三女和子を演じた天明留理子の若いころの演技と年をとってからの演技、とても同じ人物が演じているとは思えなかった。演技賞ものである。
うまい役者とうまい演出家が出会い、派手さはないが、琴線に触れる素敵な物語を作ってくれた。名作である。
隣人の指
「ほぼ全て」の人の指に触れることは無い。
触れる指はかすかな人数なのだ。そしてその全部の指に触れる人数となると、絶望的に少ない。
吉田小夏の描く昭和の夫婦その情景を通し、あらためてその触れられる人数の少なさを思った。
あえぐような感情を覚えたのは、その寂しさと、尊さがないまぜになったからだろう。ざわついた。
記憶は、過去としてパッケージされることで美化の工程を踏むことがしばしばだ。まるで夢のように、ささやかではかない。
ただし、鮮明に思い出すことで、嵐のような浄化が起こる事もある。
感性に響くハイクオリティの会話劇。しかと堪能せよ。
満足度★★★★
雰囲気がとても良かった。
最初は向田邦子、女性作家の作品てことで、ちょっと自分の好みに合わないかもと思ってたんだけど‥。脚本がすごく良かった!発せられるセリフのひとつひとつにいい意味での「生活感」が感じられるというか。ああいう繊細な描写は女性ならではの感覚なんだろうなぁ。時折入るSEも時代の雰囲気が出ていて良かった。
満足度★★★★
語らなくても 伝わる
それは、いくつかの女と男の物語。
それは、いくつかの情の物語。
いろいろな形とみせかけて、すべてが人間 あるいは女というひとつの形。
満足度★★★★
さりげなく強く、染み込んでくる感覚
舞台上の時間が
ひとつずつ
魔法のように実存感を与えられて。
さらにその時代を受け取る別の時代と重なっていきます。
いとおしさを感じても
閉じ込められることがない、
過ぎた時間への感覚に浸潤されて。
遅れて降りてくるかすかな高揚の匂いにも
心惹かれました。
満足度★★★★
ようやくお目に・・・
気なっていたものの、しばらく忙しかったので観劇から遠ざかっていましたが、
久しぶりに拝見できました。しっとりした女性らしい作品に惚れ惚れ!
満足度★★★★
家族はいいものだ。そこには、まるで毛布にくるまっているような温かさがある。
何回も同じことを書いてしまうが、青☆組(吉田小夏さんの脚本と演出)にはやはり「品」のようなものを感じる。
しっとりとした上品さ。
昭和が舞台で、まるでモノクロ映画を観ているような柔らかさがある。
午后は、すっかり雪だけど、家の中には、いつも毛布にくるまっているような温かさがある。
そして、それがあることを信じている。
満足度★★★★
向田作品の世界観を吉田流の優しさで風味付け
向田邦子をリスペクトすると言う作家・吉田が、向田作品からいくつかのキーワードを拾い出し、向田邦子の世界観を、吉田流の味付けで、見事に再構築。
満足度★★★★
昭和を背景に描かれた人間模様
東京オリンピックも向田邦子を知らなくても昔はそんな風だった感で満たされる空間がそこに。93分。アフタートークでの絵面と話のギャップも◎。
満足度★★★★
いつもの吉田小夏らしい仕上がり
そして、「花とアスファルト」の時のキャストと同じだったから、なんだか懐かしくて嬉しかった!
以下はネタばれBOXにて。。
昭和の男尊女卑
プログラムに載っている作者のあいさつから察するに、向田邦子へのオマージュということらしい。若い作者は昭和39年ごろの時代の空気なんて知らないと思うけど、本や映像から想像を働かせたのだろうか。