午后は、すっかり雪 公演情報 青☆組「午后は、すっかり雪」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    向田作品の世界観を吉田流の優しさで風味付け
    向田邦子をリスペクトすると言う作家・吉田が、向田作品からいくつかのキーワードを拾い出し、向田邦子の世界観を、吉田流の味付けで、見事に再構築。

    ネタバレBOX

    「性別役割分業」の考え方が残る、昭和30年代後半を中心に、邦子と、その家族、恋人のやり取りを昭和テイストをふんだんに織り込みながら、物語は進行する。

    なんともやわらかく・やさしさで包まれた台詞の質感は、向田作品に通ずる部分があり、向田・吉田の共通性を感じさせるものであった。
    男尊女卑の考え方が染み付いていた「昭和」の男性を描くにしても、邦子の父、妹の主人、姪の主人と少しずつ、その考え方が弱まっていく様子がわかるつくりになっており、なんとも、深い味わいを感じさせる群像劇であった。

    前作「花とアスファルト」がたいへんな秀作であった分、今回の作品に物足りなさを感じたのは事実であるが、前作のようなSFの手法を使えない分、表現できることに限りがあったのは仕方なかったのであろう。

    それにしても、なぜ、彼女の作品を見ると、これほど、ほんわかとした気持ちに慣れるのであろうか。この空気感は他の劇作とは異質のものである。

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    2009/12/05 15:12

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