tamagawaya_ucの観てきた!クチコミ一覧

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謎の球体X

謎の球体X

水素74%

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/08/10 (土) ~ 2013/08/19 (月)公演終了

満足度★★★★

水素74%「謎の球体X」観ました
 水素74%は、昨年「不機嫌な子猫ちゃん」を、サンプル「女王の器」と併せて観に行きました。初観劇は…ああ…きつかった。。。絶望しながらアトリエ春風舎を後にしたなあ…
 今回私の行った回(平田オリザさんがトークゲスト)は大入り、通路に補助席がバンバン。


 相手によって複雑に入り組む共依存、ビリヤードかドミノ倒しのように状況によって次々変わるパワーバランス、敵か味方かの閉じた思考での他人との接し方。
 登場人物がことごとく幼稚で病気、劇中キチガイと呼ばれる人がだんだん人間らしく見える…(わりと、人間として感情の変化を追いやすい)。

 そのキチガイ役であるサンプル・古屋さんの、終始いらいらしたような抑えた演技が、繊細でよかった。どうみても本当にアブない人にしか見えない…


 そして、「謎の球体X」とは何なのか…
 アフタートークで質問しましたが、その答えに納得。作者のものの見え方、世界観が示されるタイトルでした。生きるのに難儀してそうだなあ。。。

オーラスライン 沢山のご来場ありがとうございました

オーラスライン 沢山のご来場ありがとうございました

七里ガ浜オールスターズ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2013/08/13 (火) ~ 2013/08/19 (月)公演終了

満足度★★★★

七里ヶ浜オールスターズ「オーラスライン」観ました
 以前、前川麻子さんのおっさん群像劇「モグラ町」シリーズを観て、とんでもなく楽しかったです(二作目は、私の地元でも旅公演されました)。
 加えて、今回は昨年観れなかった「愛のゆくえ(仮)」で麻子さんと共演された赤ペン瀧川先生主宰の公演ということで、どんな方か見るのも楽しみの一つ。


 OPの入り、おっさんメンバーのトリ、森田ガンツさんが入ってきた時点で、勝ち。なんというズルいキャラ(笑)

 それぞれの(ダメな事情を抱えた)大人が集まって、足元おぼつかない若者を巻き込んでのグダグダ劇。
 負けと分かっていても、厳しい現実を突きつけられても、明日へ希望をつなげる自分の人生。
 瞬間最大熱量の高い大人たち(すぐ冷める)にいいように振り回されながら、結局前向きに歩く若者たち 。

 役者もみな巧み。それぞれの役者に当て書きされた、個性的なキャラが組み合わさって、一つの場を作る。
 特に印象的だったのが、いちばん出番の少ない瀧川さんの声と目力…鬱屈したパワーが、終盤の長台詞で炸裂。
 

 ラストシーンは、おっさん全員で…(笑)
 小品だけど、こういう芝居を仕事帰りに常時観られる環境があると、人生に少しでも潤いを与えられると思いました。

日本の大人

日本の大人

ままごと

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2013/08/10 (土) ~ 2013/08/15 (木)公演終了

満足度★★★★★

ままごと「日本の大人」観ました
 あいちトリエンナーレ2013の初手を飾る公演。「あゆみ」・アキバユアサ、うりんこ・高田さん等、愛知ゆかりの役者さんが出演。


 あの日いたはずの「小学26年生」の存在をめぐり、過去の思い出と現代の生活が交錯。
 子どもを忘れる大人、大人が分からない子ども、おとなになりたくない宙ぶらりんのおとなこども。

 身体による時空操作、瞬間的に記憶をさかのぼっての叙情、明るいダークサイド等、柴さんの様々なテイストが詰まった濃密さ。
 舞台装置があれもこれもいちいちスリリングで、目が離せない(笑) 稽古場は凄まじかった模様。(アフタートークで柴さんに質問して聞きました)


 客席に子どもがいると俄然盛り上る舞台、との評判。(残念ながら、私は平日夜の回でした…)
 学校巡回公演ができそう。これは、ままごとの新たな定番スタイルの誕生かも?

 名古屋、豊橋公演を終えて、次は新潟・りゅーとぴあ、小豆島、伊丹・AI・HALLと、癖のある公演先ばかり。上演される「場」を見に行くのも兼ねて、足を延ばしてみてはいかがでしょうか?

アルヴィン・スプートニクの深海探検

アルヴィン・スプートニクの深海探検

劇団うりんこ

うりんこ劇場(愛知県)

2013/08/10 (土) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

「アルヴィン・スプートニクの深海探検」観ました
 多次元のモノクロ世界をさ迷う魂の旅路。

 主人公は、あの姿になった時点ですでに、生と死の境界を踏み越えた別の存在と化している。

 危険を他人に押しつける大人、海底に眠る人々や主人公の先達など、子どもに隠すことなく見せる。

 アニメ、指人形、ミニチュアと、表現手法が変わるたびに空間が再編、孤独な主人公を様々な距離、角度から見る。
 その視点はつねに主人公から遠い(等身大にはならない)。

 最後に、主人公の光が消えたところで総毛だった…


 要素がいろいろ入っていながら物足りなさすら覚えるシンプルさが、実は最大の武器。
 観客席(特に、反応が素直な子どもたち)込みで完成する作品。思わぬところで笑いが起きたり、子どもは偉大。
 
 

『ハニカム狂』

『ハニカム狂』

少年王者舘

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2013/08/08 (木) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

少年王者舘「ハニカム狂」観ました
 「ハニカム」とは、ハチの巣に見られる六角形構造の意味。
 今回の舞台は「6匹のハチと3輪の花のドタバタ」というイメージか。

 序盤の、場面をリフレインしながら等比級数的にコテコテに激しく押すノリが、いつもよりムチャでかなり好き。

 いつもより出演者が少ない分、ひとり一人の役者に目が行く。特に女優三人は明確にタイプが分かれて、ちょっとギャルゲー的w ダンスシーンも、一つのオブジェが蠢いているような印象。

 最後に空間を取り分ける印象的な舞台美術の都合か、空間に対して映像が苦しそうにも見えました。ともあれ、いつもの王者舘クオリティを集中して見せてくれました!

コワイもの知らず、水入らず。

コワイもの知らず、水入らず。

試験管ベビー

千種文化小劇場(愛知県)

2013/08/02 (金) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★

試験管ベビー「コワイもの知らず、水入らず。」観ました
 「ぼくのお父さんはヒーローの敵」以来、三年ぶりの観劇です。

 話は、某ディズニーのお化け映画を彷彿。
 メディアでおなじみの各キャラの元ネタを知ってても知らなくても、誰でも笑える娯楽作。特定のキャラ(というか役者?)の小ネタに偏りもあるけど、おおむね皆に見せ場あり。

 演技や演出は、演劇を見慣れた目には残念ながら乗れず(むしろ、映像による補完が必要では?という場面も)。
 ウリである観客参加の効果にも、いまいち疑問。二回あったけど、どちらも観客にはよく分からない…

 あまり考えずに、ドリフの公開収録のノリで楽しむべきか。

つきのないよる

つきのないよる

トリコ・Aプロデュース

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2013/07/26 (金) ~ 2013/07/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

トリコAプロデュース「つきのないよる」観ました
 名古屋や津で時々お会いする京都演劇人(+名古屋からも)が、一堂に会する舞台!in→dependent theatreにも興味があったので、初の大阪観劇へ。


 開演前から印象的な舞台美術に、生演奏のミュージシャンが一体化して開演。空間全体がオルゴールというか、ジオラマ型のオートマタみたい…。

  人の性は、ただ、そうあるしかないのか。愛の求め方とは、与え方とは。
 ゆがんだ人間をそのまま受け止める…これも、家族の許し、繋がりの形か。

 溶けるような照明と生演奏が、観客の肌を優しくなでるように空気を動かす。グロテスクなものを、そのままでなく穏やかに見せる。でも心はざわつく。
 気持ちよさと気持ち悪さを同時に感じる舞台。

 
 特に印象的だったのは、役者が全員、試合巧者(笑)
 演助に入っていたピンク地底人3号さん(昨年、京都・名古屋若手演出家WSでお会いした)によると、演出がこうしてほしいというと即座にそれ以上のものが返ってくる、刺激的な制作現場だったそうです。


 静かに心掻き乱される病的な世界。そして、観劇後は言葉少なになりながえら考える…
 初めての劇場で、知ってる人たちの、あまり味わう事のないテイストの芝居を観るという、なかなか贅沢な楽しみでした。

スウィーティ ドム

スウィーティ ドム

演劇組織KIMYO

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2013/07/25 (木) ~ 2013/07/29 (月)公演終了

満足度★★★★

演劇組織KIMYO「スウィーティドム」観ました
 最初に観た「カチ」 あおきりみかんとも違うギミック舞台で心に引っ掛かり、
 それ以降から前々回「12人の兄弟」までがどうも性に合わず、
 前回「ジョナサン」(こりっち祭りエントリー) 見逃してしまい、
 刈馬演劇設計社「マイフェイバリットバ―――――ジン」 宮谷さん山本さんの演技がすごくよく、
 「京都・名古屋若手演出家WS」 受講した宮谷さんに理解が深まり…

 そんなこんなの紆余曲折で、待ちわびていた公演です。


 先行きの約束された(ハッピーエンドとは限らない)物語にすがり、先の見えないクソな現実の底辺で、それでも毎日生きる者達の無力感や虚無感を、明るく軽快に激しく見せるエンターテイメント舞台。

 リアルとフィクションが同時進行、時に対話し時にクロスする脚本、分かりやすさと曖昧さ両方抱えたセット(「いつもより、やわらかいセット」との評も)…いままでのKIMYOとは、何かステージが違う凄み。


 主人公が巻き込まれる裏家業やロンドンの2グループの動機など、まだ荒削りな面は多いけど、総合的に今までより格段のレベルUP。

 名古屋で1,2を争う情熱的な若手劇団!と、胸を張って言える!
 8/9~12には、東京・王子小劇場で初の県外公演、成功を期待してます!

日本語私辞典

日本語私辞典

オイスターズ

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2013/07/19 (金) ~ 2013/07/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

オイスターズ「日本語私辞典」観ました
 この戯曲は、もともと平塚さんが教えている専門学校での公演用に書かれ、昨年の東京・若手演出家コンクールで上演された物。名古屋でも観た人が少ない代物です(私も、ツイッターでタイトルしか知りませんでした)。


 少年王者舘やままごとを連想させるテキスト、演出。
 言葉と現象の連環を役者を通して体現。一言一句間違えられず、アドリブも絶対使えない、とんでもない緊張感。

 世界は交換可能な「ことば」で認識され、「ことば」とともに変わり、消えていく。解釈次第で取り戻した物(それは必ずしも以前と同一ではない)も、いずれは失われる運命。
 ことばを弄ぶことの恐ろしさ。
 宗教感すら感じさせるラストへの展開に、個人視点からの「世界の死」のイメージが。

 「豆」とは違う舌触りの、言語表現の根源に着目した普遍性の高い舞台。まさに、舞台表現を観せる戯曲。
 

 年末には愛知県文化振興事業団によって、平塚さんの言語感覚が冴え渡る戯曲「豆」が、京都・ごまのはえさん演出で上演されますが、ごまさんには「豆」より、むしろこちらを演出してほしい気もしました。

Still on a roll

Still on a roll

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/07/11 (木) ~ 2013/07/21 (日)公演終了

満足度★★★★

HUKAIPRODUCE羽衣「still on a roll」観ました
 「浴槽船」演劇動画クォータースターコンテスト優勝で初めて評判を聞き、旅公演に先駆けての大阪・SP水曜劇場の「サロメVSヨカナーン」動画配信でその存在感が心に引っかかった団体。(どちらも動画絡み…)


 型にはまったようなミュージカルと、グダグダな現実が微妙にかする展開。
 世界の反転を連想させる意味深な美術。
 (私にとっては)ロロに匹敵する、掴み処の無い異様さ…つくりもの感、内包する泥臭さ、客との距離感も含め、劇団どくんごを思わせる空間。

 身体も声も突き抜けて、単純に観てても楽しい♪100分間、ほとんどテンション落とさず。。。


 他の方の感想を読んで、歌でごり押し。事態に決着というのに納得。そうか、これがデウス・エクス・マキナとか言うやつか(笑)
 唐突な終わりも、私は特に気になりませんでした。(名古屋・B級遊撃隊とかで慣れてるのでw) 


 結論。「ヒモ男の脳内四季ミュージカル」と私は受け止めました(笑)。
 ロロ同様、私には受け止め方が難しいですが、見た目以上に新しい潮流を持っているように感じました。

シンポジウム SYMPOSIUM

シンポジウム SYMPOSIUM

東京デスロック

STスポット(神奈川県)

2013/07/13 (土) ~ 2013/07/21 (日)公演終了

満足度★★★★

東京デスロック「シンポジウム SYMPOSIUM」観ました
 出演陣を見た時点で、「あ、これはいわゆる演劇ではないな」と、予測がつきます。実際、会場に入った時点でそうでした(笑) 開演して行われる、二部構成の行為は、さらにそう。


 場を制御しようとする成員と、容易に操作されない場。
 感覚から離れた思惑で「ことば」を使う事の難しさ。
 
 人はなぜ「はなす」のか。
 自分と異なる人と交わる理由。
 
 観客の多くが、この場にどういればいいか、かなり戸惑っていた様子。状況をさらに突き詰めた第二部の方が、合意ができていた雰囲気。
 観客の中で動く物が重要。受け取るというようリ、喚起される。答えは提示されない。



  先日名古屋で観た、村川拓也構成・演出「羅生門」を思わせる、演劇キワキワの舞台表現でした。 全員で、実験室のフラスコの中にいる気分。
何時間でもいられるのに、二時間で終わるのが不満(笑)

お熊空唄

お熊空唄

ハラプロジェクト

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2013/06/28 (金) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

ハラプロジェクト「お熊空唄」観ました
 原智彦さん率いるハラ・プロジェクトの、
[劇場→名古屋・大須の街中を移動して野外ステージへ→再び劇場] 
という、夏の「大須HAKAI劇場」第二段。


 中東、ジプシー的なムードのOPが意表を突く。(異形の群れ!)
  
 役者の身体のあり方が最大限に役を体現させる。特に主役の猿(ましら)的な身体のあり方が印象的…。
 それが、二段のシンプルなセットに乗せて際立たせて見せ、二つの次元を並列して見せる。


 大須HAIKAI劇場おなじみ、劇場外での観客の集団行動では、妙な共犯意識が(笑)事情を知らない通行人の視線を受けながら歩く自分たちの姿に、往年のハプニングアートの香りも(一週間も興行しているので、町の人たちはもう慣れてるw)
 高架下での、30人以上による野外大立ち回りも圧巻。


 歌舞伎の持つ、ムチャだけど情緒的に受け入れてしまう物語に、木ノ下歌舞伎を観た時の感覚を思い出しました。
 異国情緒織り込む派手な演出を入れつつも、「歌舞伎を今やるとこうなる」極めて真っ当なつくりの、日本を伝える舞台。

 来年も期待!

サーカス家族

サーカス家族

劇団あおきりみかん

G/Pit(愛知県)

2013/06/16 (日) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

あおきりみかん「サーカス家族」観ました
 常小屋から出ての前回公演が、少々内省的過ぎて閉じた感じがしてしまったので、今回のG/pit公演も、じつはちょっと不安を抱えて足を運びました…



 見えすいた架空と地に足のついた現実が、心地よい憧れと傷ついた過去とが、重なり入り混じる空間。

 意志を持って生きている人物たちの、それぞれのスタンス、ベクトルがぶつかり交差する一瞬の場。
 「ここまでがユートピア」に近い感覚。


 「よく聞く。」の手法、「迷子の部屋」の主題から昇華された、より普遍性の高い舞台に。見事に不安を裏切られました(笑)
 鹿目由紀さん代表作の予感。

 家族とは何なのか…仙台公演にふさわしい作品。



  ラストも衝撃、G/pitならでは。必見。
 (個人的には、手嶋さんのスタローン必見w)

少年王マヨワ

少年王マヨワ

ニットキャップシアター

AI・HALL(兵庫県)

2013/06/14 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

ニットキャップシアター「少年王マヨワ」観ました
 以前から行きたかった、大阪・吹田の民族学博物館と合わせて行きました(お知り合いの宣伝美術・清水さんから、ツイッターで最適ルートをご案内いただきました。感謝!)

 
 漆黒の空間に、伝奇アクションにも宗教儀式にも見える異界が繰り広げられる。土地の持つ歴史と、いまそこに生きる人々が織り成す「団地の日本神話」。
 
 役者達の総体や生演奏が、空間に場のうねりや空気の質感を作る。
 特に、メインの役者の方が、まさに当たり前に存在しているのに注目。
 道具も個性的で、現実を超越するイメージ。
 どことなくロロを連想。


 とり・みきの伝奇マンガを連想。サンプル・松井さんのいう「物語のプログラム」に沿って動く人々。独特の物語感。


 関西方面にはなかなか観劇に伺えないのですが、やはり伊丹AI・HALLまで来てよかったです。
 アウェイ・愛知では見れない、ホームでのごまのはえさんの人気者ぶりも体感できたし(ファンの女の子たちが、上演台本にサインしてもらってキャアキャア喜んでたw)

Bungakuコンプレックス

Bungakuコンプレックス

愛知京都演劇プロジェクト

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

愛知京都演劇プロジェクト「Bungakuコンプレックス・羅生門」観ました
 愛知と京都の共同企画、愛知・ニノキノコスター構成・演出『地獄変』に続いての上演です。



 京都の映像作家・演出家である村川拓也さんによる構成・演出『羅生門』。
 知名度が高い作品を原作に、というのがミソ。


 【書かれた文章→発音&ゼスチャー→受け手がコメント→翻訳して表記】
 異文化間のコミュニケーションの齟齬が、期せずして過去-現代や異文化の共通の課題を観客に意識させる。
 名作を介しての相互理解の、ひとつの可能性。


 愛知組とは全くアプローチの違う舞台。趣旨を理解できなかった観客もいた模様(慣れてない観客のために、最初に↑上のような説明が必要だったかも)。
 演劇に見えない人も多いだろうけど、いまその場で身体を伴う演劇でしかできない事。
 このまま、利賀やF/Tでも上演できそうな、問題提起性の高い舞台。



 今回の愛知京都演劇プロジェクトは、共通のテーマを与えられながら全くアプローチの違う舞台が続けて観られるという、今までにない趣向に。
 今週末には京都芸術センターで上演、行ける方は必ず行くと、濃厚な体験ができます!

Bungakuコンプレックス

Bungakuコンプレックス

愛知京都演劇プロジェクト

愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

愛知京都演劇プロジェクト「Bungakuコンプレックス・地獄変」観ました
 愛知と京都の共同企画も、今年で三年目。
 今回は、芥川竜之介作品から原作を選び、先行した舞台美術を使って構成・演出した愛知・京都の演出家の二作品を連続上演。



 まずは、愛知の暴れん坊劇団オレンヂスタの作・演出家ニノキノコスターによる『地獄変』。
 

 芸術と人間とのさまざまな向き合いを、激しくエンターテインメントに。
 支配者⇔表現者、体制⇔反体制、秩序⇔混沌、アイドル⇔パンクw  
  
 先行した舞台美術を効果的に生かす。牛車がああなるとは…地獄の釜。序盤での置き方も、挟み舞台ならではの効果。

 役者も素敵、存在感だらけw
 良秀の野生的イメージ、 大殿の支持される体制者が垣間見せる一分の闇、2人の間にいる娘の社会からの逸脱や聖性、僧都の黒子っぽい存在、使用人たちのチームプレイも、芝居全体の空気を支える。


 まだ至らぬところはあるし好き嫌いも分かれるだろうけど、魅力的な役者陣が熱量高く燃焼しきる、まさに「熱い名古屋」の舞台です!
 
 今週末には京都で公演!京都・村川拓也作品と共に、ぜひ!



 続いて、作・演出 村川拓也『羅生門』へ (続く)
 

隣の人

隣の人

よこしまブロッコリー

K・Dハポン(愛知県)

2013/06/07 (金) ~ 2013/06/10 (月)公演終了

満足度★★★★

よこしまブロッコリー「隣の人」観ました
 高架下・半二階という、癖の強い空間のライブバー「K.Dハポン」。よこしまのホームグラウンドです。


 つかみどころのない世界の、ほんの一片を切り取って提示。
 夢の中のように、異なる価値観の世界をたゆたう感触。忘れない事、忘れられない事、忘れたくない事…。終わり無き閉塞間の中でも、人間らしく「生きたい。
 魂のほんの一時の溜まり場でも、心のうねり、ドラマが起きる。


 K.Dハポンならではの、演技空間と客席の近さ(ほぼ同じフロア)が、世界の境界のうやむやさを感じさせる。(私の席のすぐ隣を、役者が何人も通ったり語ったりしていたw)
 静かに、世界のほんのささやかな揺らぎを見つめる無数の眼。よこしまの作る世界観にぴったり。


 久々に出演した主宰の演技も、物静かに光る。
 四国・松山でも上演されたという「ライフ・イズ・ストレンジ」シリーズ、一挙連続上演を、いつか期待してます

富豪タイフーン

富豪タイフーン

突劇金魚

ナンジャーレ(愛知県)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

突劇金魚「富豪タイフーン」観ました
 AAFやミソゲキで、名古屋でもお馴染みになりつつある、サリigROCKさん主宰「突劇金魚」が、いよいよ名古屋で本公演!ミソゲキ観れなかったのでわくわくしながら行きました。初日の客席も濃かった(笑)



 小さな空間が、役者の配置と身体で、大富豪の巨大な屋敷に。


 登場人物全員の価値観、人生観が、外部からの刺激で大きく何度もうねる。覚悟なく「知る」事「知らせる」ことが、どれほど恐ろしいことか…。
 普通のはずの青年が異常に、異常でしかない母が普通に見えてくる。


 傷つき、頑なに防御する心、押し込めても吹き出すコンプレックス。
 どうしてこうも、人は分かり合えないのか。バラバラの平穏。



 ユーモラスで残酷な味わい、なかなか体験できません。名古屋の皆さま、この機会にぜひ!アフタートークでは、毎回豪華地元(笑)ゲスト参加!

て

ハイバイ

三重県文化会館(三重県)

2013/06/08 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

ハイバイ「て」観ました
 「観たい!」を誤って東京公演に書いてしまいました…「観てきた!」は、津公演に。ハイバイは名古屋や長久手、東京で観てますが、津・三重県文で観るのは初めて。
 「て」を元にした、青山円形劇場「その族の名は、家族」は観ました。今回は円形ではない舞台、こちらの方が家らしくしっくりくる。



 演劇を観て、初めて、泣きながら笑ってしまった。


 一週目と二週目でほぼ同じ事をしているはずのに、家族がみな違って見える(特に、物静かな兄の見え方の違いに衝撃)。(事実上の道具扱いである)祖母以外の全員に感情移入。父にまでそう感じた自分が意外…
 戯曲も演出も巧み。どのタイミングで場面を切り取るかで、その人の見え方がまるで変わる。「ある女」より、むしろ岸田候補。


 岩井さんの襞(ひだ)のある演技も、あいかわらず見応えあり。
 戯曲を根幹とした演技に、周囲への敏感さが生む所作が加味され、岩井さんの精神・身体独特の、世界への関わり方が出ているのを、今回観ながら意識。(缶ビールの残りを確認してる場面で、私だけ吹いたりしてたw)



 ハイバイには、新作を連発せずとも、数年置きに「て」や「ヒッキー」の再演を望みます。
 観客が、自分の変化に気づかされるリトマス試験紙的な舞台。

 しかし、つくづく、岩井さんは私にとって(一方的に)演劇の師匠だなあ…初めて意識した演劇人、それが岩井秀人。

INDEPENDENT:NGY

INDEPENDENT:NGY

INDEPENDENT:NGY

損保ジャパン人形劇場ひまわりホール(愛知県)

2013/06/06 (木) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

「最強の一人芝居フェスティバル “INDEPENDENT:NGY”」Bブロック観ました
 二日に分けての観劇、二日目です(なんだか劇王を思い出す…)。今回はBブロック。


『カバンに宇宙をつめていく』 
(出演:中村繁之(妄烈キネマレコード) 脚本・演出:中村繁之・西尾武(妄烈キネマレコード)

 閉塞感にもがく若者を演じさせたら、名古屋で右に出る者はいない役者・なっかん。切れ味もいい。A・B連続上演だと、同じく宇宙の旅を見せる『はやぶさ(MUSES-C)~星に願いを」と連なるけど、作品としては好対照。


『ひとりごはん』
(出演・脚本・演出:真臼ねづみ)

 皆さまご存知、劇王子。劇天・柴幸男さんの名作短編「反復かつ連続」を彷彿とさせる。女の系譜をシンプルに丁寧に、食卓に積み重ねる。最後は少し苦しかったけど、安直には演じたくなかったのが分かる。ちょっと、自分の尾を咥えるウロボロスの蛇。誠実な舞台。


『ウィザードリーマン・ビギンズ』
(出演:岸☆正龍 脚本:二郎松田(はちきれることのないブラウスの会) 演出:おぐりまさこ)

 名古屋からのインディぺ常連の試合巧者。脚本の伏線がくだらなく素晴らしく、演技もばかげていてリアル。(←このへん、ちょっと岩井秀人さんにも通じる。地に見えて計算されてる) キモ男の壮大な序章、続編必須!


『わたしの未来』 招聘作品 from INDEPENDENT:12
(出演:西原希蓉美 脚本・演出:戒田竜治(満月動物園)

 のっけからライブコンサート。劇団鹿殺しの主宰を思わせる、どうにも不幸そうな女性による、悲惨な人生なのに笑える語り口の物語。バカ女と無残な男の、命がけの歌。世界を不幸にしてでも思いを貫く!(←大迷惑)


 Aブロックに比べ、Bブロックは演劇よりのプログラムでした。若手とベテラン、それぞれの手堅い巧者が続々と。音や照明の使い方もそれぞれに巧み。

 各地を転戦するINDEPENDENT、地域交流の役目も大きいみたい。今後も期待します!(私もそのうち一人芝居やりたい…)

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