満足度★★★★★
日本の未来を想う以蔵
殺陣に迫力が出て圧倒されました。
人斬り以蔵は、異名で恐れられているような極悪人ではなく、人間らしい柔和な人柄でした。
ネタバレBOX
幕末での政治家の先生に忠実な暗殺請け負い剣士として活躍していた。
その暗殺された武士の遺族、主人公の村井の母が敵討ちの為に京都へ向かったが、以蔵の人柄を知り、仇討ちをやめる。
母は死のうと思っていたが、日本の未来を想う以蔵の考えに触れ、東京に戻ることにした。結婚し子供を産み「生きた証明」を遺す。
満足度★★★★★
大切なものは捨てられない
ストーリーのテーマは二つです。一つは「大切なものは捨てられず、部屋に堆積していく」です。もう一つは「自分が見たいものしか見ようとしなかった(でもいまは見える。あらゆることを観察したい。何にでも挑戦していきたい)」というものです。
大切なものは捨てられない。
大切にしていることを言いたいけど、うまく言えない。
健康グッズやおしゃれな洋服。買ったときには感動があるけれど、時間が経つと物足りなくなる。彼氏も私を飽きさせない努力が足りなかった。
散らかった部屋のモノは、売ったりあげちゃったりしようかなと思うものもあった、しかしそれは収納できないだけで、思い出と手に入れた瞬間の感動が残っている。色褪せて見えなくなってしまったけど、大切なものは捨てられず、部屋に堆積していく。
今回の作品で、キャンディーの部屋、散らかった部屋にある洋服、小説本等は、捨てられず部屋に積もった大切な思い出や感動の瞬間がリンクされたものなのである。 無造作に置かれた文庫本『アルジャノーンに花束を』『あしながおじさん』も、感動した瞬間が思い出と一緒につながっているのでしょう。
人からこう思われたい、見られたいと思う気持ちが散らかった部屋にあるもの全てにある。部屋を振り返ってみて、今までの自分が見たいものしか見ようとしなかったことに気づく。でもいまは見える。あらゆることを観察したい。何にでも挑戦していきたい。そう決意したストーリーです。
満足度★★★★★
人なつっこいビリーと友人パットの決闘劇
人なつっこいビリーと友人パットが決闘するクライマックス・シーンに感動しました。
保安官パットを演じた高橋沙織さん。黒のベストと羽根帽子かっこよかったです。
満足度★★★★★
両A面と冠を付与するにふさわしい2作品
サバイバル・ホラーと不条理なサスペンス、両A面と冠を付与するにふさわしい2作品でした。
2作品とも上演時間はそれぞれ約45分。あいだに休憩時間が約15分あります。両方観てだいたい2時間弱ぐらい。ちょうどいい時間。ストーリーも理路整然とまとまっているので観やすい。
まずはじめに『戦争に行って来た(反転)』からスタート。
掃いて捨てるほどあるウソと現実。
よくある日常の風景のはずなのに、人質となった恐怖体験を経た彼女達には異質な世界に感じている。
ルポ写真の向こう側、喫茶店の窓ガラスの向こう側では戦争がある。
生き残るか、殺されるか。
物語を観て、不条理なサバイバル・ホラーだなと感じました。
『戦争に行って来た(反転)』で印象に残ったシーン。
「現実をなめんな!」というセリフ、恐怖におののいている件(くだり)が鮮明に記憶に残っています。
休憩の後に続いて『死んだ赤鬼』がスタート。
物語はサスペンス。
弱い人間は、誰とでもなかよくしたいと思っている。
『泣いた赤鬼』の童話になぞられて赤鬼と例えている。
強い人間だって皮一枚はがれると、か弱い。同じ人間、赤鬼。
強い人間が赤鬼を死なせてしまった。
強かったはずの人間が、あっけなくもろくなる。
物語の結末は意外なものでした。
『死んだ赤鬼』で印象に残ったシーン。
男二人が、ある小物を鼻と口の上にあてて呼吸するシーンがあります。
実は二人とも病室にいるらしい。実際はよくわからない状況なのです。
まるでベットの上で酸素吸入器で生きるか死ぬかもがき苦しんでいるような姿に見えました。
ネタバレBOX
『戦争に行って来た(反転)』
掃いて捨てるほどあるウソと現実。
男女それぞれのグループでカネと恋愛の駆け引きを始めていたはずなのに、知らないおじさん(怖いお兄さん)たちとの戦争になっていく。
窓ガラスの向こう側は戦場。生き残るか、殺されるか。ボールペン1本で立ち向かっていく。現実をなめんな。
濡れたジーンズ。毎回、水風船かなにか仕込んでいるのには大変な労力がかかっているだろうなと思います。乾かすか、他のジーンズを複数用意していたりするのではないかと思います。
反戦家のリーダーの女性より、バンドのマネージャーの男が一枚上手だった。
バックマージンをより多くもらうよう仕向けたはずなのに、利益を100パーセント全部もっていかれた。
他の方のコメントで「誰が被弾したのかわからない」とありましたので、僕が観た記憶を話します。
フォークバンドのデュオが、撃たれた由季(あがさ)が車の中に押し込まれたのを、喫茶店の窓ガラス越しに見ていた、と思います。
圭(カメラマン)が改造モデルガンだったから役に立たなかったのではというセリフを言っていたように記憶しています。
由季(あがさ)が改造モデルガンを撃ったときに暴発したようです。
印宮(ヤクザ)にはあたらなかったのではと思います。
外の銃撃戦では返り討ちにあったと思います。
銃声は1発か2発。聞こえにくかったのが原因の一つかもしれません。
(舞台裏ではクラッカーか銃のおもちゃの火薬を鳴らしていたと思いますが)
逆にヤクザに命中して、女の車に乗せたと仮定すると、喫茶店の外から様子をうかがっていた「知らないおじさん(槇原組のヤクザ)」が黙って見過ごすとは思えません。
状況的にリーダー、マネージャーを含め3人ともやられた。
カメラマンとバンド・デュオの3人がボールペンで目つぶしを狙って玉砕する。
こういう結末を迎えただろうと思いました。
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『死んだ赤鬼』
物語の結末は夢オチだったけど、話の展開や演出が素晴らしかった。
先を読ませない。
切多摩湖のほとりに死体を遺棄する、完全犯罪を狙う展開が、エンディングで実は夢・まぼろしだったとわかる。
殴り殺してしまった元・彼氏が、2度も言ったセリフに納得、合点がいくようになりました。
「足にボールペンを刺しても痛くもなんともないんだ。これは夢にちがいない」
物語の冒頭、警棒で殴らないでからエンディングまでのわずかな時間に、元カレの頭には、妄想をふくらませる何かが分泌されていたのです。
2作品とも不条理ながら、体と脳がぞくぞく震えてしまう、両A面級の作品でした。
満足度★★★★
もう一度スポットライトを浴びたい
吉本の劇団THEフォービーズ『ヤング★ボーイズ』を観てきました。
全体的な感想としては、泣けるええ話でした。
第一幕は吉本らしく全員でズッコケていました。これは場の雰囲気をつかむ、お約束の儀式なのです。
最後は感動して涙ぐんでしまいました。
ネタバレBOX
【あらすじ】
あるプロダクションで、ライバルに負けてモチベーションを無くしていた、一人のマネージャーがいた。
担当するグループのマネジメントもできず、恋人にもそっぽを向かれ、 自暴自棄になっていた。
プロダクションの社長は、今は壁にぶち当たっている正念場なのだ、と
彼にチャンスを与える。
それは、70年代にトップ・アイドル集団であったヤング★ボーイズの再結成ライブを成功させよ、というものであった。
ヤング★ボーイズはリーダーの克己が絶大な人気を誇っていた。しかし、ある出来事によりリーダーが脱退する。リーダー不在となったヤング★ボーイズは、人気がなくなり解散してしまったのであった。
しかし解散後の現在でも、事務所には一通のファンレターが毎月届いていた。
ヤング★ボーイズのメンバー達は今では50代になっていた。アルバイトや契約社員で普通の生活をしていた。彼らが昔トップ・アイドルだった面影もなく、誰も覚えていなくなっていた。
そんな中で、ヤング★ボーイズの再結成ライブの話が持ち上がる。メンバーは集結する。しかしリーダーの克己が現れて、メンバー達は反発する。
『もう一度スポットライトを浴びたい』
紆余曲折の中、6人は一致団結し、ライブの練習に励む。
しかし、娘から反発されたり、メンバーの一人が病で倒れてしまうなど、困難が立ちはだかる。
意気消沈してしまったリーダーの克己は、再結成をあきらめてしまう。
残ったメンバー達から「また逃げるのか」と怒鳴られる。再結成をやる意味を失った克己に、ある一つの事実が判明する。
マネージャーは、このヤング★ボーイズの再結成ライブを成功させることができるのであろうか。
満足度★★★★
正しいことばの使い方
2007年4月22日(日) 18:00 千秋楽
『ハレモノ2007』
下北沢「ザ・スズナリ」
間寛平………長野にあるさびれた旅館の主人
ベンガル……新人賞を取って以来、ヒット作が出なくて苦悩する小説家
ネタバレBOX
約1時間50分。前半の1時間は世界観・人物を知るためのギャグ、ボケ仕合。会場はかんらかんらと笑う。
後半の50分はストーリーの中核に向け、動き始めました。
冒頭の導入、実はエンディングでタネ明かしとなります。
これは喜劇であり、エンディングはシュールな結末を迎えました。
冒頭の導入、第一幕はこう始まる。
スーツでビシっと決めたベンガル演じる小説家の芥川賞の授賞式から始まる。謝辞が建前で、本音は芥川賞を取るべくして執筆した作品とスピーチ。そのスピーチは『思い起こせば、あの男が現れなければ…』としめくくられる。
『正しいことばの使い方』という作品で新人賞を取って以来、ヒット作に恵まれず、テレビのワイドショーのコメンテーターとして日銭を稼ぐ日々。若いディレクターにコメントが難しく、さらに話が長い。もっとカンタンに短くと叱咤される。
なんとか起死回生をと模索した小説家は、賞を取る創作小説を作るために、生まれ故郷の長野に1ヶ月ほどこもることにする。
新人賞を取った作品が長野で執筆した為で、再起をかけようとしたのである。
さびれた旅館についた小説家。そこで出会った旅館の主人に翻弄される。ことば使いがおかしい。話が通じない。
堅物の小説家は自由奔放な主人に困惑する。
主人の妻が美人であることから、創作小説を不倫と逃避行の話として考える。しかし、なかなか話が思い浮かばず、先に進まない。
旅館の主人は作家志望であった。3年前に子供が他界した手術する金がなかったため、筆を取るのをやめた。今は好きでもない旅館を営む主人をやっているのである。
美人な妻は主人に、自分の過去の作品を小説家に見てもらうように薦める。小説家の刺激になるだろうと。主人は自分の作品をプレゼントとして小説家にあとでもって行きますと言う。
そんな中、近所の少女が旅館の夫婦にあいさつにやってくる。女優志望の彼女は上京して成功したいと告げる。少女の父は大反対、母親は娘に興味がない為、旅館の夫妻に自分の気持ちを知ってほしかったためである。
そんな気持ちを知った旅館の女将は、ここに宿泊している小説家にTV関係者のコネクションを紹介してもらうように薦める。
少女は意気揚々と小説家の部屋を訪ねることにした。
何か刺激がほしい小説家は、少女が部屋にやってきたことを、旅館の主人からの刺激的なプレゼントと勘違いする。
娼婦と勘違いした小説家の事件は、地元スポーツ紙のスキャンダル記事となる。
旅館の主人のプレゼントであった作品を小説家が見るが、最初の1ページの導入部だけを見て、ダメだダメだと思った。あんたは昆虫や動物の世界を書くのがいい、と適当なアドバイスを言うだけであった。
あなたの言うことはでたらめだらけだ。正しいことばを使いなさい。
スキャンダルが大きな騒ぎとなり、出版社から釈明会見を開くことを迫られる。小説家は旅館の主人に口裏を合わせ、次のことば以外のことはしゃべらないように命令する。
『それは全くのデタラメです』
『先生はそんな人じゃありません』
『私が目撃者です』
記者会見で主人がインタビューされたとき、最初はスキャンダルを否定する内容となり、小説家はほっとした。
しかし記者からの追及で、このことばが裏目に出た。
小説家は主人を問い詰めるが、主人はこう言った。
正しいことばを使ったほうがいいんじゃないですか、と。
スキャンダルがもみ消せなくなり、新作小説出版の話はなくなる。小説家としての人生を終わらせまいと、部屋にひきこもりペンを取るが、話がすすまない。
話が進まないのは旅館の主人を殺していないからだ!と思い、主人に襲いかかる・・・。
ここで舞台は暗転する。
(次の幕は拘置所・刑務所か?と想像したが少し違った)
エンディングは、冒頭と同じく、小説家の受賞スピーチのシーンとなる。しかし辺りの様子がそぐわない。何かがおかしい。
明かりが全体を照らす。
小説家の服装は病院のパジャマ。隣には精神科医。
その脇には、出版社の担当者と旅館の主人。
旅館の主人は無名ながら新人賞を受賞したのである。
その新人賞作家は入院している小説家にお見舞いにやってきたのであった。
作品は動物のキリンのメルヘンなストーリー。奇しくも小説家がそういうものを書いていればいいんだと適当にアドバイスしていた話であった。
ぶつぶつとスピーチする小説家。旅館の主人の名前を耳にして暴れだすが取り押さえられる。
新人小説家が口にする。正しいことばを使いなさいと僕に教えてくれたじゃないですか、と。
満足度★★★★
全く接点や脈絡のないものなのに、構図が同じ
今回のWHATCOLORさんのアンケートに「何色に見えましたか」というものがありました。
僕の場合は「赤」にみえました。全体的に血生臭いシーンが多く、赤が印象に残りました。
今回のオムニバス・ストーリー4本のうち、特に第3話「牛 -ドナドナのうた-」が一番印象に残りました。
牧場で乳をもまれ、ミルクを搾り取られる牛。
風俗店で巨乳をもまれ、金を搾取される女。
全く接点や脈絡のないものなのに、構図が同じだと思ってしまいました。
満足度★★★★
オムニバスストーリーの二人芝居
2時間半の公演、オムニバスストーリーの二人芝居
ギターやウクレレを演奏するイッセー尾形さんの芸達者ぶりに感激しちゃいました。
ネタバレBOX
2時間半の公演、オムニバスストーリー仕立ての芝居でした。
・55才の現役ボクサー(尾形)とプロモーター兼レフリー(小松)
・カジノに初めてやってきた老夫婦
・夜間巡回中の警備員
・ハワイ港に停泊している、船長(小松)と船員(尾形)
・高校以来からの親友
このほかにも一つストーリーがあったような記憶があります。
最後のストーリー「高校以来からの親友」ではストーリー進行に合わせて、尾形さんがギターやバイオリンを演奏し、小松の親分が昭和の名曲を唄いました。
高校三年生など、8曲ぐらいありました。ミュージカルでした。
「船長と船員」ではウクレレ演奏とイッセー尾形さんの芸達者ぶりに感激しちゃいました。
満足度★★★
タイム・トラベルとラブ・コメディ
開演してから前説の寸劇。くだらなさがおもしろかったです。
本編は、意外にもタイム・トラベルとラブ・コメディをテーマにしたストーリーでした。
前説と本編でキスシーンが20~30ぐらいありました。客席に見せ付けるほどの本気な口づけで、気持ちがいっぱいになりました。ごちそうさまでした。
アニメのキャラクターへのオマージュやパロディ・ネタがエッセンスとしてふんだんに盛り込まれていました。
本公演に客演されている太田友紀子さん、美人でした。けっこうサバサバしているところに魅力を感じました。お疲れ様、おもしろかったよとごあいさつして劇場をあとにしました。
客演の熊谷有芳さんも美人で、僕の心はときめいてしまいました。前説コントの一つで、ツンデレなウェイトレスを演じていました。
あんな彼女がほしいな、と心の奥底で思いました。
【ストーリー・導入部】
2008年、家でひきこもる一人の男がいた。その男の名は新戸風太郎(にいと・ふうたろう)であった。
この風太郎に未来からやってきたエージェント達は指令を下した。一組のカップルを別れさせて、彼女に告白して付き合えというものだった。
2058年9月13日の金曜日。世界規模の同時多発テロにより、10億人以上が犠牲となる。首謀者はフライデー13。13人で構成される使徒の中心人物である。
エージェント達は諸悪の根源であるフライデー・サーティンの生誕を阻止しようと画策する。フライデーの両親こそがこのカップルなのであった。
未来からタイム・トラベルで歴史を変える行為を取り締まる警察機構もやってきて、風太郎は争いに巻き込まれていく。
風太郎はひきこもりを抜け出し、みんなを幸せにできるのだろうか。
ネタバレBOX
オープニングでプロジェクターをつかって役名と出演者紹介が映し出されます。映像演出は素晴らしい。
本編中に5分間の休憩時間があります。
シーン・チェンジや衣装替えなどで、回避できなかったのでしょう。
せっかくプロジェクターを駆使して「SRUまで+5:00.00」とカウント・ダウンしているのがもったいない。
この5分間をつかって、2058年の出来事をニュースで伝えるなど、本編に関連するサイド・ストーリーVTRをプロジェクターで上演すればよかったんじゃないかな。僕はそう思いました。
場がつなぐ目的も達成できて、世界観や笑いも深めることができて一石二鳥ではないかと思いました。
SRUの意味は「そのとき・歴史が・動いた」の頭文字を取っています。
満足度★★
夢中になっている人のシチュエーション・コント
今回はシチュエーション・コントでした。
今回のコントで僕が好きなコントは天文部長が部費を獲得するために生徒会長選挙に立候補するため会議をしている「会議に夢中」です。
ネタバレBOX
各コントのタイトル
1.本に夢中
前説。好きなマンガ本を一言あらすじで語る。
2.記者会見に夢中
映画の完成記者会見で、キャストの恋愛が発覚する。
3.刑事に夢中
一日署長とサボっている刑事の話。
4.ヒーローに夢中
一般人がサスペンダーというヒーローになるコント。
5.裁判に夢中
交通事故の裁判で、判事と弁護人が判決の日を決めるのに都合がつかず夢中になる。
6.歌に夢中
友達同士、待ち合わせをする。何気ない話で歌の話題となる。一人が歌を口ずさむと町中が夢中になる。
7.俺に夢中
8.続きに夢中
一般人ヒーロー、サスペンダーの続編。
9.世界に夢中
10.会議に夢中
11.休みに夢中
12.サッカーに夢中
13.小さい頃からの夢に夢中