真夜中のフォークロア
UNITレンカノ
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/15 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/11 (水) 19:00
価格3,000円
11年前の初演時に劇中に出てきた「惚れ薬」から「夏の夜の夢」か、と察し帰ってWikipediaで調べてあれこれ納得したことを今でも覚えている。
その後、今まで何種類も「夏の夜の夢」を観て熟知して改めて観るとまさしく「ハイパー夏の夜の夢」、「媚薬」を使う回数が増えてその分混迷も増すシカケにニヤニヤしたり、ほぼ原典そのままの部分があって納得したり。
また、当時はまだあまり話題になっていなかったことも取り上げられており、今の方が世相に合っているように思う。(先見の明がありすぎ?(笑))
『東京酒徒』
大かはづ師匠
エリア543(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/13 (金) 19:30
価格2,500円
人的交流とかからすれば大いに納得ながら、一方しか知らずに観に来たら戸惑うんじゃね?(笑)な作風の違いがある「両A面シングル」的公演。(笑)
大かはづ師匠「東京酒徒」とかけまして
松屋のカレギュウ、あるいはすき家のうな牛とときます
そのココロは
「え、それとそれをいっぺんに味わえるとはなんておトク……でも中には別々の方がイイやとおっしゃる方もいるでしょう」
……みたいな?
しかし考えてみるとこのカップリングって昔の名画座の2本立てに似ていて、こういうことがなければ知らなかったものを観るキッカケにもなるのではないか? 15 Minute Made や新宿コントレックスのように4つや6つの団体の「対バン」企画や黄金のコメディフェスティバルのように内容に共通性のある2団体カップリングではなく、本作のように水と油な作風の2団体カップリングももっとあってイイんじゃね?と思ったのだった。
ま、昔の二本立て名画座ファン的な発想だけれども。(イマのシネコン派にはワカらないかも?)
トイレの花子さんの帰宅
やまだのむら
イズモギャラリー(東京都)
2018/07/07 (土) ~ 2018/07/11 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/10 (火) 14:00
価格2,000円
ヴィジュアルが衝撃的ながら妙に説得力のある花子さん(芝居のウソ、もとい芝居のマジックにも程がある!(笑))、厚かましさと可愛さが同居したポジティブなストーカー、その2人に翻弄される小劇場役者というキャラ設定・配役とストーリー展開の強力タッグが鮮やか。軽い小劇場系芝居弄りにもニヤニヤ。
しかし考えてみると映画やドラマで描かれる場合、サスペンスやホラーであることが大半なためにひたすら不気味だったりアブなかったりするストーカーをこんなにも可愛らしく(?)描いたものというのは珍しいのでは?(もちろん実際につきまとわれたら迷惑この上ないが)
アルペンループ
LIVEDOG
小劇場B1(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/12 (木) 14:00
価格4,000円
地獄体験ツアーが呼びもののテーマパークに集まった面々とパークの創設者と……。
中盤までは地獄に関する心理学的・哲学的考察、な感覚でその発想に舌を巻くが、終盤での地獄の意義/役割・成立過程や罪と罰の相当性などの言及は圧巻。
また、終盤である人物が述べる自分の罪を正当化する理屈に納得してしまいそうになるのは「暗黒面に堕ちる」のに近い感覚?でスリリング。
なお、終演後、初演時に白井肉丸さんが演じた役を伺い大いに納得(笑)
悪役たちの反省会
tea for two
小劇場B1(東京都)
2018/07/04 (水) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/04 (水) 19:30
価格3,300円
古今東西の様々な「悪役」8人(組)が自分のしたことに関する「反省」をプレゼンテーションするショウの体。名前程度しか知らなかった人物について知ることができた他に割と知っていたつもりの人物についても背景など新たな情報を得たりいろいろと勉強になる(?)。
そうして、どう落とすのかと思いながら観ていたら「そう来たか!」という予想外な落とし方で頬が緩む。
また、プレゼンテーションに使われる資料画像の中には司会者に急かされて早送りされるものもあり、これがまたチラリと見えた範囲内では面白そうで何らかの形で公開されないものか?と思ったり。(真顔)
第十七夜『銀河鉄道の夜 -露-』
有末剛 緊縛夜話
ザムザ阿佐谷(東京都)
2018/07/07 (土) ~ 2018/07/09 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/08 (日) 19:00
価格3,000円
銀河鉄道の夜パートと宮沢賢治の評伝的パートが併走し、やがて……な構造は演劇比率が高く、演劇と緊縛が拮抗していた(私見)前年4月の「盲獣 -あなたの世間に唾を吐く-」とかなり印象を異にするが賢治好きな身としてこれはこれで満足。(しかし3日間で「星めぐりの歌」が流れる芝居を複数観るとは……)
また、全ステージシャフルキャスト、存じているお二方のホジションで選んだこの回、たぶん個人的にはベスト。(他の役を想像したりしながら観ていたりも(笑))
出演者の大半が女優で、しかも粒揃いなことに月蝕歌劇団を連想したりも。
あと、ピアノ、キーボード、大正琴の生演奏による音楽やライブペインティングも良かった。
熊ん子リバーバンク
桃尻犬
OFF OFFシアター(東京都)
2018/07/06 (金) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/07 (土) 19:30
価格2,800円
ルームシェアしている3人の男女のトラブルにその中の1人の元カレやら赤の他人(!)やらも絡んで……な物語。
会話の妙で終始クスクス、ニヤニヤな上に夏らしい「アレ」など複数の要素を練り込んでコンパクトにまとめて上出来。また、2場で語られる「怪談」はその後の展開を暗示しているようでもある。
会話の妙をベースに「んな、アホな!(笑)」なナンセンスさも加えて笑いを取るというのは考えようによっては落語に通ずるのではないか? ヤるなぁ。
海越えの花たち
てがみ座
紀伊國屋ホール(東京都)
2018/06/20 (水) ~ 2018/06/26 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/06/20 (水) 19:00
座席L列6番
価格4,000円
戦時中に韓国に嫁ぎ終戦後20年も彼の地に留まらざるを得なかった4人の女性を中心に描いた物語。
ナザレ園のことを知らなかった身としては今まで考えたこともなかった題材で、なるほどそういうこともあったのだな、と改めて「学ぶ」感覚。
そうして、史実をもとに「あんなことを二度と起こしてはならない」と警鐘を鳴らすのは井上ひさし作品や劇団チョコレートケーキの作品と通ずるものがありつつ、やはり独自な部分があるように思える。
ただ、場転後しばらく会話を注意深く聞いていないと前の場から流れた年月がワカらないのがややストレス。
例えばこまつ座のように明転前に字幕で次の場の時を知らせていただければ「前の場から○年経ったのか」と知った上で観ることができて内容に集中できるのに。
再演があるようならこの点も考慮していただきたく。
ところでツイッターなどで目にしただけで3件、冒頭で亡くなった人物を勘違いしていたとの感想があったが、直感的に正解を察していたのは幸いだったのか?
また、「戦争がもたらした悲劇」には戦争が直接引き起こしたものと、それまでは潜在していたが戦争によって顕在化したものが原因となったものの二種類があるのではないか、そして本作は後者による部分が大きいのではないか?などとも考えた。
ホテル・ミラクル6
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/07/05 (木) ~ 2018/07/10 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/05 (木) 20:00
価格2,500円
後半2作(島田作品、フジタ作品)は捏ね過ぎ、引っ張り過ぎな感が無きにしも非ず(とは言えラストーンの照明は白眉)だが、シリーズでは異色と言える1編目(岩井作品)のラブホ女子会でのシリアス&シビアーな性愛ネタ、小西節全開で進行しつつコミカルから小さな奇蹟へと変貌する2編目が好み。
で、漂う「終末感」は何なんだろう?なんだかシリーズ最終回(しばらく経ってのシーズン2の予感もある)的な感覚。
さけとなみだとおとことおんなと、
なかないで、毒きのこちゃん
RAFT(東京都)
2018/06/27 (水) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/01 (日) 17:00
価格2,800円
【ボーイ編】
ナンセンスあるいはドタバタ系青春劇の政岡作品、予想通りお得意のメルヘンチックな成島作品と(ガール編と通じて)すべて異なる味わいで来てのラストを飾る鳥皮作品、露骨な説明台詞に「やりやがったな!」とニヤニヤしていたら、これが長いのなんの! しかもそこ以降のいくつかの台詞も長くて「記憶王決定戦か!」みたいな。
こんなのを最後にもってくる鳥皮さんってば、おヒトが悪い……(笑)
さけとなみだとおとことおんなと、
なかないで、毒きのこちゃん
RAFT(東京都)
2018/06/27 (水) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/01 (日) 14:00
価格2,800円
【ガール編】
日常のひとコマ的な黒川作品から始まり、ある意味メルヘン(?)な岸野作品、そして現実を1~2歩踏み外した鳥皮作品とバラエティに富んだ構成。
岸野作品の「北風と太陽」的な発想と鳥皮作品のクルマの見せ方(どなたかがシンクロ少女の表現を挙げていらして得心がいったが、観ている時は「そんなアングルでも!?」なところに惑星ピスタチオを想起)がキモ?
「 」
エンニュイ
SCOOL(東京都)
2018/07/04 (水) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/04 (水) 15:00
価格2,500円
オフィスでの会話から始まる会話劇……しかしそれは会話を主体として進む一般的な会話劇ではなく、会話自体が中心(主人公?)となる文字通りの会話劇、いや、会話だけでなくモノローグやラップもあるので「台詞劇」あるいは「言葉劇」とでも言うべきか?
出だしや中盤のコミュニティ(?)場面などは会話が成立しているが、それ以外の部分では同時多発の台詞があったりして台詞の洪水……と言うか言葉の氾濫であり反乱(!)な印象。(ネタバレBOXに続く)
《東京公演》新宿コントレックスVol.20
Aga-risk Entertainment
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/06/29 (金) ~ 2018/06/30 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/06/29 (金) 19:30
価格2,000円
時事ネタと言うか最新(よりにもよって初日未明の)ネタをブッ込む団体が2つもあり、笑の内閣はさすがだしアガリスクはジャンプさんがいかにもな役どころだし、斬新なアイデアの団体はあるし、今回も粒揃いで満足。
青い鳥 完全版
演劇屋 モメラス
STスポット(神奈川県)
2018/06/20 (水) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/06/30 (土) 14:00
上演時間60分という制限に収めた利賀版とテキストはほぼ同じながらオープニング/エンディングなどを附加したとのこと。
メーテルリンクの原作に関して表立った記憶は結末部分だけしかなかったが、観ながらいくつかの「国」を巡ることを思い出す。どうやら青山劇場柿落し公演である劇団四季の「ドリーミング」(のテレビ放映)で知ったようだ。(子供の頃の読み聞かせとかで知っていたのかもしれないけれども)
そして本作は年齢を問わず楽しめるのでは?→それは原作が児童文学/童話だからでは?→そう言えばその原作も寓話として大人でも楽しめる=深読みできるのでは?などと思う。
演劇表現としては四角い枠(だけ)の「窓」に始まりスカーフの巻き方での犬・猫、それに照明効果などで観客の想像力を掻き立てるのが巧み。
次回公演はBUoY 北千住アートセンターだそうで、あそこの使い方に期待♪
THE BIG ESCAPE-大脱獄-
カカフカカ企画
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/06/27 (水) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/06/29 (金) 14:00
価格3,600円
基本はバカバカしく、それに明るくカラッとしたスケベとあれやこれやのパロディ、皮肉も練り込んだ未来譚。
今回は過去作品の再演ゆえか直近に観た2作と較べてパロディ関連が極めてマトモで「常識的な範囲内」だった(錯覚?(笑):あ、だからCoRich舞台芸術!に公演登録したのか!(爆))ものの、やはり作風には一貫性がある感じ。
昭和芸能舎版 フラガール
昭和芸能舎
赤坂RED/THEATER(東京都)
2018/06/26 (火) ~ 2018/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/06/28 (木) 15:00
座席J列12番
価格3,300円
2006年の映画、2008年の舞台版のいわば「セルフカバー」。
ベタなまでの人情譚にその道のプロ並みの一芸披露という昭和芸能舎の十八番パターンにして真骨頂、しかもクオリティは上がる一方という。
具体的には冒頭場面で「あんなだった」ヒロインがそこまで成長したか……とか、稽古場面でメンバー毎にできていたりまだ下手だったりとフラの上達具合がまちまちなのが巧い。(もちろんクライマックスではきちんと合う)
キャストは憎まれ役の反対派を演じたベテラン勢が一筋縄ではいかない頑固者っぽかったのとコーチにいかにも第一線のダンサーでした感があった一方、一部のフラガールは(田舎娘という設定にしては)垢抜けて見え、映画での蒼井優にひけをとらない「芝居のウソ」ぶり。(笑)
クライマックスのフラ場面は、2008年の赤坂ACTシアター版に対して劇場サイズが小さい分、少数精鋭で客席も近いのでごまかしも利かなかろうところ、お見事♪
ちなみに「舞台 フラガール」は2008年7月31日に赤坂ACTシアター1階C列12番で観た記録があるが、S席9000円……(白目)
海と日傘
劇 えうれか
古民家ギャラリーしあん(東京都)
2018/06/22 (金) ~ 2018/06/28 (木)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/06/26 (火) 14:00
価格2,500円
行間に情感がこめられたというか、沈黙の部分が雄弁というか……な「静かな演劇」。
2012年11月のSPIRAL MOON版を観た時「全てを語らずな奥床しさ」に往年の松竹映画に通ずるものを感じたが、それは演出によるものではなく戯曲の持ち味だったか、と改めて認識。
そして1度観たことがあるため先読みしたり(もしかすると違っていたり美化したりしているかもしれない)記憶と比べたり、さらにここをはじめとして外光が入る公演会場での常として夜公演の「景色」を想像したりしつつ 楽しむ。
いずれまた別の会場・演出で観てみたい。
コーラボトルベイビーズ
第27班
駅前劇場(東京都)
2018/06/22 (金) ~ 2018/06/27 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/06/23 (土) 13:30
座席G列11番
価格3,800円
ダメ人間な父親と母親・娘息子の7人家族、ホームパーティーらしき準備をする男女グループ、別府温泉にクルマで向かう男性3人組に同乗する女性、という3つの流れが併行し…… な物語。
話が進むにつれて3つの流れの関係性が浮かび上がってくる(え、その二人は姉妹なの?ということは……的な)構成はいかにも第27班だが、語られる内容はかつてなく(?)ビター。
換身
劇団普通
SCOOL(東京都)
2018/01/18 (木) ~ 2018/01/19 (金)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/19 (金) 15:00
価格2,000円
二人の男性の行動に創造性やら発展性やらを見いだせず、ただこなしている……というか、大きな玉を頂上へ運ぶものの転がり落ちてまた運び、を繰り返すシジフォスか石を積み上げては鬼に崩される三途の河原の童子のように何かの業罰で辛い状況を繰り返す「何たら地獄」に落とされたのではないか?という印象を受けたのは、この少し前に温泉ドラゴン「山の声」を観ただけでなく、前日に日本コメディ協会「シェイクスピアの何か」で「最後の夏の夜の夢」も観てしまったことによる変な妄想か?(笑)
ハイハイツ,タワーリングレジデンス~High Heights,Towering Residence~
monophonic orchestra
APOCシアター(東京都)
2018/06/21 (木) ~ 2018/06/25 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/06/21 (木) 15:30
価格2,500円
各フロア1戸の7階建て集合住宅を舞台にした8編で構成されたオムニバス。
ドタバタ気味からしっとり系まで振れ幅が広く、中にはメリハリが弱いものもあるが、ラスト3編(しっとり系→ドタバタ&パロディ→それまでの人物が登場しての総轄)のコンボが好みで「終わり良ければすべて良し」的な?