夏祭り企画第二弾〜「外呑み親善大使/誰もみたことない絵本」
制作「山口ちはる」プロデュース
シアター711(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/02 (木) 19:30
価格3,300円
「外呑み親善大使」
とある名作の本歌取り(約70分)。多少突飛ではあるがなるほどそうなるか、なアレンジが楽しく、いわば往年のプログラム・ピクチュアのような無難な仕上がり。
「誰もみたことない絵本」
小林光作品としては異色? 意外にも(失敬!)詩的というかリリカルというかな感じに「菊次郎の夏」を連想したのはピアノ曲を使っていたせいもあるか?(約35分)
福島三部作 第一部「1961年:夜に昇る太陽」
DULL-COLORED POP
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/07/21 (土) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/25 (水) 14:00
価格3,700円
1961年、原子力発電所建設のための用地買収交渉を受ける家族の物語。
クライマックスとなる交渉場面はその後の震災による事故を知っている身としては「ダメだダメだ、そっちに行っちゃダメだ!」とやきもきするし東電側が悪役のような気もするが、当時は誰しも「新エネルギーによる明るい未来」を信じており事故の可能性など全く考えていなかったのだろうと思うと複雑な気分に囚われる。
また、余所者に対すして警戒する小学生たちや大学卒業後に帰るのではなく東京で暮らす決意をする若者など、昭和真っ只中の人々も描かれてタイムトリップ感覚を味わったりも。
あと、交渉場面で子供役の人形を操っている井上さんの表情が、いかにもそういう場に居合わせた子供のそれなことに感嘆。
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早坂企画
アトリエ春風舎(東京都)
2018/08/03 (金) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/08/03 (金) 19:30
価格2,500円
身体表現のハヤサカ、理屈を捏ね回すの巻?(笑)
「そんなことを言葉にして語るのは演劇として野暮の骨頂」などと思った時点ですでに術中に落ちているのではないか?「そもそも芝居において……」なんて考え始めたら堂々巡りから抜けられず、命題がゲシュタルト崩壊を起こす、みたいな?
奇手奇策によってケムに巻かれた感覚。(爆)
オールアップ
フロアトポロジー
六本木ストライプスペース(東京都)
2018/07/31 (火) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/08/02 (木) 15:00
価格3,500円
映画撮影最終日の控え室での人間模様、「あー、業界ってやっぱりそうなんだ」な誤解を招く(?)こと必至なビターコメディ。
主演女優とメイクさんとグラビア出身女優の三つ巴やらベテラン女優と小道具さんやらの火花散るバトル(!)やそれらに振り回される(時には当事者でもある)助監督のさまを安全な対岸から観て笑い飛ばす悪趣味な観客(爆)……という構図はありがちながら人物設定の細部が利いているし、演者はそれをリアリティをもって体現するので説得力がある、みたいな。
また、真ん中に階段のある会場、上階で撮影をしている設定として「よぉ~い、ハイ(カチンコ音)」「はいオッケー(カチンコ音)」などの声が降ってくるという使い方も巧い。
映画業界版ショウ・マスト・ゴー・オンとも言え、面白かった。
夏祭り企画第一弾〜「真夏のカーニバル〜再来〜」
制作「山口ちはる」プロデュース
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2018/08/01 (水) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/08/01 (水) 19:30
価格3,500円
とある演劇公演の稽古場、一般公募(?)のマダムチームと現役役者のヤングチームとの間には時折微妙な空気が流れ、そして……な物語。
初演時にも感じたが、やはり倉本作品としては異色。ベタで熱血って他にないのでは?
が、賑やかさや華やかさはたっぶりで「夏祭り企画」にはうってつけかもなぁ。(笑)
最後に役者を一人ずつ紹介するのも「青田買い」には便利でヨイ。(爆)
草苅事件
しむじゃっく
高田馬場ラビネスト(東京都)
2018/07/21 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/22 (日) 14:00
価格3,000円
とある文学賞の発表記者会見、覆面作家である受賞者の代理人として女性占い師が登壇したことで会見は紛糾し……な物語。
「まんまじゃん!(笑)」な淺越さんを筆頭に人物の造形・表現が愉快で、文学界の一部にケンカを売ってないか?な文学賞への揶揄にはニヤニヤする一方、安心して「順路」をたどっていたら、あるところで急にその通路が溶けだして膝あたりまでズブズブ沈んでしまうような感覚が快感。
「メビウスの環」「クラインの壷」を想起させる構造の物語がお好きな方には特にオススメ♪
ボックスプログラム
劇団Bケイカク
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2018/07/25 (水) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/29 (日) 17:00
価格3,000円
【Pチーム千穐楽】
BチームとはMUで言うところの「(ほぼ)反転」、配役が男女逆な他にラストが異なる。
その最終場、「ある結末」の少し前(P)と少し後(B)とも取れるが、それぞれ相手を「駆逐した結果」と深読み(誤読?)することができるのがまた何とも。
また、「管理された共同体」という点において、この前夜に観たオフィス再生「猶予された者たち」(エリアス・カネッティ原作)と通ずるものを感じたりも。
ボックスプログラム
劇団Bケイカク
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2018/07/25 (水) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/29 (日) 13:00
価格3,000円
【Bチーム千穐楽】
服役中の受刑者を想起させる個性を消した面々が作業に従事する現場に1人の異色な人物が加わったことで起こる波紋……。
極めて実験的な作品、娯楽要素は無きに等しく賛否両論というのもむべなるかな。(笑) 個人的には「面白い」というより「興味深い」。
1940年代前半にドイツの心理学者がユダヤ人たちを被験者として行った実験を基にした、と言われると信じてしまいそう。管理された共同体に自由人を放り込んだら「壊れる」のは共同体か自由人か?的な。その意味で「カッコーの巣……(をこえて/の上を/の上で)」も想起。
また、出だしは抑揚がなくロボットのように言葉を発していた面々が人間性を取り戻すかのように普通の喋り方になるが、また抑揚がなくなってゆく台詞回しの変化も上手い。
Minimal Magic Orchestra
天幕旅団
すむぞう外苑前スタジオ(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/21 (土) 12:00
価格2,300円
【鏡の奥のジムノペディ(渡辺実希ver.)】
長年住み続けた末に売却した元・自宅に3週間も潜んでいる双子の兄のもとに大阪に栄転した妹が訪れ……な会場へのアテ書きの新作中編。
幼いころから住んでいた家への愛着、双子の兄妹の互いの想いなどが木肌を活かした会場に雰囲気と相俟って伝わり優しく温かい気分になれた。
実は双子のどちらか一方、あるいは二人とももう死んでいるのではないか?と誤読。いやそれ、個人的に好きなパターンだけれど、天幕旅団じゃあそういうの、やらないよね?(笑)
立体文学 サビガリ天使 〜太宰治短編集〜
ストーリーテラーズ
西荻窪・信愛書店(東京都)
2018/07/27 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/07/27 (水) 19:30
価格2,500円
犬と「私」の関係を描いた随筆あるいは私小説的な「畜犬談」と婦人誌に掲載された「貨幣」というライトでユーモラスな2編を柱として「俗天使」からの抜粋による書簡(?)つなぐ構成によって太宰を「自陣に引き寄せた」印象。
いつもの単音鉄琴(?)を使うのはもちろんのこと、全観客に小道具を持たせ、ある場面で劇中のあるものを演じさせるというテを太宰作品でも使うたぁ恐れ入りやした(笑)
甘い丘
えにし
ザ・ポケット(東京都)
2018/07/04 (水) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
地方の小規模な工場に新たに採用された2人のワケアリ女性……から始まる物語。
9年前にKAKUTAの再演版を観ているが、その記憶がかなり薄れていたこともあってか、えにしの作品になっていたな、と思った。
そしてKAKUTA版の半分程度しか幅がないステージに組まれたいかにも小規模工場、な装置は閉塞感を感じさせ、そこもKAKUTA版とは異なり別の味わいを生み出していたな、とも。
君の言った”またね”を僕は1年待っている
感情7号線
APOCシアター(東京都)
2018/06/30 (土) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/06 (金) 19:30
価格3,200円
【後攻:Aチーム】
1度観て全体像を把握した後なので脳内のタイムスケールに演じられている場をはめ込んで理解を深める。また、名作オマージュの3人が思った以上に原典通りで頬が緩む。さらに全体的な印象としてAは初々しくBは落ち着いている、みたいな。
あとから伺ったところによると、演者の平均年齢はBの方が高いそうで、この象はアタリだったなと。
また、高校時代の甘酸っぱい恋愛の「あったあった」や「あんなことがあったら良かったのに」な感覚が呼び起こされるのが劇団ペリカンの前回公演「マナミの正解」と通ずるような気もした。
君の言った”またね”を僕は1年待っている
感情7号線
APOCシアター(東京都)
2018/06/30 (土) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/06 (金) 14:30
価格3,200円
【先攻:Bチーム】
高校での出逢いに始まる恋愛における「もしもあの時」、銀河鉄道の夜、七夕の三題噺、的な。
複数の会話を同時進行させキーとなる単語や台詞が一致する「シンクロ会話」の技法と「アレ」の合わせ技や物語構造、某名作(好きなんだ、これが)オマージュ、サラッと流すあの曲・その曲、装置とラストのシカケなどあれこれツボを突かれた。
何度も壊れる赤い橋
The Stone Age ブライアント
小劇場 楽園(東京都)
2018/07/19 (木) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/19 (木) 19:00
価格3,500円
え、そういうモノを出しますか!?な意外性もあるホロ苦気味ファンタジー。「少し不思議」系とも言えるか。
X-QUESTで橋本亜紀さんをよく拝見している身として、突飛な役どころが何の不思議も抵抗もなく受け入れられたし。(笑)
青色文庫 ー其四、恋文小夜曲ー
青☆組
ゆうど(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/19 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/17 (火) 19:30
価格2,500円
第一部は文豪たちの恋文、第二部は青☆組の過去作品(+書下ろし)の一部抜粋の読み聞かせ(?)という構成。事前に「第一部は文字情報として書かれた文章なのですっと入って来ない」という感想を目にして臨んだが、覚悟したほどではなく胸を撫で下ろす。(笑)
とはいえこの「耳から入る言葉/目から入る言葉」という発想は眼からウロコが落ち、この日のマチネにも意識したし、今後の観劇の際にちょくちょく考えそう。
第二部の過去作品からの断片はよく覚えていたものはもちろん、記憶が薄れていたものも観ているうちに「そう言えばそうだった」などと思い出し、懐かしく感じた。
また、第一部は生徒たちに文豪の恋文を紹介するという設定になっており、教師役の福寿奈央さんのリアクションを観るのもまた楽しかった。
城
劇団普通
新宿眼科画廊(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/17 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/17 (火) 14:30
価格2,400円
冒頭の夫婦の会話はあまり抑揚がなく単なる言葉のやりとりのように無機質的だし、次いで登場した主人公の雪が深く外が暗いことを語る台詞(と照明効果)や「家族ゲーム」のように横一列に並んでの会話からは閉塞的な印象を受ける。
さらに物語は不条理っぽくもあり、「カフカフカカイ」(回文に非ず)な感じ?(笑)
前回は演技エリアを縦長に使い食事の場面で1人が次第に遠ざかることで疎外感を、そして今回は横長に使ってディスコミュニケーション(的なもの?)を視覚的に表現するとは、この会場の特質を活用しているなぁ、と感心。
なお台詞が時折「耳に優しくない」のは「活字で目から入る情報」として書かれた文だからではないか?と思ったのはツイッターで目にした他の芝居(←偶然にもこの後に観る予定だった)の感想の影響。
平成三十年のシェイクスピア
コンプソンズ
王子小劇場(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/18 (水) 19:00
価格2,500円
小劇場・芸能界ネタから時事・政治系ネタまで幅広く新旧(世代的に何故ご存知?なマニアックなものも含む)取り混ぜて面白可笑しくパロディ仕立てにしているが風刺・揶揄まで昇華されず単なるおふざけにとどまっている(※)のが残念。しかも予期した以上にシェイクスピアネタが希薄だし。その意味ではカンバンに偽りがあるのでは?(笑)
※ スタイルに通ずるものがある笑の内閣は切れ味抜群の刀で世相を一刀両断、な感覚だが、対してこちらは木刀でボコボコ殴るだけ、みたいな(いや、そもそもの狙いに違いがあろうから較べるのは無意味だが)
とは言え、ただ、あは、あは、あははと気軽に笑って観る分には十二分に楽しい。女優陣も魅力的だし。
そう言えば当日パンフレットには出演者名だけで配役を記さないのはネタバレ回避として理解できる……どころか当然のこととして評価するが、終演後に配役表を配布して頂ければありがたい。
目当ての某女優さん以外に気になった方が複数いらしたのに名前を知るすべがない……。
なお、電車の遅延に起因して開演を遅らせたとカーテンコールで明かしたが、そういうことなら定刻にアナウンスすべきではないか?
開演前に一切告知なく6分も押して開演するのは時間にルーズなダメ団体と誤解されかねない。
この点(と配役表の終演後配布)については今後の改善を望む。
死にたい夜の外伝
劇団献身
OFF OFFシアター(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/18 (水) 14:00
価格2,700円
ふとしたキッカケでハガキ職人となった青年が10年間投稿し続けた番組の最終回に合わせて開催したカラオケルームでのオフ会の席で起こるあれやこれや……。
かつてのオフ猿(爆)として郷愁もあるが、それ以上に人物設定とその描写・表現が巧く、「それはどうよ?」と思ってしまうような言動でも「あ、でもこの人ならそうする/そう言うだろうな」な説得力があって共感・共鳴する。
選曲も微妙なツボを突いてきてニクいが、あそこでのアノ曲は反則では?(笑)
歌と言えば、女優お二方の歌唱力もお見事♪
あと、ホロ苦さのある落としどころも良かった。
『コントロール・アン・ア・アン・アン・コントロール』『ギャル』『猫の呪い』『朝子さんと夕子さん』
遠吠え
SCOOL(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/15 (日) 13:00
価格2,000円
味わいの異なる4編、いずれも起承転結の承に入り「そっち?」と思わせたあたりでスパッと(時には台詞の途中で)切るなんて「そんな殺生な!」。(笑)
特に2編目「ギャル」の絵に描いたような典型的なギャルがたまに妙に良識的な発言をするギャップの可笑しさと3編目「猫の呪い」の物語が思わぬ方向に向かった(=道を曲がって別な景色が一瞬見えた、的な)まさにそこで切れる意地悪さ(爆)が印象的。
か・ら・だ♡ (再演)
劇団おねがいシスターズ
北池袋 新生館シアター(東京都)
2018/07/12 (木) ~ 2018/07/15 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/14 (土) 18:00
価格2,800円
単に時系列的にもリレー形式でつながるというだけでなくエピローグにもシカケ(?)がある3編オムニバス。 初演と較べて藤吉主宰が背後霊的に憑依している(爆)ような演者がいなかったのは残念?(笑) いや、それはそれでイイことなのだけれども。
一方、初演時同様二役の演じ分けが見事で「え、あの人があの役も演じていたの!?」状態。
個人的には1編目クライマックスの電車内の場面が好き。それまで見ず知らずだった人々がちょっとしたきっかけで互いを気遣うってイイよね。涙を拭っているお客さんもいらしたような……