
『Prism』
*rism
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/01/25 (火) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
満足度★★★★
次第にディープになる構成
童話をモチーフとした4編の短編、原作に近いものから別視点で描いたもの、捻りを加えたもの…と次第にディープになって行く構成と、各書き手の個性が発揮された脚本が面白い。
また、開場時から板付きの出演者たちの写真集から抜け出て来たようなメイク・衣装も楽しい。

東尋坊~命の番人~
CAP企画
テアトルBONBON(東京都)
2011/01/25 (火) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
満足度★★★★
胸に迫るものあり
東尋坊の自殺防止ボランティアたちを美談にすることもなく、観光協会側を批判するでもなく、ありありと描いて観客の判断に委ねることで胸に迫るものあり。
時として自殺志願者の負のベクトルに引き込まれそうで怖いような部分まであり。
また、黒い紗幕の後ろに東尋坊の突端を作り上げた装置も効果的。

サクラ咲ク、サクラ咲ケ。
男気ファンタジスタ
神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)
2011/01/25 (火) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
満足度★★★
今一つ決定打に欠ける憾みあり
バックステージ系にタイムスリップ(?)な要素も加えた「ハイブリッド」作品。
共に好きなネタなのでちょこちょこツボを突かれるも今一つ決定打に欠ける憾みが無きにしも非ず。

リビング★デッド
劇団BOOGIE★WOOGIE
イマジンスタジオ(東京都)
2011/01/23 (日) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
満足度★★★★
「第三期BOOGIE★WOOGIE」の幕開け?
初期のベタな笑いと「身近な人物がゾンビ化したら?」なドラマ性の融合は「第三期BOOGIE★WOOGIE」の幕開けか。
ただ、濃い笑いの部分は初期のノリを知っているかどうかで評価が分かれるかも?

煮詰る頃
演劇チーム 渋谷ハチ公前
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2011/01/22 (土) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
満足度★★★★
終盤は圧巻
大きなダイニングテーブルを中心に大人数で食事をする人々(血縁のある者もいるが「擬似家族」な印象)2組(装置左右の階段の向きを変えることで区別)を交互に描いて、初見であった前作『ストックホルム』と比べて題材、手法ともオーソドックスでマイルド、むしろ平板とも思える展開でありながら、終盤がスゴい。
実は一方の流れでの少年(子役が演ずる)がもう一方での中心人物であり、しかもそれを明かす方法も上手い。
それまで直接のつながりが全く見えなかった2つの流れが結合して、ある人物のそれまでの行動や考え方などがストンと腑に落ちるなど、一気に「大きなナニカ」が浮上して来る感じ。
以前流行った裸眼立体視でコツがつかめた瞬間にワケのわからないドットだけの2枚のCGから立体像が浮き上がって来た時と同質の感動に近いか。
前作では観終わっての帰路で感じた「言葉にし難い感動」が今回はここで。
一方、そこに至るまでがかなり長く、関連性が見えないだけに冗長に感じられてしまう難もアリ。
それまでが長ければ長いほどインパクトが大きくなるかもしれないが、全体で135分というのはちょっと。せいぜい2時間程度に収めて欲しかった。
なお、Confetti の888円のチケット、最初に遅れて申し込んだ時には手遅れだったものの、別日程で再度出す旨返信を下さった(GETTIシステムではなくメールでの申込みだったのだ)だけでなく、なにかとご配慮を頂いたスタッフさんにも大きな感謝!

アウトロ
ハチビットプラネット
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2011/01/19 (水) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
満足度★★★★
ハンドルさばきが見事
着想とテンポの良さ、それに傍系の挿話とどう繋がるのか?という謎で惹きつけるユーモラスな前半からスリルとサスペンスが加わる後半を経て、任侠系の「散りの美学」かと思わせて最終的にはハッピーエンドに導くハンドルさばきが見事。
多少強引な部分もあるが、その後の展開やテンポの良さで「逃げ切って」しまう(爆)ところも巧み。
また、舞台後方下手の黒い壁の一部に張った紗幕で別の場所を見せる手法はよくあるが、終盤でそれを映画のスクリーンとして使う(もちろん劇中映画のシーンは映像でなく生の演技)のも上手い。
さらに過去の2作ほどあからさまではないものの「山や電柱を「動かせ!」と言ったベテラン」など、知っていればピンとくるオマージュ系のネタをひそませているのも○。
いずれにしても、ここまでの3本すべて出来が良く、次回にも十分期待。

絡繰ル糸、焔ノ影(カラクルイト、ホムラノカゲ)
箱庭コラァル
グッドモーニングララ(東京都)
2011/01/22 (土) ~ 2011/01/22 (土)公演終了
満足度★★★★
「赤月夜」エピソード0?
曲の合間にそれを奏でる人形の一人語りが挿し挟まれる「赤月夜ノ演奏会」シリーズと配分が逆で一人芝居の中に曲が入るスタイルで、曲も変奏により何度か登場する劇伴的な使い方。「赤月夜」の人形たちの裏ストーリー的な内容も上手い。
しかし終盤のイイ場面でのパッヘルベルの「カノン」、2日前に観たギグルの『アレルギー』で使われた菓子メーカーの名称をそのメロディに乗せたものが思い出されて頬が緩んでしまったのには困った。こりゃ、まさに「アレルギー性カノン」。(笑)

エモーショナルレイバー【ご来場ありがとうございました!】
ミナモザ
シアタートラム(東京都)
2011/01/20 (木) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
満足度★★★★
濃密なドラマ
サンモールスタジオでの初演より倍以上広くなったステージを、キャラの濃さで埋めた印象?(笑)
ツイッターで「飛び道具」と称された方々(爆)を筆頭とした個性的な人物たちが織り成すドラマは濃密。
また、舞台上部の2本の梁で閉塞感を出した装置も◎。

『OLと魔王』 ご来場ありがとうございました◎さよなら魔王!また会おう!!
舞台芸術集団 地下空港
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2011/01/19 (水) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
満足度★★★★
歌のないオペレッタ
恋人・ミサオの家で「よろしく過ごした」後、何かに導かれるように守は魔方陣を壁に描き、ミサオが冗談交じりに呪文を唱えた翌日、魔王ルシファーが召喚されてしまう。が、彼は妻であるリヴァイアサンの謀反により魔界を追われており…な物語。
魔王がクーデターで魔界を追われるなんて設定からしてコメディ寄りな一方、使う音楽がチャイコフスキー作品やヒッチコック映画のサントラ(←アフタートークで知った)というオーケストラものなのでクラシカルな雰囲気もあり、「歌のないオペレッタ」な感じ。(そう思っていたらアフタートークでも「オペレッタ」に例えられていた)
また、魔王と会った際のミサオの母・倫子の言葉遊び的勘違いとか、戦車・戦艦・拳銃などをモチーフにした装置(脚に自在ローラーを付けて滑って移動させることができるダイニングセットも)、それに魔界のキャラたちの衣装など、いろんな種類においてセンスが良くて◎。
さらに劇団競泳水着の上野主宰を招いてのアフタートークも楽しい。

アフターサービス【月1WS開催中!】
プロデュースユニット四方八方
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2011/01/20 (木) ~ 2011/01/24 (月)公演終了
満足度★★★★
好きなテーマの1つだし…
人が死後、魂となり次に生まれ変わるまでを過ごす「黄泉」には区域ごとに管轄があり、各管轄に「閻魔」を長とする「職員」がいて魂たちをケアする、という設定下の物語、基本的には人情喜劇風。
時にはルールからハミ出そうになってもそれぞれに魂のことを思って行動する職員たちの優しさを中心に描きつつ、自殺の罪深さや「死にきる(=黄泉での生活を全うする=転じて有意義に生きる)」ことの大切さもサラリと織り込んでいるのが巧み。
もともと好きなテーマの1つなこともあり、かなり満足。
また、イキウメの前川主宰を招いてのアフタートークもあっておトクな感じ。

アレルギー【公演終了!!!ご来場誠にありがとうございました!!!!】
ギグル
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/01/19 (水) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
満足度★★★★
あは、あは、あはは
基本的な進行・構成は決まっているものの、即興部分もあり…どころか前説などによれば台詞も決まっていなくて、毎回その場で浮かんだ「生の言葉」を口にするとのこと。
ビフォアートークからユルいと言おうか和やかと言おうか、そんな空気が客席を満たし、本編の始まる頃にはもう身も心もリラックスして「箸が転げても笑える」ほどに…(笑)
もちろん本編もユルさ満載で、難しいことなど一切考えず、ただひたすら「あは、あは、あはは」と笑っていれば良いという気楽さ。
しかも多彩な出演陣の個性がよく発揮されており、連作コント風でありつつも全体的に流れがあって一応オチがついた後に「ボーナストラック」的なパート(←アフタートークより)があって終わる75分、もう観終わったら心が温泉に浸かったか遠赤外線を浴びたかのようにぽっかぽか。
前日のソワレとは全く対照的で、これまた大いに楽しからずや。

SWEETS
ehon
座・高円寺1(東京都)
2011/01/19 (水) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
満足度★★★★
眼を逸らさせない求心力
事前情報から予期したほどはダークでなく、若干のアブなさはありつつ淡々と進んでいたかと思ったら、終盤でいくつかの流れが好転するかに見えた後のクライマックスが壮絶で、もはやダークと言うよりはヘヴィー。
危うく揺らぎながらも辛うじてバランスをとっていた家族のあれこれが、少しだけ良い方向に向いた反動で一気に崩れ落ちたようで、しかし、眼を逸らさせない求心力のようなものがある演技・演出が秀逸。

終わりなき将来を思い、18歳の剛は空に向かってむせび泣いた。オンオンと。
青年団若手自主企画 だて企画(限定30席!)
アトリエ春風舎(東京都)
2011/01/14 (金) ~ 2011/01/25 (火)公演終了
満足度★★★★
「観客巻き込み型」演劇
カフェ公演などその場をそのまま使う「覗き見型」どころではなく「観客巻き込み型」演劇。普通の芝居よりもずっと登場人物の気持ちを考え…と言うより自分も「当事者」として考えさせられてしまうのが独特で積極的に「参加」した身として大いに楽しむ。

水飲み鳥+溺愛
ユニークポイント
「劇」小劇場(東京都)
2011/01/18 (火) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
満足度★★★★
具体的な『水飲み鳥』
『溺愛』とは対照的に非常に具体的。
男やもめの散らかった部屋はある意味「キレイ過ぎる(笑)」が、共感するし、そこで交わされる会話も「あるある」「わかるわかる」みたいな。
抽象的だとそれが何の表現であるかにもアタマを使わなくてはならないが、具象的だとそういうことに気を使わなくて済むので台詞や内容に集中できる感じか?

水飲み鳥+溺愛
ユニークポイント
「劇」小劇場(東京都)
2011/01/18 (火) ~ 2011/01/23 (日)公演終了

ヒールのブーツ
オーストラ・マコンドー
JORDI TOKYO(東京都)
2011/01/14 (金) ~ 2011/01/19 (水)公演終了
満足度★★★★
身近に感じられてそれでいて劇的
ブティック「JORDI TOKYO」を舞台にした物語、訪れた傷心気味の女子高生を癒す店長のオトナな優しさ・包容力や常連(というよりは溜り場的に使う?)客たちとの関係、そこに立つ波やちょっぴり淋しい結末など、身近に感じられてそれでいて劇的、みたいな?
また、劇場ではなく展示スペース的な場所で通りに面した側が全面ガラス張りなのでそれを活かして外も演技スペースに使うほか「借景」的効果も上げ、さらにそこを通る(無関係な)通行人の反応までも見えて、そんなあたりにジョン・ケージの「4分33秒」の演劇版、的な印象も受ける。
確かにソワレとマチネで大きく雰囲気が変わりそうだし、外の様子は毎回異なるもんね。

【公演終了】B203【ご来場有難う御座いました】
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田大学学生会館(東京都)
2011/01/14 (金) ~ 2011/01/17 (月)公演終了
満足度★★★
おバカなところ、好きだなぁ
近未来、懲役100年を超えるような受刑者たちの地下収容所での物語…ではありながら、ナンセンスコメディ系。
なんたって受刑者にサル(しかもサルがサルの着ぐるみをかぶっている設定!)やロボット(Q-10風?(笑))がいるし、看守長の肩にとまっているトリも人間の大きさになって出てきたりするし、そういうおバカなところ、好きだなぁ。
一方、S気味の女性看守と受刑者たちの関係に『カッコーの巣の上を』(または『…巣をこえて』)を連想。終盤、「大阪LOVER」が止まらなくなるあたりなんて『カッコー…』第1幕ラストを彷彿とさせるし…って深読みか?(笑)
そうして迎えるラスト、地震によって閉じ込められた面々が光を見つけて脱出するシーンで客席(前部2段)が「十戒の海」状態になろうとは…。
2列目センターにいて、座る時に「この金具、なんだろ?」と思っていたのがそういう風に作用するとはねぇ。
また、日替わりゲストの21期生が、+1の目崎主宰、ろりえの奥山主宰、タイタニックゴジラの高木主宰など、そうそうたる顔ぶれ…。いやはや恐れ入りました。

23分後
innocentsphere
吉祥寺シアター(東京都)
2011/01/15 (土) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
満足度★★★
複数の流れが関連付くまでチョイ長
以前よりも笑える部分が多いことを意外に思いながら観ていると、接点のない複数の物語が併行して進み、それらを「一体どういう関係?」と訝っていたが…(以下ネタバレ)

ドリルチョコレート「テスタロッサ」
MCR
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了
満足度★★★★
やはり観た甲斐はあった
会話が実によく出来ていてあー言えばこー言う風にポンポン弾んでテンポ良く、時間の経つのがアッと言う間。(上演時間75分だし(笑))
で、良く計算されていながらも一部即興の要素もあるらしく、共演者が顔を背けて何とかガマンしながらもついに耐え切れずに吹いてしまうなんて1コマも…もちろん客席大ウケ。
そうして迎える三者三様の結末も上手く、やはり観た甲斐はあったなと。
![メタファンタジア[眠りの森の・・・]Ver.6](https://stage-image.corich.jp/img_stage/m/187/stage18717_1.jpg?192435)
メタファンタジア[眠りの森の・・・]Ver.6
楽園王
タイニイアリス(東京都)
2011/01/13 (木) ~ 2011/01/16 (日)公演終了
満足度★★★★
Ver.7 もいつか観たい
8年前に Ver.5 を観て、5~6年前には戯曲も読んでいたものの、かなり記憶が薄れていて結末などは完全に忘れていたので新鮮な気持ちで観る。
結果、135分の長尺も苦にならないほどに楽しむ。
まず、最近(ってかここ数年?)と比べて笑える部分が多く、意外と言えば意外。
また終盤の衝撃の真実に一瞬、「じゃあアレは何なのさ?」と思うもののすぐに「あぁ、あっちも自分の死を受け入れることができずにいたのか」と納得。
このあたりが実に上手い。死を受け入れることができない2人の物語を併行して語っていたなんて騙し上手!(笑)
あと、「夢十夜(第一夜)」「浦島太郎」「クロノス・ジョウンターの伝説」などを勝手に連想したりして観るのもまた楽しからずや。
なおこの日、マチネ、ソワレの両方で「雨に降られた相手に傘をさしかける」「教室の席に白い菊の花を飾られる」状況が出てきてその偶然にビックリ!