チャイム
わっしょいハウス
新宿眼科画廊(東京都)
2013/03/26 (火) ~ 2013/03/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
「・・・あれ?」
「東京って、こんなにざわざわしてて面白いまちだったのか・・・」
と、しみじみ、しみじみ。
にしてもホント、舞台上で行われてることは職人芸的にすごいことなのに、脚本も演出も役者もそれをさらっとやって見せちゃうあたり、粋な劇団だよなあ・・・。
キャッチャーインザ闇
悪い芝居
王子小劇場(東京都)
2013/03/20 (水) ~ 2013/03/26 (火)公演終了
満足度★★★★
なんと言えばいいかわからないけど
「マボロシ」だらけの中で見ることのできないもの、その確かなテクスチャへ、「演劇」という別の「マボロシ」のちからで追いついてみせよう、そんな真摯な欲望を感じた。
この作品を書いた山崎さんが、この次、ヴィトゲンシュタインを扱った芝居に出演するというのも面白い。
出来ればもう一回観て、さらにこの作品をかみしめたいところ。
n+1、線分AB上を移動する点pとその夢について
アムリタ
早稲田大学学生会館(東京都)
2013/03/13 (水) ~ 2013/03/16 (土)公演終了
満足度★★
「形」は、面白い。
でも「形」だけじゃ、いい芝居にはならないよね、っていう。
身体や言葉に、それが「いま」「そこにある」ことをヴィヴィッドに突きつける、そんな実在感や生命力がほしかった。
「そこにいる」なら当然にあふれ出る言葉、「そこにある」ものにしか語りえない身体、そんなものに満たされてこその「nの代入」だったんじゃないかなあ、と。
連続おともだち事件
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2013/03/06 (水) ~ 2013/03/20 (水)公演終了
満足度★★★
期待しすぎたかなあ・・・
正直いま一つピンと来ず。
その経路でその着地点ってのは、面白かったっちゃ面白くはあったんだけども、この劇団だったらこのコースでも、もっと紆余曲折させーの、ぐるんぐるんさせーので、もっと鮮やかに飛距離を出せたと思うんだけどなあ・・・。
月の剥がれる
アマヤドリ
座・高円寺1(東京都)
2013/03/04 (月) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★
なんだろう
面白かったし、面白くなかったし、かなりグワッと掴まれたし、全然ピンとこなかった。
好きか嫌いかで言ったら、断然好き、だと思う。
普遍的で新鮮な「絶望」、と「いのり」が舞台に満ちる美しいラストシーンに、強く胸が締め付けられた。
2時間15分の長さは全く感じず、この語り口でならあと1時間くらい余裕だったし、その分ちゃんと「決定的な大事件」の辺りとか、各キャラクターのターニングポイント的なものとか、諸々いろいろ書きこんで来てほしかったなあ、と。
今回の脚本、ひょっとこ乱舞大爆破公演の『うれしい悲鳴』でもそうだったけど、ひとつの作品にとんでもない「圧」を持った流れがいろんなベクトルで存在しちゃってて、作家がそれを作品内で処理し切れてない、って感じ。
つまりイコールそれは「失敗作」ってことになっちゃうんだろうけど、でもそういうギリギリなラインでの「賭け」「勝負」があるようなところにこそ、圧倒的な「なにか」が生まれうる、そんな可能性があるんじゃないかとも思う。
そんなある意味でとっちらかった(?)脚本を一つの作品として舞台上で成立させた、演出、役者陣はさすがだなあ。
この劇団、次回公演はまたどう来るか、楽しみ。
・・・そういえば。
毎度使用する音楽にセンスが光るひょっとこ乱舞→アマヤドリ、この作品でもエンディングで流れていたプログレッシブロック調の音楽がとても印象に残った。
オリジナルなのか、既存の曲なのか、既存の曲なら誰のなんという曲なのか、誰かご存知でしたら教えていただけると嬉しいです。
半神
半神
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2013/02/27 (水) ~ 2013/02/28 (木)公演終了
満足度★★★★
最終日観劇
改めて『半神』という戯曲が持つ冴えた輝きに圧倒される。
ずっと演じられ続けてほしい名作だなあ、と。
演技や演出に稚拙な部分、特に台詞を完全に自分のモノにできてないんじゃないのかなあ?な部分も結構あったけど、野田演出的ではない野田戯曲・野田台詞の調理方を模索した結果ともとれて微笑ましかったり、でもその中途半端さにやきもきする気持ちもあったり。
あともう何歩か踏み込んで、もがいてあがいてを繰り返していれば、新しい「野田戯曲の演じ方」にたどり着けたんじゃないかなあ。
綺麗なだけで安直な照明はもうちょっと何とかしてほしかったけども。
初恋のジェノベーゼは爪の味
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2013/02/22 (金) ~ 2013/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★
勢いで予約しちゃった公演だけど
結果、観にいって大正解。
観る前に「それでもまあ所詮は高校生っしょ・・・?」とかちょっと思っちゃってた自分を反省。
作演出の前田さんも手加減なしで演劇的に仕掛けに来てて、面白くない瞬間がなかった。
こう、否応なく与えられてしまった世界の中で、痛々しさとかしょうもなさとか、そういうのを全身全霊もてあましちゃってる高校生たちの姿、なんかどうしようもなくキラキラしてたなあ・・・。
異邦人
カンパニーデラシネラ
世田谷パブリックシアター(東京都)
2013/02/14 (木) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
密度UP
正体不明の説得力で圧倒されたトラムでの初演から、パブリックシアターに移っての再演ってことでどうなるかなあと期待半分不安半分で観たんだけど、空間の密度が下がるどころかますます上がってて圧倒される。
これは俯瞰じゃなしに前のほうの席で、空間の渦に巻き込まれそうになりながら観たかったなあ・・・。
初演で印象的だった森川さん演ずるムルソーのソロがなくなっていて、かわりにアンサンブル成分が増量。
ムルソーが「ソロで踊る」ってのは、「作劇としてナシ」って判断なのかな?
『静かな一日』
ミクニヤナイハラプロジェクト
吉祥寺シアター(東京都)
2013/02/14 (木) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★
脚本の輝きと役者の熱演が、演出で台無し
脚本は面白そうな雰囲気はあった。
思わぬところから切り込んでくるセリフの応酬は、二人だけの芝居とは思えないほど豊かだった。ような気がする。
役者はもっと「出来る」役者だっただろう。
川田さんはいつもはもっといろんなスケールを使い分けた魅力的なお芝居をする人だし、今回初めて拝見した松永さんも、いつもはもっと違う芝居で観客を魅了しているのだろう。とは思う。
そんないい素材を全部台無しにしてたのが演出。
まず台詞。何を言ってるのか聞きとれない。そして一本調子。
パンフやらインタビューで「今回は言葉」的なことを言っておいて、で、あれか?という感じ。
そして、台詞の豊かさを犠牲にしても手に入れたかったであろう身体表現。これも洗練されたものを全く感じず、台詞をそのままマイムに置き換えたようなものと、構成的に単調な動きのどちらかだけ。ただ単に役者の体力を削っていただけで、役者の疲労以上のものを舞台上にひきずり出すまでには至っていない。
広大なスペースを使ってたインスタレーションも、その他の要素とのスパークに乏しく、それほど物語るものはなかったような。
自分はこれまでニブロール作品は何度か観てたものの、ミクニヤナイハラプロジェクトは観たことがなかった。
なので、今回の作品とはややベクトルが違うという過去のミクニヤナイハラ作品に於いては、今回のような演出も妥当だったのかもしれない。とは思う。
それでも、今回の脚本・今回の役者にまでそうした「ミクニヤナイハラプロジェクトはこういう芸風である」という一種の思考停止をもってクリエイティブにあたったのは間違いなんじゃないだろうか。と、思う。
スピード感が売りなのは理解できた。でもこれよりもっとスピードがありながらちゃんと台詞を観客にぶつけきっている劇団のことを、それほど観劇生活どっぷりってわけでもない自分ですら、この上の世代でも、この下の世代でも、いくつか具体的な名前を挙げることができる。
作品内容的に、「災害」的なもののイメージの羅列が、「3.11」(←この言いかたも自分としては違和感を禁じ得ないところではあるけれども)後の観客に「なんとなく」「それらしく」響く、という意味で、この作品は観客から一定の支持はされるかもしれない。
でも、そんなことは演劇のやることなのだろうか。と自分はどうしても思ってしまう。
今回の脚本ならば、こんな勢い任せな「それらしさ」による共感なんてとこにはとどまらずに、一個一個の台詞を着実に積み上げることによる、もっと深く大きな普遍性への到達も可能だったのではないか。と。
個々のパーツはいいものがあっただけに、いろいろ残念な印象がどうしてもぬぐえない。
脚本と役者の熱演に☆2。上演成果としては☆0。
(こうは書いてるけどが、夏の『前向き!タイモン』再演に関しては、割と楽しみだったりする・・・^^;)
サロメvsヨカナーン【CoRichグランプリ受賞後第一作!】
FUKAIPRODUCE羽衣
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/02/01 (金) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★
期待しすぎたか・・・?でも面白かった
(若干の期待値上げすぎて失敗した感はあるものの、それでも面白いものを観たことは確か!という意味の☆4)
「今このひと時」と「永遠」を、あっけらかんと愛おしく、感傷ではなくサラッと並列して見せちゃう辺り、やっぱりFUKAIPRODUCE羽衣って劇団はあれよね、稀有よね、と再確認する。
登場人物ひとりひとりの物語を縫うようにタクシーを走らせる藤一平&枡野浩一コンビの存在感も気持ちいい。
ただ、どうしても羽衣に関しては名作『愛死に』とか『甘え子ちゃん太郎』とか辺りと比べちゃう自分がいるのよね・・・^^;
ツイッターでも言ってたように、最近の糸井幸之介さんはモノローグよりダイアログに興味の重心が移ってるらしいけど、やっぱり自分の中では糸井さんがモノローグで掬い取る世界が羽衣作品の魅力だったりするんだよなあ・・・
strange
ニットキャップシアター
ザ・スズナリ(東京都)
2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
二度目のニットキャップシアター
失踪した「男」と残してきた「女」の存在が、とけたり、ぶれたり、ぼやけたり。
不思議な重力でグワッと持ってかれるような、そんなおかしみや美しさ。
面白かった。もっとずっと見ていたくなる素敵な100分間。
2011年4月の日本を、こんなに感覚的に豊かな切り口で、愛らしい強度と立体性を持つ演劇にした、そのちから、「まいりました!」としか言いようがない。
ニットキャップシアター作品を観るのはこれが二回目。
演劇の面白さのひとつに、“役者の身体が持つ「換喩力」みたいなもんを使った、いろんなスケールや次元を並列したりねじれの位置に置いたりの遊びによる、「現実」の詩的解体・再構成”的なのがあると思うんだけど、このニットキャップシアターって集団はそこら辺すごい切れ味やってくれちゃうなあって印象。
役者のちから、空間のちから、クセになってしまいそう。
地下室
サンプル
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/01/24 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★★
この気持ち悪さはクセになるなあ・・・
この「ちゃんと嫌な気持ちになれる」感じがたまらなく面白かった。
お話自体は小劇場じゃよくあるタイプの「気持ち悪さ」な話だったけど、それを引力やテクスチャーに富んだな台詞や役者でちゃんと新鮮な「気持ち悪さ」に塗り変えていたのが印象的。
ただ個人的な好みとしては、そうした「物語」を食い破って語られる、もっとえげつなくてもっとスケールの大きな「物語」が観たくはあったけど。
“「神様」を擁することで成立する集団”的な面にも、もう少し踏み込んでほしかったかも。
しかしまあ、古舘さん、山内さんはじめ、役者さんたちの醸し出す圧倒的な得体の知れなさはホントにクセになるなあ・・・。
照明が、何気にすごい緊張感を空間に持たせていて印象に残った。
演劇集団 砂地 『Disk』
演劇集団 砂地
シアタートラム(東京都)
2013/01/24 (木) ~ 2013/01/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
二度目の砂地観劇
劇場空間に入った瞬間にまず「おっ!?」とつかまれ、そのまま作品世界へ引きずり込まれてしまいました。
登場人物一人ひとりが、ガチでぶつかりあうがゆえ/ガチですれ違いあうがゆえにあふれ出る、おかしさや滑稽さ、そのヒリヒリさ加減がおそろしく面白かったです。
砂地作品を観るのは二度目なのですが、役者陣の存在のありよう、そしてその爆ぜ方がホントに魅力的な作品をつくる集団なんだなあ、と改めて。
美術、照明も印象的。特にラストシーンの美しさ。
新年工場見学会2013
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2013/01/02 (水) ~ 2013/01/04 (金)公演終了
満足度★★★★
今年の観劇初めに
ものすごく脱力してるのに、要所要所の締めるところではちゃんと「演劇」としてガチな部分がぎらっと目を光らせてる、そんなかっこいいorぞっとする瞬間が多くあり。
10年になるというこの企画、観るのは初めてだったけど、来年も是非スケジュールあけて行きたいものだなあと。ホットワインも美味しかったし。
声潰しちゃって役を換わった黒田さんと、声がかれ気味だった内田さんがちょっと心配です・・・
「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』
DULL-COLORED POP
アトリエ春風舎(東京都)
2012/12/27 (木) ~ 2012/12/31 (月)公演終了
満足度★★★★★
「演劇って、やっぱり面白い!」と改めて思わせてくれる50分×2
公演タイトルのある種「ふざけてるの?」感からは想像できないほど、真摯で鋭くて刺激的な50分×2。
どちらの作品も、それぞれの形で人間の抱える「謎」に全力でぶつかってったような印象で、かっこよかった。
まだいろいろと消化しきれてないけど、今年の観劇締めをこれにしたのは正解だったと思う&脚本を買ってこなかったのは失敗だったか。
岡田あがささんがここまで魅力的な女優だったとは知りませんでした。すいません。
マクベスは、ってかシェイクスピア作品は、またちゃんと読まなくちゃ、ってか読みたいなだなあ
ポリグラフ
東京芸術劇場
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2012/12/12 (水) ~ 2012/12/28 (金)公演終了
満足度★★★★★
マトリョーシカのように
何かを「演じる」という役者としての身体と、幾重にも映し出される映像を通して、(作中で語られるように)多次元的に「真実」を隠し込んだマトリョーシカのように展開する物語に魅せられた90分。
あれはなんだったのか。これはどこにつながるのか。頭の中でいつまでも噛み続けていたくなる、そんな面白さに満ちた舞台でした。
役者、映像、照明、音楽、その一つ一つが、切れ味鋭く、かつ肉感的でざらざらしたノイズに富んで、そして何と言ってもスタイリッシュ。
一面ブルーの壁をバックに、全裸の役者によって無言で演じられるシーンは、エロティックさより美しさが際立っていて特に印象的。
エンドクレジット(これもホントかっこよかった)が終わっての最後に役者三人が「素」に戻って見せちゃう辺りも、作品の構造的な面白さをさらに深めいていて、実に心憎いというかなんというか。
祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~【KERAバージョン】
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2012/12/09 (日) ~ 2012/12/30 (日)公演終了
満足度★★★★
蜷川バージョンも楽しみ。
評判通り、4時間10分の長さを全く感じさせない推進力と、それでいて悪夢のような世界を確かにじっくり魅せてくれる説得力の両方を持った舞台だなあ、と。
にしても、合唱隊の使いかた、神と人間位置づけetc、「古典」としての強度すら感じさせる脚本だったなあ・・・。
そこら辺を強く見せつけてくるであろう来月の蜷川バージョンも観に行きたくなってしまった。
毎度のことながら映像、音楽ともハイクオリティ。今回は若干場面転換にスムーズさが足りなかった気もしないでもないけど。
当日券狙う人には、パスカルズのピットが見える下手側の席がお薦め。
RUR
演劇集団 砂地
上野ストアハウス(東京都)
2012/12/12 (水) ~ 2012/12/18 (火)公演終了
満足度★★★★★
初・砂地
こんなに面白いならもっとちゃんと早くから観ておきたかったな・・・。
『RUR』の1920年の作品とは思えないほどの現代性と普遍性、そして役者勢の火花散る熱演から生まれる、ヒリヒリとした濃密な空気に圧倒される120分でした。
図書館の自由に関する戦線 ~北の大地・クマ死闘編~
ENBUゼミナール
シアター風姿花伝(東京都)
2012/12/11 (火) ~ 2012/12/12 (水)公演終了
満足度★★★★
この脚本、高校演劇界隈あたりでスタンダードになってほしいな
あらすじ読んだときはなんじゃそりゃだったけど、実際に観てみると谷さんらしい綿密さと大胆さでかなりガチに攻めていて見ごたえ十分な作品。
単なる「社会派」なだけに終わらない、一人一人の登場人物に息づく確かな「生きざま」が印象的。「共生」ということについての、普遍的でそして力強い問いかけも感じました。
出演してた生徒さんたちがちゃんと生き生きとしていて、未熟なところも含め好感が持てました。今後の活躍に是非とも期待。
不変の価値
集団:歩行訓練
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2012/11/21 (水) ~ 2012/11/24 (土)公演終了
満足度★★★★
面白かったけど
中盤以降の情報量の多さに、ぜんぜん頭が追い付かなかった・・・^^;
前半油断させておいて後半あそこまでグッと引っ張ってく鮮やかさはお見事。