満足度★★★★★
マトリョーシカのように
何かを「演じる」という役者としての身体と、幾重にも映し出される映像を通して、(作中で語られるように)多次元的に「真実」を隠し込んだマトリョーシカのように展開する物語に魅せられた90分。
あれはなんだったのか。これはどこにつながるのか。頭の中でいつまでも噛み続けていたくなる、そんな面白さに満ちた舞台でした。
役者、映像、照明、音楽、その一つ一つが、切れ味鋭く、かつ肉感的でざらざらしたノイズに富んで、そして何と言ってもスタイリッシュ。
一面ブルーの壁をバックに、全裸の役者によって無言で演じられるシーンは、エロティックさより美しさが際立っていて特に印象的。
エンドクレジット(これもホントかっこよかった)が終わっての最後に役者三人が「素」に戻って見せちゃう辺りも、作品の構造的な面白さをさらに深めいていて、実に心憎いというかなんというか。