タンゴ-TANGO- 公演情報 タンゴ-TANGO-」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-11件 / 11件中
  • 満足度★★★★

    シニカルでユーモアたっぷり
    「 タンゴ 」特設S席。下手側の舞台サイド極近で観賞。
    かなりシニカルでユーモアたっぷり、そして難解な舞台でした。
    英国留学後の長塚圭史氏、ものすごく挑戦的で実験的な演出。
    まさにパンク!ぐいぐい引き込まれ…でも頭使いすぎて少しぐったり。
    串田氏の統一された舞台美術、美しかった。
    森山未來氏の爆発的演技力にあらためて感動!
    そして吉田氏がかなりカワイイ。観て良かった!

    ネタバレBOX

    クリアで統一された舞台美術が本当に美しかった!
    さらに串田氏のアイディアで生まれた舞台美術の一部としての
    「長塚圭史氏」の登場がおもしろい。
    小道具を運んだり、キャストが演技する中でちょこんと座って
    ながめていたり…最初何のことだか判らずかなり戸惑ったが
    不思議といいかんじだった。
  • あとからじわじわと
    森山未來くんが出る!ということしか考えてなかった。長塚圭史さんの演出だったんだ、ということに劇場入りしてから気づく。始まってから、何だ、この話は!?と思う。休憩時間にパンフレットを買って、1965年にポーランドで初演された劇だと知る。

    ネタバレBOX

    せりふが非常に速く、言葉も難しかったので、ついて行くのがたいへんでした。1幕はがんばりましたが、2幕の途中で眠くなりました。悲劇なのか、喜劇なのかもよくわからないまま、演出に翻弄され、こんな斬新な演出は嫌いだと思いましたが、芝居が終わって帰路に着き、いろいろと考えるにつれてじわじわと演出の妙がよみがえってくる、実に長塚さんらしい仕上がりになっていました。
    パンフレットによると舞台美術(串田和美)も演出に大きく影響しているようでした。
  • 満足度★★★

    長い!私にはやっぱり難解!役者さんたちの演技や舞台美術は面白い。
    長い!
    そして、長塚圭史さんの舞台は、私にとってはやはり難解。
    いや難関かな。
    一幕はかなりつらかった。
    役者さんたちの演技は面白かったのですが、
    話の内容について行くのは(ついていけなくなりそうなのは)大変でした。

    第1幕の混沌とした中、訳も分からないまま
    いろいろ聴いているうちに終わってしまったような。
    その中で、吉田鋼太郎さんの暴走=劇中実験演劇は…変?
    確かに笑ってしまうけれど。
    そして、片桐はいり さんはなんて自然なんだろう。
    秋山菜津子さんの存在感も凄い。
    「ガラかめ」でも観ていた奥村佳恵さんは、美しく可愛らしい。特に二幕。

    全編一人苦悩し、二幕で大きく動く森山未來さんの、
    このエネルギーは圧巻。
    これを毎公演やっているなんて…。

    橋本さとし さんもまた二幕で大きく動き出す。
    この変わりっぷりが見事。
    そしてまた、いつもはいかつく、ゆるぎない
    辻萬長さんの振る舞いもまた変わる。

    難解と思っていた話も、クライマックスは良くわかった。
    要するに権力とは?ということが言いたかったんですよね?
    (違ったりして^^;)

    串田和美さんの舞台美術がすばらしい。
    透明アクリルの壁、テーブル、椅子、それだけでなく
    パンフを読むと演出家の長塚圭史さんが
    小道具を持ってくる…なども串田さんの指定だったとは。
    演出でなくて舞台美術だったのか。
    そんなのもアリですか!
    面白い。
    けれど、「演出家が小道具を持ってくる…」とかって、どういう意味があったのだろうか???

    【これだけは絶対言いたい!】
    この充実したパンフレットが1000円で買えるなんて素晴らしい。
    他の舞台も是非見習ってほしい!

  • 満足度★★★

    挑発的
    普段コクーンで上演される作品に比べるとかなり尖った雰囲気の戯曲・演出の作品でした。
    とある家族の生活に政治的な比喩が多少のユーモアを伴って被せられていて、いかにもヨーロッパの戯曲らしい感じでした。

    舞台美術が印象に残りました。西沢立衛さんや石上純也さんの建築作品を思わせる、部屋サイズの箱が舞台に数個設置されていて、一幕ではそれらの位置が絶えず変化してダイナミックな効果をあげていました。椅子や机などの家具は透明アクリルのもので(おそらくカルテル社製)、不思議な存在感を出していました。

    役者たちも個性的な人ばかりで、特に森山未來さんの早口の長台詞と身体表現が素晴らしかったです。片桐はいりさんのちょっとエキセントリックな動きのおばあちゃんも楽しかったです。

    シリアスな場面にふいに笑いが差し込まれてあったりして、物語も演技も飽きることはなかったのですが、この作品を上演するにはコクーンは空間が大きすぎるように感じました。もっと間近で台詞の応酬を観てみたく思いました。

  • 満足度★★★★★

    「タンゴ」感想
    以下にネタバレの感想を書かせて頂きました。
    役者さんたちが全員恐ろしく達者で、とてもおもしろかったです。

    ネタバレBOX

     「家族」を国家に見立てて、一見喜劇風に見せつつも、非常に社会的かつ批判的な闘争劇のように見えました。ラストは、疲弊しきった自由社会や、その後のアナーキズムは、理想主義や形式主義を押しのけファシズムに傾倒していく…という冷たくも激しい批判的精神に満ちた終わり方でした。
     前半は、反抗期の独りよがりで夢見がちな息子を中心にした、滑稽で切ない家族の物語として入り込めました。少し退屈になりそうな論理合戦や、棺桶台に寝かされる祖母のシュールなシーンなども、登場人物達のエネルギッシュな喜劇性により、楽しく見ることが出来ました。
    「老いている」。…この家族(社会)は全体的に「老いている」「古くなっている」「静かに腐っている」…そう思わせる描写が秀逸で、しかし、それが不快には見えません。高度成長期を終え、さまざまなことが停滞している現代日本に少し通じるところもあるかもしれません。
    アルトゥルの家庭は、確かに旧時代の残骸かもしれませんが、何故かとても魅力的でした。魅力的すぎたといっていい。後半に、もっと畳みかけるようにこの演劇の批判的精神を盛り込むには、堕落しきった家庭をもっと陰鬱に見せた方がよかったかもしれません。でもそうすると1時間40分は退屈すぎるかも。
    この悲しい演劇を喜劇に見せたいという長塚演出の心意気はよいと思いました。喜劇とシリアスのバランスは、結構うまく取れていたのではないでしょうか。
    特に吉田鋼太郎氏の身体を張った演技は素晴らしく、滑稽で愛おしい感じがします。タンゴという踊りが発生当時は「いかがわしく官能的なもの」と見られがちだったこと、それ故に自由の象徴として大流行したとの話をパンフで読みますと、ストーミルが為した過去の栄光を象徴・体現するようでよかったと思います。
     また森山氏演じるアルトゥルの膨大なセリフも、青年特有の甘酸っぱい主張として強く胸に響きました。
     後半はガラリと色を変えます。途端に「家族」の色がそげ落ち、前半にあった生き生きとした個々の魅力がなくなり、家族の一人ひとりが何かの比喩としての人形(ひとがた)のように感じられます。
    祖母は殺される前に窮屈な世の中から自ら去り、父は自分だけの世界に引きこもり、母は男たちに翻弄されつつも自分は自分の意志で行動していると信じている。美しき女は社会よりも愛されることのみを考え、祖母の弟は、いつしか主であったアルトゥルを超えて実質的な権力を加速させ、アルトゥルを絶望の淵へ落とす。
     観客は、従兄アラの無邪気さと率直さと美しさに大変癒されながらも、いつのまにか理想は武力によって倒され、人々はそれを止めようともしない…むしろ、率先してタンゴを踊り始める…という過程を見せつけられます。
     笑いながら見ていたら、いつのまにか一人ほの暗い場所に立っていた…そのような、少しホラーのような匂いも感じる素晴らしい演劇でした。
     ただ、今の日本ではファシズムの恐怖というものが戦争を体験したにもかかわらずいまいちなじみ薄く、大きな共感を寄せるというよりも、「外国らしい翻訳劇だな」という気持ちを拭いされなかった気がします。
    長塚さん、もっともっと日本風にアレンジして尖ってもよかったのではないでしょうか。
     それから、評価の高い前衛的な舞台美術ですが、歌舞伎すぎて私はあまり斬新に感じられなかったことが残念でした。動きのある舞台美術は斬新かもしれませんが、閉そく感を出すためにもっとかっちりしたものの方がよかったのではないかと思いました。
    長塚さんが演出家を超えた舞台装置の一つとなって名演されていましたが、観客は彼の存在は何かと過剰に考えしまう。するとかえって主題がぼやけてしまったような気がします。

     しかしながら、とても面白く幾通りの解釈もでき、社会劇にも風刺劇にも見えるし、ホームコメディとして軽く見ることだってできる。素晴らしい可能性を秘めた新しい演劇の試みだと感嘆致しました。
    見てよかったです。
  • 満足度★★★

    不思議な魅力のある芝居
    考えてみると、相当、粒揃いのキャストで、贅沢な舞台でした。

    森山未来さん、初舞台から拝見していますが、いつの間にか凄い俳優さんになったなあと感慨深いものがありました。

    今の若者のしたり顔の幼児性も仄見え、大変興味深い作品でした。

    一幕は圧倒的に面白く、ニ幕は、一般的不条理劇風になり、途中眠くなったりしました。
    一幕は、☆4、ニ幕は、☆2で、トータル3ぐらいでしょうか?

    ネタバレBOX

    とにかく、1幕の運びは刺激的に痛快でした。
    森山さんは、ほとんど、早口で、常に喧嘩腰の台詞の量が生半可じゃないのに、しっかり、感情も台詞も伝える技術が身についていて、お見事です。

    吉田剛太郎さんと、未来君の壮絶で愉快な掛け合いシーンは、かなり必見ものでした。

    おじさん役の辻さんを、1幕の間、串田さんかと思って観ていました。皆さん、普段はあまり演じないタイプの役で、新鮮でした。

    最初と最後に登場する、演出の長塚さんの存在感が圧倒的でした。

    鐘下さん的な、カーテンコールのない舞台に意表をつかれたお客さんが多く、これはあっても良かったように思うのですが…。
    熱演の役者さんに、たくさん拍手を送りたかった気がします。
  • 満足度★★★★

    すっごくカロリー消費してるよな…
    森山未來くんは、感動ものでしたね。大量のセリフ、しかも早口。動きも激しいし、圧巻でした。

    吉田鋼太郎さんは、私が以前拝見したのと全く違った役柄だったこともあり、すっかりハマってしまいました。

    また、観に行きたいな〜。

    ネタバレBOX

    演出!?出演!?
    長塚圭史さんが、舞台上にいて、セット動かしたり、小道具を出したり…。
    こんな光景、初めて体験でした。面白かった〜。
  • 満足度★★★★

    挑戦だし、挑発!
    シアターコクーンでこの演目をこの方法で上演してることに驚愕。串田さんの「美術」と長塚さんの「演出」の挑発にタジタジの完敗。どの回を観ても同じことは起こらないのでしょう。役者さんがとても素晴らしくて、初日に拝見しましたが、また観たくなっています。

  • 満足度★★★★

    私は好き。
    これは演劇でしか表現出来ない世界だなぁ〜と思わせる演出が好きでした。
    なによりアルトゥル演じる森山未來くんが素晴らしかったです。満たされず迷走し反抗する若者の激しい憤りを美しく演じていました。
    無機質な部屋のセット。「何も無い」に近いところまで持っていった舞台美術は演出家の串田和美さん。登場人物たちの曖昧な関係とリンクしていておもしろかったです。
    橋本さとしさんもいい!

  • 満足度★★★

    多分
    鑑賞者の年齢によって大きく受け止め方が異なってくる作品。
    今の10代~20代前半までだったら結構自分のことだと
    感じるかもだけど、それ以降の世代になるに従って主人公
    アルトゥルへの共感は難しくなっていくと想像されます。

    私? 半々、ってとこですね…。

    ネタバレBOX

    初演がもう40年以上前の作品なのに、翻訳が良く出来ているのか
    はたまたホン自体の生命力が強いのか。 むしろ、現代の若者像に
    通じる、というか、ある種の人間に関しては通じ過ぎてる(苦笑

    で、また台詞が凄く良い。 ちゃんと、普通の人間だったら、この状況に
    こういう反応するよな、って感じの会話をちゃんと投げかけてきます。

    最初から最後まで舞台が家の居間を中心にして引き起こされる
    ことからも分かるように、アルトゥルの闘いは一家の中だけの
    事なんですね。 行動を引き起こしているようで、実は起こせてない。
    何の影響も無い、という事ですね、残念ながら。

    家の中を覆う不真面目さと弛緩しっぷりに憤って、闘争を、革命を
    宣言する彼は恐ろしく真面目な人間なんでしょう。それこそ
    エーデックがいみじくも指摘したように「ちょいと神経質」だったのでしょう。

    でもさ…

    アラを罵倒するのは正直「無い」よ。 
    頭でっかちで長々と長広舌をふるうだけのアルトゥルと比較して
    ホントにアラは素直で良い娘なんです。 それだけにがっかりだった。

    結局、「自立できない」「親離れ出来ない」子供の内弁慶、って感じの
    内容でした。 恐ろしいほど、ある意味今の現代の若者の性質の
    一部を抽出しちゃってて、そこが可笑しくも怖過ぎる。
    「幼稚性」「異様に肥大した全能性」って、結構見る機会が多い性格だなぁ。。

    森山未来は素晴らしい役者です。 アルトゥルを完全に「モノ」にしてました。
    この作品、真面目にアルトゥルが演じられれば演じられるほど、異様さと
    おかしさ、無様さが輝くのでその点申し分が無かったです。

    毎回どこか抜けてておかしい片桐はいりのエウゲーニャとのコントじみた
    会話の数々、正反対にみえて実はそんなにメンタリティ的には遠くない、
    似たもの親子の吉田ストーミルとの大げさすぎて滑稽過ぎるやり取りも
    ウケたけど。

    アラと絡んでこそアルトゥルは輝きますね。
    エーデックが気になるふりを見せるアラに対して、いきなりやきもち
    焼いて癇癪を起したり、「脱いでもいい?」とか言い出して服を脱ぎ出す
    アラに対して焦りながら説教をはじめたり。

    この辺のアルトゥルが一番「良い感じ」でした。
    素直になれない、子供っぽさが前面に出ててそこが微笑ましいというのか。

    でも、アラはホントにアルトゥル好きだし、良い娘だ。

    普通だったら、意味の分からない理論を延々開陳する男なんて
    「キモイ」の一言で終わりなのに、話を最後まで聞いてやって
    会話のキャッチボールはしてあげるわ、結婚は承諾するわ、
    どうしようもなさ過ぎるアルトゥルに対しても「(今後の彼の
    変化への)希望は持っている」っていうんだもの。

    アルトゥルがもう少し早く素直になっておけば良い感じの二人だったのに、とそこが悔やまれるね。 何言ってるの、って感じだけど。。
  • 満足度★★★

    森山未來の肉体
    芝居自体は退屈だが、森山未來の肉体が弾けている。声も立ち振る舞いも素晴らしく、良い役者だなと。しかし、このいかにも近代ヨーロッパらしい戯曲を今の日本で上演する必要があるのだろうか?

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