満足度★★★
挑発的
普段コクーンで上演される作品に比べるとかなり尖った雰囲気の戯曲・演出の作品でした。
とある家族の生活に政治的な比喩が多少のユーモアを伴って被せられていて、いかにもヨーロッパの戯曲らしい感じでした。
舞台美術が印象に残りました。西沢立衛さんや石上純也さんの建築作品を思わせる、部屋サイズの箱が舞台に数個設置されていて、一幕ではそれらの位置が絶えず変化してダイナミックな効果をあげていました。椅子や机などの家具は透明アクリルのもので(おそらくカルテル社製)、不思議な存在感を出していました。
役者たちも個性的な人ばかりで、特に森山未來さんの早口の長台詞と身体表現が素晴らしかったです。片桐はいりさんのちょっとエキセントリックな動きのおばあちゃんも楽しかったです。
シリアスな場面にふいに笑いが差し込まれてあったりして、物語も演技も飽きることはなかったのですが、この作品を上演するにはコクーンは空間が大きすぎるように感じました。もっと間近で台詞の応酬を観てみたく思いました。