タンゴ-TANGO- 公演情報 Bunkamura「タンゴ-TANGO-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    多分
    鑑賞者の年齢によって大きく受け止め方が異なってくる作品。
    今の10代~20代前半までだったら結構自分のことだと
    感じるかもだけど、それ以降の世代になるに従って主人公
    アルトゥルへの共感は難しくなっていくと想像されます。

    私? 半々、ってとこですね…。

    ネタバレBOX

    初演がもう40年以上前の作品なのに、翻訳が良く出来ているのか
    はたまたホン自体の生命力が強いのか。 むしろ、現代の若者像に
    通じる、というか、ある種の人間に関しては通じ過ぎてる(苦笑

    で、また台詞が凄く良い。 ちゃんと、普通の人間だったら、この状況に
    こういう反応するよな、って感じの会話をちゃんと投げかけてきます。

    最初から最後まで舞台が家の居間を中心にして引き起こされる
    ことからも分かるように、アルトゥルの闘いは一家の中だけの
    事なんですね。 行動を引き起こしているようで、実は起こせてない。
    何の影響も無い、という事ですね、残念ながら。

    家の中を覆う不真面目さと弛緩しっぷりに憤って、闘争を、革命を
    宣言する彼は恐ろしく真面目な人間なんでしょう。それこそ
    エーデックがいみじくも指摘したように「ちょいと神経質」だったのでしょう。

    でもさ…

    アラを罵倒するのは正直「無い」よ。 
    頭でっかちで長々と長広舌をふるうだけのアルトゥルと比較して
    ホントにアラは素直で良い娘なんです。 それだけにがっかりだった。

    結局、「自立できない」「親離れ出来ない」子供の内弁慶、って感じの
    内容でした。 恐ろしいほど、ある意味今の現代の若者の性質の
    一部を抽出しちゃってて、そこが可笑しくも怖過ぎる。
    「幼稚性」「異様に肥大した全能性」って、結構見る機会が多い性格だなぁ。。

    森山未来は素晴らしい役者です。 アルトゥルを完全に「モノ」にしてました。
    この作品、真面目にアルトゥルが演じられれば演じられるほど、異様さと
    おかしさ、無様さが輝くのでその点申し分が無かったです。

    毎回どこか抜けてておかしい片桐はいりのエウゲーニャとのコントじみた
    会話の数々、正反対にみえて実はそんなにメンタリティ的には遠くない、
    似たもの親子の吉田ストーミルとの大げさすぎて滑稽過ぎるやり取りも
    ウケたけど。

    アラと絡んでこそアルトゥルは輝きますね。
    エーデックが気になるふりを見せるアラに対して、いきなりやきもち
    焼いて癇癪を起したり、「脱いでもいい?」とか言い出して服を脱ぎ出す
    アラに対して焦りながら説教をはじめたり。

    この辺のアルトゥルが一番「良い感じ」でした。
    素直になれない、子供っぽさが前面に出ててそこが微笑ましいというのか。

    でも、アラはホントにアルトゥル好きだし、良い娘だ。

    普通だったら、意味の分からない理論を延々開陳する男なんて
    「キモイ」の一言で終わりなのに、話を最後まで聞いてやって
    会話のキャッチボールはしてあげるわ、結婚は承諾するわ、
    どうしようもなさ過ぎるアルトゥルに対しても「(今後の彼の
    変化への)希望は持っている」っていうんだもの。

    アルトゥルがもう少し早く素直になっておけば良い感じの二人だったのに、とそこが悔やまれるね。 何言ってるの、って感じだけど。。

    0

    2010/11/07 21:31

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大