R.U.R. 公演情報 R.U.R.」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-20件 / 22件中
  • 満足度★★★

    100年も前に書かれていたと思えないほどのリアルを感じました。心を持たないはずの機械のロボットが反乱を起こし最後には愛情を備える・・・ 100年たった今 従順なAIは本当に反乱を起こすのだろうかと思うと不安に思うが この作品を警鐘と捉えた方がいいのだろうかと思いました。

  • 満足度★★★★

    この年になってチェコの国民的作家を見出し喜んでいる。ハツビロコウには異色作でも、演目に興味津々。先日の「クラカチット」といい本作といいドラマの背景に相当程度の科学的知見が覗くが、彼はSF作家というよりは、科学の発達がもたらす生活様式の変化もさりながらその影響を被る人間の心理や反応パターンの変化を予言的に組み込んだ描写を施している。描く対象はリアルな人間であり、時代を先取りしたものだ。
    彼を予言的な記述に駆り立てたのはやはり、(解説を読んだ訳ではないが)第一次大戦が示した科学技術の跳躍的進歩だろうと想像する。大戦開始時に空軍はなかったが、大戦中に爆撃機が飛ぶようになる。殺傷能力を拡大させた兵器により桁違いの死者、民間人の死者も出し、「未曾有の惨劇」という戦争のイメージはこの大戦からと言う。
    その影からか本作も空想に遊ぶ娯楽の要素は小さく、警告のトーンが濃い。使役用の人造人間を製造する会社「R.U.R.」(最後のRがロボットの頭文字)が命名した呼称が人口に膾炙するのは、この作品が持つインパクトからだろう。原作戯曲を圧縮したハツビロコウ版は、簡潔に作品の要点を伝え、3幕3時期に分けてロボット発明以降の人類史的顛末を、孤島に存在するロボット製造工場の本部事務所で(原作指定通り)描いていた。
    筆を入れたのは松本光生氏という。一人生き残った技師アルキストの最後の台詞など私がみた原作版より鋭く簡潔であったと思う。老いて朦朧とした彼は、ガルが最後に作ったというロボット2体(男女)の中に「人間」を見る。それは彼が「それを備えていれば人間である」と感じられるものが、彼らの中にあったという事。
    始まりはロボットを人間が生み出した事で、ヘレナがその事への疑義を持ち込んだために事が歪んで行くが、それ以前に「ロボット以降人間は子を生まなくなった」という象徴的な事態が生じており、ヘレナがガルに頼んで魂を持つように作らせたロボットが人類を破滅的事態に陥らせたこともある必然の結末となっている。ところがロボット自身が自己増殖という欲求を持ったにも関わらずその方法を知らなかったため、最後の人間であるアルキストに方法を見出すよう頼み込んでいる。一方彼は自身の希望のため、地球上に生存者を一人でも探し出すよう彼らに言いつけているが、事態は絶望的である。先の結末は死を前にした最後の生き残りアルキストの自己納得ではなく、実質そこに人間が居た。彼らアダムとイブによって未来が開かれていく希望を彼は持ち、眠りにつく。そこには人間かロボットかという違いへの着眼はなく、ましてや人間同士を分かつあらゆる属性へのこだわりもない。人間とは何か・・アルキストの上に、この問いを刻んだ碑が立っていた。

  • 満足度★★★★★

    途切れることの無い緊張感の連続、素晴らしいです。

    ネタバレBOX

    人類が自ら生み出したロボットの手によって滅亡させられる、という悲劇。何よりも100年も昔に現代を見事に予想的中させるような脚本、すごいの一言です。ノアの方舟を彷彿とさせる島からの脱出、男女ロボットのアダムとイブは未来と旧約聖書という隔世物が併存、まさに興亡の輪廻ですね。
    今回の公演は演出の松本さんが現代にも通じるように書き直して舞台にしたとのこと。
    とてもわかり易い作品に仕上がっており、緊迫感がラストまで続く演出と役者さん達の熱演はお見事でした。
    作品を拝見して感じたのはひょっとしてカレル・チャペックは映画「ターミネーター」や「シンギュラリティ」まで読み切っていたのでは、と思えたことです。しかも現在、テクノロジーの発達がもたらしている諸問題までも。
    スリーマイル島やチェルノブイリの悲劇がありながら起こした福島原発事故、既に我々は増え続ける核の廃棄物や汚染水に追い詰められていますよね。でも原発はやめようとしません。
    ボーイング737の墜落原因のMCASもしかりです。どうもMCASがパイロットの指示を無視するようで、意思を持ったかの如くです。そんな時に都心のど真ん中に航路を変更しようとする我が国。
    終演後もずっと考えさせられた作品でした。初めて海外作品に取り組まれたハツイビロコウさんが今こそやるべき、と公演を決められたこと。よく理解できました。
  • 満足度★★★★★

    ロボットという言葉の元になった約100年前の戯曲ということぐらいしか知らずに観たけど、とても面白かった。一幕がカットされているそうだが、初めて観る者としては特に話が分からないということもなかったし、セットらしいセットもないのにこの緊迫感はすごい。

    ネタバレBOX

    ヘレナを演じた森郁月さんがとても印象的で、某作品のショーン・ヤング的なものを感じてしまい、これも自分にとっては面白かったのだが、それは原作を知らないが故の怪我の功名だったのだろう。従来の上演だと2役を演じることが普通なのかもしれないが、今回に関してはこれでよかったのではないかと思える。
  • 満足度★★★★

    人間とロボットの共生...夢語りと思えるような。ロボットをテーマにしつつ、経済至上主義、ロボットという”製品”の需要に応えるため生産性を高めるが、一方そのロボットが何に使用され、または利用されるか後々のことは考えない。その社会的道義を鋭く突いた力作だ。原作は100年前に書かれているらしいが、その着眼点は現代においても十分通用する。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    セットは中央に机、その上に電器と書類、この劇場の特徴の1つである柱の傍に植木鉢があるだけのシンプルなもの。

    物語は、表層的には人間とロボットの関係を描いているように思える。しかし、人間からの従属解放を求めたロボットの反乱という設定から、近現代のグローバル経済の下で歴然とした人間の労使不平等を連想させる。ロボットからの過酷な労働状況の告発を受けながらも、ロボットの究極の弱みを握って交渉する人間の狡猾さ。そこに厳しい現実が見える。奴隷制度をロボットを介在させることで立場的な違いを緩和して見せているが、根底には不平等社会を鋭く抉る内容だ。
    また人間とロボットとの関係は神と人間という宗教的な側面も見せる。旧約聖書にある「バベルの塔」では、塔建築に神が怒り人間が同じ言葉を話すことが原因だとし異なるようにしたと思うが。この公演でもロボットの思考回路が同じであるから反乱を起こす。だから製造に違いを加えると…。物語の主題とも思える不平等・理不尽さ、その表層主題から見え隠れする人間のもつ傲慢さが描かれている。
    一方、ロボットに対し理解を示すヘレナ(森郁月サン)はミューズ的な存在。全体的に不安・不穏な雰囲気を漂わせるため薄暗い照明にしているが、彼女は島にいる人々の心を明るく和ませる。人間的な良心の持ち主ヘレナ、島にいる独善的な人間(男)たち、感情を持ったロボットという立ち位置の異なる存在が物語に深みをもたらす。

    ラスト_ロボット2体による情愛深い行動は、これからの人間とAIとの信頼といった関係を示唆するのだろうか。映画「her / 世界でひとつの彼女」では、知能が進化し、主人公との関係が深まるにつれて、人間の切望の気持ちと人間の感情のようなものが芽生えていく”人工知能”が描かれていた。
    本作は100年前の原作であるらしいが、現代においても興味深い、そして現代版にアレンジした公演は観応えがあった。
    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

    みなさんの口コミ等を勉強してからの観劇でしたが、もしかしたらなくても十分に楽しめたと思います。
    100年も前にこんなお話を書いた方、すごいなあと思います。それを調度いい時間にまとめて、大変楽しく見させていただきました。役者の皆さんの演技も素晴らしかったです。以前も別の演目を拝見しましたが、役者の皆さんの演技は印象的でした。(今回も) 今後の活躍を期待しています

  • 満足度★★★★

    100年も前の外国の戯曲の翻訳にもかかわらず、最初から最後まで違和感なく世界観に浸ることができました。最近AIやシンギュラリティ、遺伝子編集といった言葉を目にすることが多くなったということがあるのでしょうが、人間とは何かという普遍のテーマが、この戯曲が時代が変わっても色褪せない一番の理由でしょう。
    机一つしかないほの暗いシンプルな舞台でしたが、十分その世界観を表していました。
    少し残念だったのは、座席が2方向に配置されていたのですが、片方からはやや見にくいアングルだったということ。キャストの後ろ姿を見ている時間が長かった様に感じました。

  • 満足度★★★★★

    昨日「ロボットとわたし」で予習(?)したおかげでお話はよくわかりましたが、そのために「ロボットとわたし」を見ないで「R.U.R.」を見たらどうだったのかというのがわからないのは残念でもあります。なので1幕がなくても二人の会話から結構分かるとか、最後に出てきたロボットがどういう意味を持つのかとか、もしかしたらよくわからないまま終わってしまったのかしらと思うのでした。ただ、原作はともかく、ヘレナは二役ではないのがこちらでも正解だと思います。
    シンプルなセットでしたがロボット達との攻防の危機感は見事でした。

  • 満足度★★★★

    100年も前の作品なのにAI化しつつある現代に当てはまりそうで怖い。
    ただいつもの心臓をつかまれるような辛さや恐怖があまり感じられなかったような・・・
    もう少し追いつめられる怖さや絶望を感じたかった。

  • 満足度★★★★

    観てきたの☆の数が少なかったので期待をあまりせずに出かけましたがとても面白かったです。1時間40分引き込まれてあっという間に時間が過ぎました。反乱の直前にガレによって造られた最後のロボットの演技は少し物足りなさを感じましたが、全体として楽しめました。

  • 100年近く前に書かれた作品ということに畏怖を覚える。
    かなり手を入れた上演になっており、古さを感じさせない。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/03/29 (金) 19:00

    100年前に書かれた作品だと思うと、その問題提起のリアルさに驚く。設定を現代に置き換えても違和感無い緊張感。予備知識なしだと冒頭のヘレナのハイテンション不安が唐突に感じるかもしれない。終盤、進化したロボットの哀れさが際立つシーンは秀逸。コンパクトな構成で、上手く強調される個所と状況説明の不足が共存する感じ。

    ネタバレBOX

    ロボットメーカーの社長とスタッフたちが、固唾をのんで何かを待っている。
    ロボットたちが反乱を起こし、次々と主要ライフライン系を占拠していく中、
    頼みの綱である船が予定通り港に入って来るのを待っているのである。
    予定通り入ってくれば、輸送部門はまだ占拠されていない証拠であり、
    自分たちはこの島からその船で脱出できるからだ。
    忠実だったロボットたちの突然の変化に不安を募らせる社長の妻ヘレナ(森郁月)。
    ロボット製造は神への冒涜であり、罰が当たったのだとするお手伝いのナナ(佐藤紘子)。
    ところが港は既にロボットたちに押さえられ、社長たちは助かるために
    ロボットたちと交渉するしかないところまで追いつめられる。
    交渉の切り札となるのは、その製造方法を記した手書きの古いレポートのみ。
    これが無ければロボットは今後製造不可能、20年の寿命が尽きれば全て動かなくなる。
    だがそのレポートは、さっきヘレナがシュレッダーにかけてしまっていた・・・。

    「人間に子供ができなくなったのは、人間が要らなくなったからだ」という
    衝撃的な背景が冒頭に語られる。
    人工生命体が主になると不要な生命は淘汰されていくという事か。

    この作品のロボットはアトムのような“メカ系”ではなく
    アンドロイドのような“有機体系”を指しており、より人間に近い構造を持っている。
    終盤で明らかになるが、ガル博士(松本光生)がロボットに感情を持つよう
    操作したことが、反乱を招いたことが判明する。
    つまり「より優れているロボットが、なぜ人間ごときに使われるのか」という
    反発と憎しみを抱くようになってしまったのだ。
    そしてそれを博士に依頼したのはヘレナだったことも告白される。
    ”間違いを犯す人間”を体現するかのようなヘレナの揺れが人間性を強調しているよう。

    ロボットのリーダーラディウス(井出麻渡)は、
    自分の廃棄処分を救ってくれたヘレナさえも容赦なく殺してしまうが、
    そのシーンはない。
    力強い演説で仲間を鼓舞し、製造方法を入手しようともがく感情を得たラディウスが、
    “恩を感じることは無い”という、残った“ロボット性”を
    見せつけるシーンが観たかった気もする。

    “労働から解放されて幸福になる”ことを目指してロボットを製造したのに
    最後はそのロボットに殺され、生き残った人間は建築士(蒲田哲)ひとり。
    その彼の前に人間かロボットか区別がつかないような二人が現れる。
    互いをかばい合い、自分が犠牲になると申し出る彼らに、
    建築士は豊かな感情を持ったロボットの存在を改めて知ることになる。

    “ロボットとは何か”という定義はそのまま“人間とは何か”ということだ。
    感情を持ち反感と憎しみを覚えたロボットはしかし、
    失われた製造方法を手に入れようと必死にもがくようになる。
    「命令してください!」と叫ぶロボットは、創造性を持たないことを示している。
    人間もロボットも、誰も幸せになれない。
    進化したロボットがこの先どうなるのか、答えも未来も観る人に委ねられる。

    全てはカレル・チャペックの想像力・洞察力のすばらしさに尽きる。
    様々な演出を観てみたいと思わせる脚本だった。

  • 満足度★★★★

    コンパクトにまとめられた味わい深い素晴らしい舞台でした。
     

    ネタバレBOX

     余計なものを削ぎおとし、伝えたいものだけを残した演出で魅せるチャペックの作品を堪能しました。

     危機迫る臨場感に溢れた役者皆さんの迫真の演技に最初から引き込まれました。

     物語は、ヘレナが島の研究所を訪れ結婚して10年後からの展開で、ロボットの反乱が起きる.....
     ロボットの感情を持たない1か0か、何の躊躇いもなく殺してしまう残忍さと、ロボットに人間の習性を学習させることで、人間の感情が生み出す愚かさや過ち、身勝手な考えや憎悪、敵対心、如何に文化が進化しても繰返えされる(歴史)変わらぬ争い等、ロボットが人間の考え方に矛盾を感じとった時、起こるべくして起こる事態!? 
     創造主は確実に制御(停止)することが出来るのか!?
     ロボットが平和(秩序)を守ろうとするために人類が滅亡することもあるかもしれない.....
     また、ロボットの便利さが人間の機能そのものの進化を止め、逆に退化させてしまうのではないか…
    少子化の進む現代の問題にも触れているような...
     そんなことをロボットをとおして教えているようにも思えました。

     書かれた当時こそロボットの製造方法のマニュアルがなく、右往左往していたかも知れませんが、今や目的の認識でいくらでも自ら学習し、それ以上のものを創ってしまうことが可能なレベルまで達してしまっていると思うと、人工知能搭載ロボットの機能や目的、方向性や倫理観が開発者の考え方次第で100年も前に書かれた預言書とも言える戯曲が事実のものになりかねない恐ろしさを感じました。

     ラストシーンには、最後に作られた未完成で人の純粋な心と未熟さ(未知の可能性)を持ち合わせるロボットに、相手を思いやる気持ち自己犠牲や愛、喜怒哀楽の感情など、未来に希望の光を残す(役者選出も)演出もとても良かったです。

     見ごたえのある素晴らしい舞台でした。

  • 満足度★★★★

    内容のある、充実した、しっかりした劇だった。

  • 満足度★★★★

    今週はチャペック大流行。三つも小屋が開くのは日本演劇史上初めてではないか。
    もっとも、ロボットの語源になったこの戯曲、書かれて数年後には築地小劇場で上演した由だから日本との相性はいいのかもしれない。手塚治虫もいただいたようだし。
    だが、ロボットの有効性も、あながちファンタジーの世界とは言えなくなったIT時代の今、ハツビロコウのこの「R.U.R」はSF原典の戯曲を、時代の倫理を読むドラマとして見なおそうとしている。
    原作の第一幕をカットして、ロボット蜂起以降、人間滅亡の後半に絞って、残された人間の再生を描いている。SFも進化した今となっては、古色蒼然のストーリー、テーマなのだが、それが却って問題の焦点をあきらかにしている。狭い劇場でわずかなスペースでの俳優の出入り、演技は巧みに考えられていて、緊張が持続する。女優陣はみな柄はいい(森郁月、大木明)のだが、演技が高ぶりすぎる。こういう異常なシチュエーションこそ押さえて、抑えて!。社長(今国雅隆)と夫婦という関係が見えてこないのも足りないところだ。SFドラマなら営業部長(稲葉能教)のコミックのような演技でいいのだろうが、これだけリアリズムで押すと、浮いてしまう。そういう点では、全体統一がとれているとは言えないのだが、奇妙な魅力もあるハツビロコウの舞台だった。音楽をピアノに絞ったのもよかった。
    1時間40分。ちょうどいいサイズだ。

    ネタバレBOX

    奇妙な魅力のある少し壊れた舞台というのは、大きな可能性がある。これはどこがどこ、といえない芝居ならではの舞台と観客の共犯のようなもので、経験から言えば、転形劇場、初期の大人計画、シャンプーハット、関西ならこれまた初期のヨーロッパ企画には、へーんな魅力があったのだ。
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/03/26 (火) 19:30

    ハツビロコウ初の翻訳劇。
    上演台本は松本光生氏だけれど、新訳ということではないらしい。
    事前に、①ここでの「ロボット」とは機械仕様のものではなく、有機体であるということ。
        ②ロボットの反乱を描いた作品であるということ。
    くらいの知識しかなく、そもそも三幕構成であることも知らなかった。
    「上演台本・演出」とわざわざ書いたのは、意図するところがあって第一幕とロボットがハリー達を襲撃する場面は削りました、という表明なのだろう

    第一幕を削ると、人間がロボットと共生していた(ロボットが隷従していた)場面がなくなり、襲撃場面がなくなると、ロボットの登場シーンも大きく削られ、その暴力性も描かれなくなる。(ロボットが向上へ侵入を図るのも、ブスマンが殺されるのも目撃者に)語られるだけだ)

    登場するロボットは3体、反乱の首謀者ラディウスと、ガル博士が最後に作った(ということは最も人間に近づけた)プリムスとヘレナのみ。彼らは感情(らしきもの)を持っている。

    さて、こうした構成の意図は何か。おそらく、人間とロボットとの境界線をあいまいにし、現代における人間とAIの関係に近しい状況の上で、「R.U.R」を読み替えてみようとする試みなのかと思う。
    人間のヘレナが既存の存在として登場するこの舞台(第一幕では、外部からやってきて、感情を除いたロボットの人間との近似性に驚く)では、むしろヘレナ自身がロボットではないかと勘繰ってしまう状況が用意されている。何せ演じる森郁月さんのスタイルとファッションは、他の男達(背広や作業服、白衣といった)の日常性と一線を画しているし、ロボットへの感情移入が際立っているから。
    とはいえ、ヘレナがロボットとの平等と共存を強く主張しながらも、同時にロボットの存在が人間を怠惰にして子供を産まなくさせているという推測からロボットの増産を辞めさせようとする(人工生命製造の秘伝書をシュレッダーする、つまりこれは種の絶滅を意味する)姿勢は、大きな矛盾を孕み、そのことが彼女の人間性を担保しているかとも見れる。
    そして、ラディウスの粉砕機行きを救おうとしたヘレンでさえも、ロボットたちに殺されるという経緯は、まさに種間の争いの根深さを象徴し、人間とAIの未来に不安を残すだろう。

    第三幕の最後に光明が見いだせるのか。ロボットはすでに増殖の途が断たれているのだ。
    彼らに秘伝書の復活を期待できないでもないが、100年もかかって作り上げたものを、20年の寿命しかないロボットが1から構築するのは不可能だろう。感情を持ってしまったゆえに、死を恐れるロボットも哀れ。

    最後に、ロボットのヘレンは1人2役のはずなのだけれど、役者を替えたのはなぜかな。
    バランスを取れるプリムス役がいなかった?(失礼)

    目指したと思われるテーマの表現には成功していると思うけれど、役の掘り下げがなされておらず、
    役者の力量が高いだけにもったいない気がする。割と成功、やや失敗かな。劇として好きな部類なので。

    でも、次回も高い次元で期待しております。

    ハツビロコウへは期待が高いので。

  • 満足度★★★★★

     できるだけ、前提知識を外して観ることをお勧めしたい。(追記後送)

    ネタバレBOX


     というのは、何が問題であるかを、チャペックのような、大人になっても子供の目を忘れなかった1人の人間として見たいからだ。このような視点にたってみると、実に示唆的で驚異・驚嘆に満ち、而もどこかロマンティックであると同時に、神話と科学の鬩ぎ合う当時のチェコの東欧文明・文化中心地としての位置、状況、驚くべき文明・文化即ち知のレベルの高さまで見えてこようというのだ。
     このような状況の中で、チャペックが問うたことは、本質的である。何より我ら地球の王、人間が食物連鎖最上位の生き物として地球上に在るありとあらゆる生命、ウィルス迄含めたアミノ酸生成物に対して責任を負わねばならぬ、というテーゼだからだ。何となれば、自然を改変する力を持った生き物は現在の地球で人間だけだからである。ここで現れるR.U.Rは、日本人の多くが、「ロボット」という単語から一番初めにイメージする機械のボディーを持つロボットではない。寧ろ、フランケンシュタインやクローンに近い、どちらかといえば生理的存在である。彼らの寿命は20年で、知的で力もあるが、人間によってプログラミングされている為、自らが感応し、己の条件を掘り下げ・広げ思考し判断することができない。つまり心・魂を持たないのである。然し、R.U.Rの製造工場のある島にやってきたヘレナ
  • 満足度★★★

    この作品について何も知識がない状態で見て、深まりがなくいまひとつな感じがしたが、カットが多かったというからかな?あの6声のリチェルカーレはグレン・グールドの演奏?だみ声のハミングが聞こえたような。

  • 満足度★★★

    1920年に発表された戯曲、100年前です。「ロボット」という言葉が生まれた作品。そう言えば、昔、この作品観ました。その時は考えませんでしたが、「ロボットの反乱」でターミネーターを連想したり、労働という苦役をロボットにやらせることなど、この作品は時代を反映する「古典」だということを知りました。従って、話の流れは分かりやすかったのですが、100分では登場人物の真の姿を描くのには難しかったのではないでしょうか。そして何よりも、未来を暗示する終盤、なぜかクスクス笑い声が。何が原因だったのでしょうか。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/03/27 (水) 19:00

    価格3,000円

    本作を初めて観たのは1999年5月、俳優座の「ロボット」で、休憩を挟んだ二幕、2時間を超えていたように思う。(うろ覚え)
    それを95分弱とコンパクトに刈り込んで、観易い。
    一方、2012年12月の演劇集団 砂地版(上演時間については記憶がないが俳優座より短かったと思う)の自「観てきた!」コメントを読んで「これは今回感じなかったな」と思ったりするのも刈り込みゆえか?
    これ、もっといろんな団体のアレンジも観てみたい。

    ネタバレBOX

    で、その後の定番となった「感情は宿るのか?」が出てくるし、「機械人形ではなく人造人間」にして「人間の代わりに労働する」という設定は「ブレードランナー」のレプリカントに受け継がれ、人類に反旗を翻すのはターミネーター・シリーズの基本設定だし、やはり「ロボットものの原点」だな、と改めて思った。
    そうそう、鉄腕アトム後期に出てくる「ロボイド」は終盤で進化の兆しを見せる2人の子孫ではないか?などとも。

この公演に関するtwitter

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  1. @BalletLightning おぉっ!チームの人に手助け頂けるの有難いよね(*´ー`*) ありがとう!!わからないことあったら聞くね✨ 頑張るっ(o・ω・o)♪

    約5年前

  2. @Rur_mm はい……🤮

    約5年前

  3. @masu009921 いいですよ!!!

    約5年前

  4. @Qjac_ ほんとですか...😍😍😍

    約5年前

  5. @Rur_mm 僕の愛を……❤

    約5年前

  6. @Rur_mm マジっすか!!?

    約5年前

  7. @masu009921 なりますか!!

    約5年前

  8. @yuno_pom22 るるちゃん呼び了解です~(*´ー`*)💕 ユノンちゃんって呼んでも大丈夫かな?

    約5年前

  9. @sachiko_rur いえいえっ♪ 自分もタメで全然OKなので気軽に絡んでくださいっ٩(*´︶`*)۶

    約5年前

  10. @Rur_mm 今思ったら送れませんよ、フレンド…😭

    約5年前

  11. え、めっちゃカッコイイ明日楽しみ☺️☺️☺️ https://t.co/fixyj7kYP5

    約5年前

  12. @Izuna__127 こんばんは✨リスインありがとうございます‼呼びタメ歓迎なのでお気軽に絡んでくれると嬉しいです~(*・ω・)

    約5年前

  13. アークスの皆様たくさん反応頂きありがとうございます(*・ω・)💕順次お迎えしていきます~♪

    約5年前

  14. @nuF8oCeh4I1jgyl UR多い弾ですね♪RURベジットも良いよ♪

    約5年前

  15. 数学やってる間に高ラが終わっており、百足が優勝したと、、 (見せろ.......)

    約5年前

  16. 入学式に行って友達できないってツイートしたそこの君!!!!! 私が行く学校は大人しかおらんからな!?!?え!?!?全員20以上やぞ!!!

    約5年前

  17. @rurrydinda @summergrrrlll @sethrash666 @aldapstsr alhamdulillah ak ada yg bela, sikat rur

    約5年前

  18. てぃくとくとか見てるとパリピいいな〜って思うけど実際一緒にいたらしんどそう あと勉強は確実に捨てなきゃならん

    約5年前

  19. @ruma_rur 東京帰ったら行く🥞!

    約5年前

  20. @rur_rur_rur_rur かなー??、いこう🥰

    約5年前

  21. @TE_RUR_ET 函館の空を思い出します♪はじまりのうた、いつか空の下で一緒に歌いたいです(*˘˘*)♬

    約5年前

  22. @TW52762372 まじかw まってるわww

    約5年前

  23. @Rur_mm いつでもいいんなら届けに行くかもw

    約5年前

  24. @TW52762372 マクドナルドギフトちょっと期待してたwww

    約5年前

  25. @ask_rizqi lempah itu opo rur?

    約5年前

  26. @Rur_mm マクドナルドがいいですか?

    約5年前

  27. 今日は日比谷でお昼ごはん、銀座のキルフェボンでケーキを食べ、舞浜でディズニーストアとボンボヤージュに行ってきて、吉祥寺に移動してカレルチャペックとユニクロに行き、晩ごはんを食べ、帰宅。楽しかったけど、疲れたな~~~

    約5年前

  28. @Game88Shiryu まってます笑

    約5年前

  29. @Rur_mm 待ってなさい笑

    約5年前

  30. @sqf_7 @Lightt_f_ ごめんなさい。 しんできます

    約5年前

  31. @Hoshino_Rur_KrB "......."

    約5年前

  32. @sqf_7 @Lightt_f_ いやもらってないけどwww

    約5年前

  33. @masu009921 特にはないです!!! でももらえたらめっちゃ嬉しいです😂

    約5年前

  34. @Msyozora 特にないけどもらえたらめっちゃ嬉しいです!!w

    約5年前

  35. 吉祥寺のカレルチャペックに行って来ました✨怪盗キッドの紅茶をゲット❤️ そして、近くのユニクロでオリジナルトートバッグを作りました。なかなか良い味のあるものができたと思います(=゚ω゚=) https://t.co/GARYtT76jK

    約5年前

  36. 23:00~ TERU @TE_RUR_ET 『TERU ME NIGHT GLAY』 https://t.co/eTKfOD3ViE ▼テルミー春到来?提供曲OA ⇒teru@bayfm.co.jp https://t.co/UKPNySg83h #テルミー #bayfm

    約5年前

  37. ontem eu morri de rur cm as foto da ana, hj com o comediante q veio na escola. posso esperar 5 dias de lágrimas seguidas já

    約5年前

  38. 発表がうまく言ったのはいいが事あるごとに、偉い人が様子を見にくるのでいい加減にしてほしい…

    約5年前

  39. @rurrydinda @bijikambingg Ayolah rur rasah isin

    約5年前

  40. 【平成最後のGLAYとChristmas】 【令和最初のGLAYとHEAVY GAUGE】 同じ時代にただ生きただけじゃなく、同じ時間を共に過ごしてきた。そしてこれからも当たり前かのように。それがわたしの人生。このありがとうの気… https://t.co/Ad4i7X9TBb

    約5年前

  41. パンドラ(子安武人)VS斎王琢磨(子安武人) https://t.co/z7EK70I9NM

    約5年前

  42. さびしいデス… 最近新生活が忙しくてなかなか回答ができなくてごめんなさい🙏 時間はかかりますができる範囲で回答しますね😊 https://t.co/BwVdYHSmtU #peing #質問箱

    約5年前

  43. アリアリのアリです! あんまり年の差がなければ気になりません https://t.co/yPmFXWtvRU #peing #質問箱

    約5年前

  44. @Rur_mm めっちゃもらいそう

    約5年前

  45. @Rur_mm お金(ヾノ・∀・`)ナイナイ

    約5年前

  46. @Rur_mm 何が欲しいんですか!?

    約5年前

  47. @Rur_mm 今なんか欲しいのあるですかぁぁ!?

    約5年前

  48. ギフト待ってます泣泣

    約5年前

  49. @rur_9500zoi 運が悪かったわまじで

    約5年前

  50. @kecomaru_hoshi カレルチャペック紅茶店の新商品です(^^)d紅茶とジャスミンのブレンド で上品な香り🤗

    約5年前

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