R.U.R. 公演情報 ハツビロコウ「R.U.R.」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    人間とロボットの共生...夢語りと思えるような。ロボットをテーマにしつつ、経済至上主義、ロボットという”製品”の需要に応えるため生産性を高めるが、一方そのロボットが何に使用され、または利用されるか後々のことは考えない。その社会的道義を鋭く突いた力作だ。原作は100年前に書かれているらしいが、その着眼点は現代においても十分通用する。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    セットは中央に机、その上に電器と書類、この劇場の特徴の1つである柱の傍に植木鉢があるだけのシンプルなもの。

    物語は、表層的には人間とロボットの関係を描いているように思える。しかし、人間からの従属解放を求めたロボットの反乱という設定から、近現代のグローバル経済の下で歴然とした人間の労使不平等を連想させる。ロボットからの過酷な労働状況の告発を受けながらも、ロボットの究極の弱みを握って交渉する人間の狡猾さ。そこに厳しい現実が見える。奴隷制度をロボットを介在させることで立場的な違いを緩和して見せているが、根底には不平等社会を鋭く抉る内容だ。
    また人間とロボットとの関係は神と人間という宗教的な側面も見せる。旧約聖書にある「バベルの塔」では、塔建築に神が怒り人間が同じ言葉を話すことが原因だとし異なるようにしたと思うが。この公演でもロボットの思考回路が同じであるから反乱を起こす。だから製造に違いを加えると…。物語の主題とも思える不平等・理不尽さ、その表層主題から見え隠れする人間のもつ傲慢さが描かれている。
    一方、ロボットに対し理解を示すヘレナ(森郁月サン)はミューズ的な存在。全体的に不安・不穏な雰囲気を漂わせるため薄暗い照明にしているが、彼女は島にいる人々の心を明るく和ませる。人間的な良心の持ち主ヘレナ、島にいる独善的な人間(男)たち、感情を持ったロボットという立ち位置の異なる存在が物語に深みをもたらす。

    ラスト_ロボット2体による情愛深い行動は、これからの人間とAIとの信頼といった関係を示唆するのだろうか。映画「her / 世界でひとつの彼女」では、知能が進化し、主人公との関係が深まるにつれて、人間の切望の気持ちと人間の感情のようなものが芽生えていく”人工知能”が描かれていた。
    本作は100年前の原作であるらしいが、現代においても興味深い、そして現代版にアレンジした公演は観応えがあった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/03/31 22:06

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