満足度★★★★
今週はチャペック大流行。三つも小屋が開くのは日本演劇史上初めてではないか。
もっとも、ロボットの語源になったこの戯曲、書かれて数年後には築地小劇場で上演した由だから日本との相性はいいのかもしれない。手塚治虫もいただいたようだし。
だが、ロボットの有効性も、あながちファンタジーの世界とは言えなくなったIT時代の今、ハツビロコウのこの「R.U.R」はSF原典の戯曲を、時代の倫理を読むドラマとして見なおそうとしている。
原作の第一幕をカットして、ロボット蜂起以降、人間滅亡の後半に絞って、残された人間の再生を描いている。SFも進化した今となっては、古色蒼然のストーリー、テーマなのだが、それが却って問題の焦点をあきらかにしている。狭い劇場でわずかなスペースでの俳優の出入り、演技は巧みに考えられていて、緊張が持続する。女優陣はみな柄はいい(森郁月、大木明)のだが、演技が高ぶりすぎる。こういう異常なシチュエーションこそ押さえて、抑えて!。社長(今国雅隆)と夫婦という関係が見えてこないのも足りないところだ。SFドラマなら営業部長(稲葉能教)のコミックのような演技でいいのだろうが、これだけリアリズムで押すと、浮いてしまう。そういう点では、全体統一がとれているとは言えないのだが、奇妙な魅力もあるハツビロコウの舞台だった。音楽をピアノに絞ったのもよかった。
1時間40分。ちょうどいいサイズだ。