独りぼっちのブルース・レッドフィールド 公演情報 独りぼっちのブルース・レッドフィールド」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-20件 / 50件中
  • 満足度★★★★

    抱く想い
    物語が始まってまもなく登場する飛び道具的な強烈なキャラクターと
    ドタバタな笑い、そしてこの劇団名などから、スラップスティックな喜劇かな、と思っていると少し違った。

    この物語の主人公は、奇妙な記憶障害のあるガンマンだ。家族を無残に殺された彼は、復讐のために25年も旅を続ける。

    最後の仇を倒した直後に、彼が知る残酷な真実。そして、彼の決断。このためにこれまでの設定があったのか、と思うほど良くできていたのだけれど。

    脚本・演出の吹原氏が終演後にツイッターに書いていた。はじめに想定していた結末のこと。それはずっと救いのないものだった。

    物語としては、切実なものとなったかもしれない。けれど、それは自分たちの描くべきものだろうか。そういう葛藤。その上で彼の、いや彼らの選んだラスト。

    この劇団は、サービス精神が旺盛だ、と思っていた。しかし、この舞台を観るとサービス精神という言葉だけでは収まらない。

    彼らの舞台を観にきた人々に、どんなものを渡せるか。それを真剣に考えている、そういう劇団なのだろう。たとえば私たちが、誰かを大切に思う感情の暖かさを抱いて帰路に着くこと。

    この舞台を観終わって、そんなふうに思った。

  • 満足度★★★★

    テーマを浮上させる終盤の衝撃たるや!
    老いたガンマンとヘンな仲間たちの愉快な旅…。
    お得意のナンセンス・ギャグ(今回は下ネタは控え目)に大笑いしてすっかり忘れた冒頭で張られた伏線を回収してテーマを浮上させる終盤の衝撃たるや!
    おバカな笑いをちりばめつつ、実はきちんとしたテーマが潜んでいるというのはいつものことながら、今回はのテーマは「人を殺す“罪”の重さ」ということで、よりシリアス。
    あと、銃撃戦の表現が愉しかった♪

    ネタバレBOX

    終盤で明かされる衝撃の事実に映画「エンゼル・ハート」を連想したりも。
  • 満足度★★★★★

    渡辺さんが出てどうなるの?と思ったが...
    ...いつも通りのPMCで安心。それにしても出世してきて嬉しい限り。「脇を固める団員さんがイイ!」の声もありましたが、同感。次回はチケット取れないんじゃないかと心配しています。

  • 満足度★★★★★

    明日誰かに話したくなる復讐劇
    ポップンマッシュルームチキン野郎の紡ぎだす物語は、いつだって愛にあふれている。

    今回、渡辺徹さんという、誰もが知っているスターを主演にしての公演でしたが、それでもポップンマッシュルームチキン野郎はポップンマッシュルームチキン野郎でした。
    公演を積み重ね、どんどん新しいものに挑戦しながらも、良いところは残していっている感じがします。

    それをまず感じたのが、舞台装置。
    『銀色の蛸は五番目の手で握手する』のスライド舞台と、『うちの犬はサイコロを振るのをやめた』の回転舞台。それらを上手く組み合わせブラッシュアップさせた舞台のように思いました。
    ブルース・レッドフィールドという男の半生を描いているため、場面も良く変わりますし、時間も結構流れますが、その舞台装置を上手く使い、暗転を最小限におさえながらも、場面の移り変わりをわかりやすくしていたのが良かったです。

    また、客入れパフォーマンスも健在ですし、プレミア席S席A席でそれぞれ前方後方選べたり…本編の内容だけでなく(内容だけでも十分勝負出来るとは思いますが)、公演全体で客を楽しませようとする姿勢が本当に素晴らしいと思います。

    今後もその進化に魅せられていたい。

    ネタバレBOX

    今回も、個性的なキャラクター達は健在でした。
    サボテンをはじめ、謎のフランス人やサソリやナップサックや馬…。
    CR岡本物語さん、高田淳さん、古舘佑太郎さんのジャンゴ三兄弟のバランスがとても良くて、ブルースの物語ながらも、彼らの物語もしっかり描かれていたのが嬉しかった。
    そういう意味では、サボテンジョー(サイショモンドダスト★さん)とフランソワ(小岩崎小恵さん)、マック(野口オリジナルさん)にももう少し、それぞれの特徴を活かした目立った活躍があったら良かったなぁと思いました。
    (マックは活躍の場が無くは無かったのですが、やはりちょっと地味だったので)
    特に、サボテンジョーが…個人的に凄くお気に入りだったので…。
    ただ、この物語はあくまでブルース・レッドフィールドの物語であるので、あれ以上、別のキャラクターの物語を描いてしまうと、多分まとまりが悪くなってしまっただろうとも思います…難しい。
    なので、そこまで目立った活躍の場が無い中でも、愛おしく思えるキャラクター達だったということで。
    今後、スピンオフの物語が作られることを期待します。

    渡辺徹さんのブルース・レッドフィールドと2人で物語の中心を担っていたヌータウこと加藤慎吾さんですが、最後の復讐のシーンなどは特に、渡辺徹さんにしっかりと付いて行っていたように思います。
    作中、彼は2度しか笑いませんが、その2回が本当に印象にのこりました。
    加藤さんの泣きそうな笑顔は、こちらの胸を鷲掴みにします。
    また、スタンレイ・ボガード(横尾下下さん)も良かった。横尾さんは『犬コロ』に引き続き、主人公に真実を告げるとても重要なキャラクターを演じられていますが、それまでの楽しい雰囲気から一気に哀しい真実に連れて行ってくれる切な演技をされるので、とても好きです。
    「見事な復讐だ」という台詞がとても印象に残っています。

    そしてやっぱり、脚本が良い。目一杯笑わせながらも、最後には泣ける。
    泣けるから良いという訳ではありませんが、PMC野郎は観た人の心に"なにか"を残して行きます。
    たくさんの感情を揺さぶって行きます。
    「復讐劇」と言えば、最後は復讐を果たす物が多いと思いますが、その結果は、新たな復讐を生み出すか、虚しい孤独を得るかのどちらかだと思います。
    この作品は、復讐劇ながらも、復讐を遂げないラストを選んだのが本当に良かった。
    「善人になりたい」と言いながらも、人を殺めるという選択を簡単にしてしまう、不器用で自分勝手な極悪人たち。一言で切り捨ててしまうのならば、自業自得だと思います。
    でも、そんな悪人たちでも、愛を知り、許しあうことが出来れば、新たな憎しみを止めることが出来るのかもしれないと思わせてくれました。
    最後には記憶を失うことを選びまた「一人ぼっち」になったブルース・レッドフィールドですが、彼は決して「独りぼっち」にはならなかったのです。

    復讐劇であると同時に、家族との、仲間との、そして友との愛の物語だった。
    悲しみや憎しみの連鎖を断ち切る事の出来る物があるとしたら、それはやっぱり、愛なのかもしれません。
  • ポップンマッシュルームチキン野郎初観劇。
    さすがの出来栄え。

    客入れ時の余興もとても面白く、エンディングまで存分に楽しめました。

    あとは、好みかな。


    上演時間:110分

  • 満足度★★★★

    誰かに話したくなりました
    復讐劇なので、最終的には「誰か」を許す形で終わるだろうくらいには
    思っていましたが、「そうきましたかっ!」という相手でした。
    確かに強烈で残酷な復讐。
    そういう意味では「起承転結」に忠実な芝居だったと思います。

    ラストは、今まで見てきたこの劇団の芝居の中で
    最もやるせなかったし、残酷に感じました。

    でも、単に悲しいだけではなくて、
    妙にしょーもなくて、バカバカしくて、エネルギッシュで
    この劇団らしさが十分に感じられる芝居だったと思います。

  • 満足度★★★★★

    ぐらんぐらん
    笑って泣いて怒って、そしてダマされる。
    それがポップンマッシュルームチキン野郎の醍醐味だと思っている。
    今回はその配分が絶妙だった。
    脚本家としての吹原幸太氏の腕力はどこまで伸びるのだろう。
    次回公演も期待が高まる。

  • 満足度★★★★★

    後書きで…
    ポップンマッシュルームチキン野郎さんの
    コメディ部分が大好きでしたが
    本公演での、物語の練りに練りこまれたディテールと
    ラストに向けてのどんでん返し!!
    やられました。。
    まさかの真実。

    そして、ラストの愛に涙でした。
    渡辺徹さん(ブルース・レッドフィールド)が
    ずっと渡したかったイヤリングをやっと渡し、
    孫娘を抱きしめてもうお前を離さないという終わり方は
    愛でした。
    空砲も。
    その同時進行で若い頃のブルースを演じていた
    沖野晃司さんのシンクロ演出も良かったです。

    Twitterで脚本家で主宰の吹原さんの後記を読み、
    鼻の奥がツーンとしました( ; ; )
    是非、この作品の続編が観たいです!!
    勿論、渡辺徹さんにも御出演願えたならば
    観客としてこの上ない喜びです!
    素敵な作品ありがとうございました^_^

    *劇団員さんのエネルギーも凄かったです!
    ナップサックもサボテンもサソリも
    客演さんのジャンゴブラサーズも全てのピースが
    ピッタリハマっていたから感動や笑いや人間の陰の部分が
    明確に伝わったと思います。
    長文になるので全て書ききれなくてすみません!

  • 満足度★★★★★

    色々なものが投入されていて、かつバランスが良い
    千龝樂を観劇。遂にこの領域まで達したかと感慨。台本、役者、舞台装置、演出・・・全てが渾然一体となって素晴らしい作品になりました。笑いもあるが残酷さもあり、衝撃の事実とラストの優しさ。こんな芝居をやられてしまっては堪らないです。

  • 満足度★★★★

    笑いの先にビターテイスト。
    初見でしたが、くっだらない笑いだけではないのが人気なんだなと感じました。
    回想での家族惨殺シーンの容赦なさ、その後の叫び。
    真実が明かされた、その後の叫び。
    胸に迫るものがありましたね。

    ガンガン回る舞台装置、物語的には全く必要のないフライングと、
    そんなところも見ていて気持ちがよかったです。

    人外キャラたちの中で一番好きだったのは馬の下半身でした。
    いい芝居してましたよねーw

  • 満足度★★★★

    笑いの中に
    ブルースの記憶が喪失することで知らない間に、という悲劇的要素で泣けます。
    馬の設定がよかったと思います。胴が切れるとは。
    ではけ口を計算し、スピード感ある演出もよいです。

  • 満足度★★★★★

    ポップン本公演初観劇!!
    昨年コメフェスで
    ポップンマッシュルームチキン野郎の
    皆さんのお芝居を初めて観劇。
    衝撃でした、面白すぎる!!
    本公演絶対観に行こうと決めてから
    ずっとこの日を楽しみにしていました。
    せっかくならとプレミアム席を予約。
    いい席だし、特典写真の交換もあるのに、
    席に行くと【ささやかなお土産】の
    メンバー誰かのチェキが♡
    どんだけサービス精神旺盛なんだ!!

    本編が始まる前にはなんと開場中パフォーマンス。
    本編とは全く関係ないのにもかかわらず、
    出演者の皆様、全力で楽しませてやろう!と
    いう気持ちがビンビン伝わってきて、
    最高にたのしかったです。
    すんごい笑った。笑いすぎてお腹痛く
    なりました笑。
    楽しいパフォーマンスが終わった後は
    少しあいて、本編スタート!!

    本編の主役は文学座の渡辺徹さん。
    渡辺徹さんの舞台は初めて拝見しましたが、
    最高に素敵でした。
    魅せるとこ魅せて、笑わせるとこ笑わせて。
    他のキャストさんも最高!!
    サボテンにサソリに馬にナップサック!
    こんなキャラクター達が出てきて
    感動させてくれるお芝居はじめてです笑。
    前半はものすごく面白くて終始
    笑いっぱなし。
    なのに、後半になると衝撃の事実やら
    感動やらで泣きっぱなし。
    音楽もアニメーションも素敵だし、
    照明も舞台転換も最高!!
    キャスト陣のお芝居も最高!!
    観れて良かった。心から思いました。

    ポップンマッシュルームチキン野郎の
    お芝居観たことない人には、次回公演で
    必ず観に行って欲しいです。
    行って後悔はないし、チケット代が
    安く感じるほど素敵なお芝居を見せて
    くださいますよ!!
    むしろ、行かないと後悔します。
    私は今回、もっと早く観に行けば良かったと
    後悔しました。本当に最高な
    集団です。

    劇団員の皆さまも素敵な方々ばかりです。

    ポップンマッシュルームチキン野郎
    【独りぼっちのブルースレッドフィールド】
    最高でした!!
    素敵な時間をありがとうございました♡

  • 満足度★★★★★

    感動の千穐楽!
    ものすごい集中力と貫禄のセリフ回しで痺れさせてくださった渡辺徹さんを始め劇団員の皆、ゲストの皆様、アンサンブルキャストの皆様が一丸となって作り上げた千穐楽のステージは、迫力と緊張感と爆笑と涙のるつぼでした。

    特別出演の萩野さんの立ち姿の美しさに惚れ惚れし、ヒールぶりの緊張し、客入れパフォーマンスの緩急(笑)さえ、全力投球。本当に素敵です。
    そして美津乃あわさまの振り幅の広い配役(笑)に、よくぞ応えてくださいました!ありがとうございますと申し上げたいです。本当に清々しく潔くて大好きです。
    そしてヒックス役の今井孝祐さんの演技が強烈で、本当に凄い!喉も最後までよく持ちこたえてくれたと思います。カッコ良かった。

    ひとり一人を書くとスペースがなくなってしまうので。
    劇団員一人ひとりの力も、どんどん成長してきているのではと思います。
    一昨年の「銀色の蛸は5番目の手で握手する」も同じ劇場のシアターサンモールでしたが、その時よりロビーの混雑ぶりが凄くて。お客さんの入り方がゲストさんが豪華とはいえ劇団としても集客力が高くなって来たような気がします。

    今後ますます力をつけて、さらにステップアップしていくべきPMC野郎は、これからも大きな目標に挑み続けて欲しいと思う。それを見守って行きたいと思う。

  • いつものことながら
    PMC野郎の作品は、バイキングで腹がはち切れるまで食べたような満腹感を覚える。さすが

  • 満足度★★★★

    そこは新宿シアターサンモール
    客席のゆるやかな傾斜が本多やPARCOの感じに似て、そのひと回り小さめのシアターサンモール(客席300程度)は新宿中心街から少し離れた、ビル地下なのにプチ・ゴージャスな劇場らしい劇場だ。通路に並ぶ客演・渡辺徹あての祝い花の豪華さ、送り名の豪華さはさすがというか。以前チラ見した時の劇団の「風貌」とはえらいギャップだが、この華やいだ祝祭の空気は狙って出せるものでない。
    開演前のステージではギター、ウッドベー、ドラム+1で外タレのロック曲を演奏、と思いきや、エアである。芝居にバンドは出てこないが、芝居中この光景が既視感のように重なる部分がある。パフォーマンスもそこから発想されたのかも知れない。ただドラムがひっしと叩く8ビートのスネアがなぜか<裏>でなく<表>に入り、音楽をやる人間なら普通これはギャグに属するが、そう意図してるふうでもない。ギャグとマジ(自然)の境界のぼやけ具合が以前「チラ見」した同劇団の舞台にあったのをかすかに思い出した。そう私は未知の劇団の「正体」を発見しにやって来たのだった。
    普段「役者」より「芝居」を見ようとする客だが、冒頭板付きで登場する渡辺徹の役割をどうしても追ってしまった。客演のスタンス、渡辺氏の出自であるリアル(新劇系)演技は運命に翻弄される主役の役柄に最終的にはフィットし、(笑いに絡む場面もあるにはあるが)貫徹して良かった、とは思いつつ、役の心情をもっと劇的に熱演で表現する位があっても良かった気がした。
    もっとも、ドラマのほうはラストが決まれば「全て良し」なうまい作りがされている。復讐の物語の敵対する存在が対峙してのやりとりの終わり、一方が投げた問いに他方が逡巡したのち返した一言、その答えを聞いた相手のリアクションの、陰影を切り取るように照明がアウトし、フィナーレ・・。
    このラストが残すものは多様でメッセージ性もあり深いテーマを含んでいる。が、そこまでの深みを受け止めた観客がどれだけ居たかどうかは未知数だ。というのは、憾みとして、シリアスに見るべき部分とギャグと荒唐無稽な設定の関係の整理を、観客に強いる面が残っているように感じたからだ。

    ネタバレBOX

    これは西部劇の物語設定を借りて書かれたお話で、主人公は復讐相手を探す道程にあるが、復讐の原因となる事件(家族全員の虐殺)が起きる時期のエピソードが回想シーンとして挿入され、徐々に話の大筋が見えてくる構成になっている。その間、シュールな笑ネタも細かに挿入される。否、序盤の人物登場からナンセンスの嵐である(動物はともかく無機物まで擬人化して登場する)。これらが人物の役割を比喩的に表わしたものかと言えばそうでもなく、ナンセンス度は高まるが、物語を追う目にはそれが障害にもなる。そこをギャグによる突き放しで押し切る技は見るべきものがあるが、リアルさの上に積み上げる(それによって重みを増す)タイプの芝居の尺度からすると「積み上がり」づらい要素が弱点としてみえてしまったのも事実。そこを楽しみたい向きには笑は欠かせない要素だが。
    一つには、誰もが知った話やパターン化したドラマを、どう料理するか(ギャグで)を見るのでなく、伏線と謎解きが最後にピークを持つきちんと書かれたドラマなので、ドラマと相乗する笑いでないと腰を折る形になる。ナンセンス・ギャグよりは人物の行動の中に起こる人間臭いしぐさや反応が笑える要素となる。この点は惜しくも、細やかな演技がもう一つ欲しい場面が多々あった。逆に言えば強靭なドラマの語りがあっての、脱線の笑い。ただこれに関しては、序盤のギャグの畳み掛けから話が複雑になって行く段でギャグは徐々に減っている。「笑」は「物語」に主役を譲って大人しくなった。問題はその「物語」が立派に舞台上で闘ってくれたかだ。
    扱いが難しいのが、序盤に登場人物として出してしまった架空の者たちや、都合のいい場所移動・人との遭遇など寓話的に進むタッチが「地」としてあって、微妙な行為の違いが分かれ目となる場面で厳密な説明(演技や脚本上の)がなく、スルーしている部分だ。主人公の記憶に関する設定(近くでピストル音を聞くとある時間までの記憶を無くしてそこに戻ってしまう)が、色んなケースで厳密にどうなっているかの説明は、丁寧なほうが良い。また主人公の「本当の敵」の過去の所業についての説明も、(ラストが氷塊させてくれるとはいえ)欲しい。役者の佇まい一つで「本当にやったかも知れない」と思わせる事も可能ではないだろうか。挑戦して良いと思う、「普通の芝居」みたいに。
    終盤に最も気になったのが、主人公が本当の敵を見出した時、全開で怒りをたぎらせ、元の原因が己にある事に思い至らないという不自然さだ。かのインディアンに対する主人公の怒りに共感する観客がもし居たとしたら、感覚の麻痺だ。この場面で激昂をみせることでラストが印象深くなる事はあるだろうが、「自分が原因でも今この状況で俺は怒るしかないっ」と複雑な心理にあって感情がわき起こっているなら、リアルな設定での「激昂」は成立するだろう。というか、その可能性を追求するこだわりを、見たいと思った。

    復讐の応酬の沼にはまった二人の最終対決は次の如く終る。記憶障害の主人公ブルースがピストル音に三たび記憶がリセットされ、目の前にいる<敵>を発見する。その時彼は、それまで何度となく繰り返しただろう問いを、舞台上では初めて口にする・・「お前は誰だ?」。自身の復讐を遂行し終えた相手が懊悩の末、もらした言葉は「トモダチ」。ブルースの緊張にこわばった姿勢が溶解する。乗り越え難い対立からの和解が、潔い形でなされる図は、実世界では夢物語でしか無いだろうし、そもそも和解などというものを成り立たせる対等な関係じたいが希有である。この作品も、復讐が完遂された事じたいが奇跡に等しく、その事で対等さを獲得したからこそ、「トモダチ」と呟いた事が彼の自由意思からの選択として、尊く感じられるのだ。現実には正すべき行ないを為した者が強さに奢って改めず、不利な条件での「和解」を飲まされる弱者は復讐を遂げられずに燻る。犯罪の根は増殖する。そんな現実あっての和解の尊さ、、私が勝手に読み取ったに過ぎないかも知れないが、普遍的テーマである事に変わりはない。

    さてポップンマッシュについて。いまだ勝手な想像だが、この劇団の笑の質はどちらかと言えばシュールで「メジャー」や「メイン」に在るものに土砂をかけるのがスタンスではないか。だから、勝手な願望だが、ウェルメイドな物語と共存する道を探る(実は迎合する)より、痛快な毒を追求してほしい。願わくは毒を盛る相手を見誤らぬ事を。的を間違えたら、笑えない。
  • 満足度★★★★★

    通常回とR18回を観劇!
    普通の西部劇じゃないなーってことは
    チラシ画像(特に右端)の時点でわかっていましたが、
    予想を超えた楽しい作品でした。

    はっきり言って手狭なあの劇場ロビーで、
    終演後にストレスなく物販に行く人と出口に向かう人が進めたのも
    素晴らしいと思いました。
    そうなるよう常に声掛けをしていたスタッフさんたちの動きも
    それを受けて焦らずに波に乗って歩いたお客さんたちを見ても
    「いい公演だなぁ」と思わせてくれました。

    開場時間中の本編とは関係ないパフォーマンスも面白くて、
    あれを観るために
    「開場時間にはすべての支度をして劇場にいよう」という気持ちになるので
    劇団側も定刻開演できるし、
    お客さんも楽しいしで両方得な催しなのだなぁと思いました。

    後列プレミアム席で拝見しましたが、
    舞台全体が見渡せて、表情もちゃんと見えるし、
    前列のひとの後頭部も視界に入らないしで、快適でした。

    ネタバレBOX

    ヌータウとブルースが再会するところで、
    ブルースが選んだ方法、
    それを受けてのヌータウの発言に涙が出てきました。

    2回目でヌータウとアナの行動を見ていると、
    ちゃんと伏線がはってあって(「家族」の言葉を聞いた時の反応とか)、
    そしてアナが結末を見届けての表情と涙が、こちらの涙腺を刺激しました。

    R18回の悪ふざけもいい意味でバカバカしくて楽しく、
    前説でどういうネタを仕込んでくるかいくつか教えてくれるので、
    心の準備もできます。
    いくつかの不意打ちR18ネタも笑えるものなので、
    PMC野郎のこういう遊びっぷり、好きです。

    ネタバレを避けるために当日配布パンフの人物紹介が
    略されてたり伏せられていたりしていて、
    そういう心遣いとセンスもステキだなぁと思います。
    あんなにイケメンのナップザック、おそらく人生でここでしか出会えない(笑

    物語の内容も笑いありシリアスあり感動ありで、
    銃撃戦をカメラ撮影で表現したり、
    馬のクオリティを利用したびっくりな仕掛けなど、楽しい時間でした。
  • 満足度★★★★★

    とっても面白かった!
    ポップンマッシュルームチキン野郎さんの舞台を観劇するのは今回が初めてでしたが、なかなかに個性のある劇団さんだよと噂は聞いていたので期待半分不安半分で観に行ったのですが(とはいえ、予告PVに一目惚れして「あ、これは絶対面白いだろうな」となっていたので、期待のほうが大きかったかも)
    が!期待以上でした!!!めちゃめちゃ面白かったです!
    伏線ののはり方がとてもうまく、すべてを知った上でもう一度観たい!とリピート観劇せずにはいられませんでした。
    次回公演も是非行きたいです。

  • 満足度★★★★★

    ボップンマッシュルームチキン野郎最高
    ボップンマッシュルームチキン野郎の舞台を観るのは三回目。開演前パフォーマンスがあり面白いです。
    今回は渡辺徹さんが出ていて迫力がありました。
    復讐をするガンマン。ハラハラドキドキする場面があり時間を立つのが早かったです。
    感動しました。

  • 初日観劇しました。
    初日に観劇しました。
    生でPMC野郎を観るのは初めてでした。
    復習劇をここまでコミカルにするあたりにセンスを感じます。
    事前情報を殆ど入れずに観劇しましたが、キグルミ勢の出現に何事かと衝撃を受けました。
    普段動かない物や喋らないものたちが、命を得て違和感なく存在していて、この世界は何なのだろうと、初めは理解に苦しみました。
    しかしそれは、少ない観劇数で私の中に好みや固定概念が生まれており、初めて対面した世界に理解が追い付いていなかったからでした。
    なので、これは考えるのではなく感じる舞台だと理解したあとは楽しめました。

    舞台が終わった後に、これほど「楽しかった」と思った舞台は初めてかも知れません。

  • 満足度★★★★★

    悲しい復讐劇
    今まで観劇したPMC野郎さんの作品では一番好きです。

    下ネタやギリギリなネタは今まで通りに、核となるストーリーが抜群に面白かった。
    記憶障害というギミックをうまく使った驚きの展開。
    最後の最後まで楽しめました。

    沖野さん、渡辺さんが、怒り・悲しみで咆吼するシーンはとても胸に迫るものがありました。
    特にラストシーンは涙無くしては観られません。。。

    ネタバレBOX

    個人的にはライブのシーンで、
    ジャンボの危機にジャンゴブラザーズが駆けつける場面がとても好きです。





    [memo]
    ブルースはインディアンの母子を殺害。
    自分の家族はギャングに皆殺しにされてしまう。

    ブルースはピストルを発砲する度に25年分の記憶が消えてしまうと言う記憶障害になってしまう
    毎回自分の書いた日記を見て、復讐すべき相手を思い出し一人ずつ殺害していく。
    最後の一人もついに殺害するが明らかに見た目の年齢がおかしい。

    かつての仲間がブルースを訪ね、真実を告げる。
    仲間と思っていたインディアンのヌータウは、以前ブルースが殺害した親子の家族?だった。
    ブルースの記憶障害を利用、日記を改竄してブルースの家族を復讐の相手だと思わせる。
    そして、ブルース自身に一人ずつ自分の家族を殺害させていった

    ブルースはヌータウを追いつめる。
    復讐を果たしたはずのヌータウ自身も心が晴れることはなく、
    自分のしたことは善いことだったのか迷いが生じていた。
    ブルースはピストルでヌータウを狙うも、最後は(外して)撃って自分の記憶を消す。

    ラストは冒頭で娘が無くしたイヤリングを娘(の幻?)に手渡す。
    きつく抱きしめて終わる。

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