荒野の家 公演情報 荒野の家」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-11件 / 11件中
  • 満足度★★★★

    水素74%「荒野の家」観ました
     水素74%、そこまで注目している訳でもないのですが、すでに二回観ています(なんの因果か)。
     「不機嫌な子猫ちゃん」を観た時は、これ観て自殺した若者いるんじゃないか?と打ちひしがれたなあ…。
     「謎の球体X]は、古屋さんが本当にアブない人に見えた。。。

     京都・ソノノチ観劇ついでのハシゴの計画、吹田・「グッド・バイ」が繋がらず、他を探したら、よりによって水素が大阪公演(´Д`)



     安定の人間不信と吐き気感。。。

     引きこもりの30息子を軸に、出入りや状況で常時変化するパワーバランス、夫婦や親子の共依存のシーソー。
     自分しか頭になく相手の顔色を伺う、利用・支配・独占を求める家族(愛)。

     自分が傷つきたくないための臆病な未決断と、結局自分の都合だけで誤った決断。バランスの崩れがやってくる…
     ときおり一瞬見える光も当てにならず、外来者もすべて歪んでいて、正気を保つための手がかりが見つからないまま迎える終焉…。
     後に残るは荒野のみ…


     他の方の指摘どおり、言われてみれば、日米や右左などの風刺とも受け取れるけど、私はすごく身近な具象劇として(不条理劇とすら思わない)、普通に受け止めてしまいます…



     この後ソノノチを観に行って、劇団の方に水素の感想を聞かれたので、「ハイバイを三倍に濃縮した感じ」と答えたら、うまく伝わりました。。。

     キャラの出入りや状況の転がり方など、作劇はとても分かりやすいです。
     しかし、観る人によって見えるものがまるで違うだろうし、精神的に共感できる人には精神汚染や転移などの症状が出る恐れが高いです。

     なのであえて、舞台を初めて観る方にはお薦めしません。
     観るなら自己責任で(爆)
     そういえば、年配のお客さん(隣の館の、復興チャリティーコンサートに来たらしい)が多かったけど、大丈夫だったしらん。。。

  • 満足度★★★★

    バイアスがかかってはいるけれど
    初こそ少々違和感を感じたものの、
    自分を信じる登場人物それぞれの視座から紡がれる
    あからさまな言葉や態度が重なりに、
    ぐいぐいと引き込まれて・・・。

    三鷹で観た「半透明のオアシス」や前回のアゴラでの「謎の球体X」の登場人物達の貫きが、さらに歩みを進めておりました。

    ネタバレBOX

    冒頭から三十路男の母への駄々を見せられるとちょっと戸惑ってしまうのですが、世界に父と嫁いだ娘が加わり、表層の家族の関係のなかに4人家族の態が置かれ、さらにそれぞれの抱えるものがあからさまになるころには、シーンたちがちゃんと居場所と理をもった日常の時間の断片であることに気付く。すると登場人物の一人ずつが自らが信じ自分を愛でるように語る台詞や、態度が舞台に貫かれることや、やがてその表裏がその舞台上に重なっていくことが、ぐいぐいと面白くなっていきます。

    ひとつずつのロールに役者が組み上げていくものが強くデフォルメされ歪み突き抜けてはいるのですが、だからといって見失うほどに突飛ではなく、ありえる話のボーダーの内側にちゃんと収まり、さらには表層の家族の態にしっかりと繋がれていく。

    やりたいことが定まらず、30歳になっても引きこもる息子や、
    その息子を心配しつつも一方で依存している母、
    仕事をして家族を養いながらも、家庭内ではなにもしようとしない父親や、
    嫁いだ先の夫を従属させつつ実家に戻ると母の良い子になりたい娘。

    様々な軋みを抱えながらも、その家族がいる家には屋根があり壁があり、時折風音の聞こえる中で家は建っている。
    母を訪れ相談と称して、自分の義理の父の介護を当たり前のように頼みにくる隣人の理屈とそれが臆面もなく語られることも凄いなぁとおもうのですが、でも、その理不尽さも、家族とその家が隣人にも見えているからこそのことだと思うのです。

    その状況が崩れていく後半は圧巻でした。
    息子の引きこもりを快く思わない父が娘と共謀してスパルタ式の登山スクールに息子を預けようとする。そこからのドミノの倒れ方に息を呑む。塩焼きソバで母親を家から釣り出すというアイデアのチープさや、釣られかけても再び戻ってきてしまう母親の執着が凄い。
    家を訪れた校長が押し付ける時代錯誤な価値観が父親の薄っぺらなプライドを引き出し、箍をはずし、積もっていたものを噴出させる刹那の身体を絶妙に使った演技には、凄みをもった切なくなるような可笑しさがあり、校長の生徒だったという男の従順の先の抑圧された感にも目を瞠る。
    息子が登山スクールへ行くことを了承することの裏側での戻ってきて父親をぶっ殺すという感情がとてもナチュラルに感じられることにも驚愕。

    役者達も、バイアスがかかったロールを、繊細さと太さを織り交ぜながら演じ上げていきます。息子がいなくなった状況できっぱりと離婚を決意する母親の決断にも、父親の当惑にも観る側を納得させうる構図があって。娘と夫の関係性も、隣人のある意味の変わらなさや揺るがなさも、しっかりと足を踏ん張ってそこにある。
    そこには、笑えなさを突き抜けてしまう、行き場のなさが残って。

    終演間近の吹きすさぶ風の音に「荒野の家」というタイトルを思い出し、なるほどなぁと思う。
    かくて家族が崩れたあとの娘を見ながら、デフォルメされた舞台の状況の不思議な現実味に捉えられる。
    なにか、とてつもない、でもありふれた物語を観たような感覚から暫く抜け出すことができませんでした。

  • 満足度★★★★

    脳のくぼみ
    面白い。90分。

    ネタバレBOX

    父(永井秀樹)…兄に対応できずにいたが、大山クラブへの入会を決める。きちんとした家庭にしたかったけどできなかったと悔やむ。
    母(高木珠里)…兄を甘やかしてた。もう解放されたいと家を出る。
    兄(玉田真也)…10歳くらいからひきこもり。カッターを所持。父を殺すと宣言し大山クラブへ入会する。
    妹(石澤彩美)…夫とケンカし実家に戻った。母からの愛情が乏しくちょっと歪んでる。
    大山(近藤強)…ひきこもり等更生組織のトップ。女はバカと決めつけ、父が強権を行使すべきと主張する。
    井上(吉田亮)…元ひきこもり。大山の元で更生し部下となる。「母(と女)」を敵視している。
    近所の奥さん(高田郁恵)…隣人。水商売。義理の父の介護をなぜ自分がするのか(家族とは何か)を考えて、母に介護を依頼する。
    フミヤ(野田慈伸)…妹の夫。妹から犬として扱われる。フミヤの子を孕みたくないという妹がわからずにいる。直毛に生まれたかった。

    ステレオタイプっぽいひきこもり息子話な立ち上がりで、笑い少なめかなと思ってたらしっかり面白かった。斜め下から突き上げるようなセリフが舞台を活性化させるよう。
    思い通りにいかなかった家族を思う父、父を責め子を味方につける母、自分のせいではないと信じ込む兄、まともに見えてしっかり歪んだ妹。家族って特殊な関係性で成り立ってるんだなと、改めて思う。強固なようでいて脆く、近しいようで他人という危うさみたいな。そう考えると笑えないんだけど。兄がひきこもってた時は安定していて、兄が連れてかれたらバラバラになってしまったというのが象徴的な気がする。

    近所の奥さんが言った「家族がわからないんです」という言葉がズシっと心に残る作品だった。あと、大山と井上コンビは笑った。
  • 満足度★★★★★

    ああ理不尽
    イライラを見るのは好物です。

    ネタバレBOX

    ニートの息子を抱える家族、不思議な主従関係の娘夫婦、義理の父親という概念が理解できない隣の未亡人、戸塚ヨットスクールならぬニートを鍛え直す大山登山スクールの先生たちによる咬み合わない会話や、理不尽な主張を通して家族を考えてみる話。

    銘々の非常識であったり理不尽であったりする主張がねちねちと、時に喧嘩腰になって繰り返され、本当にイライラさせられ好きでした。

    男の背中を見せて子育てしようとしたお父さんは、結局は会社へ出掛けるときの後ろ姿しか見せていなかったわけで、真の背中を見せることはできませんでした。勘違いを猛省しろー!でした。

    未亡人もバカならば、父母が離婚すると母が母でなくなると捉える娘もバカで、「家族って何ですか?」、「そんなもんこっちが聞きたいわ!」、けだし名言で終了。

    変てこで楽しかったです。
  • 満足度★★★★

    気持ち、かき乱される
    相変わらず極端で居心地が悪くて最高。想像する感情のいつも二歩三歩先を行かれて、観客の感情を弄んでる感じが攻撃的で、笑っていいのかわからないシーンも、全部笑いだと思って書いてるんだろうなぁ。ゲラゲラと、あり得ねーと笑い飛ばした劇世界は、自分の生きてる世界と地続きで、観劇後ゾッとする。ガラガラと壊れた後あの家族は、どうやって生きていくのかなぁ。個人的には真也に没入して見てた。玉田さん、役者も良いなぁ。

    ネタバレBOX

    共依存って言葉が甘っちょろい位の相姦関係の親子初め、あの家族のどの感情もよくわかって、笑い飛ばしてるのが自分自身だと思うようなゾッとする感覚でした。ラスト、ここで終わって欲しくない所で終わったのも個人的に好きでした。
  • 満足度★★★★

    実際にありそうな状況だけれど
    何か嘘っぽい雰囲気がコメディーチックだな~と、楽しんじゃいました・・・。

  • 満足度★★

    家族が崩壊する姿を見た、90分
    ひとつの家族の会話劇でありながらも、父と子、母と娘それと家族との会話を通じて、どう家族が崩壊していくかという、ひとつの視点が中途半端な終わり方になったのは残念でしたね。でも90分は中身がよかったです。

  • 満足度★★★★

    大山登山スクール
    大抵の登場人物が自分の想像より上の発言を繰り出してくるので、
    「次は何が来るのか?」
    と、ワクワクしながら観れた。

    ネタバレBOX

    何だこりゃ?こんな家族どっかにいるのかな?と思ったら、
    父親の選択(息子を大山登山スクールに入れて、
    立派な山男にするということ)
    は正しい、と思ったら、
    なんか単に息子と母親を取り合ってるだけで
    「なんじゃこりゃ」
    息子も息子で虫嫌いなのに
    山奥の理事長の理不尽な暴力が吹き荒れるスクールに行って
    丸坊主の精悍な山男に鍛えあがられたいなんて
    どうしたんだ?と思ったら、
    ただ単に親父をぶち殺して母親を独り占めしたいだけ。

    妹は長男を追い出して両親を独り占めしたいだけ。

    ただ、それを知ってか知らずか息子に固執する母親としての演技も
    普通に過剰で、ちょっとそれが可笑しかったりするのは自分だけ?

    あくまで想像だけど、この母親にとっては
    息子と同じ墓に入ることが人生の最終目標で、
    それを排除するものはすべて敵なのかもしれない。

    自分の娘さえも。

    「虫がダメ」というか弱い息子が、
    凶悪な理事長の手によって、
    虫も素手で殺す毛むくじゃらのヒバゴンみたいになってまったら・・?

    卒倒するかもしれない。

    それだけならまだ良いが?
    息子が山奥で野猿みたいな野良仕事で鍛え上げられた逞しい女性を見つけてきたら?

    母親としてはすべてが敵になるのではないのか?
    ついこの前まで「ママママ」と甘えてきた息子(30歳)が・・

    良く考えたらこんな母親、割とどこにでもいるのではないかと思う。

    小学生の時とか、
    わりと何でも買ってもらえる同級生が羨ましいと思ったりもしたが、
    良く考えたら甘やかされて所有されてるだけで、
    その先の事考えると不安じゃないのか、コイツと思ったりもした(ませてるな

    いや、良く考えたら男女間でいちばんよく見かけるかもしれない。

    昔から、バーゲンとか覗きに行くと、
    山のように女性のものを一緒に買ってカードで払っている男性をよく見かけては不思議に思っていた♨

    一見地味にしてる美人だなーと思う知り合いの女子が、
    実はいつもショップの袋たくさん手にしてるの見ては、
    「終わってるな、コイツ」
    と思ったりした(実際のところはどうなのか知らないが。直接聞いたことないので

    みんな物は一杯貰ってるが満たされてないように見える。

    息子も実はそうではないのか?

    外に出たら気づくことを母親は恐れているのではないのか?

    過剰にして気持ち悪くしたりしてるだけで、
    役者たちはその変人たちをみんな楽しんで演じているのが観ていて分かる(笑
    し、
    それぞれの本質はどこにでもある普遍的なもののようである。
    (一緒に暮らすのは死んでも御免だが

    ただみんな誰もそれを気持ち悪く描かないだけで。
  • 満足度★★

    あーれー?
    ネタバレにて。

    ネタバレBOX

    ほとんど「半透明のオアシス」の焼き直しじゃ??
  • 満足度★★

    不条理と非常識
    不条理劇ってキャラクターが共感を呼ばないものなのだろうか。
    これは「自分を省みない人々」の話である。
    登場人物に共感するのが難しく、距離を感じずにはいられなかった。
    この作品では個々の人物の置かれた状況が極めてリアルな問題を抱えている。
    状況設定が超リアルなだけに、不条理より“非常識”が先立ってしまって
    会話に不快感が残ったというのが正直なところ。
    水素74%は2回目だけど、これが不条理というものかしら…。



    ネタバレBOX

    30歳で20年間ひきこもりの真也(玉田真也)は、
    自分の言うことを聞いてくれない母親(高木珠里)に
    カッターナイフを突き付けて脅すような息子だ。
    母親はそれでも息子を溺愛して何をされようと決して離れようとはしない。
    溺愛する息子に対する母親の話し方、声のトーンが異様で目を引く。
    共依存のようないびつさで結びつきながら脅し、懇願し、抱き合う母子。

    父親(永井秀樹)は稼ぐことで責任を果たしていると思って来た結果、蚊帳の外状態。
    両親が兄にかまけていつも放っておかれていた妹(石澤彩美)は、
    結婚相手と子どもを作る気になれず、一時的に出戻って来た。
    おまけに隣家の女性は自分の義理の父親の介護をお願いしたいと押しかけて来る。
    そして父親と妹は、母の留守にひきこもり矯正施設の“登山スクール”へ
    真也を預けようと画策し、ついに家族は崩壊していく…。

    不条理劇って少ししか観たことはないけれど、
    “誰かを待ち続ける”とか“誰かが死ななくてはならない”といった
    のっけから理不尽な世界に、ちょっと変だが
    どこか自分と重なる登場人物が出て来て共感し連帯感が生まれ、
    思うようにならないシチュエーションが面白くなる…と思っていた。

    役者さんは熱演だったけれど
    やはりこのタイプのお芝居は私には難しい…(^_^;)
  • 満足度★★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    水素74%の【荒野の家】を観劇。

    今時では珍しい不条理演劇を行っている劇団だ。

    20年間引きこもっている息子と出戻りの娘に困っている夫婦の話し。
    これから息子をどうするべきか?と夫婦で考えているのだが、父としては戸塚ヨットスクールに預けてみようかと提案するが、息子を溺愛しているが為に反対する母、そして兄ばかりで自分を構ってくれないと叫ぶ娘と家族がバラバラの状態。
    そして戸塚ヨットスクールが息子を引き取りに来た日に、それぞれの思いが爆発してしまい、家族が崩壊していってしまう。

    今作では、理想の家族像とは?を描いているように錯覚しがちだが、息子が引きこもってしまった時、娘が出戻った時、息子を他人に預けてしまう時と、何かを決断しなければならない瞬間に、家族はどのような選択に迫られるのか?について述べている芝居である。
    正しい、間違いは別にして、今作の登場人物の選択は、家族の為に正しい事をしたと思い込んでいるだけで、実の処、家族よりもまず自分にとって都合の悪い者は、血縁ですら排除してしまうという人間の闇の部分を焦点に絞っているようだ。
    所謂、これこそが不条理ではなく、人間の正しい条理だ!というのが今作の狙いのようだ。

    毎作ごとに感じるのだが、永井秀樹の芝居のキャラクター作りは抜群だ。

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