月の岬 公演情報 月の岬」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-13件 / 13件中
  • クオリティが高い!
    作品の中に流れる空気みたいなものはなんだか懐かしく切ないものでした。
    それを創る役者さん、舞台セット・・・作品を創るすべてのものが丁寧でクオリティが高かった!

  • 満足度★★★★

    芝居の醍醐味
    九州の片田舎で暮らす姉弟の平穏な日常が、凪いだ海が少しずつ波立っていくように変化していく。その過程が静かに、(内実、激しく燃えるように)描かれている。
    前作同様、この団体は言葉で多くを語らず、役者の表情や台詞の行間で我々に訴えかけ感じさせてくれる。観客の想像力を喚起させる芝居ーここにこそ芝居の大きな醍醐味があると思い起こさせてくれる。
    昔付き合っていた男、清川悟にしつこく迫られても頑として受け付けなかった平岡佐和子が一瞬だけ表情を変えたように私には見えた。計測器の針が大きく振幅し、すぐに戻るように。そして、ラストでは(明らかにされないので定かではないが)佐和子は清川とあの岬へ・・・。大きく丸い月に照らされ岬に立つ二人の姿が見えるようだった。また強い絆で結ばれていたはずの弟の信夫は茶の間に一人座り込み何を思ったのか。彼は微かに笑っているようだった。大げさかもしれないがある種の「無常感」というものさえ感じさせる趣のある舞台だった。

  • 満足度★★★★★

    素晴らしかった。
    とても丁寧に作られていたように思います。気持ちがたかぶったり、逆になったりしたときも地方の言葉のままだったのに驚きました。学生役のかたがたがとてもよかった。大人の暗さと正反対がよく出ていたと思います。ラストもいろんな想像ができて余韻が楽しめて。観れてよかった。

  • 満足度★★★★

    島で生きる息苦しさ
    相変わらずクオリティの高い芝居を堪能しました。島を地方と置き換えても同じだけど、この閉塞感はやっぱりキツイです。地方からの上京者としては身に沁みる作品でしたね。

  • 満足度★★★★

    余韻
    一見、田舎の静かな日々の暮らしの中にも、色々な出来事や、交錯する思いなどがあり、すべてを見せずに想像や余韻を持たせた構成、静かに心に染み込んできました。

  • 満足度★★★★

    人間の強さと脆さ
    確かな実力を持つ俳優陣およびスタッフの、プロの仕事としての作品をじっくりとみせていただきました。
    田舎に生まれながら、高校卒業と同時に上京して、以来長く周囲と没交渉な都会に暮らしていると、この物語世界の人間関係の濃さ…互いへの愛憎への郷愁を感じつつも息苦しくなり。同じ女性として、やはり佐和子の心に添って、息を詰めて彼女の行く末を見守りましたが…余韻の中で、やはりつらく、けれどウソのない現実的な終わりに、納得できたようにも思います。
    思い返すとまだまだいろいろな想いが脳裏を行き交う秀作でした。
    暗転と音が醸し出す、劇場に満ちた空気感が美しかった。

  • 満足度★★★★

    観劇の感想です.
    作り込まれたセットに期待感が高まりました.お話は面白かったですが,2回くらい見ないと理解が深まらない感じがしました.
    大島、村、おまわりさんの上がり込んでくる態度など、今でも田舎はこういう感じなのでしょうか?多少は。家を守らなければ中年の独身のお姉さんは居場所がない辛い状況とお察ししました.弟のような寡黙な感じ、あえて察しない感じの男の人はいそうです.ラストの悲しい感じはせつないですが、恐ろしい話でしたが,そこを突き抜けてお姉さんの新しい幸せをお祈りしたいです.

  • 満足度★★★★★


     詩的なシナリオに見合った質の高い、演出、演技。舞台美術や小道具に至るまでの物が、多くを語る。緻密で奥行きのある優れた作品。舞台上で微妙な情緒を表現するのに用いられるスモークの焚き方、照明も絶妙。

    ネタバレBOX

     オープニング、下手奥から登場した長女は、襖を開け、直ぐ奥に消えてしまう。間もなくチーンと仏壇にまいる様子を伝える音が聞こえてくる。
     一瞬、存在した者が、非在の相へ転位すると、短い間を置いて、音という位相で存在を露わにする見事さ。観客は、先ず、この手際に驚かされる。
     舞台美術も単に手が込んでいるというより、気の利いた使い方をされている。舞台正面にちゃぶ台を置いた居間があり、ここで、話が展開するのだが、この部屋の手前、観客席側に濡れ縁があり、上がり框には、靴脱ぎ石が置かれているのだが、この石の上に置かれる履き物の位置や履き物同志の距離などによって、舞台上の登場人物の親疎まで照応して表現されている。無論、靴脱ぎ石に載る履き物の数は限られているから、それ以外の場所に置かれた時には、履き物石の上の履き物とそれ以外の場所の履き物との関係を見れば良い。
     シナリオは、基本的に長崎辺りの九州弁。舞台は、フェリーで渡る大島という離島である。この島には満潮になると島からも切り離されてしまう京が崎というエリアがあるが、大潮の時は殊に潮流も激しく、流れに浚われ、行方不明になる者も後を絶たない。悲恋の末に波に浚われた美姫の伝説もある。更には、この海で命を落とした者達の霊が、ここで泳ぐ者を、海の底に引きずり込むという話もまことしやかに語られ続けているのである。
     海と月光に照り映える水面の美しさばかりが、無上の詩情を誘うばかりの微妙繊細な、而も一旦変化すれば人の命などひとたまりもないような荒々しさを秘めた底知れぬたゆたいを背景に恋の闇が息づく。
     男と女はかつて恋仲であった。その恋は、駈け落ちをする寸前迄、思い詰める程のものであった。而も、すんでの所で女は、自らの生活を選び、男は単身東京へ渡って、事業を立ち上げたものの、経済の失墜の煽りを受けて倒産。妻子を捨て、夜逃げをして故郷に舞い戻っていた。連日のように男は女に迫った。然し、女は「むかしのことは忘れた」と答える。「帰って下さい」とも。「迷惑です」とも。結婚した弟夫婦も巻き込んで、執拗に姉に迫る男を退散させるが、満月の晩、姉は家に戻らない。弟はきっと妹夫婦の面倒を見ている義父の見舞いにでも行っているのだろうと高を括っていたが。駐在が、姉らしい人物を見た、という証人まで連れて訪ねて来たのを見て、漸く己の不明を悟り崩折れる。
     実は、前兆があったのだ。弟の結婚を知って、付き合いを始めた女生徒が居たのである。彼女は、デートで付き合い始めた彼と共に海に行った。其処で初めてディープキスをする、そのことで妊娠したのではないか、とそれとなく匂わしたのだが、信夫はその意味する所を捉えきれていなかった。脅迫めいた電話が入ったり、学校の仕事を終えて帰り掛けに何者か数人に襲われたりということがあった。これらの事実を関連付けて考えることが出来ない。劇中、弟のキャラはずっとこのようなものとして描かれている。信夫の妻は流産した。姉の失踪する前から彼女は10日間程、家で療養している。療養中に満月は来た。一際大きく、波のざわめきが聞こえる。信夫に電話が入る。高校生カップルの彼からだ。彼女は自死したらしい。靴脱ぎ石の横の大きな水瓶に映り込む満月の怜悧な光を浴び信夫はがくりと膝を折る。或いは姉の失踪と死、女子高生が、自分に憧れていたことに気付きでもしたかのように。己の想像力の欠如に今更。

  • 満足度★★★★★

    匂い
    実際に漂ってくるお香や煙草はもちろん、潮だけでなく“女”の匂いがしてくるような密度の濃い舞台でした。

    女の嫌な所、ズルい所、醜い所を目線、声のトーン、距離で見事に演じられてた秋葉舞滝子さんに釘付けでした。

    謎か謎のままで終わり、自分で解釈つけるしかないので、自分なりの解釈は公演終了後に書き足したいと思います。

  • 満足度★★★★★

    無題721(23-146)
    19:30の回(曇、終演後は雨)。18:45受付(チケットに整理番号あり)、19:00開場。こちらは初めてで、この作品がどういうものかも知らずに観劇。途中から不思議な感覚が押し寄せ、目の前の輪郭がぼやけ、凝らしてみると「違う」ものがみえている…そんな印象。置き換わったのではなく初めからそうだったような気がする。聞こえるのは。セミの声、波の音。時間を置き忘れたような生活、お茶、つきまとう男、話がずれている学生たち、お茶、夫婦間の距離、水。またみてみたい作品でした。

    ネタバレBOX

    決して楽しそうでも、幸せそうでもない、噂話、教職、満月、満ち潮、男と女、姉と弟…。2回目からはまた印象が違ってくるのでしょうが、初回、整理が難しいと感じました。それは、前半部分で普通の生活が、普通に描かれているため、舞台に意識を固定するのに少し苦労した。さらに、そこで腰を落ち着けてしまっていたので、その後の変容に戸惑う。

    登場人物を動かしているもの、それぞれが抱えているもの。

    なぜ、避け、襲い、離れて行く…?

  • 満足度★★★★★

    おとな
    平和な日常と、ただならぬ状況が、ひゅるひょるっと繋がっていて。

    隣の観客が、最初のほうですぐに居眠りし始めて。こっくりこっくりしている。ひゃ~、信じられない。
    でも途中の緊迫した場面では、身を乗り出して観ている。極端なんだよ、あんた!と隣の女に気をとられつつも。

    秋葉舞滝子さんてすごいなあ。こんなふうに出演しながら、演出もしてるなんて。
    (すんません、お名前読めません)

    ネタバレBOX

    最初、夫婦かと思ったら、姉と弟で。二人で暮らしている。結婚した妹が近くに住んでいる。弟の結婚式がすぐにあって。
    弟夫婦と姉がいっしょに暮らすようになって、、、。
  • 満足度★★★★★

    いずれまた観たい。
    そして見比べたい、そんな作品です。

    ネタバレBOX

    淡々と、負のスパイラルに入り込んでしまった感じです。

    高校生丸尾君も、警察官も、妻直子も、妻はお姉さんが憑依していたかもしれませんが、みんな美味しそうに麦茶や水を飲んでいました。そして、信夫の喉が渇いているときの水は美味しいに対して、直子があのときは喉が渇いていたのでしょうね的な切り返しは抜群でした。

    女子高生七瀬の妊娠騒動に対して、別の劇団で観たときはもう少し絡んでいたように感じましたが、信夫は言いがかりを付けられただけの印象でした。

    姉佐和子の失踪は、第三者の証言があるので元恋人の悟に連れ去られたり殺されたりしたわけではなく、やはり自殺した可能性が高いと思われますが、信夫との会話からお父さんが海で死んだ原因が自分が溺れかけたことにあったことに気付くというか、封印してあった記憶を思い出してしまったからなのでしょうか。

    いずれにしても、九州の男で括るのも大雑把過ぎますが、面倒臭がりの信夫や妹の夫幸一に対して、これから平岡家を取り仕切るのは私よとばかりの直子の態度の変化に九州の女の強さを感じました。
  • 満足度★★★★

    前作「海と日傘」とは対照的な一編
    同じ松田正隆作品ながら前作「海と日傘」は直球、本作は変化球なオモムキ。
    二場は声をあげて笑ってしまうほどコミカルだが四場はミステリアスと振れ幅が大きく、lunaticとも言える四場を受けての最終場で「一応の」まとまりを見せるのはさすが。
    がしかし、そのまとまりはあくまで四場の後ゆえに感じる相対的なものと言え、あれこれ謎を残し観た人によって解釈が異なりそうな結末は味わい深い。
    また、間合いが雄弁で、台詞がない時でも充分に気持ちを引き付けるのは演技力・演出力だね。
    あと、開演前に灯体に気付き予測通りであった西陽の表現を筆頭に毎度ながら見事な照明や、非常にリアルな雷鳴を聞かせた音響など、裏方の仕事もハイレベル。

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