満足度★★★★
前作「海と日傘」とは対照的な一編
同じ松田正隆作品ながら前作「海と日傘」は直球、本作は変化球なオモムキ。
二場は声をあげて笑ってしまうほどコミカルだが四場はミステリアスと振れ幅が大きく、lunaticとも言える四場を受けての最終場で「一応の」まとまりを見せるのはさすが。
がしかし、そのまとまりはあくまで四場の後ゆえに感じる相対的なものと言え、あれこれ謎を残し観た人によって解釈が異なりそうな結末は味わい深い。
また、間合いが雄弁で、台詞がない時でも充分に気持ちを引き付けるのは演技力・演出力だね。
あと、開演前に灯体に気付き予測通りであった西陽の表現を筆頭に毎度ながら見事な照明や、非常にリアルな雷鳴を聞かせた音響など、裏方の仕事もハイレベル。