クオリティが高い!
作品の中に流れる空気みたいなものはなんだか懐かしく切ないものでした。
それを創る役者さん、舞台セット・・・作品を創るすべてのものが丁寧でクオリティが高かった!
満足度★★★★
芝居の醍醐味
九州の片田舎で暮らす姉弟の平穏な日常が、凪いだ海が少しずつ波立っていくように変化していく。その過程が静かに、(内実、激しく燃えるように)描かれている。
前作同様、この団体は言葉で多くを語らず、役者の表情や台詞の行間で我々に訴えかけ感じさせてくれる。観客の想像力を喚起させる芝居ーここにこそ芝居の大きな醍醐味があると思い起こさせてくれる。
昔付き合っていた男、清川悟にしつこく迫られても頑として受け付けなかった平岡佐和子が一瞬だけ表情を変えたように私には見えた。計測器の針が大きく振幅し、すぐに戻るように。そして、ラストでは(明らかにされないので定かではないが)佐和子は清川とあの岬へ・・・。大きく丸い月に照らされ岬に立つ二人の姿が見えるようだった。また強い絆で結ばれていたはずの弟の信夫は茶の間に一人座り込み何を思ったのか。彼は微かに笑っているようだった。大げさかもしれないがある種の「無常感」というものさえ感じさせる趣のある舞台だった。
満足度★★★★★
素晴らしかった。
とても丁寧に作られていたように思います。気持ちがたかぶったり、逆になったりしたときも地方の言葉のままだったのに驚きました。学生役のかたがたがとてもよかった。大人の暗さと正反対がよく出ていたと思います。ラストもいろんな想像ができて余韻が楽しめて。観れてよかった。
満足度★★★★
島で生きる息苦しさ
相変わらずクオリティの高い芝居を堪能しました。島を地方と置き換えても同じだけど、この閉塞感はやっぱりキツイです。地方からの上京者としては身に沁みる作品でしたね。
満足度★★★★
余韻
一見、田舎の静かな日々の暮らしの中にも、色々な出来事や、交錯する思いなどがあり、すべてを見せずに想像や余韻を持たせた構成、静かに心に染み込んできました。
満足度★★★★
人間の強さと脆さ
確かな実力を持つ俳優陣およびスタッフの、プロの仕事としての作品をじっくりとみせていただきました。
田舎に生まれながら、高校卒業と同時に上京して、以来長く周囲と没交渉な都会に暮らしていると、この物語世界の人間関係の濃さ…互いへの愛憎への郷愁を感じつつも息苦しくなり。同じ女性として、やはり佐和子の心に添って、息を詰めて彼女の行く末を見守りましたが…余韻の中で、やはりつらく、けれどウソのない現実的な終わりに、納得できたようにも思います。
思い返すとまだまだいろいろな想いが脳裏を行き交う秀作でした。
暗転と音が醸し出す、劇場に満ちた空気感が美しかった。
満足度★★★★
観劇の感想です.
作り込まれたセットに期待感が高まりました.お話は面白かったですが,2回くらい見ないと理解が深まらない感じがしました.
大島、村、おまわりさんの上がり込んでくる態度など、今でも田舎はこういう感じなのでしょうか?多少は。家を守らなければ中年の独身のお姉さんは居場所がない辛い状況とお察ししました.弟のような寡黙な感じ、あえて察しない感じの男の人はいそうです.ラストの悲しい感じはせつないですが、恐ろしい話でしたが,そこを突き抜けてお姉さんの新しい幸せをお祈りしたいです.
満足度★★★★★
詩
詩的なシナリオに見合った質の高い、演出、演技。舞台美術や小道具に至るまでの物が、多くを語る。緻密で奥行きのある優れた作品。舞台上で微妙な情緒を表現するのに用いられるスモークの焚き方、照明も絶妙。
満足度★★★★★
匂い
実際に漂ってくるお香や煙草はもちろん、潮だけでなく“女”の匂いがしてくるような密度の濃い舞台でした。
女の嫌な所、ズルい所、醜い所を目線、声のトーン、距離で見事に演じられてた秋葉舞滝子さんに釘付けでした。
謎か謎のままで終わり、自分で解釈つけるしかないので、自分なりの解釈は公演終了後に書き足したいと思います。
満足度★★★★★
無題721(23-146)
19:30の回(曇、終演後は雨)。18:45受付(チケットに整理番号あり)、19:00開場。こちらは初めてで、この作品がどういうものかも知らずに観劇。途中から不思議な感覚が押し寄せ、目の前の輪郭がぼやけ、凝らしてみると「違う」ものがみえている…そんな印象。置き換わったのではなく初めからそうだったような気がする。聞こえるのは。セミの声、波の音。時間を置き忘れたような生活、お茶、つきまとう男、話がずれている学生たち、お茶、夫婦間の距離、水。またみてみたい作品でした。
満足度★★★★★
おとな
平和な日常と、ただならぬ状況が、ひゅるひょるっと繋がっていて。
隣の観客が、最初のほうですぐに居眠りし始めて。こっくりこっくりしている。ひゃ~、信じられない。
でも途中の緊迫した場面では、身を乗り出して観ている。極端なんだよ、あんた!と隣の女に気をとられつつも。
秋葉舞滝子さんてすごいなあ。こんなふうに出演しながら、演出もしてるなんて。
(すんません、お名前読めません)
満足度★★★★
前作「海と日傘」とは対照的な一編
同じ松田正隆作品ながら前作「海と日傘」は直球、本作は変化球なオモムキ。
二場は声をあげて笑ってしまうほどコミカルだが四場はミステリアスと振れ幅が大きく、lunaticとも言える四場を受けての最終場で「一応の」まとまりを見せるのはさすが。
がしかし、そのまとまりはあくまで四場の後ゆえに感じる相対的なものと言え、あれこれ謎を残し観た人によって解釈が異なりそうな結末は味わい深い。
また、間合いが雄弁で、台詞がない時でも充分に気持ちを引き付けるのは演技力・演出力だね。
あと、開演前に灯体に気付き予測通りであった西陽の表現を筆頭に毎度ながら見事な照明や、非常にリアルな雷鳴を聞かせた音響など、裏方の仕事もハイレベル。