満足度★★★★
水彩の抽象画のイメージ。
アマヤドリ「フリル」を観る。ちょっと劇団 青い鳥の「夏の思い出」を思い出させる。
「無くしたもの」「記憶」「見えないもの」「見たかったもの」。これまでの作風とは変わって静かに佇む作品。
今作は、ダンスや動きを抑えつつ、揺れる質感を出したかったのかな。が、中途半端なぎこちない動作にしかなっていない。1週間公演でパターンになっているのか。
原宿あたりで野球の歓声が聴こえるシーンは、祇園祭の季節には、どこにいてもお囃子が聴こえる京都の人のエピソードを思い出す。
個人的には、情緒的で、ブラッドベリ風の切なさがあって良かったと思います。まあ、アクティブな物語を観たい人には退屈だったかも。冒険物語を読もうとしたら、詩集をわたされた、みたいな。全体的に水彩の抽象画のような作風になったのかな。以前はアクリルでマンガっぽい感じでしたが。
あと、台本、照明、スクリーンなどがアマヤドリスタイルになったのに、役者はまだ前のスタイルのように見えました。台詞や動きが少なくなって、存在感まで小さくなったような。役者の強度、見せ方は、まだまだ改良の余地があるように思いました。
照明、美術はステキでした。
満足度★★
あまり入ってこず
ようわからんかった。と言うか物語が入ってこなかったが正しいか。
第0回公演で実験的だったからと思っておくか。舞台セットはよかった。
満足度★★★★
第0回公演
「うれしい悲鳴」で爆破したひょっとこ乱舞改めアマヤドリの第0回公演。
んー、良作でした。メンバーはほぼ同じだけれど、劇団名を変えるという大きな決断をした価値が十二分に出ていたと思う。確かに「だから何?」という話の流れが主軸になっていて、こんな日常を観るためにお金を払う必要かあるのか?という面もある。が、劇団と広田淳一さんが放つ世界観というのはあの劇場のあの時間でしか体験する事ができないので、演劇らしい貴重な「だから何?」だったと思う。
無理せず作品をリリースした第0回公演。今後も期待する。
松下仁さんは観させてもらう度にレベルを上げていっている。こちらもまだまだ楽しみだ。あと観させてもらった回では、なぜか根岸絵美さんが椅子に激突しまくっていた。意図的な演出なのかなとも思ったが途中からはぶつからなくなっていたので、単なるアクシデントの連続だったのかもしれない。
ちなみにもう「乱舞」ではないので、踊りのシーケンスはいらないのではないかな。
満足度★★★
俳優さんよかった
俳優さんたちがすてきでした。とりわけ、松下仁さん、糸山和則さん、渡邉圭介さんの男性陣がとてもよく、女性陣も小角まやさんが本当に良かったです。
満足度★★★★
せせらぎのように流れる
前身の劇団(ひょっとこ乱舞)特有の群舞はなかったけれど、
水のように言葉が流れてくる感じが巧いなと。
松下さんの台詞が長いのは相変わらずなのか、
それでも止めどなく流れて
その中で感情の起伏を表現してくるところが
素直に凄いと感じた。
別れ、辞める、捨てるとか負や陰の要素が多く、
マイナスの気が溢れる芝居かと思うが、
逆に夜明け前の闇のように次に何かが始まっていく
シークエンスのようにも思えた。
あと女性キャストの表現が良い。
強いけど、繊細で一人一人のカラーの違いを
自然に出していた。
満足度★★★★★
ねっころがって
最後、みんな、静かに、寝っころがって空に向かって手を伸ばす。
この幻想的抽象的思索的なエンドマーク。
しみじみと人間て孤独だなあと思った。
満足度★★★
「説明しない」説明も要らない
モノローグよりも何気ない会話の中での台詞の方が印象に残りやすいものだし、モノローグは押し付けがましく共鳴しない長台詞を聞くと観劇力が弱まる。だからと言ってモノローグを多用するこの作家の作品が嫌いじゃないのは作者がモノローグ(台詞)よりも役者の肉体を重視してるように思えるからだろう。群舞なくとも群舞があったかのような感覚、なんだこれ。
満足度★★★
優しく降り注ぐ
カーテンにライトがあたると、雨か砂が静かに降り注いでいると錯覚する。
芝居が進むと、失われた過去に対する後悔とか、伝えられなかった想いとか、そんなものが降り注いでいるように見えて。
全体的に薄暗いなか、そんな風に降り注ぐものを眺めていると、何故だか優しい気持ちになれたのです。ちょっと不思議な感覚。
満足度★★★
つかめず
公演情報にあった「僕には君を所有する意欲がない」というフレーズに強烈に惹かれて観劇。膨大な台詞の中から、心に刺さる言葉を聞き逃すまいと、前のめりな観劇に。「説明をしない。複雑なものを複雑なまま」ってそう当日パンフにも書いてあったのに。。。帰り道疲れた頭で、ついつい舞台を見ると何か掴んで帰らねば、と思うせっかちな自分(元を取らねば精神?)を改めて自覚。前作の「幸せはいつも小さくて~」では、目を閉じていても言葉の力で否応なしに引き込まれたので、そういう点ではちょっと期待とは違っていました。アルファ波のような(実際舟を漕いでる方もちらほら)静かで心地良い雰囲気はとても好きでした。あと、白いカーテンは違う素材の方が良かったかな、なんとなくですが。
満足度★★★★★
初アマヤドリってか、ひょっとこ乱舞。。。的なアマヤドリ
きらびやかにアルペイジオ。
群衆で踊るシーンは大草原の水場に集うフラミンゴの群れを思わせ美しい。
特に女性キャストは光の当たり方も幻想的で綺麗。
ってか、可愛いですよね?
満足度★★★★★
たゆたう。
確かに静か。確かに「何が言いたい?」という感じ。でもよかった。例えるなら、インストゥルメンタル系バンドが気まぐれで歌詞付きの曲書いてみましたみたいな感じ。観客を目掛けて飛んでくるというより、あたりに放たれるような台詞たち。そんな風に散りばめられた台詞の中に、確かにはっきりと脳裏をかすめる台詞やシーンがあって、そうして心に触れたものが頭の中で散り散りになってしまわないように拾い集めたり、つなぎ止めたりしている内に上演時間が終わってしまいました。まったく飽きなかったです。
夏なのに静か
全体的にとても静かな作品
夏の虫や雨、ファッションブランドなど、
出てくる話題は、どちらかというとノイジーなものなので、
そこをあえて思い切り静かに攻めていた。
静かだけどだるくも眠くもならなかったのは、
(舞台美術に助けられている部分も大きいが)
脚本と演出の地力を感じさせた。
ただ、全体としてこじんまりしていた印象は否めず。
こちらまで、静かな緊張と絶望と期待が届かなかったのが惜しまれる。
満足度★★★★★
死なないもの、生き続けるもの。
登場人物達それぞれが語るエピソードや感情に悉く共感。それはとてもささやかで、日常で確かに感じているはずなのに、いとも簡単に受け流し忘れ去ってしまっていることばかり。そんな何気ない日常が、広田さんによって台詞として紡がれ役者さんを通して語られると、驚くほどキラキラとして切ないほど愛しく思える。自分の中にあるものがこんなに素敵に輝けるなら、もっと日常を、生きているこの瞬間を大切にしようと思えました。演じる役者さん達も、力のある(しかも美しい)方揃い。素敵でした。 ※15日にリピートしました!最後列から観るフリンジのカーテン、とても美しかったです。前に背の高い人が座ることを恐れてついつい最前列に行ってしまうのですが、今回のように高低差のある客席は最後列から全体を眺められるのでとても嬉しいです(^-^)
満足度★★★★★
理屈ではなく感覚的に腑に落ちた
いくつかの事前情報から「考えるのではない、感じるんだ」タイプかと思って臨んだのがプラスに作用したか、理屈ではなく感覚的に「腑に落ちた」。作品の凹凸と心の襞(フリルだけに?)がピタリと一致したと言おうか。
また、台詞の持つ響き・感触はまごうことなき広田節(笑)だし動きにも片鱗はあるし。
なお、前半に(大好きな)「夢十夜」に通ずるものも感じた。
ただ、以上は個人の感想であり「やっぱりワカらん」な向きもあるかと思い、初めて演劇を観る方には「どちらともいえない」か。