トロンプ・ルイユ 公演情報 トロンプ・ルイユ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-20件 / 23件中
  • 満足度★★★

    まさに「人馬一体」(笑)
    新作をこれほど楽しみにしている小劇場劇団って、パラドックス定数がNo.1かも。

    ネタバレBOX

    1人の役者さんが、人間と馬を1役ずつ(計2役)演じます。競馬のレースを、馬でなく実況、予想屋、調教師の演技で見せるなど、脚本にも演出にも新しいチャレンジがあって素晴らしかったです。
  • 満足度★★★★★

    ぜひ再演を!
    こんな楽しい芝居にめぐり合えるとは、なんて幸せなんだろ♪

  • 満足度★★★★

    すごい、すごい!!
    地方競馬の競走馬と競馬を愛する男たちのお話。この演出と、それを体現する役者さんたちに脱帽。
    本当に急遽観に行って良かった!
    評判に違わず良いもの観せて頂きました。
    馬たちも男たちも格好良くって可愛くて涙が止まりませんでした。
    次回公演も絶対観に行く!!

  • 満足度★★★★

    競馬が
    このような演劇になるとは。馬の表現が良かった。楽しめた♪

  • 満足度★★★★★

    人馬一体
    以前のチラシを見たときは、
    タイトルから騙し絵だから、
    詐欺師の話かなと予想していたのですが、
    見事に裏切られました。
    馬の話でした。
    でもね。
    馬だから競馬のシーンとかないんだろうと思っていたら、
    まさかね。
    人が馬を演じるとは。(演劇なので当たり前ですが(^_^;)

    パラドックス定数にしては珍しく暗転があり、
    音楽もかかるという珍しい公演でした。
    でも、この演目にはそれがふさわしい。

    5頭の馬と5人の人間の物語。
    5頭と5人が微妙にリンクしている。
    性格が同じだったりと、
    馬社会のシーンでは馬同士が会話するし、
    人間のシーンではもちろん人間が会話する。
    馬と人間が混在するシーンでは、
    一方通行の会話だ。
    それは馬と人間だからね。
    でも、シーンが進んで一瞬だけ、
    馬と人間が通じる合う瞬間がある。
    でも通じていないかもしれない。
    お互いの思いが同じだけで、同じ言語はしゃべっていないのだから。

    人馬一体。
    人に人生があるように馬にも人生(馬生)がある。

    ただ走ることに全てをかける姿に人は感動して、
    自分の人生を投影する。
    そこには、純粋にゴールに向かう崇高な姿をした、
    馬がいるから。

    人間は迷い、立ち止まることがあるから、
    走り続ける彼らに惹かれるのだろう。

    パラドックス定数の新しい進化を見た気がする。
    演劇ってやつは可能性が無限大ですね。

  • 満足度★★★★

     
    観劇

  • 満足度★★★★

    いつもと違うパラドックス定数
    いつものパラドックス定数は
    異常な緊張感と物語のノン・フィクション感を強く感じるが
    今回は、かなり違った。

    いつも以上に
    演劇的表現や音楽を使ったいたし、
    今回は今回で楽しめた。

    次回作がどうなるか楽しみだ!

  • 満足度★★★★

    不思議な牛丼
    初見。レベルが高いです。すごいと思ったのはバランスの良さ。芝居のバランスというのは捉え方がさまざまだ。牛丼に喩えれば(わざわざそんなものに喩えなくてもいいのだけれども)、牛丼自体がメチャ美味い!というのは「完成度」だが、でもちょっとサラダも欲しいな、ケチらず味噌汁もつければよかった、というのが「バランス」の問題だと言えるだろう。芝居というのは吉野家と違って、牛丼単品勝負なのか、定食なのかを事前に客が選択することが困難な商品だ。だから客席に座ってみて、ああこれは単品勝負だろうと思っていたら、急にサラダが出てきてびっくりすることもある。ひとそろい揃っているからと言ってバランスがいいとは限らない。食べ終わってみてはじめて、これが単品だったのか定食だったのかわかる、芝居とはそういう不思議な「牛丼」であり、つまり芝居のバランスとは、芝居がスタートして徐々に固まってくる「単品か定食か」という客の期待値に対して、応じたり裏切ったりしていく、その対応関係のうまさにある、というのが私の考えで、その意味で驚くほど巧みなバランス感覚を見せられた芝居でありました。

  • 満足度★★★

    競馬。。
    予想屋のくせにオシャレな衣装?!と思いきや、馬だったのですね。びっくり。
    中央と地方とでオッズが違うのか。
    乗馬はあれど競馬さっぱり経験ないので一度行ってみたくなりました。
    足のくせがあるのが馬っぽかった。

  • 満足度★★★★★

    噂に違わぬ
    劇団の前評判から観たいと思っていましたが、今回機会に恵まれ観劇することが出来ました。正直、人が馬を演じるとの事できぐるみでも着るのか?安いコントならんか?と言う不安がありましたが、始まって直ぐ吹っ飛びました。中野の劇場に背広を着て常歩している馬がいましたよ。まあ、見事です演技も演出も、自分自身がカカリ気味で見入ってしまいました。
    競馬レースシーンでは瞬間瞬間で躍動感がひしひしと感じられて、見ててドキドキしてしまいましたし、馬ドラマ(勿論人間ドラマにも)には目頭が熱くなりました。単純な擬人化にならなかったのは、脚本家の野木さんが彼らに対して愛情を持っているからだと感じられ、馬の耳には念仏は届かないかも知れないけど、何かは響いているんじゃないかと思わせくれた素晴らしい舞台でした。

    ネタバレBOX

    横浜生まれの横浜育ちの自分としては、勿論開催したところは見ていないですが根岸競馬場が出てきたのは嬉しかったです。また、どうでも良いんですが、参考レースが根岸ステークスとなっていたのでブロードアピール推しかと密かに期待してました。

  • 満足度★★★★★

    裏切る潔さ
    パラ定的ではないところに連れて行ってもらった今作。

    人によっては「いつもと違う」と望んでいた風景・着地点では無いかもしれない。
    が、そうして人の思惑や期待を裏切るようにして、またも新たな種を蒔いた作家。
    観劇の帰途、反芻するその後味はとても優しくあたたかく甘美だった。

    彼ら的な・・・とはいったい何だろう。
    勝手に括り縛っていた自分が小賢しく笑い飛ばしたくなるほど、実に勇敢でしなやかな作品。

    野木さんが描く世界を「期待」や「らしさ」という名の型に嵌めるのは止めようと改めて思った。

    ネタバレBOX

    本当に馬と人の物語だった。
    実は以前仕事の在る企画の時、競馬についていろいろと調べたことがある。
    綿々と続く競争馬の歴史や逸話に触れたことで、以来、競馬に対する受け止め方が変わった。

    速く走ることでだけ生かされる彼ら。

    レース実況のコトバに乗って眩しい緑の芝、泥だらけのダートが薄暗い劇場の中
    鮮やかに拡がる。

    誰よりも速く、前へ前へ前へ・・・

    生きることは走ること。

    そうして急ぎ生ききる馬の世話をし見守り同調し、
    彼らと常に併走している人間達。
    その間に流れる何か。
    それがちゃんと舞台の上にもあってコチラにも「通じた」。
  • 満足度★★★★★

    これが演劇だ!
    幸せな時間をありがとうございました。

    暗転中も、前傾姿勢のまま拝見していました。

    今日が楽日なんてもったいないなー。
    もっと沢山の人に観てもらいたい(満席だったけれど)と思えた作品。

    ネタバレBOX

    西原さん素敵でした。ラスト付近の泣き顔にグッと来ました(笑)

    実況中継が入る所が泣きツボでしたかねぇ…悲しい訳じゃなく、体が熱くなって震えるというか…ゆえに涙が出るみたいな…


    お金があれば私も馬主になりたい。

    パリッとした芝居を見れて、満足です。
    でももっと見たい!

    これからも楽しませてもらえる事を期待しています。
  • 凄い
    昨日ソワレ、観劇させていただきました。ただただ脱帽。ただただ感激。感動。いろいろな優しさ、、、もうこれは、慈悲ですね、慈悲に溢れた作品です。はい。野木さんは悟りを開いているに違いないと。生老病死の生以外を、とてもわかりやすく、愛情たっぷりに登場人物の個性を生かし描かれています。このまとめ方ハンパないです。私は号泣でした。笑えます。泣けます。癒されます。ヒーリング効果絶大です。

  • 満足度★★★★

    夏バテ気味の観客に
    いつもと少し違う夏、
    酷暑の中で
    こういう、気楽に入りこめて
    グイっと楽しめるお芝居はありがたい。

    人馬一体のしなやかさにとりこまれて
    たっぷりと楽しむことができました。

    ネタバレBOX

    人と馬の重なりや切り分けがとてもしたたかで、
    役者たちのダブルロール(?)が
    そのまま舞台のふくよかさに変わっていくような部分があって。

    木で作られたジンプルな椅子の重なりで
    パドックが生まれ厩舎の雰囲気が醸し出されていく。
    馬主や調教師、予想屋や観客の風情が
    ちょっとコミカルに、でもどこかぞくっとするようなリアリティを持って
    描かれていて・・・。
    人間がまねる馬の仕草が、
    気がつけば、馬の人間臭さにまで進化していて目を瞠る。

    まあ、馬の世界も人の世界も
    いろいろとあるよなぁみたいな。
    覚めたりすねたりの心持も
    達観や諦観、闘争心も
    知らず知らずのうちに観る側に置かれている。

    だから、丸亀の競馬場で
    ずっと海を見ている馬たちの気持ちがわかるような気がする。
    そりゃ、馬たちの会話は作りごとだけれど、
    海を見詰める心情には
    観る側が重ね合わせたくなるなにかがあって。

    さらには、ジャケットを着込んだ馬たちの態度や会話にも
    サラリーマンたちのありようや心情がしたたかに
    移しこまれていることにも気づくのです。
    だからこそ、より一層、馬たちのレースに対する姿勢ややり方なども
    ぞくっとするほどにリアルに感じられる。

    ゲートが開くときの馬(?)たちの走り出し方にも
    個性があっておもしろい。
    ロートルの馬に活躍の場がうまれたり、
    中央から外された馬のプライドが悲劇を招いたり。
    ぐいぐいのめりこんでしまうような派手さはないのですが
    作り手の寓意が観る側を飽きさせることなく
    日々の俯瞰へと導いていく。

    酷暑が続くなかで、個人的にちっとばてているのかも知れなくて
    大上段に振りかぶられるお芝居は
    観ていてもちょっとだけつらいことがある昨今ですが、
    そんな観客にこういう口当たりのお芝居は
    とても優しい感じもして。
    この時期にこういうお芝居を上演してくれるのも
    作り手のセンスなのかなぁと感心したり。
  • 満足度★★★★★

    サラブレッドのダンディズムで男たちに鞭を一発! −−演劇的トロンプ・ルイユ
    演劇でしかできないシカケが見事に活かされる。
    笑いも随所にある。
    競馬の知識ゼロの私が観ても面白かったから、芝居を観たことない人で、競馬好きの人が観たらたまらないのではないかと思った。

    ネタバレBOX

    競馬はまったくやらないのだが、競馬は「馬」という動物が走るために、それに観客はついつい自分の姿や人生を重ね合わせてしまうということを聞いたことがある。
    この舞台でもまさにそうした情景が数多く盛り込まれていた。

    逃げ馬のロンミアダイムに入れ込む青年、中央から地方に流れてきて、さらに再復活を狙うドンカバージョに自分の果たせなかった人生を重ねる調教助手などだ。

    これが、単に言葉だけであれば、「なるほどなあ」というだけのところではあるのだが、ここに演劇ならではの仕掛けがある。
    「人」と「馬」が似てくる(似ている)ところがキーポイントでもある。

    すなわち、「人」と「馬」を同じ役者が演じるというものだ。それによって、「人」が「馬」に同化するほど自らを重ねていく様子が鮮明になっていく。

    冒頭で小野ゆたかさんが演じる青年が、自ら応援している競走馬と同一になっていることを匂わせる「わかるんだ」という台詞の入れ方(脚本的な)のうまさ。「人」=「馬」なのか、それとも別々の人格のある「別モノ」として演じているのか、で観客をちょっとゆさぶるいいシーンだと思う。そのあしらい方が、演劇的なのである。

    さらに、演劇ならではの手法で、その「人」から「馬」、「馬」から「人」へ変わるのも瞬時行うことが可能だ。まさに「(演劇的)トロンプ・ルイユ」。
    実際、舞台の上には見事にサラブレッドが登場するのだ。

    「人」として会話していた2人が、そのテンションのまま、2頭の「馬」になるなんて実にスリリングで楽しい。
    「馬」としての形態模写を最小限にしたことが功を奏していると思う。
    ヘタに「馬」の描写、例えばいななきとか、ギャロップとか、そんなことを入れ込まず、その立ち姿だけで「馬」(サラブレッド)を表現する。
    そこは一番のキモであると同時に、下手をしたら、「馬が出ている」ということを壊してしまうことにもつながる微妙な演出だったと思う。
    ほんの少しどちらかに転んだとしても、成立しなかったのではないだろうか。

    「馬」に徹しすぎてしまえば、この物語が、演出家の意図する範囲で成立しなくなる可能性もあるからだ。

    それはもちろん演出家の力もあるのだが、役者がいいということもある。品のある「馬」、それも「サラブレッド」を演じていたと思う。

    さらに「人」と「馬」だけでなく、「馬」と「馬」、「人」と「人」もつながり、わかり合い、通じていくという姿が描かれるのが美しい。

    役者はやはりすべての人がよかった。
    ミヤコヤエザクラ(生津徹さん)の端正な感じと、馬主の懐の広さ、調教師(加藤敦さん)の揺るがなさと哀しみ。
    ドンカバージョ(井内勇希さん)の若さから来る鼻っ面の強さ、厩務員(植村宏司さん)の感情の動き。そして後々まで語り継がれるのではないかと思う(笑)、アイゼンレイゲンとドンカバージョが海を見ながら大豆を食べるシーン。
    ウィンザーレディ(西原誠吾さん)の気むずかしさ。そして、調教師と「つながった」ときの、観ている側に鳥肌が立つ感じ。
    ロンミアダイム(小野ゆたかさん)の走ることの快感を語る語り口。
    もうどれをとっても「いい!」としか言えない。

    競走馬(サラブレッド)は美しい。1度だけ府中に行って実際に走る競走馬を生で見たことがある。競馬場の熱気の中で、観客の熱っぽい応援を一身に浴び、筋肉を躍動させ走り抜ける姿は美しものであった。
    その姿は、凛々しくもあり、パラドックス定数的には、ネクタイを締めている感じなのだろう。スマートでどこかオフィシャルな感じなのだ。紳士ということころか。

    作・演の野木萌葱さんは、「男」描かせたら右に出るものはいないような気がする。それは、カッコいい、男らしい男、男の中の男、ということはなく、弱さも含めていろいろな男が描けるところが素晴らしいと思う。
    そして、そこにはダンディズムのようなものが必ずある。理想型かもしれないが。
    そのダンディズムこそが「男」であり、今回の「競走馬」たちにつながってくるのだろうと思うのだ。

    競馬場の競走馬たちを見て、野木萌葱さんは、そこに「男」の「ダンディズム」を見たのではないだろうか。そんな気がしてならない。
    …競走馬には牝馬もいるというのは、この際横に置いておく(笑)。
    ダンディズムは自らの拠り所でもある。何を自分の拠り所にするかを探しあがいて、「競走馬」に託してしまう男の弱さ。それは誰かに必ずたしなめられるシーンがあることから、「自分の足で立て」というのがメッセージなんだろうな、とも思った。

    結局、どこかダンディズムがある男たちというのは、理想の男性像であって、野木萌葱さんは、競走馬と人を重ねることで、男たちに鞭を1発入れたのではないか、なんてことも思ってしまうのだ。

    ドンカバージョの展開は読めたものの、それを物語のラストにしなかったことは正解だった。ラストの気持ち良さ、晴れ晴れさはいい舞台を観た、という感情に浸らせてくれた。

    舞台に出てくる各レースに、本当に行き馬券を買うのならば、ネコマッシグラは必ず押さえておきたいと思った(笑)。
  • 満足度★★★

    ほんとに人馬一体化してました。
    競馬なんて日曜日のスポーツコーナーで結果を見聞きするくらいの知識しかなく、地方競馬と言われても、電車のトゥインクルレースの広告やら、大井競馬場くらいしか想像出来ない。

    楽しめるか、幾分不安感でしたが、見てみればそこにはまさしく人馬一体となった話が静かに熱く繰り広げられてました。
    馬場やパドックを周回するシーンは、まさに競走馬といった感じ。
    各自の衣装が、馬との性格を現しているようで似合ってました。

  • 満足度★★★★

    愛だね
    私も20年来の競馬ファンだが、脚本を書くために数ヵ月勉強したのでは書けないようなマニアックなセリフが次から次へと飛び出し、野木さんの競馬に対する造詣、愛がひしひしと伝わってきた。
    人と馬を瞬時に演じ分ける役者の力、脚本の妙は素晴らしかった。
    ただ、競馬としてはありえないマンガのようなレースは、私の期待するパラドックス定数のリアルさの対極にあるため、そこが残念だった。
    今回の公演は、野木さんの競馬への思い入れが強かったが故の、ある意味パラドックス定数の変化球なんだと思った。

  • 満足度★★★

    パラドックスファンとしては、やや物足りない
    今までは、いつも手に汗握る感じで、舞台に集中させられ、心が予断を許さない状況に追い込まれるパラドックス定数の舞台ですが、今回は、大変緩やかな時の流れで、音楽も心地良く、まさかの睡魔に襲われることしばし。

    舞台構成は鮮やかでしたが、やや単調で、いつもの緊迫感がなく、これが、パラドックス初見なら、星5だったと思うのですが、私の個人的な、この劇団への期待度からすると、星は3ぐらいの感覚でした。

    役者さんでは、植村さんが圧倒的に素晴らしく、彼には何度も感情を揺さぶらせて頂きました。井内さんも、いつもながらの安定の名演。
    でも、他の役者さんは、いつもの、冷徹非情な名演がまだ目に焼きついてしまっているせいか、どうも、今回のような、人情、馬情の豊かな役柄は、任に合わないような印象を受けました。
    小野さんは、なかなかチャーミングでしたけれど…。

    ネタバレBOX

    一言で言えば、情緒的に過ぎる印象を受けました。野木さんにしては、台詞に語らせ過ぎている感じがします。

    人物が自分で語ってしまうと、観客は、人物の思いに想像を巡らす余地がなくなります。そうすると、舞台上の進行に興味が削がれてしまうと思うのです。

    パラドックスの真骨頂の緊迫感が希薄なのも残念でした。ストーリー展開も、台詞も、構成も、最初から最後まで、一定のリズムで進み、波長が一定で、退屈になる部分が多すぎました。

    その中で、植村さん演じる厩務員には、登場の瞬間から、心が奪われました。彼のこの役の映画が観たいと瞬時に思う程に…。

    皆さんが、馬や、人間に瞬時に入れ替わり、その手際の良さは見事ではありますが、先日観た、サスペンデッズの「g」の牛と比較すると、馬としてなり切れていない役者さんが数人いらしたと思います。

    いつも冷徹な感じの役がお上手な生津さん、加藤さん、西原さんは、どうしても、その手の役の印象が脳裏に焼き付いているせいか、人情や馬の情愛を感じさせて頂けず、そのせいもあって、今ひとつ、この舞台に感情移入することが困難になりました。

    でも、皆さん実力のある男優さんばかりで、基本的に、まだパラドックス定数は、今後も楽しみな劇団であることには変わりありません。

    個人的好みとしては、ドキュメンタリータッチのいつもの作風の方が、この劇団向きだと思いますが…。

    皆さんの、競馬実況は、プロのアナウンサー並で、大変聞いていて爽快でした。
  • 満足度★★★★

    地方競馬の情景
    正直申し上げて競馬というものをあまり知らない。だから女性の野木さんがこれを書いたのにまず、驚く。更に彼女には大好きな競走馬がいて、今は現役を引退して北海道で種牡馬として暮らしている「タイムパラドックス」のMEMORYが当日パンフに記されているのだから、もしかしたら、「パラドックス定数」はこの馬からとったんかいな、なんて勘繰ってしまうのだった。笑

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    舞台は地方競馬の馬舎を軸に6人のキャストが馬になったり人間になったりするのだから、シリアスな物語と言うよりも、ユーモア溢れた物語だった。特に小野ゆたか扮するロンミアダイムは小野自体が馬なんだか人間なんだか、識別が難しいくらいなのだ。笑

    元々、小野は人間からすこ~しばかり、かけ離れた才の持ち主というか、動物顔なので、こういった馬役にはぴったりのはまり役なのだとも思う。こう書くと小野は「俺は馬じゃねえ」なんて抗議したい気持ちにもなるだろうが、「いあいあ、実は君は馬だったんだ。人間だとばかり思ってただろ?」なんて、まるで母親のように顎の急所をなでなでしながら愛しみたい。

    そんな訳でこの物語は地方競馬の競走馬として飼われている馬6頭と馬主、調教師ら、競馬場での予想屋と実況中継など、まんま競馬場での情景を綴った舞台だ。その中でも、競走馬に視点を当てて、馬同士の会話や気持ちを描写していたのが実に面白かった。

    物語に重ねるように投入された音楽や、リズムの良いテンポは映画「シービスケット」のような活気と上品さに満ち溢れていた。楽しかった。
  • 満足度★★★★★

    地方競馬好きです
    舞台セットに繋がれている役者は馬屋にいる馬にしか見えなかった。
    厩務員にマッサージされたり調教師に脚をチェックされたり、パドックに予想屋と、まるで競馬場にいるようだった。

    JRAと地方競馬の関係や競走馬が命懸けで走る様子が上手く描かれていたと思う。

    馬同士の会話や人と馬との会話が上手く絡み合って、競馬関係者の馬に対する気持ちが伝わってきた。

    楽しい競馬観戦でした。

    ネタバレBOX

    入場チケットが馬券で笑った。

    競馬を語る上で欠かせない、もう一方の主役である騎手がこの作品には出てこない。
    レース前の作戦だったり、レース中の位置取りや仕掛けなども馬自身が考える事で馬への感情移入がしやすかった。

    競馬ファンなら分かるが、後ろ足が屈腱炎になったり頚椎骨折で予後不良になるなど、ほぼありえない設定だったがご愛嬌か。

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