トロンプ・ルイユ 公演情報 パラドックス定数「トロンプ・ルイユ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    裏切る潔さ
    パラ定的ではないところに連れて行ってもらった今作。

    人によっては「いつもと違う」と望んでいた風景・着地点では無いかもしれない。
    が、そうして人の思惑や期待を裏切るようにして、またも新たな種を蒔いた作家。
    観劇の帰途、反芻するその後味はとても優しくあたたかく甘美だった。

    彼ら的な・・・とはいったい何だろう。
    勝手に括り縛っていた自分が小賢しく笑い飛ばしたくなるほど、実に勇敢でしなやかな作品。

    野木さんが描く世界を「期待」や「らしさ」という名の型に嵌めるのは止めようと改めて思った。

    ネタバレBOX

    本当に馬と人の物語だった。
    実は以前仕事の在る企画の時、競馬についていろいろと調べたことがある。
    綿々と続く競争馬の歴史や逸話に触れたことで、以来、競馬に対する受け止め方が変わった。

    速く走ることでだけ生かされる彼ら。

    レース実況のコトバに乗って眩しい緑の芝、泥だらけのダートが薄暗い劇場の中
    鮮やかに拡がる。

    誰よりも速く、前へ前へ前へ・・・

    生きることは走ること。

    そうして急ぎ生ききる馬の世話をし見守り同調し、
    彼らと常に併走している人間達。
    その間に流れる何か。
    それがちゃんと舞台の上にもあってコチラにも「通じた」。

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    2011/08/16 14:16

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