満足度★★★★★
まな板の音がトントンと
答えは見つかったか?ごらんの通り、見つからなかった。
三好十郎の『「廃墟」について』にこう記されていました。
「敗戦後一年ぐらいたってから書いたもの」ということは帰りの電車の中、ネットで知りました。2時間半の間、集中力を途切らせることなく、それぞれの役を、それもこれだけのボリュームのセリフがありながら、ひとりひとりのしぐさが登場人物の心情をストレートに現している。舞台上に配置されているものは、本を除けば今でも普通に使えるものであっても観ている間には気になりませんでした。それどころか、まな板を使う場面で聞こえてくるトントン..トントンという音。なぜかこの音に、ずっと昔の自分の家庭を思い起こしました。レンジの「チン」ではない音。日本の台所から聞こえてくる音。
戦後、渦巻いたであろう、各人の立場やどのように戦争を経験したかによって
異なる心情や希望。昭和、平成と成長し続けてきて今がある。三好は、前述の一文に『日本人と言うもの全体が持っている、ほとんど「偉大」と言ってもさしつかえのない、すぐれた本質』を感じたと書いている。それは今の日本にもきっと生きている。
満足度★★★★★
三好十郎作品は、とても骨太で力強い
そして、その骨太で力強い作品を、黒澤世莉さんは同じように力ずくで押さえ込むのではなく、無理をせずに自分の側にたぐり寄せ、等身大の感覚で、細やかにセンス良く演出していた。
2時間30分の上演時間はまったく長く感じず、見入ってしまった。
満足度★★★★★
重厚な物語でした
休憩無しの2時間30分を思わせない吸引力のある、作品でした。敗戦後間もない頃の作品とのことですが、昨今事情と重ねて見てる自分もいて、今だからこその意味も価値も、強く感じた作品でした。
満足度★★★★★
観ました
初日に見て、上演時間の長さなどものともせず
楽日前にもう一度劇場に足を運びました。
舞台全体に血がかよい
時代があえぎながらその刹那を歩んでいる感触があって。
非常に印象に強い作品でありました。
満足度★★★★★
重厚にして、圧巻。
今までに観てきた時間堂は「限りなく優しくて癒される時間」という印象でしたが、今回は既存の脚本を用いての、緊張感に満ちた圧倒的な重厚感。それは去年夏の黒澤さん演出「ON THE WAY HOME」と同様で、正直、いつもの時間堂よりもこちらの方が私の好みだったりします。
思想が実感に即した演技で魅せる役者さん達、特に菅野貴夫さんと酒巻誉洋さんのぶつかり合いは圧巻。2時間半という長尺ながら、音楽もなく引き込まれる濃密な時間を堪能。舞台は戦後であるけれど、震災後の今と重なり深く深く考えさせられました。
正統派の演劇として、今沢山の人におすすめしたい舞台です。ロングランですので是非。
満足度★★★★★
楽日、間に合った!
「廃墟の下は素人作りの防空壕、いつ底が抜けてもおかしくない」
唯一、おとっあんだけが、せっせと埋戻ししてますが、その内崩れ去ったら、住む所までも無くし、ルンペンさんと犬小屋に寝る事になりますぞ・・・。
<「担う時代」~「時代を担う」>
生き抜く為の日常を支えているのは、闇取引と女達のヤリクリ、真っ当な仕事がない、男達は、存在感を消した昼間と違い夜になって酒の力も借りながら、
空論(理想論)を振りかざす、挙句に・・・。
時代を超えても、いつの時代も変わっていないこの国の明日は・・・。
(だいじょうぶ「十把一絡げ」→「十人十色」→「一人十色」→「○・・○」この難解な時代を生き抜く、更に進化した期待の若者がいるでは、ないか!)
闇買いを拒否し餓死を選んだ、山口判事と旧制東京高校亀尾教授に合掌。
<時間>
演目が急遽変更し、約1ヶ月で本当に良くぞここまで・・・。[猿田さん逃げ出さずに/酒巻さんと百花さん要チェック]
楽日で一番美味しいところを戴き、得した気分になりました。
スタッフさんを含め芝居への取組の謙虚さに脱帽。次回、吉田さん新作伺います。その前に、KAATへ行こ!
満足度★★★★★
すごく面白かったです。
戦後まもない設定が、この度起きた震災直後の今とだぶってしまいますが・・・ 女性たちの台詞が重いです。とにかく2時間半集中できたのは、演じる皆さんの上手さもありますね。表情もですが、皆さんすごくきれいな日本語を声にしてくださるので、心に響きました。
三好十郎さんって・・面白くて可愛げのある方だったのですね(多分)
時間堂さんの作品を初めて観ましたが、ファンになりました。
満足度★★★★
長さを感じず
長い芝居の苦手な私が2時間半全く集中を切らさずに観ることが出来ました。畳み掛けるような討論のシーンが秀逸。どうしても戦争によるダメージと原発事故とを重ねて考えてしまいましたが、それはそれで良かったと思います。PPTゲストが吉田小夏さんで、その中でも膝ポン!の発見がありました。
満足度★★★★
役者スゲー
凄い濃密な舞台となっておりました。
一番や役者陣で、あの台詞量をこなし、またラストに向けてリアルな口論と感じられ、いやーもう役者が凄い凄いの舞台でした。
長さは全く持って気になりませんでした。
満足度★★★★
勝負してるなぁ・・・
三好十郎なんて、また渋い選択です。
がっつり腹を据えて勝負しているのが、ひしひしと伝わりました。
渡し合う台詞の緊張感。空気。上質でした。
最近は、こうしたストレートな舞台が
少なくなって寂しい思いをしていたところなので、
良い時間を過ごさせて頂きました。
満足度★★★★
すげー
「すごい」ではなく「すげー」と思いました。頭悪そうですみません。
この作品を音響なしで飽きずに見せられる役者さんの力量、演出に脱帽です。終盤の口論はこちらまでちゃんと疲れてしまいました。
戦後まもなくの話なので少し理解に苦しむところもありましたが、現代にも通じるようなシーンが多くあり、いろいろ考えさせられてしまいました。
満足度★★★★
濃厚な会話劇
50年以上前に書かれた戯曲で、所々に出てくる単語に時代を感じさせましたが、みずみずしい演出・演技を通じて現代にもそのまま通用する内容となっていたと思います。休憩なしで2時間半という役者も観客も負担のかかる結構なボリュームに必然性が感じられ、だれることがなく、特に後半は求心力があり時間を感じさせませんでした。
第二次大戦直後の東京が舞台で、1つの部屋に身を寄せる家族とその周辺の人たちを描いた作品で、様々な立場での戦争の反省と未来の展望についての議論が平行線を辿ってばかりな様子が描かれていて、考えさせられる話でした。
音楽は全く使われず、いくつかの家具と照明だけのシンプルなしつらえが演技を引き立てていました。
会話のトーンのバランスが絶妙で、大声で叫ぶ台詞もはっきり聞き取れたのが良かったです。白熱した議論の最中に議論の輪に入っていない人がする日常的な行動が度々挟まれていて(戯曲に書いてあるのでしょうか?)、単純に熱く盛り上がるのを避けていたのが面白い効果をあげていたと思います。
満足度★★★★
ザワザワですわ
時間堂さん初見でした。なのに、三好十郎作品って!心がザワザワとなって、何に対してザワザワなのか混乱しています。セリフのリアリティが生活音のリアリティが胸にささってザワザワです。