止まらずの国 公演情報 止まらずの国」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
21-30件 / 30件中
  • 満足度★★★★

    不思議体感体験の舞台でした
    稽古場風景が想像し難い作品というべきでしょうか?
    たとえば、昨日観た「相対的浮世絵」は、稽古場風景どころか、原稿用紙だか、PCだかの前に座る作者の執筆風景までが、目に浮かぶような芝居でしたが、この公演は、それとは、真逆で、目の前にいる人物達が、いきなり、その場で初めて口にする会話を小耳に挟んだかのようなリアルな感覚がありました。
    でも、だからと言って、物語の人物に自分もなったような錯覚はせず、たとえるとしたら、たまたま観るともなく観ていたドキュメンタリー番組を結構興味深く最後まで観てしまったような、不思議な劇後感でした。
    具体例を挙げるなら、「アイノリ」のカップルの成り行きを見守るような…。

    舘そらみさんは、女優さんとして拝見したことはありますが、作演作は初めて拝見しました。脚本もさることながら、演出力が優れている方だなと感じました。とにかく、役者さん達の台詞が、全然フィクションぽくないんですもの。
    セットも、音響も、大手プロダクション演劇も脅かす勢いで、こんな小劇場団体が存在するんだという事実に、とにかく驚愕しました。

    ネタバレBOX

    とくお組の舞台を拝見した時、この方の舞台はまた観たいと思った篠崎友さんが、身重の妻を日本に残して、ずっと外国旅行を続けている男を、リアルな佇まいで、好演されていた他、日本人旅行者と、韓国人旅行者を演じた全ての役者さんが、その旅経験の度合いまでをも、見事体現されていて、本当に感服しました。
    どうしても、作り物めく、現地人役の登場人物は、最初の人物紹介部分だけの出演とし、後半の緊迫シーンには、登場しないのも、よりドキュメンタリータッチの芝居のリアル度を高めていました。
    巧く、伏線になる会話を挟みながら、それを客に気取られないようにする技術も素晴らしく、舘さんの作家としての手腕にも感心しました。
    ただ、終盤、サンがポコチンのお祝いだと今更気付くシーンがありましたが、お祝いの日を知らなかったならともかく、記憶の底にあったことなら、あの爆発音で、皆が花火かと言っていた時点で、気付いていたのが自然ではないかと、ちょっとそのことだけが、腑に落ちない点でした。
    とても、リアルな若い旅行者のドキュメンタリー番組を楽しく拝見させて頂いたといった感覚で、誰かに甚く共感したりはできなかったので、☆は、5に近い4といった感じでしょうか。
  • 行き着いた。
    初演の頃から舘さんの事を一方的に知っていて、しかしこの作品は観損ねていたのです。それは良かったのか悪かったのか。初演の出来や評価について何も知らないから今回観に行けた様な気もする。結果的にはこの日の為の長い複線だったのかもしれない。それこそ異国を長く旅して偶然また出会うかの様な。
    人は世界や国や状況という形のない概念に振り回されるしかない。それらを作り上げているのは人々であって。個人個人には何の抗う力もない。何も知らない人間も知っている人間であっても、みんなちっぽけな存在だというのを思い知りました。ラスト寸前まで前のめりになってわくわくしながら観ていました。
    自分の場合は舞台美術が立派過ぎると「演技で伝えてよ」と思うタイプです。なので始まる前はそのスタンスだったのですが、いつの間にか世界に引き込まれていました。『行った事のない場所に観客を連れて行けるのが演劇!』みたいな発言も好きではありません。ファンタジー作品でそれを言われると「いや、オレは連れて行ってもらえなかった。だって登場人物がふわふわしてて人間味がないんだもの」とか言ってしまうタイプです。まずこの作品はファンタジーではありませんが、世界観が先に来るものにはそう思ってしまうのです。しかし今回は完全に白旗。いい仕事してますね。

    ネタバレBOX

    アキラさんに同じく、席に着いた時点で「冒険王」は頭にありました。青年団の方も出演しているし。それが失礼だったなと思えたのはどの辺りからだったか。中盤に差し掛かる前には払拭されていた気がします。
    最後の最後になって「あぁ、これは喜劇だったのか」と。ただ振り回されただけだったという事を表すにはあのラストなのでしょうが、それまで世界情勢を語るだけ語ってそのままというのも…。語るだけならいくらでも出来るしいざとなったら結局はあんなものだって事なのかなぁ。みんな出て行ったのに最後に一人だけうっかり出くわしたテロリストに撃たれて終わっちゃうとか想像したんですけど、それはreset-N「青」になっちゃいますね。もしくは劇中に出なかっただけで、祭りの後に旅立った人が誰かあっけなく死ぬんじゃないかと想像したりもしました。好みの問題か。別に人の死ぬのが好きなんじゃないんです。むしろ劇中で重みなくそういう事をするのは嫌いなので。経緯とかがちゃんとあった上で、ね。
    あらすじの「飛行機は、もう飛ばない。」はずるいかも(苦笑)。人物の劇中の心情であって、実際はあの終わりだから飛ぶはず、多分。でもそれもマジックの一つか。
    あの音楽は何だったんだろうか。ミッチーに聞こえたのは気のせいかな。
  • 満足度★★★★

    臨場感がありました!
    旅行者のそれぞれの事情が丁寧に描かれており、素晴らしい群像劇でした。

    ネタバレBOX

    一期一会を大切にしながらも、自分の判断で行動する旅行者の判断の素早さなど、真に迫っていました。

    チンポコ国王が統治する国。緩い国かと思うと、王様、王様とからかわれていた人がオサマと知り、中東情勢に緊張感が走ります。

    後半の不気味さ、怖さ、緊迫感は見事でした。

    ただ、あの泥祭りのような終わり方が良かったかどうかは微妙です。
  • 満足度★★★★★

    お見事!
    これは良い!みなさん書かれているとおり,舞台セットはいいし,ストーリーのテンポ,緊迫感,臨場感もいい。追い詰められた状況の中での各人の言い分には考えさせられるものもある。とにかく内容的に充実した舞台であった。これが第3回公演とは驚きである。思わず第2回公演のDVDを買ってしまった。ちょっとこの劇団追っかけてみますか。

  • 満足度★★★★★

    気分はもうバックパッカー
    根性ひねくれた人間が物事をいくら斜に構えてみていても「経験」という力の前ではおとなしく正座して耳を傾けるべきなのだと思う。それが最も優勢であるとは言いがたいが、特別な強さがあることは確か。
    この公演は明らかに、1年間実際に地球一周したという経験の強さが物語の根幹をがっちりと支えて魅力を生み出している。
    若者なら一度は憧れるのではなかろうか、異国を渡り歩くバックパッカー。彼らが集うゲストハウスという舞台設定でほぼリアルタイムで時間が進行する、まさにバックパッカー疑似体験。前半彼らの旅生活と異文化交流に慣れた会話、何気なく薫る現地の空気に心躍る。
    しかし後半にかけての混乱の中では一転、アイデンティティや社会といった「旅行」の陰に隠れていた空白部分がじんわり浮き彫りとなり、ストレートなメッセージがずるっと引きずり出されドキリとする。
    特別な構造も奇をてらった演出もない、ストレートすぎるほどストレートな芝居。それでこれまたストレートなメッセージを構えずにがっちりと受け取ることができたのは、やはり道程に経験を背にした確固たるリアリティがあったからこそ。
    旅行初心者から熟練者まで、役者もしっかり過ごした時間分の旅行者の顔をしていていい演技をしていた。個人的に演出でお見事と思ったのはラスト近くの「明るい音楽」の聞かせ方。

    この作品は色んな人に観てもらいたいが、ライフスタイル情報誌のような、ステキ外国滞在記邦画が好きとかいう人に特に観てもらいたいなーと思う自分はやはり根性がひねくれているのか。

  • 満足度★★★★★

    何度も何度も思い返す作品
    いやあ、素晴らしかった!
    何ていうか、とにかくあっという間で、心臓掴まれて、終わったあとはよくわからなかった。
    帰宅して今、また思い返している。
    全てを理解したとは思わないけど、でもこの衝撃にまだ浸っていたい。元々舘さんの作品は好きで才能もある方だとも思っていましたが、ここまでか
    !て感じ。これはすごい。

  • 満足度★★★★★

    極上の臨場感!
    中東のとある国の(元)首都にあるユースホステルに集う日本人バックパッカーたちの一夜。
    前半、後半とまるで趣の異なる展開となるが、時間の経過とともに、自分が縁者の一人になったかのような錯覚を起こしそうなほど、臨場感あふれる舞台であった。
    たいへん出来の良い舞台である。
    またひとつ、目が離せない劇団を見つけた!

    ネタバレBOX

    地球の歩き方に紹介されているがゆえに、日本人のバックパッカーが多く集まるユースホステル。

    前半はどこの国での見かけるユースホステルののんびりとした雰囲気が舞台全体をつつむ。
    そこで繰り広げられるのは、日本を離れ遠い国で羽を伸ばすことに生きがいを感じる同志たちの他愛のない会話。

    ところが、徐々に舞台はきな臭さを帯びてくる。
    どうやら、戦争が始まったらしい。
    兵士に戦車、発砲音、さらには砲撃音。
    砲撃音は次第に大きくなり、バックパッカーたちはついに自分の死を予感するほど追いつめられていく。

    誰もが死を覚悟したものの、やがて夜明けとともに訪れる静寂。
    どうやら一時、戦火がおさまったようである。

    とここで種明かし。
    実は昨夜のそれは戦争ではなく、国王の祝賀イベントであった。
    砲撃音は花火にすぎなかったという結末である。

    しかし、本当にその砲撃音は花火であったのか、祝賀イベントこそが夢なのではないか、とそんなことを感じさせるほど、臨場感あふれる舞台作りとなっていた。




  • 満足度★★★★

    ディズニーのシンデレラ城的体感!
    とにかくセットが本格的!セットの技巧が秀逸な劇団って半端な気持ちで取り組んでない分、観劇前から期待に打ち震えちゃうわけよね。笑

    中近東のどこかに旅してる輩らが一軒の格安宿屋での風景を描いた作品。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    もはや、旅人とは言わない、つまり世界各国が故郷だと思っている気侭な旅を生き方とする達人のサン、旅のリーダー的存在の大塚、地球の歩き方の達人・かお、韓国のミン、ミンの彼・コウジ(日本人)、旅がまだ浅い竹田とともか、そして宿屋の主のザフラとオサマの宿屋でのやりとりの風景を前半、ゆるゆると見せる。

    これらの描写の仕方はいわゆる普通だ。彼らが旅を続ける上での情報交換や、日本の今を話題にし、どちらかというと取り留めのない話題に、物語というよりも、彼らの会話をただただ観客に紹介してるような感覚だ。だから、個人的には特別な感情もこの舞台でファンタジーな空間を旅するという感覚も起きない。

    ところが、後半、物語は一気にデンジャラスな香りへと突入する。それは・・・まるで殺人現場に「危険!」と書かれた黄色いテープが交差して張られるような異様な雰囲気に宿屋がさらされるからだ。宿屋の周りはいつの間にか静寂が漂い、そしていつの間にか宿主らが居なくなり、突如として戦車が走るまわる。兵隊が路上を練り歩き、怪しい音楽と放送が流れ、パン!パン!パパン!!などと、銃の音が響く。

    当初、何事か!?と暢気に考えていた旅人らは、人っ子一人居ない周りの景色にビビリまくり、今まで体験した事のない異質で危険な状況に、完全に動転してしまう。世界は常にどこかで戦争を繰り返しているのだ。彼らはいつ何時、自分たちが戦争に巻き込まれるかも知れないと、恐怖に慄き、慌て、理性を失う。宿屋の中の旅人は全員がパニクり泣き叫ぶ!

    人というのは本当にちっぽけだ。外の景色は旅人らを心理的に追い詰め、今までの自分たちがあまりにも危機感がなかったと反省させるように警告する。物語はメッセージ的なセリフも飛び交い、いざ死ぬという時に人はやっと己の過去を振り返るのだ。身重の妻を日本に残してまでも夢を見続けていた男はこれまでの行いを後悔し懺悔のように妻の留守番電話にメッセージを残す。

    舞台も観客もシン!と静まり返った矢先、「どんどんどん!!どんどんどん!」と外からノックする音が・・。ワタクシ、心臓が飛び出るほどビックリした!椅子から10センチくらい飛び跳ねた!ビクゥッ!!!って。

    しかーーし!、外は戦争が始まるのではなく、国を挙げてのパーティーとかで、たぶん・・・チンポコ国王の祝祭だったのだ!結果はアホらしいけれど、ここまで観客を誘導する仕組みに脱帽!だから、物語を楽しむというよりもその体感を楽しむ。といった味付け。

    観劇後、女神のような美女に挨拶されて???状態なワタクシ。美女曰く「いつもアゴラでお見かけします。主宰の館そらみです。」って。
    いあいあ、この美人がこの物語を書いたの?しかも・・・チンポコ国王ってww
    どんだけお茶目なんでしょ。美人で秀才でお茶目ときたら欠点はないなー。
    神はやっぱ平等じゃあないんだねっ。
    神様、今からでも遅くはない。彼女に何か欠点を授けたまえ~~。むふふ!(^0^)

  • 満足度★★★★★

    会話もいいし物語も面白い、素晴らしい舞台
    まず舞台にライトが点き、セットを目にして、とてもわくわくした。
    サンモールスタジオで、これだけの本格的なセットは見たことなかったような気がする。

    そして、そのセットで、わくわく感をまったく裏切らない物語と役者さんたちの演技と演出で、とても素晴らしい舞台が繰り広げられたのだ。

    わずか100分なのに、この満足感。

    ネタバレBOX

    セットを見たときから、青年団の『冒険王』を彷彿とさせたのだが、その影かちらついたのは、ほんの最初のところだけだった。
    あちらが、あるラインを越えてしまった人(大人というか)たちの普通の話であるとすれば、こちらは、ごくごく普通の人たちの話だ。

    つまり、この物語に登場する旅人としての軸足が、なんとなく故郷の日本にある(正確には1人の日本人を除いて)ような、ふらつきのあるような、普通の人たちなのだ。迷いがあり、それが出てしまうところが普通なのだ。共感できるというか。
    もちろんあちらの話の登場人物にも、心のふらつきはあるのだが。

    あちらには達観したような、あきらめにも似た様子が、「うらやましさ」さえ醸し出していたが、こちらにはそれがない。もし自分がそういう旅に出たら、こっちの人たちのようになるのだろうなぁという共感がある。私はこんな旅に出ない人間なのだというような、とでも言うか、そんな共感。
    ま、2つを比べてもしょうがないけど、ほら、設定が似てるから。

    この物語は、どこかイスラム圏にある王国の安宿が舞台。
    この安宿を出て学校に寝泊まりする女のために、最近旅を始めた男がお別れパーティをしようと考えている。
    同じ部屋には、旅慣れた2人の男がいる。1人は、もはや日本を帰る場所とは思わない、旅行者の間で伝説となっている、すべてを達観したような男で、もう1人は、籍は入れてないものの、かつて旅行仲間だった女性が日本に出産のため帰国していて、そこへ自分も帰ろうとしている。

    そんな中に、男女が案内されて来る。女は韓国人で、男は日本人。ふたりはカップルなのだが、男は、旅行に出たものの、自分には最後まで合わず、自分だけで何かを成し遂げられなかったことを悔やみ、結婚式に出席するという理由で帰国しようとしていて、もう旅には出ないだろうと思っている。
    さらに、初めての海外旅行に来て、お金をだまし取られてしまい、困って安宿に転がり込んできた女がそこに加わる。

    彼らの会話から、それぞれの状況が明らかになっていく。
    そんな中、外の様子が急変する。戦車や兵士が現れ、宿の持ち主たちや2階の旅行者の姿が見えなくなる。さらに銃声、爆発音らしき音が聞こえ始め、それが近づいてくるのだ。彼らの不安と焦りが高まっていく・・・。

    とにかく、物語の展開と、その語り口が巧妙だ、旅行初心者が2人というところがうまい。初心者という設定は、ともすると観客に舞台上の設定を説明するためだけの役割を与えられるのだが、その役割もありつつの、設定の違う男女2人なので、切り口が異なるのだ。
    さらに彼らの呑気さと、不安が見事に他の登場人物を揺さぶっていく。

    また、各登場人物の設定も巧みで、確かにちょっとできすぎのメンバー構成だけど、うまいと思う。そけぞれが物語を内包していて、それが会話でうまく表現されていく様もうまいと思うのだ。

    驚いたのは、現地の男女の登場や韓国人の女性の登場だ。
    カタコトの英語という設定もあるし、なにより、物語に広がりを与えていたような気がする。
    彼らとの民族や国籍の違いによるギャップまで表現できていれば、最高だったのだが、そこまで盛り込むと逆に全体がぼけてしまったのかもしれない。

    とにかく、どの登場人物のキャラクターがくっきりしていてわかりやすい。
    しかも、どの役者もそのキャラクターをぶれずにきちんと表現していて、その人になりきっているように感じた。

    特に、かおさん(鈴木智香子)の醸し出すベテランぶりのうまさには絶品であったし、見ているこちらがイライラしてしまうような、海外旅行が初めてのともか(通地優子)の存在は見事だと思った。
    鈴木智香子さんはほかの舞台でも拝見したことがあったが、うま人だなあと改めて思った。

    セットも小道具も凝っていて、言うことないし、スムーズに役者が動き(出入りし)、舞台を広く使い、奥行きや幅までも想像させるような演出も巧みだと思った。
    さらに、物語が急展開していく中で、全員が一気に不安に陥るのではなく、それが徐々に伝播していき、その度合いの違いが表現されていく様は素晴らしい。

    一体どうなるのか、と興味を引っ張っていく物語の展開と、それが行き着く先のラストもよかった。
    ・・・ちよっとした矛盾というかご都合主義はあるのだが、それには目をつぶろう(笑)。

    本当に素晴らしい舞台だったと思う。
    「ガレキの太鼓」は、私にとって、これから要チェックの劇団になった。




    ちなみに私の『冒険王』の「観てきた」です。
    http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=30362
  • そこに存在している
    ここの劇団には、なぜか高いプロ意識を感じる。他の劇団と何が違うのかはわからないんだけど。

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