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更地
ルサンチカ(東京都)
公演に携わっているメンバー:5人
- 【団体紹介】
- 河井朗が主宰、演出する舞台芸術を制作するカンパニー。
ここ近年は年齢職業問わずインタヴューを継続的に行い、それをコラージュしたものをテキストとして扱い上演を行う。そのほかにも既成戯曲、小説などのテキストを使用して現代と過去に存在するモラルと、取材した当事者たちの真実を織り交ぜ、実際にある現実を再構築することを目指す。
2018年から継続して、「理想の死に方」「仕事」「あの日と争い」「屠畜」「東京」についてなどをテーマに、不特定多数の人々へ行ったインタビューを用いて作品を製作。「理想の死に方」について扱った『PIPE DREAM』は「神奈川かもめ「短編演劇」フェスティバル2019」フェスティバル大賞、「第10回せんがわ劇場演劇コンクール」演出家賞を受賞。
これらの作品は出演者・テキスト・場所を変え、現在もリクリエイションを続け、「争い」についての作品となった『GOOD WAR』は3年間で7回の再演の機会に恵まれた。
既存のテキストの上演も行なっており、太宰治の小説を原作とした一人芝居『女生徒』(2022年)、三好十郎の『殺意(ストリップショウ)』(2023)などを発表。
- 【応募公演への意気込み】
- 「過去」の戯曲を上演するという形式は演劇ならではの面白さのひとつと言えます。クリエイションメンバーが観客と共有するのは「現在」であるにも関わらず、自分が生まれるよりも前に書かれた「過去」の作家の言葉をどう扱うべきか。
ルサンチカでは100年経っても変わらない人間の本質ではなく、「過去」との違いに目を向け「現在」私たちが生きていることを炙り出すような上演を行いたいと考えています。
そこで私たちは「更地を観客に伝えながら進む」というように観客と交流しながら『更地』の上演を実施する考えでいます。つまりここに「家があった」「戦争があった」「人がいた」「○○があった」というようにです。 それは『更地』というテキストが持つ風景や言葉を演じるのではなく、言葉通りの意味で伝えることだと考えます。
そのための手法の一つとして、ここ近年行ってきたインタヴューにおける作品製作の時と同様に、インタヴューを通して当事者から聞いた言葉として戯曲を扱い、上演に臨みます。
- 【将来のビジョン】
- 「戯曲の再発見」をしていきたいと考えています。新劇や翻訳劇などジャンルにとらわれず、近年上演されていない戯曲を新たな解釈で再生させたり、他カンパニーなどと協働して上演を行える演出家・カンパニーを目指します。それを継続的に行なっていくことで、スタイル・地位を確立して公共劇場の芸術監督を目指し、舞台芸術の観客人口が減少している問題を劇場から、さらには行政など、もっと大きな規模で考えていくことができる環境作りを望んでいます。
また、ルサンチカでは全ての場所はすべからく何かの跡地だと考え、劇場以外での上演可能性を常に模索しています。
これまで実際に造船場跡地や銭湯跡地など、「跡地」をキーワードに上演会場と向き合ってきました。今回も「陸軍戸山学校」の跡地で上演を行います。何かがあった・起こった場所だという意識を観客と出演者感で共有できる演出を行います。
例えば、劇場になる以前にもそこには何かがあって、コンビニになる以前にも何かがあって、それこそ今住んでいる家ですらきっと誰かが暮らした跡地です。そこには人が生活、行動した手つきが残っていてその僅かな跡を拡張し共有して、観客と共に、今いる地点がどこから続いているものなのか、自分の生活とその周りにあることに向き合うきっかけを築けたらと思っています。
公演に携わっているメンバー(5)