満足度★★★★
津軽弁で演じられる本作ですが、日本全国どこの地域でもあり得る光景を、青森を舞台に戯画的に描いたように見受けられました。
キャストはみなさん芸達者で、キャラクター造形がくっきり浮かび上がる好演だったと思います。親子を演じた成田沙織さん、井上みなみさんのお二人が特に印象的でした。
津軽弁はびっくりするくらいわからず、最後まで慣れることはありませんでした。ですので、開演前の津軽弁講座は楽しくて、実用的でした!また、アフタートークにTwitterのスペースを活用していたのもナイスアイデアだと思いました。座組みの人だけでなく、ゲストを呼んでのトークというのも、アフタートーク感が強くなっていいですよね。
満足度★★★★
全編、津軽弁。あえて東京公演とのことで、基本的には津軽弁がわからない人に向けて、どこまでの言葉ならそこで起きていることが伝わるか/伝わらないか、意識的に言葉を整理されていたと思います。さらに事前の津軽弁講座がありがたく、教えてもらった言葉を探しながらせりふを聞きました。おかげで津軽の空気とともに、その場でなにがやりとりされているかも伝わったと思います。津軽弁の音も美しく、東京にいながら東北の土地の音を聞けたことは良い体験でした。
満足度★★★★
ほぼ全編津軽弁によるドタバタ家庭劇。上演前にプロデューサーによる簡単な津軽弁講座があり、(結局わからない部分は思っていた以上にありつつも)楽しく観劇できました。
いじわるばあさんを思わせる姑・キヨ(山田百次)と必要な家事以外の時間は押し入れに閉じこもって暮らす嫁・桜子(三上晴佳)の嫁姑戦争を軸にした物語は、過剰な事件も交えつつ、終始ハイテンションな演技で進行します。ですが、実のところこの物語の背景にあるものはむしろ、重苦しく苦い現実ではないでしょうか。
非正規の仕事しかない長男・トモノリ(中田麦平)しかり、出戻りの娘・幸子(成田沙織)しかり、キヨの支配するこの家から自立すべきだと知ってはいても、すぐにそれを実行できるような状況にはないようで、だからこそなんとなくキヨの支配に従っています。一方、敵対しているはずの嫁姑の関係には、キヨが嫁に悩みを共有する「親族」なる怪しい団体と引き合わせようとしたり、桜子がキヨの嫌う虫をハサミで撃退したり、急病の気配にいち早く気付いたりと、緩やかな絆を伺わせる面もあります。二人は共に孤独を抱えながら「家庭」を支える役目を負う仲間でもあるのです。