満足度★★★
フライヤーのイメージの通り「宇宙に飛び立つアリス」という設定が楽しかったです!不思議の国というか不思議の星の登場キャラクターたちを演じた5名の全身タイツの衣裳をはじめ、宇宙へ飛び立つイメージ、不思議な星の不思議なイメージを描き出していたスタッフワークも印象的でした。
今回の壱劇屋さんは非常にチャレンジングな企画で驚きました。当日パンフレットに掲載された脚色・演出・振付の大熊隆太郎さんのコメントによれば、今回、マイムだけで長編作品を作るのは初めての取り組みだったそうで、人気劇団の更なる進化を目指すチャレンジには頭が下がります。6月にはすでに再演が決まっているそうで、これからこの作品はどんどん洗練されていくことかと思います。
そして、アフターイベントが非常に面白かったです。ステージ上でマイム講師を招いての出演者向けのワークショップを催し、それをアフターイベントとして見せるというのは初めての趣向でした。そして、その指導をファンの方々は劇団員の皆さんと一緒に体験しつつ、劇団員の成長する姿をその場で追うことができるわけで、ファンサービスとして非常に優れていると感じました。また、一見に近いような観客(私のことです)でも、一緒に少し身体を動かして、マイム体験ができる楽しい時間でした。
満足度★★★
うさぎ頭の人物との出会いから未開の惑星へと迷い込んだアリスの物語。無重力空間とマイムのマッチングは絶妙で、舞台上の浮遊感や身体の重みに、観ている側もシンクロするような感覚がありました。ロープを使った表現、謎の生物たちの造形も印象的で、スマートさの中にも常にシュールな「不思議」が感じられる時間でした。
(個々の動きや場面展開スムーズさの一方で、さらにメリハリのある構成があっても見やすかったのではないかと思います)
若手を軸にした公演で、テクニカルな練度にはまだ上を目指せる余地がある気もしますが、アフターイベントとして披露された「コーポリアムマイム」の解説と出演者を交えた実演では、劇団が取り組んでいる課題やビジョンの一端を、観客と共有する姿勢も伺え、「こうしてファンと地域との信頼関係が築かれつつあるのだな」と得心もしました。