舞台芸術まつり!2019春

立ツ鳥会議

立ツ鳥会議(東京都)

作品タイトル「夕夕方暮れる

平均合計点:17.0
川添史子
河野桃子
鈴木理映子
古澤 健
堀切克洋

川添史子

満足度★★★

舞台セットは3つのベンチ、夕暮れの公園、出会いすれ違っていく人たち、そこに仄見える孤独や暴力はオルビー『動物園物語』を思い出させました。

ネタバレBOX

月曜日〜金曜日の5つの時間を行ったり来たりし、隣同士のベンチであっても違う曜日だったりと、別の時間と空間が混ざっていく様子も面白かったです。信頼で結ばれた人たちが孤独な人を励ますような場面は温かく、優しさも感じます。夫がよく行く公園で妻と夫の親友が不倫をするかなぁ?など、設定/人物造形には、いくつか分かりにくいところ/違和感がありました。

河野桃子

満足度★★★

優しい話。いろんな俳優さんがいて、いくらかに共感した。個性がそれぞれ違うのでもう少し演技の質がかみ合っても良い気もするけれど、そのちょっとずつみんながおかしい感じも、良い。せっかく誰かに寄り添う話なので、台詞で語りすぎずに演技や行間で観ることができたら、演劇としてもっと面白かった気がする。
夕方、時間、公園。限られた場所のいくつかの時間というコンセプトはとても良かった。誰にでもきっとこんな場所はあるのだろうな。場所って、いつかなくなるかもしれないけど、その時には目に見えない場所ができていたらいいな。なんて思った。

鈴木理映子

満足度★★★

舞台となるのは、これといった特徴もない小さな公園。そこを訪れる人々の、さまざまな人生模様が交錯していきます。5日間にわたって起こる複数のエピソードを、時系列を折り重ねて見せるアイデア、つかの間の逗留の場や通路としてこの公園を訪れる人々とそこにこだわり清掃を続ける女性の存在を対置させた構造など、作家の企み、意欲を感じる舞台でした。
隣接するアパートの価値を高めるため清掃に励む女、いつまでも子供の頃のように友人を助けたい万引き癖のある男など、出てくる人々の造形は、ユニークでありつつ、それぞれに生きにくさや世の不条理を写し取ってもいます。独立して見えるエピソードが少しずつ関連を持っていることも興味を引きましたが、いずれも対象から距離をとった描き方のせいなのか、グッと引き込まれるというまでには至らず……。種明かし的になる必要も、ことさらエモーショナルになる必要もないですが、もう少し、話の展開以上の会話の奥行き、ドラマを楽しみたかったとも思います。

古澤 健

満足度★★★★★

観た。

ネタバレBOX

演出家の姿がちらついてしまった。深刻ぶってみせることでなにごとか表現しているような気になっている、終始そのようにしか感じられなかった。別の言い方をすると、キャラクターがコマでしかなかった。たとえば、要領の得ないセリフのやりとり(思い違いや取違え)は、単に不自然なだけで、作為しか感じられなかった。そのような表現は、それこそ演出の不自然さを回避するために発明されたのではなかったか?

堀切克洋

満足度★★

どうしても設定が先にありきに見えてしまい、物語自体に引き込まれるということがなかったのは残念。よくも悪くもムードはあるが、個々の人物の奥行きが、正直それほど見えなかった。観者の理解不足なのかもしれないが。

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