満足度★★★
生き方がわかれてしまった友人との再会、その会わなかった時間が生み出してしまっていた距離。軸となるモチーフは多くの人が人生の中で出合うであろう苦さで、そこを思考する流れは魅力的でした。どろどろっとした感触と、入り組んだ迷路のようにあちこちへ飛ぶストーリーテリングは独特。バラエティー溢れる数々の演出アイデアは素晴らしいのですが、整理すれば物語の骨格や詩情や言葉がより浮かび上がるのではないかと思いました。
満足度★★★
複雑な構成にもかかわらず「エンターテインメントとして2時間突っ走る!」という意志はブラさず、実際になんだかんだで見せてしまう力のある芝居でした。さまざまな因縁、過去を錯綜させた物語の、暗渠のような暗さ、寂しさと、テンポの速い(時には笑いも交えた)演技やシンプルな衣装・装置とのアンバランスにも、明るい虚無と暗い深層が入り混じるような独特の味わいがありました。
サスペンスの体をとった一種の伝統的自分探し劇ですが、ビデオカメラの使用、Youtuber、テレビで活躍した元漫才師……などの設定を通じ、虚実を曖昧にする現代的仕掛けも施されています。多彩な要素を複雑に見せること自体に、この作品のグルーヴはあるのだろうとも思う一方で、ここに描かれた現代の闇、あるいは過去からの呼び声に、もう少しシンプルに、俳優と共に向き合う余裕と時間が欲しいとも感じました。
満足度★★★
悪い芝居は『キャッチャーインザ闇』でCoRich舞台芸術まつり!2013春・最終選考作品に選ばれ、今回が二度目の最終選考進出になります。再挑戦に感謝します。
同劇団の公演は『駄々の塊です』(2011年)、『キャッチャーインザ闇』(2013年)、『スーパーふぃクション』(2014年)、『春よ行くな、』(2016年)を拝見していまして、今回が私にとって5作目です。個人的なことなのですが、『スーパーふぃクション』と『春よ行くな、』と同様、音響と音楽が苦手で序盤から集中できず、終盤には耳を塞ぐほどになってしまいました。胸にズンズンと響く重低音や、驚いて飛び上がるほどの突然の大音量、全体的に音楽が鳴り止む時間が少ないことなどが、私にはどうしても合わないようです。申し訳ないです。
終演後のトークで明かされたのですが、NMB48の石塚朱莉さんは19歳、The Stone Ageの緒方晋さんは45歳とのこと。作・演出の山崎彬さんはたぶん34歳ですので、年齢幅の広い座組みだったんですね。トークでは緒方さんに大いに笑わせてもらいました。ネタをきっちり披露して常に観客を楽しませようとする、サービス精神とプロ意識に感心しました。劇中の演技についても緒方さんに惹きつけられました。
客席数300席弱とはいえ東京芸術劇場シアターウエストは規模が大きいです。受付やロビーの制作者の人数が多い目で、物販が充実していました。また、指定席にホっとしました。
満足度★★★★
とてもおもしろかったが、欲を言えば、もう少し没入したかった。「分かりにくい」のではなくて、カメラや映像の使い方などちょっとしたところで没入を妨げる要素があったのが少し残念。でも、とても完成度の高い舞台だったと思います。
満足度★★★
演劇でエンタメをするという点ではそれなりに健闘しているが、それ以上の魅力は感じられなかった。
公式サイトにあるように「被害妄想はファンタジーなんだ」というテーマのもと、「罠にハメられたと思い込む人間たちによる、愛しい復讐劇」が演じられる。複数の筋が絡む物語はやや複雑な構成をとってはいるものの、宣言した通りの物語が展開され、意外性には欠ける。むしろもっと単純に物語を見せてもいいのではないかと感じた。
ビデオカメラによる中継映像が舞台上に映し出される仕掛けは、メタ視点を導入するという意図は見えるものの、効果的とは思えなかった。