Mと呼ばれた少女 2017

office force（東京都）

公演に携わっているメンバー：8人

団体紹介

この団体は、時に既成の作品や物語を用い、多重構造による現代への焼き直しをすることで、過去の作品や世界の再認識・再評価をするとともに、個々人や社会に存在する潜在的多面性やその矛盾と葛藤を、映像的な手法や演技を用いつつ、舞台ならではの複合構造の同時性の中に表現しようとする希少で独自な作品を創造するものです。
一見、差別や貧困から縁遠く、即物的で享楽的に映る、目を耳を塞いだ現代人の姿こそ、「無知」がもたらす閉鎖性や凶暴性の密かな増殖の温床であるのではないかと位置付け、それに対抗する有効な手立てとして、永らく語り継がれた勤勉であり誠実さや想像力、真摯に人生を受け止める事で授かる、人間の「英知」であると考えます。
時間や空間の隔たりを乗り越えて、個と個、個と全体の目に見えない関係性を舞台上に顕在化することを念頭に、簡単に見過ごされては失われ、また今も失われようとする「儚くも滅び逝くものたち」を再生していくことで、慎ましくも気高い、人が人で、私が私である事の｢英知」に辿り着く道筋を、虚構の中の揺ぎ無い真実として、共に体現する事を目指しています。

応募公演への意気込み

人は知らずに罪を犯し、また知らずに徳を積んでいるものです。奢る事も嘆く事なく、畏れながらも怯む事もなく、多くの葛藤や痛みを伴いながら、ついには「英知」を手に入れようとあがく人々の勇気と尊厳を、優しさと賞賛をもって描くことで、見る者の現実生活の中に同様の感慨が想起されることを、私達は切に念願します。
知的娯楽として、自分という存在への再認識・再考察の契機を提供する存在でありたいのです。

将来のビジョン

私達は大人のための知的娯楽の創作を標榜しており、複雑な構造と予想できないストーリー展開を持ち味としております。社会性を内在した作品であると同時に、そういった社会性を普遍的な問題として昇華しつつ意図的に潜行させることや、飽きさせることないスピーディーな芝居展開を旨としています。観る者の主体に応じ多面的な複層的な物語として楽しめるよう、立体的で緻密な設計を目指します。ありきたりでステレオタイプの演技を廃し、真摯に真実の姿を見つめ続けることにこだわり、たとえ未完成でも偽りのない個性を第一と考えます。常に観客を共に想い考える仲間として尊重し、一期一会、一緒に創造する劇･小宇宙と云う空間を体現して行きたいと思います。私達は思いに偏ることなく、上質のエンターテインメントを創作する劇工房でありたいと切に願っております。