sons wo:(さんず・うぉー)は、カゲヤマ気象台の演劇作品を発表するために2008年に設立された演劇プロジェクトです。 ディストピア以後の世界観と、現代詩的な言語感覚で書かれた戯曲、発話・挙動の細部まで追求した演出は「突き刺さるような叙情」「戦慄的」と評され、2013年にF/T13公募プログラムに参加、2015年度よりセゾン文化財団ジュニア・フェローに選出されるなど、近年その注目を高めています。拠点を東京と浜松の二都市に構え、2017年1月には浜松の市街地を広く使用した作品『羊をめぐる』を発表。それぞれの都市を往復しながら、現代において有効な演劇のあり方を追求しています。 sons wo: が問題としているものは常に人間の孤独な存在についてです。時間、意識、感情、歴史、想像力など、様々な次元が錯綜する世界において、そこに立たざるを得ない人間がどのように存在するか。それは悲劇であることも多いですが、まっすぐに見据えていきます。
応募公演への意気込み
sons wo: は2015年より『シティ』シリーズを展開してきました。シリーズ三作目の今作はその最終章です。それぞれ「過去」「現在」をモチーフにしてきた『Ⅰ』『Ⅱ』に続き、『Ⅲ』は「未来」をテーマにします。 「過去」は「声」、「現在」は「病と身体」をクローズアップしました。「未来」は「物語」になるでしょう。文明が一度滅びて再興した荒野の町を舞台に、呪いを抱えた泥棒と、その呪いのために町の人々に降りかかる災い、そこからの救いを描きます。ここでの「物語」とは「想像力」と「不可逆に流れる時間」による生成物です。物語は終わり、想像力は完結します。そしてそれは「楽しみ」でなければなりません。楽しいものは見ていられるからです。現実社会のネガティブな状況は終わりが見えず、あふれる情報をただ眺める態度が求められてしまう中で、演劇が果たせる役割はそうやってしっかりものを「見せる」こと、そして想像力を「完結」させることではないかと考えています。未来を向くために。