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栞

TinT!

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

毎年この時期にだけ公演をやるようだが、ここ数回は現代史のちょっとマニアックで面白い所を突いてくる。今回はルイセンコ。同じようなことは現在も私たちの周囲で、会社で、しばしば起こっている。ルイセンコの元部下を語り手にすることで、観る者に問いかけ、物語にわかりやすさと同時に深みを与えている。タイトルの付け方もセンスがあって印象深い。権力者の後ろ盾を笠に着る傲慢な生物学者を天真爛漫なお嬢さまが簡単にやり込める場面は痛快。終盤の「二人は気が合いそうなのに・・・」も皮肉が効いている。

われらの狂気を生き延びる道を教えてください

われらの狂気を生き延びる道を教えてください

コンプソンズ

浅草九劇(東京都)

2022/11/10 (木) ~ 2022/11/20 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

漸く二度目の観劇となったコンプソンズは、配信映像で鑑賞。例に違わず一度の鑑賞では把握できず、何度目かのトライでスッと芝居に入れた。途中で津村知与支が出てきた(そうだったんだ)。油彩の絵具がカンバス上で(水彩と違い)融合せず、絡み合うのに似て、人物やエピソード、キーワードが絡み合いながらも個別性を維持して意表をついてひょっと顔を出す。アイドル、というキーワードが他の雑多な物と一緒にプカプカ浮かんでいる中、ラストで一人がギターで歌い始め、中々な歌を聞かせたと思えば地下アイドルコスチュームを着た二人が振付を揃えてオンステージ。検索すると「アイドル」と出てきた。
その村田寛奈、さかたりさ両名に、津村、野田慈伸、東野良平(地蔵中毒)、てっぺい右利き(喋るだけで笑わせる。芸人らしい)を客演に迎え、劇団員4名を加えた布陣だが、破茶目茶に見える展開には一応の組み立てがあるようだが、合間に気持ち良く挟み込まれるちょっとした人間洞察や世相批判、皮肉の効いた台詞が良い。現実世界であるラーメン屋のシーンに突如挿入されるのが「死の手前」を行く男(東野)のシーンで、一対一となった時相手も「死」にまつわっていて対話が成立する、という法則があるが、東野がフリーな立ち位置で遊んでいるように見えなくもなく、全てにおいて「固めない」時間がスープを煮込むようにゆっくりと、煩く忙しなく進み、正体不明。だがそれでも成行きを見てしまうフックが各所に仕込まれている。今回も大作家の小説をもじったタイトルだが、未読であるし関連があるのかどうかは不明。役者らのキャラの立ち方が人物らしさに裏打ちされているので、笑いはその「らしさ」を見せる場面で起きる。これが演劇の醍醐味である。美味しいキャラを味わうためのストーリー、あるいは言いたい言葉を籠めた台詞を言わせるための展開、演劇に必要なものは飽きさせないアトラクションと後半の盛り上がりと「それっぽい結末」だけでいい・・等と試しに言ってみたくなる芝居。

凪の果て

凪の果て

動物自殺倶楽部

雑遊(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

傑作。高木登の本気を見た。出演者全員にとって代表作になるのでは。
夫婦の協議離婚、互いの弁護士同伴での話し合いから開幕。函波窓(かんなみまど)氏演ずる弁護士は三浦葵さん演ずるヒステリックな妻が依頼人。函南氏は松田龍平と松重豊を足したような非人間的な冷酷さ。三浦葵さんは常に目をひん剝いて威嚇している。
赤猫座ちこさん演ずる弁護士は橋本恵一郎氏演ずる、愛人を作った夫が依頼人。赤猫座さんは流石の美貌。橋本氏は常に神経質に爪を弄っていて、何本かの指にバンドエイドが巻かれている。この演技プランが秀逸。文句なしに第一場のMVP。

演出の小泉愛美理さんに「あなたのその音が絶対必要なので」と説得された、サウンドアーティスト・北島とわさんのSEが凄まじい。真夜中の沼からひたひたと水を滴らせながら上がってくる何か異形の物の音。巨大なアンプの重低音、ブツブツと走るノイズ。無意識に人を不安にさせる環境音。これらの使い方も絶妙。これと絞る照明だけで、後は役者の力に託される。無論役者陣は期待を遥かに超えた怪演で応えてみせた。ほんの些細な動き一つにもビクッとして圧倒される。
高木登は黒沢清系ではなく、岩井俊二系。岩井俊二の『undo』のように、マニアックな世界でも大衆に開かれている。見事な作品だった。

妻と別れて愛人と一緒になりたい夫と、夫を苦しめることだけを生き甲斐に決めた妻。全く進展しない協議離婚。キチガイのように喚き散らす妻、幼児のように駄々をこねる夫。二人の弁護士も苛立ち、殺気立ち、暴言を吐く。だが、この話には更に裏があり・・・。

ネタバレBOX

第二場は前日譚。赤猫座ちこさん演ずる弁護士が夫の愛人から話を聞いている。
この愛人を演じるのがハマカワフミエさん。第二場のMVP。ただ座って話を聞いているだけなのに妙な違和感にゾワゾワする。異空間に取り込まれていくような不安感。そこに無理矢理押し入る妻、三浦葵さん。三人の女性が椅子に腰掛け、客席を向いて話す。この内容が文学。弁護士はある決断をする。

子供を墮胎してまで人生を捧げた弁護士という聖職。それを自ら裏切る決断、一筋の涙。
時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/12/16 (金) 19:00

価格3,500円

最初の予定より長く、途中休憩無しで約150分の舞台です。男性しか出演していないので迫力満点、見応えたっぷりでグイグイ引き込まれました。是非集合写真を販売して下さい。

ネタバレBOX

1番推しの役者さんは、今回余り出演していないけれど、とっても目立つ役でした。昨年観た「草乱」に出演していた役者さん達がたくさん出演しているので、この舞台を楽しみにしていました😊 脚本・演出・制作 灰衣堂さんが開幕&終演に挨拶されるので、とても嬉しいです。
あと9秒で

あと9秒で

ももちの世界

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2022/12/16 (金) ~ 2022/12/20 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最後はカッコ良くて、美しい。

私は怪獣-ネオンキッズ Live beat-

私は怪獣-ネオンキッズ Live beat-

劇団鹿殺し

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2022/12/10 (土) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/15 (木) 18:30

今年3月の公演が衝撃的だったので、今度も、と思って足を運びました。ドラムが入って音楽の迫力は増したが、歌唱はやや弱くなっちゃったかなあ。

ひめごと

ひめごと

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇場に軽い気持ちで足を踏み入れた途端、ビックリさせられた。
あらすじから、茶の間のセットが置かれているだけだと想像していた。
な、なんと、能舞台のセットだ。
これは必見だ。
小劇場で能舞台が観れるなんてめったにない。
柿の木と落ち葉は本物か?

たぶん、隠された真実が明らかになるだけだろう、と簡単に考えていた。
もちろん、それだけでも他人の秘密を覗き見できて、おもしろい。

そんな単純な想像していた自分が恥ずかしくなった。
もらったパンフレットを読むと、なんと奥が深いことか。
ここまで、考えて作られた作品。驚きだ。

花と音楽で彩られた...
ということで、韓国の楽器カヤグムの生演奏が聴けた。
初めて聴いた。素晴らしい!!!
これは目玉だ。

出演者の熱気が、肌に伝わってきた。
ストーリーもミステリアスでおもしろい。
本当に観てよかったです。



蛍

第27班

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2022/12/02 (金) ~ 2022/12/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/04 (日) 13:00

併行する4つの軸の関係性が次第に見えてくる構成の巧みさよ!
「4つの軸」というヒントは初演時には明かされていなかったが今回は当日パンフレットで明かされており、所謂「観劇初心者」にもワカり易くなったような
また、萬劇場での初演に対して広い舞台となったことで異なる時空の場面を瞬時に切り替えることを可能ならしめた装置も余裕ができて、そちらの意味でもワカり易くなったと思うが、初演で衝撃を受けた身として物足りなさのようなものがないでもない。
が、今回の再演版を否定する意図は全くなく、「通向けの初演(オフィス上の空プロデュースだったし)、一般向けの再演」ということでどちらもアリと思う。
ところで初演のオシダってあんなにエキセントリックだったっけ?改訂した?

ある母の記録

ある母の記録

NonoNote.

コフレリオ 新宿シアター(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

わかりやすく、それでいて工夫された展開でとても良い舞台だと思いました。泣いている観客の方が何名もいました。旗揚げ公演おめでとうございます。おすすめします。

老いた蛙は海を目指す

老いた蛙は海を目指す

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2022/12/15 (木) ~ 2022/12/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

これだけの熱量の新作を描き下ろすサジキドウジ(東憲司)氏にリスペクト。まさに桟敷童子版「どん底」、役者博覧会の様相。関東大震災後なので時代背景は昭和初期であろう。田舎の汚らしい掃き溜め長屋。水道が引けず、腐った雨水を貯めて飲んでいる。立ち込める悪臭、行き止まりの貧民窟。
「乞食会社残飯屋」を率いる青山勝氏はまるで王様。上田吉二郎のような悪の魅力に振りかけたたっぷりの色気。『座頭市』の奥村雄大(鴈龍)のような妖気。体躯は先代二子山親方、大河内傳次郎のように見得を切る。好き放題にステージ上を我が物としてみせた。
長屋の大家の女房役、藤吉久美子さんがまた凄い。ふてぶてしい魔性の色気、存在そのものが匂い立つ。
酒で身を滅ぼした医師、佐藤誓氏はまさに“酔いどれ天使”。震える手。
「どん底」の巡礼ルカにあたる、迷い老婆は鈴木めぐみさん。まるで何かを見通したかのような含蓄のある言葉。掃き溜めの暮らしに魔法の粉を振り掛けてみせる。
知的障害児の吉田知生氏は老婆の言葉、「お前にも行ける学校がある」の言葉に希望を抱き、ここではないどこかを夢想し続ける。
もりちえさんの乞食キャラも新鮮。

劇場中には「死を間近にした者にしか見えない」白い花が無数に咲き誇る。今、新作でこれを演れる劇団の生命力の若さ。ゴーリキー、「どん底」をこんなふうに換骨奪胎し甦らせる腕は流石。
新感覚の「どん底」、是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

工場の労働争議を煽動した容疑で手配され、逃げ込んできた三人組の活動家。一人(稲葉能敬氏)は脚を折り切断寸前の大怪我。一人(三村晃弘氏)は大家の妻に言い寄られる。(黒澤明版の三船敏郎が演った役が魅力的なのだが、今作の役どころでは主体性がなく、イマイチ盛り上がりに欠ける)。板垣桃子さんは持病の若年性認知症が悪化、子供返りを起こす。(彼女の十八番、寄り目で口元を歪ませる表現の多用)。

水道を引くことによって全てが変わる“希望”のイメージ。そこを強調する為、臭いと病が蔓延している強烈な描写が欲しかった。

ゴーリキーと違う最大の特徴は、諦念に満ちてなく、逆に希望に溢れているところ。悲惨な結末が続くのだが、何故かそれも悪くないような心持ちに。白い花が咲き乱れる様が祝福にも感じる。ラストの晴れ晴れとした解放感。黒澤明なら「どですかでん」っぽい。
明烏-akegarasu-

明烏-akegarasu-

猿博打

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 確かに落語を下敷にしてはいるが、こんなに小さな小屋で唯,
がなり立てるような台詞回し、センスも粋も無いギャグ。いくら何でも芸が荒い。ラストだけが見事であった。

凪の果て

凪の果て

動物自殺倶楽部

雑遊(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/15 (木) 19:00

ユニット2作目。とにかく嫌な話(誉めています)。観るべし!95分。
 離婚協議中の妻・晶子(三浦葵)が弁護士・笹井(函波窓)と一緒に、夫の弁護士・稗田(赤猫座ちこ)の事務所に来る。いろいろする内、夫・丈留(橋本恵一郎)が現われる。ドロドロとした展開の中、後半に移って、夫の愛人・野木(ハマカワフミエ)と稗田が会っているが…、の展開。ネタバレせずに簡単に展開を書けないのだが、終始嫌な感触の人々が展開するドロドロとした話で、緊張感が一杯で、終わって全く解決せず、ホッとしないのも珍しい。そういった全てを覆うザワザワ感が見事に演じられている。
 フラットな舞台に椅子が3脚、同じ方向に向けて置いてあるが、それが隣り合っていたり向かい合っていたりするものらしい、というのを演技で見せる演出は見事。BGMにノイズを使ったり、繊細な照明も含めて、巧みな上演だと思うが、何と言っても役者陣の充実が凄い。函波や橋本は、一見マトモなようでいて実は問題を抱えた(タイプは違う)男を演じ、三浦はエキセントリックに見えて実は被害者かもというポジション。赤猫座は珍しく唯一マトモだと思える役で、ハマカワは典型的な弱い女だけど問題を抱える。ハマカワと赤猫座の対峙、それに三浦を加えた3人の場面では、頻繁に女優の表情を観るのに忙しくなってしまった。

時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 舞台レイアウトがこれまでと若干異なる。下手側壁側には渡り廊下手前に場面に応じ出城や櫓に見立てた二層構造の高楼。二階部分が踊り場になっている。また奥の渡り廊下には丁度能舞台の橋懸かりに三本の高低差のある松があしらってある風情で松が3本見える。但し高低差はなく廊下手前のみに配置されている点が能舞台とは異なる。いつものように廊下全体の中央に襖があり出捌けとして用いられる他、櫓に見立てた構造物が袖を形成しているのでこの袖の裏側も出捌けとして用いられているのは無論であり、上手には、こちらも場面に応じ武田の本拠地、評定所、武者溜まりにもなるエリアが設けられている。こちらは大きな沓脱石が置かれている点も通常の舞台美術とは異なる。いつも用いられる沓脱石の横幅は今回のそれの五分の三程度という感じだ。出捌けは無論、上手側壁側にもある。華5つ☆ ベシミル!

ネタバレBOX


 今回の主人公は武田信玄の後を継いだ勝頼。演ずるは無論、黒崎氏。戦国の世に在って人としての倫理と武士の意気地、武士が武士である為に必ず守らねばならぬと信じられていた領地と家(即ち血統を含む家名)。これらが劣勢時には状況の中で矛盾し合い血で血を洗う戦闘や、その戦闘を有利に戦う為の敵を欺く攪乱戦を含む情報戦、情報と状況分析に基づく戦略・戦術と婚姻関係を常套手段とし、互いに人質を取りあいつつ権謀術策を行使する家康が得意とした政治的手法に信長の仮借なき戦略。そしてこれらに対するは人間が人間として生きようとする倫理。軍事力の強弱が同等であると仮定するとこの条件での勝者が何れになるかは必然である。命も生きる価値も時代と場所に限定されつつ生きている我らヒトが、全うに生きようと欲すれば決して避けては通れぬ宿命を背負い戦国時代を生きた武将勝頼の人間性とその悲劇を観客の魂にキチンと送り届ける灰衣堂さんの脚本は流石である。同時にこの脚本を見事に身体化し、時に見る者を凍らせ、或は脈打たせ、身体を硬直させたり、和ませたりしてくれる役者陣の演技と演出の良さ、そして様々な要素をトータルで人間の悲喜交々、宿命の苛烈等を貴族の目で眺めている近衛役の演技がいやが上にも観客に一抹の相対的視座を齎し
舞台による演者らと観客の魂の交感を実現している公演に感謝する次第である。
『La Passion de L‘Amour』「カリオストロ伯爵夫人」より

『La Passion de L‘Amour』「カリオストロ伯爵夫人」より

Studio Life(劇団スタジオライフ)

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2022/12/10 (土) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

キャストは以下の回を観劇。100分休憩なし。
カリオストロ伯爵夫人=関戸博一、アルセーヌ・ルパン(当時20歳)=松本慎也、クラリス(ルパンの恋人)=神澤直也、ムッシュM(地獄の門番?)=石飛幸治

お話は詐欺師カリオストロ伯爵夫人が老いて亡くなり地獄へ向かう途上で番人のムッシュMに問われて過去を振り返るというもの。もちろん原作はルパンが中心の活劇でムッシュMなんて出て来る余地はないが、この舞台では夫人側に立ってファンタジー的雰囲気の下で描写している。彼らの戦いはほとんど語られるだけなので朗読劇と言っても良いくらいだが、台本が良いのでルパンの活躍が明瞭に理解される。音楽劇ということで基本的にストレートプレイでときおり歌が入る。曲はグループサウンズのころヒット曲を連発した村井邦彦さんによるこの舞台用のオリジナル。すんなりと耳に入ってくる佳曲が揃っている。石飛さんの歌は朗々と響き、さすがと感じさせる。

客席は女性ばかり、若い人も年配の人もいろいろで、約90人中男性は5人もいない。登場人物は男性2人女性2人だが俳優は皆男性の逆宝塚状態である(ついでにピアノ奏者も男性)。それにしても女性は宝塚も逆宝塚も楽しめるとは何て貪欲なんだとうらやましい。

なお「ルパン三世 カリオストロの城」とは微妙にかする点もあるが基本的に無関係である。

ライダース・バラッド

ライダース・バラッド

円盤ライダー

πTOKYO(東京都)

2022/12/13 (火) ~ 2022/12/22 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

関戸氏と聴いても判らなかったが空宙空地(の主宰)で思い出したのがアゴラで観た多役を二人でこなす疾走ロードムービー。名古屋~関西が主な活動の場のようだが幅広く活動、短編集上演歴はコロナ前から。今回の円盤ライダーでは、常連男優(若くは劇団員)三名にゲスト女優をそれぞれ当てた二人芝居×三編であった。
軽めのジャブから入って二本目そして三つ目と、いつしか深みに引き込んでいる。時系列に進む台詞劇であるが、密度が高く、それぞれ展開の面白さ、台詞の含蓄を味わわせる。円盤ライダー特有の「男の集合体」の過熱ぶりは見られなかったが、逆に男の単体が「女」との対面によって皮を引きはがさ冷や水を浴びた姿もまた一興。

ネタバレBOX

初めて訪れた会場は赤坂REDシアターからほど近い溜池山王寄り、外堀通りとの間に一本通る裏通りに入った所で、物々しい漆黒の車体が宵闇の中にそこら中に浮かんで些かぎょっとする。顔の無いアンタッチャブルな領域が公然と辺りを陣取っているのでこれは政府系か反社系か、と興味の目を注ぐが、見極められぬ内にその界隈に構えた店を見つけ、足を踏み入れた(赤坂と来れば政界の方かやはり)。
店内はバーカウンターのあるスペースを背中に、ステージ側に向けてランダムっぽく配置した椅子とソファは多めにカウントしても20程度、椅子の前には安定した台を据えてドリンクが置ける仕様。隅の席に座った自分の前には縦置きした大型スピーカーが台代り。相変わらず「予め少人数キャパ」でやるこの劇団に普段抱いている疑問=採算は取れているのか=がもたげる。もっとも劇場を借りて行うのとは当然異なるだろうが。スカスカの客席がさほど淋しくないのは場末のジャズのライブくらいだろうか。胆が座ってなければ中々やれない。

さて芝居である。
三つの短編は短い暗転を挟んで上演され1時間15分程であったか。短編と言っても40分もあればガッツリな芝居にもなるがこちらは30分を切るショートショートと言える作品で、短い程難しいのはリアリティを確保しながら劇的瞬間を作り出す事。設定やテーマ性の「手」を借りて成立する物や、あるいは散文詩的な台詞で観客の想像にほぼ委ねた「ブンガク的」な代物と違い、時系列で進むリアルな人物二名による会話劇としては質が高い、と思った。

まず男三人がざっくばらんな会話=前説で場を和ませ、ふっと二人が客席側に去り、残った男が佇む間に客席の背後のカーテンが半分引かれるとそこから女性が声を発して登場。「走馬燈って・・」と謎をかけるような発語。
再会を懐かしむ間もなく男は女の注文に従い「死ぬ前に思い出す二人で暮らした頃のこと」を慌てて捻りだすが、どれもこれも食べ物のこだわりの事で言い合ったりとつまらない場面である(これを男女が芝居で再現する)。男は申し訳なさげであるが、「走馬燈」から想像された如く死別の話である事がやがて明らかになる。間もなく旅立つ女の方から男を訪ねた格好であるが、その事を知った男はどうにか女を納得させようと必死になるが、滑ってしまう。この場面で女は客席側に一歩出たあたりでトップからのサスで頬の輪郭だけが浮かぶ演出が何気に絶妙で、涙しながら笑っていると客に悟らせる。男も半泣きになる。
ここで戯曲にない(台詞の説明がない)穴が気になり出す。
二人は何かの事情で別れ、久々に再会した様子であるが、女はこの男の所に戻って来て、最後の一瞬の時間を共にしようとした。だからこそ何故別れたのか、男が女を捨てたのか・・等々が気になるのである。
観客は自分が考えられる美しい背景事情を想像しても良いのだが、やはり表現の中にそれは欲しいと思った。今回は作演出関戸氏、ではなくが演出は主宰の渡部氏でこの一作目の演者。演出自らが演じる芝居の「感じ」があったな、と思ったのにはそのへんの理由かと。
ストーリーの面白さに加えて、裏筋というか奥行というか、俳優が籠める事も可能ではなかったかと想像された(それが困難であったとすれば戯曲の問題である)。・・例えばもし男から別れを切り出したならそれは愛ゆえの選択であったか、愛がない事に気づいた故か。。
芝居の冒頭から男は女の圧に負け、言われるがままに仕方なく?二人が暮らした時期の記憶をまさぐる。その中で生まれて来るのはその当時の「感情」ではないか。芝居では、女が「去る」となった時、男はまるで「今愛している女性が去って行く」かのように、引き留めようとし女の背中に声を掛けるのだが、果して男は「死んで恨まれたくなくて」気の利いた言葉をかけてやろうとしているのか、本当は後悔していると伝えたいのか・・それによって態度は異なるだろうしそのリアルな状態を見たいと思ってしまう。
ドラマとしては、たとえ愛していなかった女性との思い出であっても、逆にその事に申し訳なさを募らせるといった事でも、リアルな感情の中に真実がある。日常に戻った男が、ハードボイルドの目玉焼きを食べてみる・・人生は思ってもみない発見(小さな発見であっても)の可能性がある、と思わせてくれればドラマは成立する。
もし男が女をこよなく愛していたのだとすると、女の登場が男に及ぼすものは大きく、一度は去って行った女がそこに居る事の戸惑い、であったり、様々な感情が去来しそうだ。「それなのにこんな場面しか浮かばない」もどかしさが苦悶に近いものになったり・・そんな事を考えてしまった。

二作目は車の内と、時々外、で展開するこれも男女の物語であるが、婚約した事実の上にあぐらかいてそうな男と、本気で婚約を見直そうと(親と合う日を翌日に控えた今日)思っているらしい女との温度差が妙味である。雨の中、ビンゴで当たった「夢の国」(ディズニーランドと考えてよい)チケットの当日、土砂降りのなか高速を走る車中である。女性は小さい頃夢の国に行った時の思い出話をする。そうした気分に浸りたいのである。男は雨の中、大して行きたくもなかった夢の国に向かっている事にぶつくさ言っている。女が話す何度も反芻しただろう小さい頃の思い出話とは・・その日沢山サインをもらったスケッチブックを、あるアトラクションの最中に池に落とし、スタッフにホテル名と部屋番号を聴かれ「もしあったら届けます」と言ってくれたのだが、後で母親と部屋に戻ってみると、新しいサイン帳が置かれてあり、見ると窓が開いてカーテンが揺れていた、ピーターパンが届けてくれた!という奇蹟の話(親切にも観客が真相を想像できる情報も入れて)をわくわく口調で語る。男はこの話にも超自然現象などあり得ない事をズケズケと語り、「現実」と「夢」の対立軸がこれほど明確でありながら婚約した二人が、特段不自然でもなくそこまでは見えている。ところが、女は男の「夢の無さ」にそろそろ業を煮やしている、といった風が見え始める。しかもサービスエリアで男が所用中、掛かってきた電話の相手が「いつまでも待ってるよ」と言ったらしい会話。戯曲の(説明)不足はこの不明な相手の実体が伏せられていて、女性にとってどの程度の存在なのか・・というあたりであるが、女性が本心から迷っている事と、男がそれまでの会話の中から実はある種の危機を察知したらしい事が、一風変わったクライマックスに導く。男がトイレから戻った時、「現実主義」な男の一世一代の大芝居を打つ。即ち、手の平の上に居るらしいティンカーベルが、男を捨てないで欲しい事、パッとしないけど真面目でいいやつだから、と擁護する台詞を(男のしゃがれ声で)言う。これを聴いた女性は、ややあって、「わかった、ただし条件がある」と言い、喋り始める(その中身はマイムのみ、雨でかき消される)。
マリッジブルーをオチにした話ではなく、二人の関係を繋ぎとめるのは何か、どんな風が吹けば男女は結ばれるのか、といった含蓄がある。女が判りやすいサインを送り、男はやっと気づいてアクションを起こしただけにも見えるが、紙一重で変わる運命の不確かさと、個人の中にある確かさが感じられ、後味が良い。

最後のは、いつも円盤ライダー舞台では三枚目が熱く語るキャラで賑やかす俳優だが、空宙空地の代表の一人でもあるおぐりまさこ演じる一人の女性とフードコートの丸テーブルを挟んでの会話劇。父娘の話としては、設定自体はありがちであるがよく出来た戯曲であった。戯曲もうまいが俳優(父役)の存在感が何気に抜群(変な日本語だが)。聞き役に回る時間を含めて父という人物と一体化したリアリティが「場」を信頼できるものにし、微妙な心情の移り行きが表情の変化に見えるようであった。

円盤ライダーらしい男がうるさい群像劇を期待して出かけたが(大して観劇歴はないが)様々な演劇形態への挑戦も円盤ライダーの本義だろう。ただ今回のがコロナ下の苦肉の策であるとすれば(消去法で選んだ形だとすれば)少し寂しい。人は本来的に密になっていいし接触していい存在である・・コロナ(ウイルスによる病気でなく人間への忌避感という病気)を超えるあり方を見せてほしい。勝手ながら円盤ライダーは何故だかそんな期待をしたくなる存在である。
夜明けの寄り鯨

夜明けの寄り鯨

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/12/01 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

横山拓也の芝居を、こんなガラガラの小屋で見たのは初めてだ。珍しく老人客が多い。
それでも約半分、普通席の約四分の一の安いZ席が若い観客で埋まっていたのが、辛いような。
捕鯨の是非で生活を揺るがされた捕鯨を生業としていた漁村のほぼ半世紀の変転を背景に
した物語だが、いつになく歯切れが悪い。時代の変遷を青春期から老年期への人の一生と重ねているが、ここもあまり成功していない。捕鯨への反対運動の下りなど、いつもの横山なら絶対に取らない方法でドラマに組み込んでいる。
演出はこの劇場が養成してきた人材と言う触れ込みだが、舞台をストーリーに従って、小奇麗に整理はできているが、肝心の、漁村の生活感がまるでない。リアリテイがないのは最近の若い観客にはさほど気にならないのかもしれないが、今年で言えば、ぺニノの「笑顔の砦」のような圧倒的なリアルの追求を見ていると、いかにもきれいごとで、しらける。やっぱり、新国立は困ったもんだと言うところに落ち着いてしまう。
横山も、これからはこういうたぐいの注文仕事をこなさなければならなくなるだろうが、それは職業だから、めげずに頑張ってやってほしい。今回はやむを得ない。

三人姉妹

三人姉妹

アトリエ・センターフォワード

シアターX(東京都)

2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今公演がいつも以上に目を引いた理由は(俳優陣もさる事ながら)「自作(新作)上演でない」事にもあった。公言する如くシアターXでの上演というのもそうであるが当日は(イメージで)うっかり下北に行く所だった。
「三人姉妹」、に副題が付されており、大胆な潤色を予想したが、「三人姉妹」であった。
ただしある種の方向付けがあり、恐らくテキレジも為されているが(ラストの台詞並びは明らかに原文と違う)、一役のみ男を女優がやっている事や、主人公風情の長身俳優が脇で存在感を持っていたり、何がどうだからどうとは言えないが冒頭のイリーナ、オーリガの喋りと立ち位置から人の動線に、演出者の「意図」が行き渡っているのを感じる。
目を引くのは美術で、Xの通常のステージを作る高さ数十センチの台を両側を繰り抜く形でオーリガの家を浮かび上がらせ、奥行きを作る。最奥の両脇が出はけ口。一段下がった両側が玄関に通じる廊下となり、間もなく登場する人物が早めに姿を見せる格好になる。
台上の演技エリア(家)には前半、奥と手前の間に高さ低めの仕切りパネルが左右に置かれ、狭い中央が通り口、奥での談笑と手前の秘めたる会話の図が出来たりする。

「三人姉妹」は清水邦夫の「楽屋」のせいか一度ならず観た気でいたが(戯曲も途中まで読んだ)、東京デスロックの抽象度の高い舞台(亡国の三人姉妹)を除き、ストーリーを分かりやすく味わったのは今年アゴラで上演されたサラダボール舞台(女優三人のみで全編演じられる)が初めて。一つの趣向であったが、今回のセンターフォワード版を振り返ると、役者によって形作られる一個の「人格を持つ固有の人物」らの群像劇として(言わば普通の演劇)味わい深い劇世界を作っていた事と同時に、何がどうと言い難いがリアルさの中に儚げな風がふっと頬に当たるような、不思議な感触があった。現代を感じさせる部分もある。明白に意図的と分かる演出として、ラストが特徴的で、三人の姉妹の会話に殆ど力みがなく、自然体の風景として提示され、静かな演劇風にピリオドが打たれる。三姉妹の女優(藤堂海、安藤瞳、北澤小枝子)が良い。家をかき回す兄嫁役のみょんふぁ、イリーナに思いを寄せる兵士(を止めて工場労働者になる)役の岡田篤哉、兄役の矢内文章、等々。凋落する人間と微かな希望を描く原作を、立体化するそれぞれの人物造形にも奥行がある。

明烏-akegarasu-

明烏-akegarasu-

猿博打

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。
最初から最後まで、エネルギッシュで、元気を貰えるような舞台でした。
ストーリーの良さは勿論、演出や役者さん達の演技が加わり、面白さが倍増でした。
役者さん達全力の演技、その表情に、笑いながらも感動してしまいました。
本当に面白くて、良い時間を過ごせました。大満足でした!

時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

クライマックスの殺陣が最高です。
超本格的時代劇を観て満足でした。
場面が変わるところの入れ代わりが素早く、ムダがない。
テレビや映画ではこの迫力は出ない。
生の舞台だからこそ。
そして、イケメンがどっさり。見てるだけで幸せーーー。
寿命が伸びたーーー。
勝頼役の役者さんがカッコよかった。
声が小さくて聴こえないところがあったのが、残念でした。

『ダークダンス』

『ダークダンス』

尾米タケル之一座

ウッディシアター中目黒(東京都)

2022/12/07 (水) ~ 2022/12/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

やっぱり、この劇団さんは期待を裏切らずおもしろい。
ジワ、っとするところもあり、笑いありでよかったです。
ひとりひとりの演技も味があり、親しみやすく魅力があります。
素敵な時間を過ごせて満足でした。

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