ピテカントロプス・エレクトス
劇団あはひ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
会場に入ると、アクティングエリアの中央に穴(奈落)が開いていて、その四方をカラーコーンで囲っている。客席はその穴から距離をとり四方に設置され、穴を取り囲むような状況に。ゴリラっぽい着ぐるみを着た人が場内にいるが、作品タイトルから演出の一部と想像。この穴がタイムホールのように時間を繋ぐ存在となっており、穴を通して前時代(と言っても何万年単位だけれど)の「祖先」と対話する。類人猿からヒトへの時間を辿りつつ、その進化の過程から「知的生命における、生物的、あるいは社会的進化とは?」を見つめ直す…ような作品に、僕には見えました。
ライカムで待っとく
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
観劇直前にキャストが初演と変わっている事に気づいた。演出、脚本と長塚氏の対談がKAATサイトにあってながら見をしたが「若干、俳優が変った事で台詞を変えた」「装置も微妙な所で変わってる」、と言っていた。
初演は下手側中段あたりから観た記憶。今回は最前列ど真ん中。(実は少し前完売だったので当日一か八かで・・と考えていたら、楽前日昼夜とも空席が出ていた。)
観始めると、風景が違う。劇の感触も違う。まず亀田佳明が中山裕一郎に。このドラマの中心的な「目」である記者の存在が、コメディ色を帯びて安心させる亀田氏が、どちらかと言えば朴訥なキャラにシフト。(亀田氏は新国立「デカローグ」1~10話に通しで出演する唯一の俳優のため元々無理であった由。)
変更になったもう一名が、沖縄に飛んだのっけに乗るタクシーの運転手(劇中では「事件」の主要登場人物の一人に)。初演では30代の飄々とした風情の役者で、この芝居のナゾめきの空気を担ってもおり、とりわけ最初のタクシー場面では客(記者)を翻弄する振る舞いで笑いどころ多め、劇の始まりの緊張を解き、沖縄場面(過去と現在、あるいはどっち付かずとある)の風景と観客はニュートラルに対面する事となった、と思うのだが、今回は笑い処は一つあるものの他はそこはかとじんわり、といった程度(つまり弾け方が押さえられていた)。
そのせいなのか、あるいは二度目の観劇だったり見る角度だったりなのか、話の筋を時折「同じだ」と確認できた以外は、別物を観る感覚であった。
と、どうしても比較して観る事になるが、沖縄を訪れた記者とその妻と子どもの話(実は妻方の祖父が亡くなった事で帰郷し、夫の方は別口からの依頼があって取材に訪れた)と、記者が取材する事となった事件にまつわる過去のドラマが交互に進み、最後に「死者たちとの対話」と「過去の時空に紛れ込んだ」とも判然としない異空間が作られ、強烈な言葉が吐かれるのであるが、この最終場面になって漸く、私としては劇に追い付いた。
もっと正確に言えば、そこまでの「見え方」が随分と変わっていて、初演以上に直截に「怨嗟」や「沖縄問題」的な証言が届いて来ることに戸惑っていた。恐らく、タクシー運転手であり「事件」の当事者の役が25歳と若く、生硬に寄った演技の質感によるものだろう。(作者は対談の中で、この俳優同士の空気感なら、もっと踏み込んだ言葉を吐くだろうと思えたりした所を、変えたと言っていた。)
そして初演のやや無責任雑誌記者のキャラを通してコメディ感覚で事態を眺めさせていた亀田佳明バージョンとは異なり、場面の直接的な情報伝達によって「見えてきた」情報もあった(これは二度目というのが大きいかもだが)。そしてコメディ調のヴェールによって流れていた台詞の細部に引っ掛かり、意味を読み取ろうとするセンサーも働いた。
従って、「見やすさ」とは裏腹に、事象が苦いまま粒立って迫って来る(私はこの感触は田中麻衣子演出の技量によるもの、と思う所が過去にもあったのだが、もし「敢えて」なのだとすれば、基本的に異化効果を好む演出なのかも知れない)。ギザギザと不快な感触さえ伴って風景が象られると、初演ではギターをかき鳴らす異化効果が、今回は屋上屋を重ねるようであったのは、私としては少々残念(勿体なかった)。
この「飲み込みにくさ」、そして朴訥感のある記者の捉え処のなさが、最後に効いた。(そして亀田氏バージョンでは最後にその味が出なかったな、と初演で微かに感じた事も思い出した。)
それは、イノセントな、所謂罪意識の無い平均的日本人の感性が、痛烈な皮肉で語られた沖縄の亡霊たちの言葉を、受け止める佇まいに凝縮されている。その言葉らを自分の「大切な存在」を人質に取られた今やっと、「聞く」体勢に「させられた」彼は、せめて記者の使命感に支えられてと言いたい所だが、戸惑いながらどうにか目を見開き、対峙できて(させられて)いる。その姿に、本土人である自分が重なるのである。
破壊された女
お布団
サブテレニアン(東京都)
2024/05/23 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/27 (月) 14:00
女優の一人語りによる「或る女」の顛末。そうして語られるのはいかにも「イマの世界」。5年前の初演時に昨今の情勢(?)をここまで言い当てるとは「予言の書」か?(驚)
また、時々あった語りの合間に日常的な受け答えの台詞が差し挟まれるのを面白いと思っていたが、アフタートークで作・演出の得地弘基氏から「種明かし」があって大いに納得。
第壱部「綺譚 逢浄土桜心中」第弐部「DREAM-NeoJapanesque」
想組〜こころぐみ〜
小劇場メルシアーク神楽坂(東京都)
2024/06/01 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/01 (土) 13:00
第5回公演となっているが、拠点を福岡から東京に移した矢先にコロナ禍に見舞われて活動ができず、東京での公演はこれが最初だという
。
主宰の大和零河という名前、どっかで見たと考え続けていたのだが、舞台を観て思い出した。BMI25オーバー達が踊って痩せようという1日限定の発表会イベント「脂肪遊戯」の振付担当者としてカーテンコールで紹介されたのだった。
劇+レビュー・ショーという宝塚のような構成。
第一部は歌舞伎の名作「桜姫東文章」をベースにした「綺譚 逢浄土桜心中」。CoRichの「観たい!」で浄瑠璃風と書いているメンバーもいたが、四代目鶴屋南北などの作によるれっきとした歌舞伎である。
驚いたのはこの複雑な筋立ての物語を桜姫・権助・清玄という3人の登場人物だけで、しかも75分という時間のわかりやすい作品に仕立て上げていたこと。衣装も素晴らしく、台詞廻しも宝塚調。殊に権助役の仲井和るながいい。昨年2月に木ノ下歌舞伎が上演した「桜姫東文章」よりもずっと良かった。木ノ下歌舞伎のチケットは7千円もしたのに、こちらはレビュー・ショー付きでその半額だ。
ただ残念だったのは劇中で始終デジカメのシャッター音が響いていたこと。スタッフとしてのカメラウーマンは4列目(最後列)の通路脇に陣取っていたが、静かな場面でもお構いなしにシャッターをきっている。こんな狭い空間だと事前にわかっていたはず。どうしてシャッター音のしないカメラを用意しなかったのか。もしくはゲネプロの時に撮影するとか、客の集中力を途切れさせない方法はいくらでもあるだろうに。
第2部は第1部の3人にさらに3人が加わっての1時間のレビュー・ショー。
ステージが小さいことも影響はしていると思えるものの、新たに加わった3人の技術的レベルはいまひとつの感もあり。
殊にさくらはちょっとヒロスエっぽい感じで、メイク次第で美女にもイケメンにもなりそうで、スタイルもよく、足もよく上がるのだが、振付を覚えていない風な自信なさげな様子が散見されたのが残念。
東京バレエ団の元芸術監督のK氏が福岡のバレエ団の指導に招かれて生徒たちのレッスンをする場に、私はK氏のお招きで拝見したことがある。その時驚いたのは、K氏はバレエシューズを履かない素足で爪先立ち(足の指の腹で立つのではなく、まさしく爪先で立って)苦も無くスピンを連続してみせたのだが、その折にK氏が生徒たちに最後に言った言葉を記しておきたい。「自信を持ちなさい。自信のないものを観せるのはお客さんに対して失礼だし、観せられるお客さんが可哀そうだ。」
ライカムで待っとく
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初演の時は劇場が遠いのでパスして、後で後悔した。今回は是が非でもと、早めに予約して臨んだ。
初演後の『悲劇喜劇』に戯曲が載って読んだはずなのだが、1964年の米兵殺傷事件の容疑者の経験に迷い込む話という記憶が全然なかった。
俳優たちは、現代の本土のライターとその妻は、いわば事件を目撃するコロスのようなものであって、その周囲の沖縄の人たちが真の主役。現代のタクシー運転手と、妻の祖父で写真館主人の佐久本寛二を演じる佐久本宝の弾けた演技がよかった。重いテーマだからと言って沈むことなく、明るい舞台にしていたと思う。現代のユタ?のおばあと、60年前の飲み屋のおかみを演じたあめくみちこも自然なコミカルさがいい。横浜の若い女性伊礼ちえ(蔵下穂波)の、「基地県なのに、神奈川の人は反対などと騒いだりしない、大人ださー。だからここが好きなの」と、神奈川をいじる皮肉が嫌味でないのも、素直な演技のおかげだろう。
回り舞台と、周囲のたくさんの空の段ボール箱をうまく使い、テンポの速い場面展開だった。
デンギョー!
小松台東
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2024/05/31 (金) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「待ちわびている社長の不在」
ある電気工務店の詰所の人間模様が、現代における会社のあり方を浮かび上がらせる2013年初演の三演である。
熱海殺人事件 売春捜査官
クリームソーダのさくらんぼ企画
アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)
2024/06/01 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ど迫力の演技とアクションに圧倒されました。とても大学生とは思えない演技。
一人二役の演技もさる事ながら変わり身もさすがですね。
泥人魚
劇団唐組
花園神社(東京都)
2024/05/05 (日) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
台詞に緩急が無く、捲し立てているだけで言葉がほとんど届かなかったしつまらなかった!
役者さんがヘタに見える演出だったと思う。
唐十郎は俺には分からない。
テントならではの雰囲気やギミックは好きだった。
service day
劇団スクランブル
小劇場 楽園(東京都)
2024/05/29 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
いつもより笑いが少なめだったような。個性的な登場人物ばかりなのでもっと振り切った演技でも良かったかも。
唯一残念だったのはキャンセル待ちで購入したのだが開演5分前でも入れず、雨の中外で待たされたこと。結局開演時間も10分ほど遅れていたし。
見る前からテンションが下がってしまい残念。
(株)デスゲーム工務店
電動夏子安置システム
赤坂RED/THEATER(東京都)
2024/05/29 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
物語を感じるより状況を楽しむ舞台。
交錯するデスゲーム、ゲームの本質にはほぼほぼ無関係な人達が繰り広げるある種トンチンカンな行動がじんわり笑いを誘う。
ゲームのスタートとラストの展開にはやや違和感を感じるも、全体通して面白かった。
ライカムで待っとく
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
諦め、傍観、寄り添うってなんだろ?偽善?
我々の幸せは誰かの犠牲の上に成り立っていて、しかしその犠牲は誰にも認識されない。
静かな芝居がそれらを重く受け止めさせる。
自らを見つめ直す良い舞台だった。
柿喰う客新作本公演 2024『殺文句』
柿喰う客
本多劇場(東京都)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「なぜ今このテーマを?」というクエスチョンがありつつも、ストーリーはスッと入ってきた。が、それって表層なんだよな…深層の理解は難しいな…という感想。
とはいえ、特有の超絶滑舌からくる疾走感、意識が飛んだような目の演技などなど、作品の持つ世界観を存分に楽しんだ。
今作、結構ダンスシーンがあった。
それほど見ているわけではないが、新しい柿という印象。
特に赤繋ぎのダンスシーンが好き。
下…というかドギツイというか…
蔑視とはニュアンスは少し違うかもしれないが、そこに若干の危うさは感じた。
当然、意図してのことだとは思うが。
MANICAL
劇団くるめるシアター
早稲田大学学生会館(東京都)
2024/05/24 (金) ~ 2024/05/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
強烈な既視感。いわば学園ドラマ全部入り的な。
故にシンプルで分かりやすくとても観やすい作品だった。 新歓だからかなぁ…
ストーリーにもう少しひねりが欲しかったのと心情の変化が唐突な感じでもう少し丁寧に描かれると没入できたかも。
最初の二十面相
劇団身体ゲンゴロウ
北千住BUoY(東京都)
2024/05/23 (木) ~ 2024/05/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
タイトル、そういうことか。
結構重たい話だったが、いい意味で淡々としていてスッと入ってきた。
死ぬことと生きることは相反しているけど実はイコールなんだと、そんな感じ。
なかなか良かったと思うがラストの台詞が聞き取りにくかったのが少し残念。
略式:ハワイ
劇団スポーツ
OFF OFFシアター(東京都)
2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
前半のタイムリープが緻密な上にシチュエーションコメディ的な行き違いから来る笑いもふんだんにあり楽しい。おしるこは少しくどかったけど
本当に戻るべき時点に気づいたあたりからは、もう苦く辛く切なくて胸が詰まる思いで観てた。
とても面白かったし、声が良いね。
こどもの一生
あるいはエナメルの目をもつ乙女
王子小劇場(東京都)
2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
物語の根底は社会派だなと感じる。社会の縮図的な…
怖いというより不気味。山田のおじさんもだけどかっちゃんの幸せ感じる瞬間がより不気味。「いたい」というキーワードを個人的に深掘りしたい。
全ての役者が役にどっぷりはまっていて、とても面白かった。
ピテカントロプス・エレクトス
劇団あはひ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
台詞の言い方を制御するタイプの劇団だが、序盤はただただ単調であり、客席の入眠率も高かった。コンセプトや形式が特徴的なのかもしれないが、ただの戦略ではなく、芝居の面白さに結びついていると感じさせてほしかった。
ところどころドキリとはさせられる。客のことを丁寧に想定していないのか、続きを見せたくする仕掛けが薄く、こと主張に関しては過剰な説明台詞に聞こえた。
一方で進化は感じた。同時に、ゆえにこれでいいのかという疑問も涌き出た。
第壱部「綺譚 逢浄土桜心中」第弐部「DREAM-NeoJapanesque」
想組〜こころぐみ〜
小劇場メルシアーク神楽坂(東京都)
2024/06/01 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
GFT版 贋作・桜の森の満開の下
突劇金魚
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2024/05/30 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
坂口安吾の短編 夜長姫と耳男 と桜の森の満開の下をミックスした作風 坂口安吾の作品の中でも、最高作品と言われている作品を現代の問題もクロスさせながら話は進む
作演出の意図はわからないが、2つの名作をミックスさせることで、作者(坂口安吾)の視点がぶれたことにより、原作を分かりにくくしているように感じた
またそれを現代とクロスさせることで、人間の本性(昔←百人一首が出てたから平安時代?と現在)は変わらないといったメタファーを表現したかったと思うが、これも私には少し分かりにくく残念でした
あんころ組を拝見したが、満席のWコール 他の組とのキャストの差が有りすぎ… グッズもあんころ組は完売とキャスト目当て客が多かったのだろうな〰️ 多分再演だし、主役の負担が半端ない
熱海殺人事件 売春捜査官
クリームソーダのさくらんぼ企画
アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)
2024/06/01 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了