
カタブイ、2025
名取事務所
紀伊國屋ホール(東京都)
2025/11/28 (金) ~ 2025/12/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
素晴らしい傑作。現在の沖縄を舞台にどんなドラマが展開できるのか予想もつかなかったが納得の脚本。三上智恵監督のドキュメンタリー映画『戦雲(いくさふむ)』にも通じる内容。
升毅(ますたけし)氏がシリーズを通じる主人公、杉浦孝史75歳を演じる。大学時代の恋人、石嶺恵75歳は佐藤直子さん。娘の石嶺智子は古謝(こじゃ)渚さん。孫の石嶺葵は宮城はるのさん。その恋人の陸上自衛隊員、中村悠太に山下瑛司氏。彼の母親、中村敏江に馬渡亜樹さん。町の名士(?)、池原実に当銘由亮(とうめよしあき)氏。
自衛隊員と反基地運動の活動家との邂逅。
『戦雲』でも自衛官と県民との対話がある。県民の根強い不信感に自衛官は答える。「軍が県民を守らなかった前の戦争の過ちを教訓として我々は県民の為に行動します!」
馬渡亜樹さんは体育会系女子。動きや受け答えがハッキリしている。
古謝渚さんと宮城はるのさんは何となく顔立ちが似ていて母娘にふさわしい。
古謝渚さんはどことなく鈴木紗理奈みたいにくっきりした顔立ち。
宮城はるのさんはある種の天才だろう。全く演技を感じさせず自然に素の感覚を出せる。ちょっと松田聖子っぽくも見えた。
三線(さんしん)による演奏と琉球舞踊の優雅さ。「ヒヤミカチ節」が始まると、カチャーシー(祝宴の最後に皆で手を振り上げて自由に踊ること)が外にまで出て延々と続く。『焼肉ドラゴン』を彷彿とさせる名シーン。「ヒヤ ヒヤ ヒヤヒヤヒヤ ヒヤミカチウキリ」(「えい」と言って奮い立とう)。ヒヤ=えいやっ!
ジーマミー(落花生)豆腐=芋餅に近い。
オスプレイが頭上を通る轟音が凄まじい。これが日常か。
戦後の人々の再生に歌と踊りがどれだけ力になったことか。ただの現実逃避だけではない。人の心の再生に力を貸す。
こうなるとカタブイ全3作一挙上演なんかを期待する。
是非観に行って頂きたい。

フルモデルチェンジ
劇団フルタ丸
STスポット(神奈川県)
2025/11/28 (金) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
フルタ丸講談は今回で2回目の観劇でしたが、やっぱり面白かったです。
3人のキャストが役柄とは別にテンポよく講談師役を交代しながら物語を紡いでいくスタイルは、もはや完成された安心感がありますね。
講談師による状況説明や心情描写も分かりやすく、気づけば物語にぐっと引き込まれていました。
それぞれの役に、見せ場があり、共感できるポイントも随所にありました。
そしてラストはひねりの効いた締め方で、観終わったあとも心に余韻が残る満足度の高い舞台でした。

友達
劇団カナリ
玉川学園3丁目子ども広場(東京都)
2025/11/30 (日) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
野外⁈の心配も吹き飛ぶ役者さん方の力量に
圧倒されました。ちょうどよい時間、構成で
すっかり引き込まれて、とても楽しませて
いただきました。素晴らしかったです。

三つの透明な和音
劇団回転磁石
スタジオ空洞(東京都)
2025/11/27 (木) ~ 2025/11/30 (日)公演終了

11ぴきのネコ
劇団テアトル・エコー
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2025/11/29 (土) ~ 2025/12/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
『11ぴきのネコ エコー版』観て来ました!
子どものためのミュージカルですが、私は子どもじゃないけれど楽しく観劇しました。
「未就学児童観劇回」ではきっと盛り上がるだろうなあと思いますね。
子ども観客とかも一緒に歌ったりしてね〜〜!!
コロナ騒動?のころ劇場の入場時ツライことが多くご無沙汰だった観劇ですが今回とっても楽しかったので再開しようかなと思いました。

病は気から
関西芸術座
ABCホール (大阪府)
2025/11/28 (金) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
有名な喜劇で他の団体さんでも拝見したことがありますが、関西弁良かったです。この4月から仕事で関西に来て、大阪弁のお芝居に新鮮さを感じていましたが、本作はとてもぴったり、最高でした。特に召し使いと主人の掛け合いは楽しかったです。
とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。ありがとうございました。

『いつものオーロラが割った夜』
月波兎
ザ・ポケット(東京都)
2025/11/27 (木) ~ 2025/12/01 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
ギャグ漫画がテーマの一つになっているためか、演技や演出でかなりギャグ的な要素が強くなっていると感じる。ただ、少々うるさい。無理に大声を出すためか、俳優陣の中には声がかすれ気味で、大声・早口の場面など聞き取りにくくなっている人もいたよう。

病は気から
関西芸術座
ABCホール (大阪府)
2025/11/28 (金) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
関西を代表する老舗劇団(若手も育成)だけに、抜群の安定感
金目当てで結婚した継母 愛情が第一の先妻の娘 病気?なのに元気すぎる父 生気な御手伝い等々が繰り広げる、家族への道程ストーリー
あるあるだけど、めっちゃ楽しめました!!

わらわら草紙 十の章
神原組
ウイングフィールド(大阪府)
2025/11/29 (土) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
リーズナブルな料金設定で何本も素敵な作品が観れる最高の時間を過ごさせて頂きました☆有難うございましたm(_ _)m

首2
きっとろんどん
OFF OFFシアター(東京都)
2025/11/27 (木) ~ 2025/12/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
北海道・札幌から東京・下北沢に乗り込んできたまだ若い男性役者四人で構成された劇団(1人は北海道在住らしい)。
猟奇殺人事件の加害者・被害者双方に「何らかの関わりがある」という設定で、舞台役者としての役者が事件に迫っていきます。
実際に起きた事件の検証・考察もかなりされていて、人間的ドラマが非常に興味深かったです。
最初に「この作品はフィクションです」と説明がありましたが、どこまでがノンフィクションなのか境目がないほどにリアリティが感じられました。特に風呂場のシーンは鬼気迫るものがあって、魅入ってしまいました。年配の役者さんの演技がとても味がありました。

「沈む。躍れ、ひとり」
万博設計
AI・HALL(兵庫県)
2025/11/28 (金) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
震災で息子を亡くした母 息子の配偶者(お腹に息子の子有り)を中心に巻き起こる群像劇
とても分かり安く、楽しめました!!
かなりひねりをこなしていた劇団でしたが、今回はシンプルでした

あたらしいエクスプロージョン
CoRich舞台芸術!プロデュース
新宿シアタートップス(東京都)
2025/11/28 (金) ~ 2025/12/02 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
あの限られた空間を、
堀越涼さんはまるで新たな景色へと
変えてしまうように、巧みに生かしていた。
次々と繰り出される私好みの演出に心が揺さぶられ、
気がつけば舞台の呼吸に寄り添っていた。
演者さんたちは一人で幾つもの影をまとい、
場の空気を自在に編み替えてゆく。
なかでも金子侑加さんは、
声色さえ軽やかに変化させ、
そのたびに物語の表情がふっと変わるのが
面白くてならなかった。

五十億の中で ただ一人
トム・プロジェクト
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/11/27 (木) ~ 2025/12/03 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
不穏な時代に、静かに反戦を訴えかける芝居でした。
5人の出演者で、難しい設定を対話を通じて成就していくさまが見事です。
作、演出である、ふたくちつよしさんの得意とする新しい切り口の家族劇の誕生だと思いました。

あたらしいエクスプロージョン
CoRich舞台芸術!プロデュース
新宿シアタートップス(東京都)
2025/11/28 (金) ~ 2025/12/02 (火)公演終了

彼方の島たちの話
ヌトミック
シアタートラム(東京都)
2025/11/22 (土) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
『ガラスの動物園』が衝撃的だったのでヌトミックにも興味を持った。観ていてNOKKOみたいに派手に踊る女優(原田つむぎさん)がローラだったことに気付いて驚く。東野良平氏の登場で盛り上がったが作品をぶち壊すまでにはいかず。凄く伝え辛い感覚をいろんな方法を模索して無理矢理表現しようとした作品。自問自答しながら途中で打ち消したり話をやめたり、ギターを爪弾いたりディストーション・ノイズを起こしたりやめたり、親子の関係性を謝ったりやめたり、忘れていたことを思い出したりやっぱり否定したり。Public Image Ltdの「Fodderstompf」を聴いた時の感覚。

あたらしいエクスプロージョン
CoRich舞台芸術!プロデュース
新宿シアタートップス(東京都)
2025/11/28 (金) ~ 2025/12/02 (火)公演終了

フルモデルチェンジ
劇団フルタ丸
STスポット(神奈川県)
2025/11/28 (金) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
客入れSE、N'夙川BOYS「プラネットマジック 」がBARBEE BOYSみたいで良かった。中山うりカヴァーの「月の爆撃機」も。
政府の関与する自己変革プログラム、治験モニターとして3人が参加。十日間、マンションのような施設に閉じ込められて暮らす。演者各々キャスター付きの演台と張扇のような物を持つ。一日一つのお題が出され、それぞれ音読し考える。各人、他の二人の観察日記を付けなくてはいけない。
篠原友紀さんは学校の教師、いつも他人と自分を比べて回る。
山田伊久磨氏はTVのプロデューサー、バラエティ担当。自己啓発本マニア。パエリア好き。
真帆さんは「絶対に変わらなくては」と強い決意。流されやすい弱い性格を変えなくては。
後ろに英語字幕がずっと流れる。
精神的な話の為、流れるのはアンビエントな曲。これに弱い人は居眠りしそうな雰囲気。自己啓発系の面白さは自分の価値観を変えられるんじゃないか?との期待。世界や人の見え方が変われば面白い。
真帆さんの表情がBARBEE BOYSの杏子っぽい感じがして好感。

絶滅のトリ
だいだら
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/11/17 (月) 16:05
絶滅危惧種の鳥の保護/繁殖のために島で活動しているグループの群像劇。
新たに加わったミステリアス(?)なメンバーをきっかけに微妙に保たれていたバランスが崩れてゆくさまを、じっくりと時間をかけて並べたドミノの牌が終盤で次々に連鎖して倒れてゆくように見せる110分。
この終盤の「あの歌」が流れる中、台詞なしに演技だけで見せる手法に奇しくも少し前に観たたすいち「果てなしランデブー」と通ずるモノがあり共時性にビックリ。
あと、(この会場で)かなり凝ったツクリにした舞台美術も見事。
なお、ONEOR8の初演は未見。

一九一四大非常
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/11/25 (火) ~ 2025/12/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
流れるのはベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章。どうしようもない宿命のレールの上、粛々とそれを受け入れるしかない人間の群れ。もう変えようのない過去の人々。今それを振り返っている自分も先の世界から見れば同じ存在。逃れようのないレールの上をただ黙々と歩んでいく恐怖。どんどんどろろ、どんどろろ。
1950年代に中東やアフリカで巨大油田が発見、石油の低価格での提供が可能となり、1962年に日本でも石炭から石油へとエネルギー政策が転換。(第三次エネルギー革命)。「黒いダイヤモンド」と称された石炭の時代は終焉。用が失くなれば邪魔なゴミ。それが時代の宿命。
福岡県田川郡にある三菱方城炭鉱は三菱鉱業の主力鉱として栄えた。昇降機で地下270mまで縦坑を降り、そこから横に延びた坑道を掘り進めていく。270mは50階建て高層ビルの高さ。その深さの地底に推定1249人が働いていたと言われる。1914年(大正3年)12月15日午前9時40分、方城大非常(三菱方城炭坑ガス大爆発)。抗内用のトーマス式安全灯に気密不充分の物があり、侵入した石炭粉が引火したものとされる。生存者は僅か18名。
炭鉱夫は身体中を黒く汚す為、何役も兼ねる人は脚にあらかじめ汚してあるシアータイツを着用。顔を汚したり洗ったり大変な現場だ。
小学校の教師役板垣桃子さん。梁瀬農園の娘!チャーミングな眼鏡にのんのような髪型、学校の人気者の可愛らしい先生。
余所者の稲葉能敬氏と妊婦の長嶺安奈さん夫婦。
長嶺さんの妹の大手忍さんと許婚の藤澤壮嗣氏。
瀬戸純哉氏ともりちえさん(実際の夫婦!)は籍は入れていない。二人共腕が立つ。
柴田林太郎氏と川原洋子さん夫婦と姪の井上莉沙さん。
鈴木めぐみさんも流石。夏蜜柑を掻き集める。
炭鉱会社の救助隊中野英樹氏は佐藤允とRINGSの成瀬昌由を足したような苦味。三人の息子が炭鉱に降りている山本あさみさん。半狂乱の母親を収める為、「自分が必ず息子さん達を救出します。」と約束してしまう。気持ちには気持ちで応えるしかない。一酸化炭素の充満する地獄に夏蜜柑の皮を咥えて降りて行く。最早理屈じゃ何も出来ない。神頼みだ。
MVPは中野英樹氏、山本あさみさん、もりちえさん。無論、集団芸術として皆で成立させているのは承知。
中野英樹氏の抱え込んだ無数の痛みと山本あさみさんの無理を承知の足掻き、骨噛み、もりちえさんのいぶし銀の生きる術。
この劇団は皆にどうにか観て貰いたいが、表現しようとするものが文学の地平の為、人によっては消化し辛いだろう。熊井啓映画の貫禄。伝えようと試むものがデカ過ぎる。今こんな劇団があってこんな役者達がこんなことを訴え続けている事実。これは黒澤映画と同じできちんと評価し後世に残さないといけない。こんなもん再現不可能。今、観るしかない。後の世にこんな劇団があったなんて聞かされてもしょうがない。
「ご安全に。」

あたらしいエクスプロージョン
CoRich舞台芸術!プロデュース
新宿シアタートップス(東京都)
2025/11/28 (金) ~ 2025/12/02 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
素晴らしかったです。実力派の俳優だけを集めた舞台だけあるな…と思いました。1人で4役5役されていますが、どの役も声質を変えたりキャラを完全に変えていて観てる方はまったくストレスを感じませんでした。あと、劇版の生演奏もすばらしかったです。役者の演技と完全にシンクロしていてすごいなーと思いました。演奏者も1人の役者ですね。それと、アフタートークも参加させてもらいましたが、まさか毎朝観ているZIP!のレギュラー出演者さん2人に出会えるとは思いませんでした。俳優の仕事もされているのですね… いやー、スペックの高さに脱帽です。