グレイ・ガーデンズ
東宝
シアタークリエ(東京都)
2009/11/07 (土) ~ 2009/12/06 (日)公演終了
満足度★★★★
ドキュメンタリーのミュージカル化!オーソドックスな一幕,衝撃的な二幕,シニカルな対比が見事!
珍しい、ドキュメンタリー映画のミュージカル化!
アメリカでは超有名な親娘らしいです。
裕福な一族を描くオーソドックスな一幕、
一転、落ちぶれた親子の姿の衝撃的・個性的な二幕、
このシニカルで強烈な対比が見事です。
これをミュージカルにするなんて、
こんな内容が受けるとは、さすがアメリカ!
そして、日本では全くなじみのない、この話題を
日本で演るなんてすごい。
最近の東宝ミュージカル×シアタークリエは、
つくづくチャレンジャーだなぁと思う。
独自の意見とファッションを貫く、リトル・イディは
あくまでも前向き。
夢を見ても、母親と喧嘩しても、最後まで家を
出れなかった中年のリトル・イディと、
ショービジネスを夢見て家を出た、
昔の若きリトル・イディ。
この対比は、ノスタルジックで美しくも悲しい。
若きリトル・イディを演じた彩乃かなみさんの
オーソドックスなミュージカル演技が美しい。
最近舞台に連続して挑戦されている大竹しのぶさんは、
悪態を突くような女性の役は、特にうまいです!
(歌は…)
片肌を披露された草笛さんは、つくづくお美しい。
ケネディ家長男を演じた川久保拓司さんは、
ウルトラマンネクサス主演でした!!
あと、シアタークリエは、オーケストラピットが
見えないのが嫌い!
せっかくの生オーケストラ演奏の
”雰囲気”が味わえないんだもの!
D☆J(脱☆純情)~危なっかしくたっていいじゃない!?
Hula-Hooper
7th FLOOR(東京都)
2009/11/20 (金) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
ある世代以上は
当人たちの意図を超えて喜んだ、と思う
乾かせないもの【御来場有難うございました】
机上風景
タイニイアリス(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
心に染みました
「銃後を守る」という言葉があったように、戦争は残された女たちも蹂躙する。
女たちの静かな日常に絞って描いてあるから、一種、寓話のようでもある。
「いつまでも乾かない、乾かせない想い」。
洗濯の風景につづられる女たちの哀しみが心に染みました。
こういうテーマだと、作家は長く描きたがるものだけど、抑制して
1時間20分にまとめ上げたことにも好感が持てました。
ネタバレBOX
ユニーク・ポイントや平田オリザ作品にも共通する静かな中にもじんわりと
訴えかけてくる作品だった。
戦地から届く夫たちからの手紙だけを楽しみに暮らす6人の女たち。
軍に勤務し、毅然とした大人のキリヤ(長島美穂)、冗舌でムードメーカーのユチカ(浜恵美)、少女のように無邪気なユエ(石黒陽子)、新婚のカズナ(村上由紀)、妻や夫たちの手紙を音読して聴かせるアーブル(宍戸香那恵)、几帳面なモスタル(根津弥生)、そこへ弟を兵役にとられた若い娘テト(木村恵実香)が新入りで加わる。
前半他愛のない会話が続くだけに、後半空気が一変する。
その対比が見事だ。
「男たちが帰還したらどうしたい?」という話題で、カズナが「夫に洗い立てのシャツを着せて、抱きつきたい」と言い、テトは「弟をどこにも行かせないで、一生ずっと傍で暮らす」と言う。女たちの切ない心情がよく現れている。
カズナの夫(梅田大資)だけが帰還し、その報告で夫が死んだと聞かされたユエは自害してしまう。
「誤報もあるかもしれないから、もう一度詳しく話を聞きたい」とカズナに迫るキリヤに、「夫の心の傷に触れないでほしい」と拒むカズナ。戦争後遺症の
深刻さを思わせる場面だ。ユエの死を契機にアーブルは女たちを扇動し、復讐のため兵を志願し、戦場に赴くと言い出す。必死に止めようとキリヤが銃を構えたそのとき、戦死が伝えられたはずのユエの夫(古川大輔)が帰還し、「ユエの居場所」を尋ねる。
ロープに吊るされた洗濯物が女たちの歳月や心の襞を表し、間奏曲のようでもあった。戦闘機らしい爆音、蝉の声も効果的に使われていた。
彼女たちはこれからどう生きていくのだろうか、と思いながら、「もはや戦後ではない」と言われ始めた昭和30年代のころのある風景が浮かんできた。
それはいまの吉祥寺シアターの近くにあった戦争未亡人が多く暮らす女子アパート。ベランダと言うほど広くはない出窓にはいつも白い洗濯物が干されていた。彼女たちは戦前は専業主婦だったせいか洋裁や和裁の賃仕事で生計をたてている人が多く、ひっそりと地味な身なりで暮らしていた。
このアパートの前を通るたび、何か物悲しい気持ちになったことを憶えている。というよりは、忘れられない光景だ。あのころは、まだ身近に戦争が残っていたように思う。戦争が終わっても、夫や兄弟を失った女たちは生き抜いていかねばならない。
フォト・ロマンス(ラビア・ムルエ、リナ・サーネー)
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★
適度に退屈
「歴史=物語」が交錯する、ベイルートの「特別な一日」ってなキャッチフレーズで仰々しい内容なのかなーなんて考えてたけれど、なんてことはない。個人的な男女のロマンス。これで4500円は高い。1500円程度の価格が妥当。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
映像の画質が悪い。国を二分するデモの風景を映像で紹介し、対立する二大勢力のデモの様子を観たとき、コレを基礎にして何か、とんでもないことが始まるんじゃないか?って期待した。だって4500円のチケットだから・・。
しかし、物語は二大勢力とはかけ離れ、家族のこじんまりした描写を紹介したかと思うと、今度は家族がデモに参加してるすきに、留守を預かった女性が、向かいに住んでる男性との情事に勤しむ。という極めて個人的な問題を、激しく画像の悪い映像で、創作したシロモノだった。字幕のタイミングも悪く、女性がセリフってる内容と字幕が違うという素人並みの技あり!失笑
まあ、確かにタイトルは「フォト・ロマンス」ってくらいだから、間違ってはないけれど、4500円はないだろ。桁間違えたんじゃないのかっ?
高き彼物
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2009/11/18 (水) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
あったかくなれる感動作!30周年カトケン×マキノ・ノゾミ×キョン2 の顔合わせ!
30周年を迎えた加藤健一事務所の記念シリーズ。
カトケン×マキノ・ノゾミ×キョン2 の顔合わせ!
マキノ・ノゾミ作品はよく観ますが、珍しく普通の日本、
静岡の田舎町が舞台の、感動作品です。
熱血教師が過去に過ちを起こし、後悔の念を内に秘め
暮らす長い年月。
意外な出来事をきっかけに、心の傷から解放される
ときが訪れる。
のどかな田舎の人情、元教師の結婚話、
少年との心の交流に、ストレートに感動しました。
過去の事件の真相がとっても恥ずかしいことであって
とってもカッコ悪い、体裁の悪い出来事。
そんな自分をさらけ出して、救われるところが
とっても良くて、泣いてしまいます。
カトケンの朴とつな教師は、ぴったりの配役。
そして、キョンキョンが方言で田舎の女教師を好演。
田舎の雰囲気が出ていて、うまいです。
特に客席に背を向けての演技が結構あって、
それでも「見せる」ところなんか、さすがです。
他に、元教師の娘役の占部房子さんは、
どこかで見かけたような気がしますが、
「普通」なんですけれど、とっても好感が持てて
好きになりました。次回作も観てみたいです。
最後の料理人
味わい堂々
OFF OFFシアター(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了
満足度★★★
不気味な笑顔
キャラクタがいちいちおもしろいです。冒頭の件はおためしから、の?投稿タイトルは梅沢さんです。
欲望貴族
角角ストロガのフ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了
200911271500
200911271500@王子小劇場
クリスパ♡
劇団娯楽天国
TACCS1179(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
秀作コメディーでした
観劇前は結婚式をめぐる独身カップル何組かのコメディーかと想像していたのですが、違いました。クリスマスの銭湯を舞台に巻き起こる結婚騒動で、銭湯のセットが本格的でとにかくよくできていると思ったら、パンフレットの付録を読むと、舞台美術の佐藤大樹さんは建築設計が本職。「想像が膨らむ舞台を作る」ことをモットーに、「外側や内部や奥の部分、さらにいままでその場所で経た時間まで感じさせる」ような舞台を作ろうと努め、時には隙間からしか見えない部分やカーテンに映りこむ影まで作りこむという(職人芸だ)。
確かに見えない部分の家の構造まで想像できる舞台装置で、銭湯は中のエコーまできかせてくれる。最近はシンプルな舞台面の公演が主流だが、写実的なセットを出すなら、このくらい凝ってほしい。杉村春子のいたころの文学座を思い出した。
出演陣も手堅く、しっかりしたストーリーでキャラクターがきっちりと描き分けられ、優れたシチュエーションコメディーのお手本のようで、最近はやりの学生演劇調ドタバタとは一線を画す。
ネタバレBOX
資金繰りに行き詰まったウェディングプランニング会社の女社長とギャンブルで借金を抱える夫。ヤミ金の取り立て屋は幼馴染の女レイカと組み、出会い系サイトで知り合った金持ち男・高島をカモに2000万円の結婚詐欺をくわだて、夫を悪だくみに引き込む。高島が金持ちというのは嘘で実は既婚者。結婚式準備が進む中、本当のことが言い出せず苦しんでいるという設定。不動産屋が用意した会場が廃業した銭湯「亀の湯」だったため、女社長と夫は銭湯を「セントカメーユ教会」だと言いくるめ、結婚式リハーサルを強引に進めようとする。銭湯に出入りする謎のホームレスや、常連客だったボケ老人、高島の妻がからんでのスッタモンダが繰り広げられるが、終盤はレイカの素顔が明らかになり、本当の結婚式が執り行われ、クリスマスらしい心温まるオチがつく。
女社長夫婦に必要なのは確かに現金なのだが、サンタのプレゼントが現金というのはなんとも即物的で引っかかった。
ホームレス男の鷲巣知行が飄々としていてとにかく面白く、銭湯に入ろうと目の前で全裸になったのには仰天。女社長の夫が銭湯の丸窓の十字の木枠を指差して「あそこに十字架があるでしょう?ここは教会なんです」と苦しい言い訳をする場面など思わず吹き出してしまった。
臨時式場アルバイトに不動産屋が世話した女、岡島(河野美雪)の年齢性別不詳の怪演ぶりも可笑しい。パンフレットのドレスアップしたカラー写真ではきれいなお嬢さんなのにね。
結婚式本番に飾り付けをするところで、銭湯の木製ロッカーを装飾布で覆わなかったのが気になった。
外は暑いほどの陽気だったためか空調がやけにきいていて、途中からコートを着るほど寒かったのも、クリスマスらしさの演出の一環?
客席がアットホームな感じで、ほかの小劇場芝居とはまったく違ったムード。
開演中もお茶の間でTVを視ているかのように中年女性たちが大声で疑問点を話すなど、面食らうこともあったが。
駅に近いと油断して出かけたが、最寄駅の改札を出たら、ホールが落合橋の位置から完全に死角になって見えず、近くの商店で訪ねたが、どこもそんなホールは知らないと言う。目と鼻の先なのに迷って入場に遅刻してしまった。フライヤーを入手しなかったが、ネットの地図は平面でわかりにくかった。「線路際の茶色いレンガの建物」とネットにも表記しておいてくれれば見つけやすかったのに。
エドワード・ボンドの「リア」
まつもと市民芸術館
シアタートラム(東京都)
2009/11/20 (金) ~ 2009/12/06 (日)公演終了
満足度★★★★
渋い
作品自体が渋い良い作品ですね。
役者が良いのは無論ですが、
演出も良い具合になってます。
少数の15名程度で70数役をかけもちし、
音響効果もこなすのは
良いチーム感が出てますね。
欲望貴族
角角ストロガのフ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了
満足度★★★★
荒っぽくリアル
あまり見やすくとかよく伝わるようにとかいう配慮は感じられないのですが、伝わってくる物の生々しさはすごい。
清濁まとめてどんどん流れこんできて・・・。
作り手から溢れてくる感覚に押し流されてしまいました。
ネタバレBOX
観る側がけっこう大変で、
いくつものエピソードが舞台のあちこちから三つ編のように織り合わされてていきます。
常に視野を広く持っていないと・・・。
たとえば下手側の物語に集中しているうちに上手側でしらっと別の物語が進んでいたりする・・・。
でも、それは、時間軸ということからすると超リアル。時間軸がそんなに緻密に作られているわけではないのですが、同じ時間に起こっているという表現としては生々しい。
で、ずっと見ているうちに、観ている側が注視していないようなもの、なんというかぼんやりと目にしていたものまでがボディブローのように効いてくるのです。
実は15年目の時効という設定がすごくしたたかで、そのラインを超えるという意識が、キャラクターですらよく見えなかったものを浮かび上がらせる。一旦浮かび上がったその感覚を観る側に押しつける絵の描き方を、作り手側はがっつり熟知していて、物語の整理も荒っぽいままでばんばんとエピソードを重ねていく。これが、観る側を確実に押し込んで行きます。
終盤に向かって観る側にやってくる水の感覚や油の感覚がどんどん生々しくなっていくのです。
寺井と青山が舞台の屋台骨をしっかりと背負い切ったことで、他の役者のお芝居が観る側をしっかりと侵食してくる。
女装や水槽、朝食の天ぷら・・・。それらのものが奇異に思えなくなってくる。
いろんなものが飛び散る舞台ではありましたが、決して散漫ではなく、それどころか終わってみれば作者の思いががっつりと観る側を生き埋めにしておりました。
正直いうと、前回公演ほどではないにせよ、なんともいえない嫌悪感がのこる・・・。残るのですが、次の公演があればほぼ間違いなく観に行く。
なんなのでしょうね・・・。しいて言えば角田ルミだからこそ持ちうる視点に惹かれてしまっているのかもしれません。でも惹かれている自分がちょっぴり恐ろしくも思えてしまうのです。
ザ・アイリッシュダンス -RAGUS Show-
光藍社
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2009/11/20 (金) ~ 2009/11/23 (月)公演終了
満足度★★★
なるほどねぇ。。
流石にリヴァーダンスを観たときほどの強烈な印象は持てませんでしたが
楽しませていただきました。
朝の鹿でドライブ
劇団ハンニャーズ
シアターent.(新潟県)
2009/11/21 (土) ~ 2009/11/28 (土)公演終了
満足度★★★★
楽しいけど
面白いとまでは・・・。
面白いんだけど、爆笑までは・・・。
クスクス・アハハハ止まりの笑いはコンスタントに出るけど
腹筋が痛いという事は無かった。
ハードル高く見積もっているのかもしれないが
過去の公演で、一度そういう事があると期待してしまう。
今回の公演はシモネタが多かったね。
好き嫌いが若干分かれるところかも。
海をゆく者 The Seafarer by CONOR McPHERSON
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2009/11/14 (土) ~ 2009/12/08 (火)公演終了
満足度★★★★
アイルランド
アイルランド戯曲はおもしろい。生活の中にもユーモアがあって、どうしようもない中で人生を謳歌している男たち。この年末をどう過ごそうか考え考え帰る楽しみ。
欲望貴族
角角ストロガのフ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了
海をゆく者 The Seafarer by CONOR McPHERSON
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2009/11/14 (土) ~ 2009/12/08 (火)公演終了
満足度★★★★★
観た!
すごく楽しませてもらいました。
ひまわりの花言葉
丸の内ストラテジー
THIRD(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
よっかったです♪
見てきました。とてもよかったです。ショットバーでのお芝居。。。どんな風に???と思いましたが、上手くスペースを使ってて、いい感じに仕上がってました。音楽も、それぞれのシーンに合っててとてもよかったです。。。好きな曲ばっかだったし。。。あっと言う間に終わってしまいました≧△≦ザンネン.......
ワンドリンク制ということもあって、終わった後も、そのままの座席で、友達とお芝居について語り合えて。。。こ~ゆ~のって何だかいいですね(^_^)
ネタバレBOX
ひまわりの花言葉。。。。。いいですね~(^_^)フッフッフ..........
動員挿話【公演終了!ありがとうございました】
サラダボール
アトリエ春風舎(東京都)
2009/11/21 (土) ~ 2009/11/25 (水)公演終了
満足度★★★★
どっひゃー。
こんな演出とは!
前半は、少々・・・だったのだが、後半からの展開には目を奪われた。
スサマジイ。
演出の力を見せつけられる。
もちろん、役者にもブレはない
ネタバレBOX
岸田國士氏の脚本の最初と途中に今回オリジナルの脚本を足したそうだ。
今回の追加部分は、客いじり的な要素があり、観客との距離を縮めるにはそれなりに面白かった。
・・ったのだが、それにより、もとの物語の芯が少々ぼけてしまったように感じた。
大切な夫、友吉を戦場に行かせたくないという妻の数代の行動が、この時代(あるいはどの時代であっても)、とても奇異なことであるということ、そう見えてしまうことに対する疑問の投げかけが物語のメッセージであろう。
したがって、その登場から突然歌い現れて、顔を歪める数代は見るからに奇異な存在として観客に提示される。
他の登場人物もほぼ変なテンションだったり、今風の話言葉や衣装なのだが、数代ほどは変ではなく、数代と比較すれば至って普通である。
将校家のひとびとの、数代の登場に戸惑う表情からもそれがうかがえる。
もともと数代はその存在が少々疎まれているようだし。
本来は、その中にあって数代が「浮き」、一般の人々との温度差が露になるのだろうが、冒頭の新たに追加したシーンには、客いじりなどもあり、その独特のテンションの余韻があるまま本編に突入するので、登場人物すべてがほぼ似たような、変なテンションの変な人たちに見えてしまう。
テンションが変なのではなく、現代風のチャライ感じの将校と女子高生のような将校の夫人のいでたちと、現代風の台詞という表面的な様子にも惑わされてしまっているだけなのだ。
そのために、数代の存在という物語の芯がぼけてしまったのではないのだろうか。
数代と他の登場人物たちの徐々に明らかになる差を明確にするためにも、この新たな追加シーンは、イメージのミスリードをしているのではないのかと思った。
さらに中盤に差し込まれた、将校の息子の恋物語も物語全体の中での位置づけが見えてこない。相手の娘の変なしゃべりも意味ありげなのだが。
登場人物の中で、衣装も演技も唯一シリアスなのは、数代の夫、馬丁の友吉である。彼だけがどうしてそうなのかがイマイチわからなかった。将校一家(一般の人たち)と数代の中間に位置する、あるいは何かに属することのないナチュラルな人ということなのだろうか。
数代を演じた大西さんの、口調、台詞回しのトーンにはしっとり感があり、重さがある。だから変なテンションのとき、あるいは変な顔をするときは、痛々しい。
その痛々しさが、伝わってくることがこの舞台のキモなのではないのかと思ってきた。それは痛々しいほどの人を想う気持ちであり、ホンネを口には出すことが憚れる時代の痛々しさでもあるのだ。
後半の変なテンション抜きの彼女の表情や台詞には、さらに凄みが加味され、これは凄いと思わざるを得なかった。
このトーンを持っている女優さんを使うのだから、彼女だけシリアスのままで、周囲の時代の波に乗っていてホンネを語ることができない人々のほうをハイテンションにする、というのが、(たぶん)正攻法に近い演出なのだろうが、それを選ばず逆の関係(周囲よりも数代のほうを変なテンション)にしたところが今回の舞台なのだと思った。
ラストに訪れる悲劇は、結局、自分の夫への強い想いが裏切られ、夫に対して「それだけ」としか言えなかった数代の絶望感と哀しみの現れなのだろう。
夫の出征に対して、死をもって抵抗した数代の行為は、この時代であれば、数代の思いとは裏腹に、逆に戦場に夫を送る妻の美談として祭り上げられてしまうのだろうな、という深読みもしてしまった。
ダルマ
劇団TEAM-ODAC
青山円形劇場(東京都)
2009/11/25 (水) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★
ストーリーもうひと工夫
日本刀に着物なので未来の物語には見えませんでした。カッチョよかったけど。ありがちなストーリーが淡々と続いてしまい、起承転結の転の部分にもうひと工夫あって欲しかったです。
Se eu Pudesse
グーフィー&メリーゴーランド
アイピット目白(東京都)
2009/11/26 (木) ~ 2009/11/29 (日)公演終了
満足度★★★
衣装と舞台美術
衣装と舞台美術が凝っていました。
SO SHOW 天国
劇屋いっぷく堂
劇場HOPE(東京都)
2009/11/21 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了