出発の日
劇団SHOW&GO FESTIVAL
アイピット目白(東京都)
2009/12/11 (金) ~ 2009/12/14 (月)公演終了
満足度★★★
分ける必要があったのか?
5つの物語からとの事であったが、3話目まではテンポもよく面白いと感じたが。4話目が単語表現の逆転とのことで、本来の意味と真逆の表現で台詞を表しており、最初は面白いと感じたが、あまりにも長く続くので、途中で現実に引き戻されてしまった。
5話からなるとの事で時間配分を5等分にしてたからだと思うのだが、逆転表現に慣れてないし、4話目はあそこまで長くなくてよいと思う。
したがって、5話目はいい話と思われたのに、4話目の戻された感じを引きずってしまい、ちょっと残念と思ってしまった。
君が笑わないなら僕がワラウ(公演終了!ご来場ありがとうございました!)
ザ・プレイボーイズ
d-倉庫(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
下ネタの品格
ザ・男子中高生の発想。おっぱい、パンツ一丁、戦隊、変態ガンガンカモンの下ネタ7割よくわからない何か2割スベリ1割をバカで満遍なくコーティングしたコント祭り。
けれど作り手のポリシーを窺わせる下世話さのない下ネタなので、男子じゃなくとも気分を害すことなく「バカだなー」と笑える。(それでもある程度下ネタへの許容力は求められる)
下ネタのインパクトが強すぎてあまり目立たなかったが、演技の素地がきちんとしているので、パロ的な無意味なコントも発想の勝利的なシュールなコントも面白さがちゃんと生きてていい。そして最後は「演劇」的にニヤリとさせる纏まりのよさ。なるほど「君」ってあの人のことだったのね。
コント好きの眼から観ててもかなり笑ったコントオムニバス公演。
ネタバレBOX
特に好きだったネタはおっぱいバレーの一連とスーツダービー。おっぱいのボヨンボヨン具合がシュール。あとキャッツブラックのキャラの強さに脱帽。
客席に並べてある椅子が14個しかなかったのにはさすがにビビった。
イーピン光線【作・演出 山内ケンジ】
E-Pin 企画
駅前劇場(東京都)
2010/02/09 (火) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
不思議の国の団地妻
一応、サスペンス・コメディって感じの流れだけど、現代口語演劇ふうの自然なやりとりのまま、現実か妄想かわからないシュールな世界に入っていくところがなんともいえず魅力的。
ネタバレBOX
駅前劇場とは思えないしゃれた空間。マンションの一室に集まって、知り合いの主婦4人が昼下がりのおしゃべり中。出会い系サイトを利用したとかしないとか。やがて仲間3人が帰り、ひとりになった主婦。もともとアル中気味なのか、卓上のワインを飲むうちにそのまま眠ってしまう。
いったん暗転して目覚めた後、夫が帰宅。迎えにいくはずの息子の姿が見えない。そこに電話がかかってきて、息子を誘拐したという相手の声。警察に知らせようという夫、知らせたら息子が殺されるといってそれを制止する妻。
ここまではサスペンスタッチ。すると玄関のチャイムが鳴って、先ほどの知り合いのうちの2人が心配そうに訪ねてくる。大変ねえ、息子さんが誘拐されたんですって、と慰める。ところがちょっと待て、いま犯人の電話があったばかりなのに、どうしてあんたたち、息子の誘拐のことを知ってるわけ?
妻が問い詰めようとすると、話の腰を折られたり、別の訪問者があったりして、それ以上の追及が阻まれてしまう。通報もしていないのに二人の刑事がやってくる。夫の父親もやってきて、頼んでもいない身代金をすでにポケットに用意してある。
この辺の展開は夢の論理というか、相当シュールな流れになっていて、どうやらこれは先ほどワインを飲んだ妻が、眠っているうちに見ている夢じゃないのかと思えてくる。
現実からいつのまのか夢の世界へ移行するという点では、以前に見た五反田団の「逃げろおんなの人」と共通している。どちらも演技が自然であるだけに、よけいにシュールな印象が強まる。
そんなわけで、途中までは妻の見ている夢だろうと思って見ていたのだが、そのうちに妻を演じる役者が金谷真由美からKONTAという人に入れ替わってしまう。周囲の人物もそれにいくらか反応はするが、特に怪しむようすもなく話はそのまま進行する。顔つきがちょっと変わったんじゃないか、たぶんストレスのせいだろう、で済ませてしまうのが可笑しい。
芝居はさらに誘拐犯の夫婦と誘拐された子供、殺人や遺体処理を請け負う不気味な二人組、妻の兄や二人の精神科医らが登場して、予測不能な、そしてかなりショッキングな方向へどんどん転がっていく。これ以上の内容説明は私には無理。実際に芝居を見るか、脚本を読むかしてほしい。
ラストも唐突。もはや妻の見ている夢なのかどうかもわからなくなっている。刑事の一人は数ヶ月前に母親を亡くしたが、時間が経っても悲しみは癒えるどころか逆に増すばかり。それで精神科に通っている。実はその精神科医というのが遺体処理請負業者の一人だという怖い設定だったりもするのだが、そのへんのツッコミは観客まかせで、台詞での言及はない。相談するうちに刑事はまた悲しみがこみ上げてくる。そういう症状はあなただけじゃない、と医者は慰める。前後の脈絡もなく、そこでにわかに暗転&終演。思わず、はぁ?と声を出しそうになった。
勝手な勘ぐりかもしれないが、母親を亡くした刑事の悲しみを、盟友の深浦加奈子を亡くした山内ケンジのそれに重ねてみたりしたのだけど・・・
そして彼女はいなくなった
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
推理小説!!
そういうことだったのね~!! 最後の最後まで目が話せない!推理小説を一冊読んだ気分!
細野今日子さんの演技をもっと観たかった・・・ とても可愛くて綺麗で大好きな女優さん!! それだけが残念・・・
そして彼女はいなくなった
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
そして最後にようやくわかった。
何が?って・・・
真実が・・・
ネタバレBOX
もう最後まですっかりひっぱられました。
消えた女優さん、誰が殺したのかなんてことまったくわからず、ましてやほんとは消えたのか殺されてしまっているのか・・・そんなことさえわからず仕舞で・・・
だからこそずっと解けない謎を頭に抱えつつじっくりと観る結果になりました。ただ溶けないアイスがないように、解けない謎はないわけで、最後はすっきりと・・・けれど恐怖を感じつつ、観終わることができました。
まさかの展開でした。
これからも観続けていきたい劇団の一つになりました。
そして彼女はいなくなった
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
驚きの真相
恋愛劇が得意な劇団の初めて見るミステリーもの。期待以上に面白かった。ミステリーなので、内容はまったく知らずに見たほうが絶対に楽しめると思う。
ネタバレBOX
芝居は複数の場所を行き来し、時系列もときおり並べ替えながら、短い場面の積み重ねによって徐々に真相に迫っていく。闇の中から一つ一つの場面が浮かんでは消えていく感じが、独特のムードをかもしだす。小説や映像とも一味ちがう、舞台劇ならではの展開がとても魅力的。
一人の女性の失踪がことの始まり。「ゼロの焦点」を連想したが、内容はまったくちがう。役者12名もおおむね好演。
そして彼女はいなくなった
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
ミステリーもお上手ですね。
初日でありオマケ付き公演だったの忘れてました。
いや~とても面白かったですよ、緊張感ありテンポもいいし
演出とか時間や場面の錯綜具合もとても良く気日こまれました。
結末は好みが別れる所だと思います
私敵には凄くドッキリした部分と・ちょいガッカリな所もありましたが
(ミステリーなので謎が少し残るのがすきなんです)
でもホント、よかったです。なんで、珍しく★4つかな
そして彼女はいなくなった
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
怖。。
初見。やるせないお話でした。。
ネタバレBOX
物語を章ごと読んでいるようなつくりで、途中この人は誰だったかしらと思ったりもしつつも、最後に紐解かれる解答編で、アハ体験が得られました。
でもあんなことあったら疑心暗鬼になっても仕方ないのかなぁと思ったり…。
観劇迷われている方はいなくなった彼女がどうなったか観てみることをオススメします…。
涼子の「好き」っていうのが友達としてだったのか?
ほんとにそういう意味で「好き」だったのか最後にわかったのでえ"っと思ってしまいました。そうきましたか~。
あのとき幸恵に本当のことを話せていたとしたら
消えなくてすんだのかなぁと思うと、やるせないです…。
なんて家族運・男運・友達運の悪い子なんだろうと幸恵が気の毒で、
涼子はもっと気の毒で……。
カーテンコールに彼女いなかったですよね。拍手したかったけどきっとそれも演出なんですかね。。ちょっと残念でした。
『F』
青年団リンク 二騎の会
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/01/29 (金) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
ウォールフラワーズ。
モモンガ・コンプレックス
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)
2010/02/11 (木) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
本公演、初観劇!
モテ講座レッスン1からラストまで楽しく観ました。白神さん、走る走る。「研Q」で観たネタからダンスまで面白かったです。
ネタバレBOX
ボランティア男子。チョット動いただけで笑えるって凄い個性かと。ラスト近くで客席から引っ張り出した人は役者さんですよね?次回「研Q2」楽しみ。
青
reset-N
ザ・スズナリ(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
遠ざかるネバーランド
空想組曲
ザ・ポケット(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
空。
125分。
ネタバレBOX
冒頭のハッピーな空気も胡散臭くならずに立派。
ピーターパンって子供の頃怖い存在に感じて、みんなが好きなピーターパンを嫌いって意思表示することは勇気が必要で、勇気がない自分は好きなふりをしていたなぁって。
清水那保さんにしかできないウエンディ。清水さんがいることでできる芝居が増えたんではないかなーなんて。声色の使い方、指先までの集中力に惚れ惚れ。
小劇場のさわやか代表だと勝手に決めている石黒圭一郎さんの存在が大人臭さを消してネバーランド色に染める意味で重要。
タイガーリリー役、ホチキスの小玉さんは毎度ですけど可笑しくて楽しい。
初見の二瓶拓也さんに今後女性の役が増えないうちに、どっぷり男性キャラの演技をみてみたいと思いました。
胸に潜むネバーランドがあるから生きてゆける人もいれば、いっそないほうが楽な人もいるんだろうな。
最後舞台に残るネバーランドの残骸を片付けるのがいいなと思いました。
野暮な台詞がひとつもなかった。初心者でも大丈夫。
アルトゥロ・ウイの興隆―それは抑えることもできる―
ピーチャム・カンパニー
シアターPOO(東京都)
2010/02/05 (金) ~ 2010/02/08 (月)公演終了
久々のシアターPOO
残っていた席は座るのが困難な場所だった為、ずっと胴体着陸に備えたポーズのままいました。下を向いたままで感じたのは骨太の熱い声質と照明さんと音響さんが細々と仕事をされていたこと。一人で何役もこなしていたらしく(パンフを見ると)ステージ上を観られていないので、把握するのが難しかった。カウンターの方が舞台でした、元からあるシアターPOOの雰囲気に内容は合っていたと思います。
青
reset-N
ザ・スズナリ(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
うん、reset-Nですね(喜
宣伝コピーに曰く、
「東京、遠くない未来。
急激な移民社会への変化の中、外国人排斥のレイシズムが日本を覆っていた。」
・・・なんだか変な風にタイムリーな話題になってしまったことで、観る側の目にいろいろなフィルターが掛かってしまいそうな怖さはあるけれど、「reset-Nの原点に戻った」というこの作品を私は素直に面白かったと、評価したい。
たしか「現代に生きる「個」と「社会」の関係を描き続ける、reset-N」というフレーズを思いついたのは『Rose』のときでしたか。今回も「個(自)」と「個(他)」、「個」と「ちいさな社会」、「個」と「大きな社会」の関係が丁寧に重層的に積み上げられていくなかで、希望と絶望とが透明な哀切によって照らし出されています。
それにしても・・・毎度ながら鶴牧さんの首の後ろには「押すとかっこいい台詞がすらすら出てくるスイッチ」がついているんじゃないかと思うよ。
古くからのファンとしては、ひさびさに「これがreset-Nです」と言われて納得の行く作品でした(初日ならではのギリギリ感も含めてw
そして彼女はいなくなった
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
絶賛!!!今年第一位!
緊迫感の連続!!
人の心の不気味さではらはらどきどき!!
出演陣も最高!!
ネタバレBOX
リフレインで少しずつ謎が解明されていく過程が心地よく同じ場でぱっぱと別の人と会話して異空間・異時間を小気味良く表現する手法が素晴らしいと思いました。
elePHANTMoonの永山智啓さんが出演していることもあってか、ナイフを持って、衣服が地で染まるところはelePHANTMoonですね。
ただ、堤の奥さんが女優真壁涼子の後をつけて、書店に入って出てこなかったとのことですが、涼子の住所をどうして知り得たのかが疑問です。
探偵から教えてもらったのでしょうか?そこまで踏み込んだシーンはなかったような気がします。
センチメンタリ
monophonic orchestra
STスポット(神奈川県)
2010/02/05 (金) ~ 2010/02/11 (木)公演終了
満足度★★★★
須貝英、新ユニット旗揚げ公演の成功!
人気劇団から中心的役者を集め、生きのいい若手俳優を加えて、メンバーを見ただけでわくわくする座組。それだけにそれぞれに見せ場を作ろうとして話が散漫にならないかと心配したのだが、余計な心配だった。作者はしっかりと描きたいテーマを持ち、そのメインのストーリーの元にけれん味のない作りだった。
残念だったのは須貝英の出番が少なかったこと。佐藤佐吉最優秀主演男優賞を獲得してから初の舞台だったが、やはり演技に味がある。もっともっと見たかった。もちろん、西川、玉置、村上らも自分たちの劇団では見せないシリアスな演技ぶりでこれまた素敵だった。
ちなみに、私が観た回は、制作の方が非常にていねいで会場前から非常に気持ちよく観ることが出来たということも付け加えておく。
ネタバレBOX
何故、ユキは遺体を埋められたのか?その謎を解き明かす物語だが、その裏にはとても素敵な想いが込められていた。とてもロマンティックな物語である。
また、木漏れ日のような照明がとても美しく、しかも時間の経過やその場の情感で微妙に変化をつけていた。とても素敵だった。
センチメンタリ
monophonic orchestra
STスポット(神奈川県)
2010/02/05 (金) ~ 2010/02/11 (木)公演終了
60兆の追放者 ご来場下さいましてありがとうございました。
ルナ・パンク・ヴァリエーションズ
萬劇場(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
カ・ン・ぺ・キ!!
もう、これ以上の褒め言葉が見つからないほどのストーリーと演技力!ハードボイルドでこれ以上の芝居をついぞ観た事があっただろうか・・?
今回は照明、音楽、導入歌、登場キャラクター、演出、舞台セット、全てが満点だと感じた。そして重要な物語性も脱帽するくらいの出来!泣いて笑って・・、そして数々のアクション!
しかも今回は女性がそのアクションにも挑む。素晴らしい!本当に素晴らしい舞台でした。欠点はただ一つ、ワタクシの椅子からは横たわったファイ・ユが観られなかったことだ。それでも完璧!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
敵国サイナは創造された「完全な暗殺者」、つまり改造された兵士を捕らえる為に自ら改造した兵士を追っていた。改造とは、敵の捕虜を自分たちの支配下におく為に情報操作をしたチップを彼らの脳に埋め込み意のままに動かせる兵士だった。ところが一部の兵士に「殺人者としての自覚」がまだ完全ではない兵士がいた。殺し屋クー・ザラノだった。そしてナンバ。
二人はサイナ人に追われながらも、殺し屋クーはナンバを庇い自分は腕に傷を負う。「奴らは俺が惹きつける。行け!死ぬな!」とナンバを逃がす。
一方で逃げたナンバはそんな記憶が途切れ途切れで釈然としないものの、ヤクザを装った公安局らに殴られていたSF作家のクラスを助ける。ここでもナンバの戦闘能力は素晴らしく、人間を超越していたのだった。ここでヤクザが経営しているキャバレーで後にナンバが好意を寄せることになる歌手兼ダンサーのユリに出会うが、彼女の歌声が実にいい。素敵な声だと心から思う。また、ヤクザのボスのカメイ・ヴァスコ(川根有子)も歌うが彼女の歌も独特で実に素晴らしいのだ。ヴァスコのキャラはなんだろ?観客を圧する何かが潜んでて、物凄い女優だとつくづく感じる。ワタクシの中では一、二を争う大女優なのだ!ったらなのなのだ!笑
やがてナンバはクラスを自分の家に連れて帰り、ここから友情が芽生える。しかし執拗な追っ手に見つかりナンバはサイナに殺されてしまうも、機密情報が消滅するのを恐れた公安局はナンバの脳チップを今度はラ・ロッサに埋め込むことに成功したのだった。結果、ラ・ロッサはナンバと同様の高い戦闘能力を持つこととなる。
そして、ラ・ロッサはやがてクー・ザラノに出会う事となり、彼女は彼の身体に刻まれた傷跡の記憶を思い出す。そのことを知っている人間は、この世には数人しか存在していないはずなのに・・・。と絶句するクー。おりしもクーとラ・ロッサを追うサイナ人陸軍のファイ・ユは彼らを見つけるがここでもクーはラ・ロッサを庇い負傷する。そして「奴らは俺が惹きつける。行け!死ぬな!」と助けるのだった。序盤の伏線がここでしっかりと繋がる。小気味よい展開だ。
瞬間、ラ・ロッサは「そうだ、あの時も君は僕を助けてくれた。」とその場面と同じ光景をみて記憶を甦らせる。自分の記憶がないクーは彼女に「捕虜になる前、俺はどんな人間だった?」と尋ねる。「君は誰よりも勇敢で優しくて僕の大切な親友だったんだよ。」とセリフるラ・ロッサ。
記憶とは生きてきた証だと思う。人間を人間たらしめるのは遠い過去からの記憶の蓄積であり、その蓄積を認識できる精神のみなのだと、つくづく思う。気の遠くなるような無数の過去によって世界は成り立っているのだ。
だから記憶が無い。思い出せないってことは虚無なのだと漠然と感じる。
終盤、死んだナンバと同じく殺されて死んだクラスが抱き合うシーンがあるが、人生を昇華した後の抱擁は美しく威厳に満ちていた。
どのキャストも本当に素晴らしかった。特にアクションでは手を抜かず悪役に徹した丘崎杏の強い眼差しが素敵だった。一方で登場しただけでインパクト満点の川根、アクションで魅せた川渕かおり、中島広貴、本田英一郎。
全ての人たちが秀逸でした。乾杯!!
ハコノホテル奇譚
劇団オグオブ
萬劇場(東京都)
2010/02/06 (土) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
全員がはまり役
難解な話だが、演技と演出にひきこまれた(特に後半)。
呉屋希美さんに、また泣かされた。美人なのに、表情豊か。笑いもシリアスも引っ張っていく演技力は秀逸。
同じく主役の荻山恭規さんもいい。二人の掛け合いには安定感がある。
箱の精霊の人も印象的。
全員、今回ははまり役との印象を受けた。
ネタバレBOX
全体的に、お笑い要素はいつもより少なかった。
こういうシリアスも好きだけど。
全員のテンポで笑わせてくれるのが劇団の持ち味だと思うので、次はさらに期待します。
遠ざかるネバーランド
空想組曲
ザ・ポケット(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
結末まで引き付けられて
ファンタジーの世界の密度が
そのまま物語の深さにつながっていきました。
物語の移ろいが具象化するものに、
ひたすら心を奪われて、
息を詰めるように見入ってしまいました。
ネタバレBOX
冒頭のフェアリーテールのサマリー、
さくさくと物語の大枠が示されて・・・・。
とても歯切れのよい物語の語り口に
まず引き込まれます。
そして、冒険が始まる。
童話的な高揚感とお気楽感がきっちりと作られていく。
でもそこに童話の世界とかかわりのない少年が現れて。
少しずつ、物語に外なる世界と交錯していく感覚が
注ぎ込まれていきます。
それぞれのキャラクターが
少しずつ、丹念に現実の色を塗りこまれていく。
フック船長もティンカーベルも
インディアンも人魚も
子供たちも・・・。
空を飛びたいという高揚感と
空なんて飛びたくないという抑制感。
童話の世界に表される登場人物達の葛藤が
そのまま、主人公の内心に置き換えられるなかで、
現実が少しずつ観る側にその色を現わしていきます。
ファンタジーの枠組みが残る中での葛藤だからこそ
混沌からはなれて浮かび上がってくる心情があって。
その葛藤からファンタジーの塗料が剥げ落ちていく中で
心塞がれるような主人公の現実と心情が観る側に次々と積っていく。
しかも、ファンタジーの内側でのできごとと現実を縫いつける糸には
ステレオタイプではない、体温のような触感が内包されていて。
たとえば主人公が構築するファンタジーの世界が、
実は、昔の、ちょっとすてきにいい加減な母親との
暖かい時間に裏打ちされていたり。
ファンタジーの内側に
主人公の現実での嘘が編み込まれていたり。
終盤に明らかになるその温度が
あらかじめエピソードに貫かれているから、
空を飛ぼうといざなうピータパンと
空が飛びたくないという登場人物たちの綱引きに
絵空事ではない切迫感を感じ、、
その行く末を
祈るような気持ちで追いかけてしまうのです。
ファンタジーの世界を構築する役者たちには
舞台の世界観に入り込むことを観る側に躊躇させないだけの
豊かな切れと表現力があって、
波の満ち引きのように繰り返される葛藤を
ぶれなくしっかりと表現していく。
終盤、
崩れていくものの厚みや
ラストシーンの密度が
あざとさを持たずにそのまま観る側を浸潤していきます。
その場面を構築する舞台美術も実に秀逸。
終幕には
冒頭の物語の口当たりからは
思いもよらないほどのものが
心の内側に残って。
きっとファンタジーの世界を同じように彷徨しなければ
感じることができなかったであろう
主人公が眺める世界やその心情に
深く瞠目したことでした。