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さらば八月のうた

さらば八月のうた

劇団M.O.P.

紀伊國屋ホール(東京都)

2010/08/04 (水) ~ 2010/08/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

熟練職人の名人芸の如し
1つの歌にまつわる年代記。
歌の「傍系」(?)エピソードを順不同に見せる前半と歌の「成り立ち」と関わった人々の物語を時系列的に見せる後半、という構成及びまとめ方やその後の締め括りに、それを表現する演技に至るまで、いずれも熟練職人の名人芸の如し。

墨を塗りつつ

墨を塗りつつ

風雷紡

サンモールスタジオ(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

細かい点が気になって
小劇場で久々お芝居らしいお芝居を観た気分です。
戦争が人々に微妙な影を落としている。挿入曲が昔の邦画の音楽のようで、描かれた時代の雰囲気に合っていた。
本格的な座敷のセットも良かった。セットの家の構造上、自分の席の位置からは見切れて、座敷の中がよく見えなかったのが残念。
縁の下に転がる手桶やざる、籠の文鳥など細かいところまで小道具にも気を配った芝居だけに、気になった点もいくつか。それはネタばれで。

ネタバレBOX

お芝居の筋については、既に詳しく触れているかたもあり、重複するので控えます。全体に映画のような作りで、その分、暗転も小刻みなのが、舞台としてはどうなのかと思った。蒻崎さんの好演は評判通り、素晴らしかったです。蒻崎さんが演じる女性を見ていて、何年か前の殺人事件の容疑者の「実の子どもが私にはなつかないので腹が立つときもあった」という言葉をふと思い出した。
いくら殺人現場に幼女がいたからといって、幼女には殺人の動機もなく、犯人が幼女だと周囲が容易に信じ込むのが、私にはよく理解できなかった。
殺人の真の謎がわからぬまま終わるのも、推理小説の書き手の場合は反則で許されないのだけれど、戯曲の場合はかまわないのでしょうか。芝居としてはよくできているけれど、気になった。
あとは、衣裳のこと。細部に凝っている芝居だとなおさら目に付いてしまう。玉音放送のときに、主人側の女性はモンペをはいていないのが時代的に不自然。また、8,9,10月と季節が変化し、この季節、薄物、一重、袷と、和服も変化するが、旧家の人が着たきり雀で夏でも袷を着ているのが気になった。終戦後とはいえ、田舎は都会に比べ、衣服を食糧に代える必要性が少なく、現在も旧家ほど古い高価な着物が残っているほど。質素な暮らしで和服がないという家なら、それなりに粗末な服を着ているのでは?モンペは数が揃わないという劇団の人の声を聞くこともあるが、知り合いに20分でモンペを縫える方法を知っている人がいるので、必要ならご紹介します(笑)。着替えや予算の都合もあるのかもしれないが、凝るなら徹底してほしい。
もうひとつ気になったのは、人物の仕草。使用人は襟にツギなど当てて感じを出しているが、季節が変わっても、仕草がまったく変化しない。つまり、寒くても、暑くても、同じような表情で、薄着でスタスタ歩いていく。刑事が踏み込んだのも、元旦という設定なのに、ただ普通にコートを着て立っているだけで、季節感が役者の演技から漂ってこない。信州が舞台のようですが、季節の差ははっきりしている地域なのでは?
それから、劇団も細部にこだわって作っている写実的な作品で衣裳や所作を重視するのは当たり前で、歌舞伎やシェイクスピアの時代の「正月と言ったら正月」という芝居とはまったく次元の違う話なので念のため。だったら、演劇に衣裳考証という職分はいらないことになります。
昔の武家や格式ある戦前の旧家は、「畳の縁や敷居は主人の頭と同じ」というしきたりがあって、畳の縁や敷居を踏まず、縁に物を置いたり、座ったりしなかった。観察していたら、それができている役者もいたので感心したが、できていない人もいた。
芝居はこういうところに綻びが出るもので、自分はすごく気になる。
ツキノオト -

ツキノオト -

満月動物園

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2010/08/13 (金) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

初 満月動物園
 始まりから車ではね飛ばされるシーン、捕まれました。
 彩子に、死神、朱鷺、サンタ、恋人、両親と、どんどん出てくる、舞台から、トイレから、通路から、登場してくる。
やっと怪我が良くなってくると、
友だちのカレが浮気、
彼の心が揺れてたり、
男前な主人公 彩子、
物語に、引き込まれました。
2時間10分ぐらいのお芝居があっと言う間に過ぎました。
 最後のシーン最後に、やっぱり男前な彩子が有り 良かった ほっとした。
分かりやすく、面白いお芝居でした。

ラヴァ※演目中止。無料のガムランコンサートを開催

ラヴァ※演目中止。無料のガムランコンサートを開催

TACT/FEST

東京芸術劇場アトリウム前 特設テント(東京都)

2010/08/10 (火) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★

「ガムランコンサート」を観た!
アトリウム (芸術劇場の入り口付近)で開催されたインドバイオリンとジャワの歌の民族音楽のコンサート。無料のミニコンサートだったので拝観。過去にガムランを聞いたのはバリに行ったとき。なんか懐かしい。。

全員がインドネシア系の方たちの演奏なのかと思いきや、日本人が3人いらしてちょっと違和感はあったものの、音楽はやはり亜熱帯の音を響かせ土着的で楽しめた。


express

express

PLAT-formance

インディペンデントシアターOji(東京都)

2010/08/13 (金) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

好感のもてるコンビ
予備知識なしの初見だったので、冒頭、前説(?)は普通のお笑いコンビの漫才風のネタで始まったが、中身はコントというより、密度が濃く、奥の深い不条理劇のようで、舞台を凝視してしまった。
鉄道を思わせる凝った美術で、鉄塔にもパンタグラフにも見える装置が目をひき、電光表示も効果的。
TV界の制作費縮小事情の関係でお笑い番組が増え、芸人の持ち時間が短くなって一発芸を狙う傾向が進み、売れた芸人は司会業中心になってしまい、その低調を懸念する声も多い。
そんななか、本物志向の若手に久々出会えたようで嬉しい。

ネタバレBOX

個人的には、からんでくる酔っ払いと、鉄ちゃんが面白かった。
鉄ちゃんが、「嫁です」と言って時刻表を掲げたり、山手線の駅名順序をまちがえたり、愛嬌たっぷりの演出。駅での停車時間を勘違いし、取り残されて「せめて・・」と時刻表を列車に投げ入れるラストに大笑い。しかも、時刻表は3年前の版であることが明かされ、ズレた鉄ちゃんなんですね。ワーカーホリックの男の一人芝居も汗だくの熱演にひきこまれた。
旅のお供・冷凍ミカンを爆弾にする発想も面白いし、オムニバスに見えて、実は時系列の組み立てもさすが。ちょっと難解だったりもする。最後は「銀河鉄道の夜」の世界のように終わり、心憎い。
コントというより演劇ですね。同じような路線をめざす人たちにも見せたい作品でした。
01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★

01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★

ソテツトンネル

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

15 Minutes Made Volume9

15 Minutes Made Volume9

Mrs.fictions

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

サーフィンUSB

サーフィンUSB

ヨーロッパ企画

本多劇場(東京都)

2010/08/04 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

描かれた世界が興味深かった
今回はセットが大きかったので、芝居と劇場のフィット感は紀伊國屋ホールの「曲がれ!スプーン」のときほど悪く感じなかった。芝居の質そのものはあのときと変わらないのだけれど。
今回、ありがたかったのは、私の観た回は前回のように「笑い屋」のような観客がいなかったことだ。役者が台詞を言う前に爆笑するファンに囲まれて観るのは興ざめだ。
体感上演時間が短く感じられ、疲れない。反面、物足りなさも感じたが、これがヨーロッパ企画の特色なのだろうか。
ただ、描かれた世界が個人的に非常に興味深かった。

ネタバレBOX

舞台美術が空想組曲の「遠ざかるネバーランド」のフライヤーに酷似していたので驚いた。さらにこの芝居の企画が公表されるずっと以前、20年以上前から東京が水没する夢をときどき見る。ビルの窓から外を覗くと、東京の街が水没しており、何台もの自動車が沈んでいくそばで、なぜか楽しそうに人々がサーフィンに興じている夢で、「こんなときにどうしてサーフィン?」とつぶやくと、同じように窓の外を見ていた人が「サーフィンするしかないでしょう」と答えるのだ。今回の芝居の内容をまったく知らずに出かけたので、自分の夢の内容にそっくりで、思わずゾッとした。
発達した現代文明の象徴のような一種の電脳都市「アキハバレ」を臨む、隔絶され、水没した都市の廃墟になったビルの屋上に住み、サーフィンに興じる男たち。実際は悲惨な状況だと思うが、ノーテンキで緩いコントのような会話が続く。自殺しようと「アキハバレ」から来たOLも、彼らの仲間に入ってサーフィンを始める。新参者の彼女に、ハンバーガーやフライドポテトの食べ方を薀蓄を交えて教えるバカバカしい場面は、昔の軽演劇を思わせる。
「アキハバレ」は工業排水をたれ流すなか人魚も生まれ、取り残された者たちの負け惜しみなのか、男たちは「アキハバレ」を軽蔑している。そんななか、「アキハバレ」から、OLが勤めていた企業の男たちがやってきて、個々のサーフィンが記憶できるUSB仕様の特製サーフィンボードを見せ、回線につなぐと、ネットを通じてサーフィンの記憶を不特定多数の人がダウンロードできる仕組みを説明する。協力のお礼として、「アキハバレ」にある焼肉店の優待割引券が贈呈されると聞いて、「その優待のサービスはどの範囲まで適用されるのか」と男たちが細かい質問をする場面もまた、庶民的なせちがらい現実を投影していて可笑しい。
結局、男たちはこのサーフィン・ダウンロードに取り込まれ、自分のダウンロード数にこだわって競い、熱中していく。「好きだからサーフィンしてるんじゃないんですか」とOLが本末転倒を指摘しても、耳を貸さない。このあたり、虚構の中で競争心を生み出すネットの魔力のようなものがわかりやすく表現され、人間の「さが」がよく出ていると思った。また、この廃墟ビルのひときわ高い所に住み、水没し始めたときに果敢に波に挑んで最後まで残ったという伝説のサーファー「エディ」が、実はその人物ではないとわかり、プレッシャーから解放されたと喜ぶ場面も、「作られた虚像のアホらしさ」を象徴している。最後は、企業の男二人も水に入ることになって終わる。虚構が現実に飲み込まれていく皮肉を感じた。話としてはシンプルで、思わぬ方向にころがって気分がどんどん乗っていくコメディーではない。
私が自分の夢との酷似以外に興味をひかれたのは、20世紀末に盛んに使われ始めた「電脳都市」の概念と対比するところの廃墟、そのイメージ構築にかつて自分が仕事で関わっていたが、この芝居はまさにその構図だからだ。その廃墟こそ未来の東京ウォーターフロントだと当時から指摘する識者もいた。
事実、銀河劇場のある天王洲アイルなどは、のちに東京都が中止した世界都市建築博覧会を機に、一大電脳都市に進化する予定だった。バブルがはじけ、ウォーターフロントの開発構想は次々に中止され、周辺には廃墟化した建物もある。地震の際の液状化、地球温暖化など、いまだ都市における「水」の恐怖は去らない。この芝居の「アキハバレ」は電脳都市そのものだし、あながちSFの世界だと笑ってもいられない。
芝居の表層部分を見ると、サーファーたちの会話の雰囲気は「曲がれ!スプーン」の超能力者たちとあまり変わらず、このメンバーだから面白いのであって、役の面白さとはまた違うような気がする。その点、好き嫌いが分かれるかもしれない。
「ひつじ」 Les moutons

「ひつじ」 Les moutons

TACT/FEST

東京芸術劇場ロワー広場(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

ステキに自由
『ひつじ』でしたww

ネタバレBOX

柵に入れてもらえなかった雄ひつじが
エスカレーターに乗って逃げたり、
何かの拍子にコチラに向かってきたりと、
動物らしいというか「ひつじ」そのもので愉しかった。

子どものリアクションも
自分より大型の動物に対する反応そのものでおもしろ可愛かったりして。

中身の演者が『外人』さんでブルーの瞳だったりしたので
より客観的に受け止められて楽しめたのかも。

羊飼いさんがスナフキンのようにクールでカッコイイので
思わず『チッチッ』という羊追いのマネをしたくなりました。

「名無しのエリーゼ」 Niemand heißt Elise

「名無しのエリーゼ」 Niemand heißt Elise

TACT/FEST

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/08/10 (火) ~ 2010/08/12 (木)公演終了

満足度★★★★★

名前が無いということ
子どもに向けてこんな優しくヒューマンな舞台が作られていること、
大人だから解る部分も含め感動しました。
観劇後に本当に優しい気持ちになれる舞台。
ステキな時間に感謝した午後でした。

ネタバレBOX

劇場を出て駅に向かうまでの道すがら
今の日本でも「名前のない人」がたくさん居る事実を再認識したりして。

エリーゼの置かれた状況はとても悲惨なのですが
少なくとも舞台の上には人の情愛と希望が見えました。

平和と言われている現在だからこそ、その寒さ切なさに思い巡らしました。
15 Minutes Made Volume9

15 Minutes Made Volume9

Mrs.fictions

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★

劇団見本市
劇団見本市みたいなものでしょうか。初見の劇団が多く、色々なテイストが楽しめました。

01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★

01272125★たくさんのご来場ありがとうございました。★

ソテツトンネル

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★

限りなく4に近い☆3
それぞれのキャラが生きていました。
あーこんなヤツいるいる!とか、
こんなヤツ居そう!と思わせてくれます。
台詞のやりとりで、クスリと笑わせてくれるあたりも良かったです。

ただ、みなさんが書かれているように、
最後のオチがあっさり過ぎて、物足りなく、
物語自体悪くないと思えただけに、勿体無い気がしました。

あと、パイプ椅子で2時間弱の観劇は辛い。。。

ネタバレBOX

オープニング(?)のキャスト紹介が、意図したズレではなく、
ただ揃ってなかったように感じました。
機械的というか人形的な動きを演出していたのであれば、
もう少し静と動を明確にした方が、意図したものに近くなったのでは?
と、素人目線のかなり個人的な感想です。
『ここからは山がみえる』

『ここからは山がみえる』

青年団リンク・RoMT

アトリエ春風舎(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/23 (月)公演終了

上演時間は3時間(途中休憩5分を含む)。
3時間の一人芝居は初めて観ましたねー。脚本は面白かったですが演技の方法は私には合わなかったです。感想をトラックバックしましたのでよかったら覗いてみてください。

富獄三十六系

富獄三十六系

尼崎ロマンポルノ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/12 (木)公演終了

満足度★★

よくわからなかった
登場人物のキャラクターが意味不不明。つまらなかった

墨を塗りつつ

墨を塗りつつ

風雷紡

サンモールスタジオ(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

素晴らしい!
蒻崎さんの圧倒的な存在感、見事です。演じているというより地で勝負している感じがするほど。なんとも憎たらしい、可愛げのない、意地悪な繭美になりきっていた。この女優さんを観られたことは幸せだ。

墨を塗りつつ

墨を塗りつつ

風雷紡

サンモールスタジオ(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

墨の下に隠されたそれぞれの思い
小さなハコながら、しっかり作りこまれたセットが一挙に作品へと
誘ってくれます。しかし、かなり説得力を持って作られた立てこみだけに、
逆に小道具の扱いや着物の着方など、細かいところで慣れてないところが
浮き彫りになってしまったのは、ちょっと残念。

演出も、障子の開閉での場面転換や、記憶を巡らすシーンでの音の使い方、
照明の当て方など、とても丁寧に考えられていて効果的で良かったです。

役者さんについては
蒻崎今日子さんの圧倒的な存在感は凄まじく、及川健さんは戦争の悪夢と
自責の念と闘いもがき苦しみ一つの決断を下すという複雑な役を好演。
また、祥野獣一さんや小鷹未菜さんは、あの時代に生きる人々の存在感を
さりげなくそして確実に感じさせ、作品のリアリティを支えていました。
キーパーソンである吉水雪乃ちゃんが、重く苦しいドラマの中への
清涼剤でもあり、同時にこの家に起きた悲劇への切なさも出していて
名演でした。

余談ですが、製糸工場を営む家の嫁の名が「繭美」、娘が「絹代」というのは
ちょっとした遊び心で面白いですねw

ネタバレBOX

真犯人の真意がわからず、またその人物自体のことは劇中ではほとんど
語られずにいるので、ラストのどんでん返しの面白さは感じつつも、作品の
オチとしてはモヤモヤとしてしまう人も多いのでは?
歸國

歸國

富良野GROUP

赤坂ACTシアター(東京都)

2010/08/12 (木) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

「あの戦争」についての新しいクラシック
時間の流れだけは誰にも止められない。
嘆いても、叫んでも、諦めても、1年、10年、100年…と時間は平等に
人の上を通り過ぎていく。 

それは悲しく辛いことばかりとも言い切れない。

自分が当事者だった時は見えなかったもの、しかし本質的なものが
時間の経過に洗い流されて顔をのぞかせることは良くあること。

倉本聰氏は、抑制され、冷静で、上品な筆で65年前の英霊を、
「造られた作者の分身」ではない本物の英霊を赤坂の舞台に生々しく蘇らせた。

川の中の石は流れに削られ、水に磨かれ、さらに端正に輝きを増す。
夏に、「忘れられず記憶される」べき新しいクラシックが誕生した、といえます。

ネタバレBOX

正直、「あの戦争は非道だった」とか「戦後の日本は間違っていた」という
メッセージを声高に叫ぶ作品だったら今、ここにレビューを書いていないと思います。

今残された記録に触れるだけでも、様々な「思い」や「記憶」がある。
そこを無視して、「戦争ハンタイ!」とか「日本の誇り」と単色で
描いてしまうのは、造り物の英霊の口だけ借りて「思想」を
語らせているだけで危険だし、かえって過去の人を侮辱しているといえる、とこの際言ってしまう。

人間を単純に見ている、ということでしょう? それは。

倉本氏はそこに与せず、性急に答えを求めず、ただ丹念に65年前の英霊達の姿を
そのままの姿で描いていく。 時間が解凍されたように、リアルな人々がいた。

うわずみだけさらった幾多の作品と異なり、書き手が当時の人間と完全に重なり合う事を
求められる分時間もかかり、先入観も一切放り捨て、いわば「無我」を必要とする、と私は
ここで氏の苦労を想い、さらに突っ込んで氏の意志を感じた。


作中、もともとドヤ街のワルだけど人情に溢れた宮本のエピソードが凄い。

浅草の劇場で働き、戦後は一人息子を苦労して育て、そして縮こまるようにして
亡くなった自分の妹について、彼は語る。


「今日妹が死にましてね…」

「あいつ腐りかけのバナナが好きだったんですよ」

「『腐りかけのが美味しいのよ』なんて言っててねぇ…」


感情を抑制した筆致で描かれる台詞の数々は表現の美しさもあって
人間的で、印象に残るものが多かった。


自分の故郷が長い年月を経てダムの底に沈んだことに慨嘆した兵士が

「変わらなかったのは木の間から見える月だけだったよ…」


兵士達の人間周りを丹念になぞっていくことで、時に現代と65年前の
戦時を交錯させるファンタジックな演出で、逆に戦争状態の悲惨さ、
そして戦後の現在を生きる人々、徐々に当時を意識しないでいくことが
宿命づけられている人々への「忘れることは仕方ない、けどふと
自分達を想い出してみてくれないか」という望みをそこにみることが出来ます。

話は深刻だけど、美しく凛とした劇作と受け取りました。
「ひつじ」 Les moutons

「ひつじ」 Les moutons

TACT/FEST

東京芸術劇場ロワー広場(東京都)

2010/08/11 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

ひつじだ! ひつじだ! デカイひつじだ!
ひつじが確かにいた。
観客は笑顔。

小さなお子様の中には、大泣きしたり、半泣きで「帰りたい」と訴えている子もいたけど。

TACT/FESTIVALのほかの演目も見たかったなぁ。

ネタバレBOX

「1匹逃げた」というアナウンスの後、10分押しぐらいで、いよいよひつじが登場! 「あれっ、デ、デカイ」という第一印象。どうやらほかの観客も同様に思ったらしい。そんな空気が開場を包む。

そして、一番大きなお姉さんひつじが観客に乱入。
「おや、このシーンどこかで観たことあるぞ」、笑顔の阿鼻叫喚…。あ、そうだ新日プロレスのブルーザー・ブロディの入場シーンだ(あ、ブッチャーとかシンも同じだけど)。リングに上がる前にチェーンを振り回し観客を蹴散らす、というアノ雰囲気だ。ひつじの入場時に脳内に『移民の歌』が流れた(ウソ・笑)

ちなみに、お姉さんひつじに追い回された子どもは、大泣き。可哀想だけど、それも含めて『ひつじ』だった。
でかくて怖いのと、無表情はやっぱり怖いのかも。

考えていたよりも、もっとひつじだった。無表情と口の動き、さらに常に上下するお腹と、つま先立ち、もう、素晴らしい。それは笑顔で観てしまうしかない。

コヨーテかオオカミに襲われたひつじが勝ってしまうのは、しょうがないかな。

終演後、ひつじと羊飼いがカーテンコールで現れたが、それを見て「ああ、人間だ」と。無表情に表情が生まれるだけで、「人間」になるということを再確認した。

今回、この舞台は気になってはいたのだが、時間的には無理だろうと諦めていた。しかし、しのぶさんのつぶやきに背中を押されてなんとか時間をつくり出かけた。よかった。つぶやきに感謝。
他人の感想は、好評も不評もとても参考になる。もちろん、不評=見ない、ではなく、不評でもその内容によっては、「見たい」となるものもあるのだ。
express

express

PLAT-formance

インディペンデントシアターOji(東京都)

2010/08/13 (金) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

疾走感溢れる
全力疾走で80分間走り続けたような爽快感が見事。入った時点で広く見える空間演出もすごいと思うけれど、役者二人の動きがその空間を存分に使いこなしていて、二人の距離を遠く見せたり、クローズアップして表情に焦点を当てるような、映像的な演出にも似た臨場感が秀逸。

役が違うと顔が違って見える役者二人の技量もすごいけれど、持ち味を壊さない程度に伏線を回収してくる脚本も、ちょこちょこと面白いツボを押さえていて、役者任せのコントとは違った味を添えているところが、楽しい。

『ラプンツェルの聴き耳』

『ラプンツェルの聴き耳』

ネリム

スタジオアキラ(東京都)

2010/08/14 (土) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

細やかに気の配られた演出
出来事としてのエピソードの入り組んだ面白みではなくて、それぞれのエピソードを細かく演出したような線の細かい脚本が面白い。個人的には、猫や鳥に名前聞いといて「猫って呼んでいい?」というところがツボ。

役者の技量はもはや言うまでもない感もありつつ、今回は、今までにあまり見せたことのなさそうな、柔らかで人間くさいほんわかした笑いもあり、きりっとした硬質の演技もあり、見所は満載。

舞台美術というか、舞台の設営も秀逸。欲を言うなら、もう一題目増やして、ラプンツェルが小さくなっていく過程を描いても良かったと思う。一人で70分空気を作り続けられる演技の幅には感服。

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