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『天守物語 〜夢の浮橋〜』

『天守物語 〜夢の浮橋〜』

虹色ぱんだ

アトリエファンファーレ東新宿(東京都)

2025/09/18 (木) ~ 2025/09/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

せつなくて妖艶でめっちゃ良かったです。

夢中人

夢中人

ソムニアカンパニー

小劇場 楽園(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

正直、期待以上のものでした。すばらしかったです。かなりアーティスティックなつくりになっていますね。なんとなくですが、『ドグラ・マグラ』や『パプリカ』のテイストを感じました。込み入っているというか手の込んだ話になっていてちょっとフォローしづらかったかな…というのはありましたが。ただ、3人のキャストが同じセリフを言うあたりから「ああ、そういう設定なのね…」と話の全体像が掴めるようになりましたが。ほんと、てんこ盛りの話でセリフもかなり難解なのにキャストさんよくついてきたなーと思いました^^ あと、そうそう、演出がライゾマティクスぽく半透明のシートの演出、あれはいいですね。

「タクボク~雲は旅のミチヅレ~」

「タクボク~雲は旅のミチヅレ~」

江戸糸あやつり人形 結城座

ザムザ阿佐谷(東京都)

2025/09/18 (木) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかったです。途中 人形浄瑠璃のようなものがありましたが、あれはすごかったです。あれだけ通して観たかったほどです^^ 全体をとおした感想としては、『プリンプリン物語』や『ひょっこりひょうたん島』を観て育った私世代にはめちゃくちゃ楽しめました。あと、劇伴が和楽器による生演奏でこれまた最高でした。尺八の音すごいですね。あんなに倍音と重低音が出ると思いませんでした。ほとんどヘビメタサウンドですね^^ 最高の舞台でした。

「遺すモノ~楢山節考より~」上演10周年記念公演

「遺すモノ~楢山節考より~」上演10周年記念公演

THEATRE MOMENTS

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2025/09/18 (木) ~ 2025/09/21 (日)公演終了

実演鑑賞

過去10年に渡り、繰り返し上演されてきた演目とのことで、団体にとってある種のライフワークであり、かつ代表作と言えるでしょう。上演した年、上演した都市、そして上演した国もそれぞれで、特にこの10年というとコロナ禍の数年も含まれる訳で、そのひとつひとつの上演経験が、小さな積み重ねとなり作品へ影響を与えているのだと想像しました。物語は、映画版ではなく小説の『楢山節考』をベースにされているそうです。

ネタバレBOX

姥捨山の物語は日本で広く普及しており、物語の背景や概要などは多くの方がご存知だと思います。決して明るい物語ではないため、終演後の客席にはすすり泣く声が漏れ聞こえていました。僕が印象的だったのは、徹底した客観視というか、ある種「ドライ」と表現して良いほど、客観的な上演だったこと。(ただし、この感想は僕特有のものであると自認しています)。これは想像ですが、10年という長い稽古・上演期間を経て、幾度も肉付けされ、幾度も削ぎ落とし、肉付けされ、削ぎ落とし、の試行錯誤を繰り返した末の、2025年版上演ではないか…と考えます。これは、そう簡単に真似できることではなく、そのストイックな創作過程を想像すると、ひとつのことを突き詰めようとする精神の屈強さに驚かされます。その精神の屈強さは、今作に登場する、70歳を節目に山へ捨てられる「おりん」さんの精神に通ずるのかも、しれません。
草創記「金鶏 一番花」

草創記「金鶏 一番花」

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2025/09/20 (土) ~ 2025/09/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/21 (日)

観てきました☆ 二番花とはだいぶ印象が違う作品になってました☆ 個人的にはこちらの方が好みでした☆ 最後まで惹きつけられました☆ 北沢洋さん、谷戸亮太さん このお二人はホント 味のあるいい役者さんだなと思います☆ 

ここが海

ここが海

アミューズ

シアタートラム(東京都)

2025/09/20 (土) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

下手、ベッドの上に掛かっている絵画がやたら気になる。円柱形の建造物が二つ並んでいるだけなのだが何故か目が行く。それは謎。

黒木華さんのショートカットは美しい。元モー娘。の福田明日香の若い頃みたい。黒木華さんは『星の子』での新興宗教教団員が強烈だった。炸裂するアルカイックスマイル。
橋本淳氏は作家の分身。中田青渚(せいな)さんは細過ぎて驚いた。吉川ひなのの若い頃みたいだったが25歳とは···。

今作は物凄く作家にとって重要な作品だろう。名声と地位を手に入れた今、社会的に意義のある作品を世に送り出したいという決意。誰も触れなければそんな問題すら存在しなかったことにされてしまうこの世の中。面倒臭い問題は下手に関わるよりも無視、見て見ぬ振りの方が楽だ。性同一性障害(性別不合)の人が身内だった場合の心境を真剣に考えている。役者の心理描写も繊細。何処までもリアル。当事者が観ても納得できるように。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

暗転時、壁が反転してセットが早変わり。あのベッドをどうやったのか?

幻覚作用のあるシロシビンを含んだ茸はマジックマッシュルームと呼ばれ、日本でもワライタケなどは自生している。

タイトルに込められた意味は分からなかった。

結婚して17の娘までいる妻が4年前の仕事の取材での経験からずっと圧し殺していた性別違和を自覚。自らの中でひた隠して葛藤していたが到頭旦那に打ち明ける。旦那にはそれの受け止め方が解らない。「本当の自分」って何なんだ?

ドラマとしての面白さを捨て、相手のことを想う丁寧な心理描写に力を注ぐ。2024年5月から12月までの家族3人の変化。男性ホルモン注射によって声が低くなり、ポケットに手を突っ込み、大股を開いて座り、ぶっきらぼうな抑揚のない早口に変わっていく黒木華さん。橋本淳氏が出来ることは「信頼を積み重ねていく」ことだけ。愛する者は変わっていくがずっと好きなままでいたいとの願い。どんな形であれ、君と関わっていたい。
全ての問題は心で涙を流しながらも傷つけ憎しみ合わないように丁寧に育んでいこう。壊してしまうのは簡単だ。

尾崎豊「優しい陽射し」

何も悲しまないと暮らしを彩れば
きっといつか答えは育むものだと気付く
受付/六月の電話

受付/六月の電話

演劇ユニット茶話会

Paperback Studio(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

受付は男がどんどんと違う方向へ誘導されていくのがヒトコワだった。狂気に満ちた笑い声が怖くて・・・
六月の電話は始めアリバイやは何をしに?という感じだったが、話が進むにつれ女性の長く切ない思いが伝わってきた。
どちらも熱演で良かったです。

ザ・ポルターガイスト

ザ・ポルターガイスト

石井光三オフィス

本多劇場(東京都)

2025/09/14 (日) ~ 2025/09/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/09/21 (日) 14:00

座席1階

見事な一人芝居だった。パンフレットによると、初めての一人芝居だったという。十数人に及ぶ登場人物を声色、視線、身振り、体の動きなど役者として使えるすべてを動員して明確に演じ分けていた。先人も書いていた通り、本来はかなりの人数で演じられる舞台を、村井良太独り占めで楽しめる、ファンとしてはたまらない舞台だったろう。ミュージカルなどで名を上げ名優として数えられるようになったと思うが、村井はまた一つ、役者としてのステップを上がったのではないか。ラストのスタンディングオベーションはそれへの賛辞だったと思うし、彼が去り際に見せた柔らかな笑顔は大きな達成感を表現していたと思う。村井を抜擢したプロモーションは慧眼だった。

主人公は画家のサーシャ。姪の誕生日パーティーに呼ばれたのだが、その出席メンバーが彼女の心をかき乱すような連中なので本当は出席したくない。だが、パートナーに促されて車に乗る。そのあたりからサーシャの心の叫びを、さらに会話も同時に演じ出し、観客を巻き込んでいった。
村井の芝居にくぎ付けになっている客席からは大きな笑いが何度も起きる。心の叫びは怒りや憤りがメーンだが、圧巻なのは最終版。ここでのサーシャの姿は感動的である。

「バリモア」を演じた仲代達也がこんな趣旨のことを言っていた。一人芝居は役者の人生がすべて盛り込まれ、その力が舞台を支えるのだと。まさに、村井もこんな心境だったのだろうかと、最後の笑顔を見て思った。

草創記「金鶏 一番花」

草創記「金鶏 一番花」

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2025/09/20 (土) ~ 2025/09/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台・お芝居はアートだと感じました。テレビジョン、歌舞伎、戦争、きつねという4つの要素が、3つの時間軸で同時に進行する。その要素と時間軸の複雑な組み合わせを舞台装置・美術が、じょうずにサポートしている。そして生演奏が舞台の空気を作っていく。
奇しくも、時代や見えない大きな力に左右される運命みたいなものを描いた「国宝」と重なって感じるところもありました。
ゆえに強く感じたのは、舞台こそが4次元の世界を表現できる数少ない場ではないかとおもった次第です~

曲がれ!スプーン

曲がれ!スプーン

ヨーロッパ企画

ABCホール (大阪府)

2010/02/26 (金) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

U-NEXTの配信で観賞。

人知れず、喫茶店に集まった超能力者たち。
何とも地味な能力をそれぞれお披露目していく中、インチキ超能力者や、TV番組のカメラマンがやってきてしまい……。

久々に映画版を再見するタイミングで予習として鑑賞した。

映画と異なり、喫茶店のワンシチュエーションで展開される物語や、主人公だった女性カメラマンが脇役になっていたのが面白かった。

正直、内容としては、こじんまりとしたコメディ会話劇であり、小道具の仕掛けなども控えめなため、舞台として生で観るからこその楽しさがある作品だなぁとは思った(実際、かなり、集中力が途切れ、何度かに分けて鑑賞した)。

とはいえ、ヨーロッパ企画の近作を観劇している身としては、お馴染みのメンバーが揃っているだけで楽しく、劇団の原点が垣間見える作品だったし、各々の能力が活かされるクライマックスは、さすが上田誠脚本らしい伏線回収だなぁと感激。

映画とあわせて観ることで、舞台と映画という表現の違いを考えたり、より楽しめる作品だなと思った。

夢中人

夢中人

ソムニアカンパニー

小劇場 楽園(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台演出(天蓋)と劇場設定(楽園は双方向)が効いていて夢想的な舞台でした。卒業制作とのことでしたが、ダンスのキレ、セリフの滑舌やテーマ音楽も良く、旗揚げ公演とは思えない実力です。

The Stone Age「悪い手」

The Stone Age「悪い手」

The Stone Age

太子会館 老人憩いの家 大阪市西成区太子1ー8(大阪府)

2025/09/20 (土) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/20 (土) 15:00

あの空間、台詞は無いけどいろいろと想像させる雰囲気、ゾクゾクした。
人は皆、闇を持っている。
でも憎みきれないのだ。
余韻に残るお芝居でした。
お芝居観られてありがとう

『天守物語 〜夢の浮橋〜』

『天守物語 〜夢の浮橋〜』

虹色ぱんだ

アトリエファンファーレ東新宿(東京都)

2025/09/18 (木) ~ 2025/09/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
泉鏡花の独自の耽美的で幻想的な作風をしっかり舞台化している。物語はタイトルにある天守--白鷺城が舞台になる。その非日常空間をどのようにして表すのか、そして 登場する異界ものが どのような物語を紡ぐのか。原作を読んでいなくても分かり易い描き方、そこに時代絵巻AsHで培った灰衣堂愛彩(本公演では役者名義・羽衣堂愛彩)さんの手腕をみる。会場に入ったとたん異空間ー妖艶な世界へ誘われる。
(上演時間1時間40分)

ネタバレBOX

舞台美術は、白鷺城の最上層(五層)ー窓がない薄暗い部屋を現わしている。上手と下手を分け、その間に溝のような凹み空間と板の橋。上手は和室で襖や障子が所々傷んでいる。その部屋の神棚に大きな獅子頭。下手は中庭(天守に対して下界)のような場所で後ろに衝立状の塀。先の溝の後方には色鮮やかな楓。上演前は童の遊ぶ姿、虫の鳴き声が微かに聞こえる。実に抒情的な雰囲気を漂わせてる。

舞台は播州姫路、白鷺城の五層階。ここには人ならざる富姫が主として住まい、藩主であろうとも近づく事の出来ない魔の住処。腰元(妖)が露を餌に秋の花を釣り上げ、童が歌って遊ぶ。妹分の亀姫が猪苗代城(別名:亀ヶ城)から遊びにやってくる。富姫は、帰りの手土産に 藩主が鷹狩りに使う白鷹を攫って与える。若き鷹匠 姫川図書之助が主君の命で白鷹の行方を捜しにやってきた。そして妖(アヤカシ) 富姫と人(ヒト) 図書之助が、はからずも恋に落ちる。しかし…。
図書之助の人間界への未練と富姫への執着、その葛藤する姿 それこそが情理。そして 妖と人が共存する不思議な世界観が広がる。

見所は、本筋に妖怪と人間の切ない恋物語。脇筋に封建社会における絶対服従の不条理。公演ではこの両方を巧みに描き、人間性と社会性を重層的に紡いでいく。本筋(人間性)は先に記した通りだが、脇筋(社会or時代性)は、富姫が 主君の理不尽な命で切腹した武士の元妻。そして亀姫も描かれてはいないが妖であることから、同じような身の上ではなかろうか。そこに妖と人の悲恋の元凶となった 理不尽な世が立ち上がる。理不尽といえば、図書之助を追ってきた同輩によって天守の象徴である獅子頭の目が潰され、富姫、図書之助を始め腰元妖も皆 目が見えなくなる。公演では、追っ手と獅子との戦いを舞台狭しと動き回る(祭りの獅子舞のよう)。

衣裳は和装、メイクは妖しの顔といった感じで 物語の世界観を損なわない。音響・音楽は三味線など和楽器が情景を引き立てる。なにより照明が色彩豊かで、柔らかく和むような照射。舞台美術・技術・小道具(刀 等)そしてメイクといった総合的な効果によって成り立つ幻想劇。
卑小だが…最前列という至近距離で観劇させてもらったが、手(裸)足の濃いマニキュア、ペデュキアが照明に反射するところがあり 気になった。敢えてベースコートだけにしなかったのだろうか。
次回公演も楽しみにしております。
VIVID

VIVID

Loneliness of the butterfly

イズモギャラリー(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 照明、音響等の効果もグー。何より詩的作品である点が気に入った。 
 脚本・演出は“さかさまのあさ”の宮田 みやさん、演ずるは“ウテン結構”の岩澤 繭さん。Symbiosisの中でも特殊な異種恋愛の物語だ。

ネタバレBOX


 Corichの説明文を読んで詩的な作品だと感じたのだが、その直感は当たっていた。科学の発達に伴い近年では宇宙の始まりに関してのみならず様々な銀河の写真集や解説本も数多く出るようになった。生命の誕生が宇宙の諸星達の生々流転と関りのあることも次第に人々に知られるに至っている。科学少年、少女たちには既に知られていたことが漸く人口に膾炙するようになったのである。かつて詩人が予言していたように諸星から生まれた生命は互いに関連し様々な関係を持ちながら生々流転している。そんな巨きな流れの中で、人類以外の生き物たちが互いの情報を交換し合い、そうして得た情報をも用いつつ生存競争をしているということも分かりつつある。漸く人間だけが“言葉”を用いることが出来る、などと言う傲慢極まる論理は廃り始めたのだ。オルフェウスが鳥や獣のみならず岩や他の自然とも話すことが出来たとの言い伝えや、アニミズムの残る世界で未だに伝わる土地の古老の誰々は鰐と話が出来る、などの口承も余り軽んじてばかりは居られないようになるかも知れぬ。人間の知っていることなど宇宙の10のマイナス何十乗倍分の1に過ぎまい。
 おっと話が大きくなり過ぎた。物語は人間の或る男と南米に実在する極めて毒性の強い、然し宝石のように美しい毒蛙*との純愛を描いた作品である。この蛙一匹の持つ毒でアフリカ象2頭が死ぬとされる程の猛毒を持つ蛙が天敵のこの毒に耐性を持つ蛇*に襲われ泡や、という時男がこの毒蛙を救ったのである。救われた毒蛙は、彼のヴィオトープで飼われることになった。助けられた瞬間、彼女は雷に撃たれでもしたように恋に落ちた。然し人間が直に毒蛙に触れれば忽ち死ぬ。それほどの猛毒なのである。だが彼女は既に恋に落ち、そしてそのまま天敵の蛇に襲われたダメージで気を喪ってしまう。「お早う」という声に目覚めると、其処に居たのは『彼』であった。心臓が脈打ち、ドキドキが加速する。世界がいっぺんに変わってキラキラ輝く。恋が世界の見え方迄変えてしまった。然し彼が居なくなると嬉しさも胸のドキドキトキメキも総て失せ、世界は単調でもの憂いものに変わってしまった。のみならず恋焦がれれば焦がれるほど、彼と己を隔てるヴィオトープの透明な壁のみならず、直に彼に触れれば己の毒が彼を殺すという事実が己を苦しめる。彼に触れたい、直に触れてキスの雨を降らせたい。然しその念を叶えた途端、彼は死ぬ。それは免れることができない。愛するが故に求めることが、果たされればそれは愛する最愛の人を殺すことなのだ。このアンヴィヴァレンツが彼女を生き乍ら引き裂き、耐え難い苦しみを齎すのだ。一方、こんな彼女の悩み苦しむ姿を知ってか知らずか、彼女が「騒がしい」と文句を言ってきた奴がいる。上階ヴィオトープに棲む青大将である。彼はヴィオトープで生まれ育った蛇であったから、外界のことは余りよく知らない、知っていることはヴィオトープで元野良から聞いて仕入れた知識であった。然し乍らこの蛇がヴィオトープで生き続けることは退屈と窮屈に徐々に圧し潰されて精神を病む地獄だと認識しておりいつか脱出してやろう、との夢を持っている。偶々この青大将が脱走に成功した。飼い主の人間即ち蛙の命の恩人がヴィオトープの蓋を閉め忘れたのだ。彼は一緒に逃げないか? と声を掛けてくれた。然し彼女は此処に満足していたので断った。彼は独りで旅立った。
 この後も彼と毒蛙の日々は続く。蛙は「お早う」で始まる毎日の彼との逢瀬を十全に味わい幸福すら感じていたが、触れたい、彼に触れキスの雨を降らせたい、との念は募るばかり。恋の煉獄に身を魂を焼かれ苦悩していた。そんなある日、彼女はヴィオトープの蓋を彼が閉め忘れたのを発見した。抜け出すことができる。彼は出掛けていて、彼女は抜け出た後、彼が怪獣に絡み付かれ口に嚙みつかれているのを見たように思った。その瞬間、彼女は今度は彼女が彼を救わねばならぬと猛烈な勢いで怪物に突進、張り付き最後には怪物の顔面に毒をぶちまけた。怪物は堪らず彼を離して逃げた。倒れた彼はペシャンコになった彼女の体に裸の手を触れた。始め彼女の体は人間の体温に耐えられず火傷を負ったが徐々に彼の体温が下がり彼女の体は焼かれることが無くなった。遂に彼と直に触れ合い純愛を実現することができたのであった。
*登場する毒蛙は、自然界で最強と言われるアルカロイド系の神経毒バトラコトキシンを持つモウドクフキヤガエルだろう。毒を持っていることを示し無駄に他の生き物を殺さずに済むよう体色は極めて鮮やかで宝石のように美しい警告色。彼女を襲った天敵の蛇はノハラツヤヘビ属マイマイヘビ科のヘビでバトラコトキシン耐性を持つ唯一の蛇ということになる。
 
星降る夜になったら

星降る夜になったら

自由劇場

シアターD300(神戸大学国際文化学部大講義室)(兵庫県)

2025/09/20 (土) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

久しぶりに拝見するジゲキはやっぱり凄かったです!卒業しても演劇活動続けて欲しいなー\(^o^)/

だれか、来る

だれか、来る

SCOOL

SCOOL(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めちゃ良かった!

柿喰う客新作本公演2025『超音波』

柿喰う客新作本公演2025『超音波』

柿喰う客

ザ・スズナリ(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この人気劇団を初めて鑑賞。自分の好みの演劇スタイルではないが、なるほど人気があるのがわかる。機関銃のように早口で連射される台詞、しかもなかなか面白い言い回し(速すぎて聞き取れないこともあったが)。活発な動きやシャープなダンスもあり、俳優たちは良く訓練されているな、という印象。90分あるかないかぐらいの時間だったと思うが、場面数が多くあれほど大量のあまり脈絡のない台詞やダンスをよく覚えられるものだと感心。

nitehi:kedo

nitehi:kedo

こわっぱちゃん家

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2025/09/10 (水) ~ 2025/09/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/11 (木) 14:00

親しい相手と言葉を交わせなくなったことに起因する「GRIEF」という精神状態についての研究者と生成AI技術者が共同開発する似て非……もとい「nitehi」なる技術に関する近未来もの。
昨今のAIの進歩から考えればいかにもありそうな技術だし被験者となる二組の家族(+α)の状況も身近にありそう、と現実味たっぷりで描く「家族の想い」。
そして「言葉を交わせなくなった原因」を死別だけでなく他に2つ提示するのが巧み。これによって物語に奥行/幅を与えている感じ。
で、昨年3月の初演時の印象は「家族の想い」が強かったのに対して今回は(そちらもさることながらどちらかと言えば)技術面だったのは昨今のAI事情(についての認識)によるものか? 昨年はSFと受け取っていたのに今や「現実の少し先」だもんなぁ(驚)。

草創記「金鶏 一番花」

草創記「金鶏 一番花」

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2025/09/20 (土) ~ 2025/09/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【満月】:金原賢三役:藤原祐規/ 坂東天鼓役:宮原奨伍

荒れ果てた廃屋のような舞台美術。そこらかしこに梯子が雑然と。やたら殺風景な風情に不穏な意図を感じ取る。テーマは『裏面』。多重な意味で『裏をかく』。
前作、『音楽劇「金鶏 二番花」』を観てからたまらなく観たかった『一番花』。きっとこういう話だろう、と観客それぞれ思いを巡らせた筈。自分の脳内でもほぼ完成形は見えていた。だが全く違った!何もかもが違う。

作劇は手塚治虫調。この手塚テイストが大衆に支持される所以。まさにピノコのような中野亜美さんが出突っ張り。中野亜美さんはある意味、現代小劇場演劇の象徴。彼女をどう使うかで作品は分かれる。

助演的なアシストに徹するかのような金子侑加さん。ハレー彗星騒動に現れた怪異譚が広まり、栄国稲荷神社の稲荷神に押し寄せる参拝客。その中の一人、芸に腕がない歌舞伎役者・坂東天五郎(北沢洋氏)のエピソードが今作の肝。『どろろ』調。
四代目中村雀右衛門(じゃくえもん)をモチーフにしたその息子である坂東天鼓役宮原奨伍氏の所作が美しい。

小口ふみかさんの目をひん剥いての威嚇。

母親(藤吉久美子さん)に家にいながら歌舞伎を観せてやると誓う金原賢三少年役今村美歩さん。驚く程美少女。青年期は藤原祐規氏、現在は桂憲一氏。「無線遠視法」を研究し、ブラウン管を使っての送受像を世界で初めて成功させた天才工学者。現在の金原賢三が坂東天鼓の墓参りに行くシーンから物語は始まる。中野亜美さんと新幹線に乗って。

今作の方が好きかもなと思いつつ、前作の歌の高揚も捨て難い。前作が木下恵介なら今作の監督は増村保造。こっちが作家の本流のような気もする。どうせ皆観るだろうから今は余計なことは書かない。ただこの作家が自ら抱える芸術への真摯な姿勢に信仰心すら感じた。大衆の評価を犠牲にしても自分の信仰に殉じたい、と。それは正しいよ。そういうのが失くなったらAIが計算した最大公約数、広告代理店の導き出した商売としての正解に世界は統治される。人間は理性で生きている訳じゃないんだ。言語化出来ない無意識が殆どだろう。そこを刺激するから『芸術』なんて御大層なガラクタが生き残ってる。(それは酒の存在にも似ている。こんな健康的にも社会的にも害のある無意味な嗜好品が死滅しない理由に)。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

狐の登場と中野亜美さんの正体が最高に盛り上がる。『ビューティフル・マインド』だったか。

フラフープをチューブやハンドルに見立てる。
新幹線の車窓は梯子。
児童雑誌を新聞に。
こけしと独楽で徳利と盃。
水鏡の真実 -御泉花守探偵の事件録 FINAL-

水鏡の真実 -御泉花守探偵の事件録 FINAL-

はらみか×渡邉ひかるプロデュース

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

情景描写がその時のセリフを言う人の視点で語られ、思い描きやすい。朗読とはいえ、しっかりと役作りがされており、キャストの表現を活かす演出で作品の面白さが伝わってくる。

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