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だいだいの空

だいだいの空

トム・プロジェクト

カメリアホール(東京都)

2012/06/01 (金) ~ 2012/06/03 (日)公演終了

満足度★★★

つかこうへいか?
ややネタばれ?

ネタバレBOX

亀戸カメリアホールにて【だいだいの空】を観劇。
今作は親子向けのファミリー芝居なので、決して観る事のないタイ​プの芝居なのだが、何故か?たまには観るのである。

昭和22年のとある町で一人暮らしのおじいさんがひょんな事から​井戸に落ちてしまい、現代にタイムスリップしてしまう。現代の街​並みの変わり様に唖然としてしまうのだが、そこで知り合った少年​と少女と仲良くなりどうにか生きていく。そしてまたひょんな事か​ら井戸に落ちた少女を助けに少年とおじいさんは井戸へ入っていき​、昭和22年に戻っていく。
そして昭和22年は新しい日本の発展に向けて開発が進み始め、未​来の姿を見たおじいさんは子供達に何を残さなければいけないかを​伝えようとし始める。

おじいさんと少年、少女との出会いと別れを過去と現代のシーンで​描き、そこで何が生まれ、何に未来に託すか?という事がテーマで​あり、子供でも分かる様に分かりやすく作っている。だが、子供を​舐めるのをいい加減にせい!と言わんばかりの紋切り方の表現方法​にはやや疑問を感じた。未来へのタイムスリップの仕方、ドリフタ​ーズ的な映像の使い方など舞台での表現方法があまりにも乏しすぎ​る。ただ俳優への演出がキチンとしているのでまだ良いのだが、子​供に生でしか味わえない舞台を体感させるという興味は演出家には​ない全くない感じだった。でもねぇ、両方兼ね備えないと大人も子​供も楽しめる舞台は作れないのだが・・・・。

そういえば主役ではないのだが、存在感抜群の女優さんがいた。声​の通りと芝居の表現力。いきなり始まりからマイクで歌い出すから​ねぇ(つかこうへいか?)パンフレットによると北区つかこうへい​劇団の出身らしい。流石!というしかないな。でも彼女にわざわざ​マイクで歌を歌わせたのは演出家の洒落か?
【満員御礼・次回は11月です!】インストォル

【満員御礼・次回は11月です!】インストォル

ソテツトンネル

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2012/05/31 (木) ~ 2012/06/03 (日)公演終了

満足度★★★★

インパクトあり
想像を絶するストーリーでした。

ネタバレBOX

突然、鼻血が出てきたときはさすがにびっくりしました。ブラウスにも血が滲んできて、そしてその凶暴振りに驚きました。

犬の唾液から感染したようで、死んだ人が生き返ったと聞いたときには謎のウィルスによる奇怪な病気という印象でした。ペットレンタル会社に責任があるのか、問題がどう膨らみ、どう解決されていくのかと思っていました。

死んだまま生きているように振る舞うということで、所謂ゾンビの現象でした。

パソコンにアンチウィルスソフトを入れるように、価値のある人間にアンチウィルス成分の入った缶飲料を与える飲料業者の存在という設定は面白かったですが、ゾンビと分かったとたん、ゾンビかゾンビじゃないかに終始し、ペットレンタル会社の話も含め、浮気を誘発させるようにしながら浮気を疑う妻の異常さ、子供を虐待する母親の苦悩、めんどくさがり屋のニート青年の話などは良くも悪くもぶっ飛んでしまいました。大きな災害の前には世の中そんなものではありますが。

で、あの新人さんはどんな理由で世の中のためになるとして選ばれたのでしょうか。
うぶ毛しっぽと白髪まつげ

うぶ毛しっぽと白髪まつげ

田中美沙子

調布市せんがわ劇場(東京都)

2012/06/01 (金) ~ 2012/06/02 (土)公演終了

満足度★★★★

無題396(22-139)
15:00の回(曇)。14:40会場着、受付、入場。BGMなし、15:01前説、14:05開演〜16:09終演。ぬいぐるみ、白(と銀)馬、紐。「貴方は私を食べてくれる?」。喰らう、吐き出す、食いちぎる。白いモノは雪のよう、一体ずつ丁寧に上を向かせるのは何故…。

ネタバレBOX

肉感的で荒々しく感じました。喰らう、それは喰らわれる側に命があるということで、生きるということと同義なのでしょう。黒いビニール袋に身を包んだ悪魔のような様相、ひたすら腹に収めるその姿と肉体をさらけ出すシーンとはどのようにつながってゆくのでしょう。鋏を入れ命を絶つ、カラダを持つ命が生きていくということ、女性のカラダだけが命を育むことができるということなのかと。
シレンとラギ

シレンとラギ

劇団☆新感線

青山劇場(東京都)

2012/05/24 (木) ~ 2012/07/02 (月)公演終了

満足度★★★★

安定のおもしろさ
少し古めの楽曲とギャグを、大人が胸にこっそり抱く中二魂が底上げし、かっこいいところはとてもかっこよく、くだらないところはとてもくだらなく、切ないところは切なくと、安定したいつもの新感線。
星は四つだけど4.5ぐらいな感じです。

ネタバレBOX

さすがの安定度で楽しめましたが星五つじゃないのは、息子持ちの母親として、ちょっとこれは気持ち悪いな~っていうのがテーマだったため。
ギリシヤ神話のモチーフで定番とはいえ、いくら可愛らしく素敵な永作さんといえ、ちょっと抵抗が……。
断脈

断脈

熱帯

サンモールスタジオ(東京都)

2012/05/30 (水) ~ 2012/06/03 (日)公演終了

満足度★★★★

前向きかあ
縁を切る話。

いくつかのエピソードが重なっている。それぞれ”切る”話で、人の思いが考えさせられる。

という深いこともあるし、大笑いさせてももらえるし、ちょっとホロっともさせられた。

確かに、前向きかもしれない。前向きすぎぐらいかもしれない。

ネタバレBOX

離婚式がメインの話。
離婚式の前に衣装を見つめていたときの後ろ姿、印象的でした。

個人的に印象に残ったのは、
スタイリストの話と子連れ再婚の話。
それぞれの人の気持ちが、結構切ない感じがした。

お医者さんはいいキャラだった。スピーチ最高。
スタイリスト(特に奥村さん)の衣装がとてもいい。かっこいい。

「旧郎旧婦」は笑ってしまったが、本当だったんだ。
指輪を割る最後の共同作業は知っていたけど。

あと、円卓と燻製が頭に残る。
二人の乙女

二人の乙女

劇団ドドドドドド

サブテレニアン(東京都)

2012/06/01 (金) ~ 2012/06/03 (日)公演終了

満足度★★★

魅力的な四人
アニメやオタクのネタを取り入れつつ、いわゆる今時の気分を上手く捉えた舞台。妄想系ストーリーで、カンニング劇と言いながらキチンとした演出で、主演二人も感じの良い演技で◎。場面転換もなく一つの教室で続くお芝居だが、適度に笑えて面白く、観ていて飽きませんでした。そこここに昭和な香りが....若者だけじゃなく幅広い層にも受け入れられそうな感じも。また、細部に作家の拘りも感じられ、今後も楽しみです。自分としては登場する四人の声がそれぞれ魅力的でとても良かったです。回数を重ねると変化が出てきて、さらに面白くなりそうなのでリピしたいが...。

男ism

男ism

STAR☆JACKS

Live Bar D.Ⅲ(大阪府)

2012/05/31 (木) ~ 2012/06/05 (火)公演終了

満足度★★★

本格派時代劇
縁あって二回目のSTAR☆JACKSさん本公演。
今回はライブハウスでの公演ということで、前回公演みたいにがっつり本格的時代劇ではないだろうな~と思いきや。
予想外にも、がっつり時代劇でした。

公演は休憩挟んでニ演目。
ライブハウスそのまんまで舞台美術まったくなし。
照明がまた情緒豊かな雰囲気作りをしていて、
花道も活用して客席通路も活用して、ライブハウスそのまんまだというのにまるで芝居小屋にいるかのごとしでした。

ライブハウスという小さい箱でありつつ。
低い天井、そこからぶら下がりまくるライトものともせずに、びゅんびゅんさすが本職なだけあって見事な殺陣さばき。
そして小さい箱だからこそつぶさに見える、ちょっとした時代劇表現テクニックなども興味深く。
二回目のSTAR☆JACKS楽しませていただきました♪
次の12月本公演も楽しみにしてます!

あぁ、ケーキ食べたかった(笑)

ネタバレBOX

一演目目は、親分子分女郎の横恋慕愛憎話。
女郎に惚れて身請けしたい親分。
その親分の子分に惚れている女郎。
女郎の気持ちよりも親分に忠義尽くしたい子分。
そこに付込む、親分子分の間を裂きたい仇もの。

親分に身請けの話されて想う人がいるから、誠の愛を貫きたいからと断固拒むところまではいいのだけど。
女郎さん、想い人の名前あっさり白状しすぎ…と思った(笑)
そこで命賭けて拒むくらい貫きたい想いならば、名前そんなあっさり白状しちゃだめでしょう。
墓場に持っていくくらいの覚悟じゃないと。
そして親分の懐の狭さよ!
人の上に立つものとして、その心意気はいかがなものか、そんなんじゃ下のものが慕ってついてくるわけがない。
しかも、いっときの激情に身を任せて、あっさりそこまで好いている女郎を殺めてしまう。
息をしていないと分った時の一言が、なんとも情けなくて怒りの感情を覚えました。
口汚いですが、こいつばかじゃねぇのか!?と。。。
でもラスト、遺体となってしまってから親分から女郎を譲り受けた子分さん。
亡くなってしまってから、もう添い遂げることができなくなってしまってから初めて、女郎に想いを抱くようになるわけですが。
なんと、女郎生きていた!?あのラストは生きていたということで解釈間違ってないですよね!?
そこで生きていたとなると、じゃあ親分は殺してなかったというわけで。
親分はひょっとしてわざと殺した体で自分の未練も断ち切って身を引いたと…そういうことなのか?
そう考えると、なんだかみえ方がぐっと変わって、人の想いの業の深さ苦しみ憐憫の情を感じることができて良かったです。
あ、ひょっとして…誠の愛それに生き返りって、まさかロミジュリのオマージュ!?

ニ演目めは、がらっと雰囲気変わってお笑い要素たっぷり。
ほぼ、龍昇さんオンステージと言って過言ではないでしょう(笑)
不始末をしでかした入り婿の代わりに切腹して責任をとらねばならなくなった父。
しかし嫁も、入り婿の嫁にあたる娘も、悲しむどころかむしろ早く腹を切れとせっつく勢いという(笑)
しっかり命の儚さや憐れの情も盛り込まれつつ、とかくちょけているので重苦しくなく愉快。
この嫁が、わたしにとっては石原正一ショーのハリポタ子が印象的な生田朗子さんで。
めっちゃ、えぇ味出しておられました。最高に非道な嫁。

やたら龍昇さんが舞台上で生肌晒して生着替えをされていたのは…。
水戸黄門でいうところの由美かおる的なサービスショットの意味合いだったのだろうか、などと思ったり。
ちょいちょい吉本新喜劇のネタが放り込まれていたところも、小劇場で珍しいネタチョイスでおもしろかった☆
看板娘ホライゾン

看板娘ホライゾン

ホチキス

インディペンデントシアターOji(東京都)

2012/05/31 (木) ~ 2012/06/10 (日)公演終了

満足度★★★★

ほろっ、とはこさせない
笑い過去の作品・イベントネタも絡ませつつの、隙の無いネタですねぇ。丹野さんはそれだけでおもしろいのに

人まがい

人まがい

カラーひよこ協会

新宿シアターモリエール(東京都)

2011/11/10 (木) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★

まさに「両刃の剣」?
ストーリーの基本となる設定、全体の構成、5人の演出家の起用など発想がユニークで全般的に面白いが、エピソードが細切れで雑然とした感が無きにしも非ず。
が、それらが積み重なってのラストでもあるので、まさに「両刃の剣」か?

Lullaby

Lullaby

進戯団 夢命クラシックス

SPACE107(東京都)

2011/11/09 (水) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★

娯楽アクション時代劇
群雄闊歩の戦国時代を台詞・擬闘などに現代的な要素も取り入れて描いた娯楽アクション時代劇。
前半は比較的史実に沿い、後半は思い切り大胆な展開にする二段構えの構成も含めて上出来。
ただ、OPクレジットがほとんど読めなかったのは残念。

業に向かって唾を吐く

業に向かって唾を吐く

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2011/11/09 (水) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★

elePHANTMoonの真骨頂
不気味にして滑稽、オカしコワい、的な。
エセ宗教を皮肉る一方で宗教(あるいは心のよりどころ)とは何ぞや?な問いも投げかけ、さらに後の作品に繋がる表現もなどもあり、まさにelePHANTMoonの真骨頂な感じ。

いつも誰かのせいにする

いつも誰かのせいにする

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★

新章突入?
出だしは従来通りの業界内幕覗き見系だが、次第にそのワクが外れて「ソコはドコ?」「いつのハナシ?」な時代・場所とも現実から遠く離れた異世界あるいは迷宮に引きずり込まれる、みたいな?
また、優れたデザインの装置と、それを上手く使ってのシーン転移も◎。

ウェディング・マーチ

ウェディング・マーチ

チーム1110 舞台美術部

ART THEATER かもめ座(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/07 (月)公演終了

満足度★★★★

泣かせ逃げとはズルい!
老(?)父の再婚の日、式場での親族・関係者の人間模様。
基本はコミカルながら、「あのテのネタ」で終盤に泣かせ、そのまま逃げるとはズルい!(笑)
また、冒頭で登場人物が興じているダウトも伏線として上手い。

説教強盗

説教強盗

劇団ダミアン

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2011/11/06 (日) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★

がっちりした人間ドラマ、な感じ?
説教強盗を狂言回しあるいは背景とした昭和庶民(?)伝。
いくつかの文学作品の引用やメタ系など知的ゲームっぽい感覚はあるも勝手に思い描いていたほどアングラ臭は強くなく、がっちりした人間ドラマ、な感じ…と謀っておいてのいかにもアングラな終盤にニヤリ。
さらに、電車のガードを再現した装置のリアルなことといったら!

看板娘ホライゾン

看板娘ホライゾン

ホチキス

インディペンデントシアターOji(東京都)

2012/05/31 (木) ~ 2012/06/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題395(12-138)
19:30の回(曇)。18:50会場着受付(整理番号券あり)、19:00開場。会議が入りそうで危なかったのですが、無事観劇。入って昭和っぽさにびっくり、予習していないので「まんじゅう屋」のお話とは知らず...。
ボーナストークに続いて2作目。舞台は閉店間近かともみえる店内..けど、小さなテーブルや座敷があったり、カウンターらしきところには旧型のレジとケース内に「商品?」、まねき猫。下手はガラス戸(下のほうはすりガラス)、上手は少し高くなった座敷、畳が擦れている、2階へ上がる階段があり、絵や書(なんて書いてあるか読めない)がかけてあります。毎日新聞やぴあなんかもさりげなく置いてあり、奥は廊下で下手側がまんじゅうをつくっている厨房。「金蝶堂饅頭百三十八円」。テニスラケットくらいの大きさのしゃもじ(休みだけど学校に行くと言って手にしたとき、ラケットが出てくると思った)「金蝶堂」の文字、入り口上にかけてあります。

谷仲さんが初めてみる情けないオヤジ役、いい味してます。西川さんは「ローヤの休日」以来。

19:33米山さんの前説~21:15終演。

ネタバレBOX

2つの家族、父と長女、母と次女。プロデューサーと傘地蔵。ハッカー。心に響くお話のはずなのに、アマゾンで買った「家庭用まんじゅうキット」でつくるのが一番おいしいとか、地蔵が鶴で「罰」だとか、おどろおどろしいながらあふれるB級テイスト。
冒頭の役者紹介、持っているボードを裏返すと公演タイトル、8人で8文字…お洒落!
恋して、働いて、守って...美の3要素ということですね。
じゃじゃ馬馴らし

じゃじゃ馬馴らし

公益財団法人日本舞台芸術振興会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2012/06/01 (金) ~ 2012/06/02 (土)公演終了

満足度★★★

ソリストが魅せるコミックバレエ
荒々しい女性を荒々しく扱って淑女にするという、シェイクスピアの喜劇をバレエ化した作品で、軽快な音楽に合わせたユーモラスな踊りが楽しかったです。

メインのキャタリーナとペトルーチオに関わるエピソード以外は省略や改変されている箇所が多く、ビアンカを巡っての変装や偽の父親をでっち上げる話も出てこないため、騙し合いによる面白さは薄れていましたが、原作よりも見通しが良くなっていました。

振付は基本的にクラシックバレエのスタイルですが、殴ったり蹴ったりする動作が含まれていたり、決めのポーズが羽交い締めだったりとコミカルで、終盤の2組のパ・ド・ドゥの優雅さが引き立っていました。
セットも衣装もブラウンを基調とした彩度の低い色合いで、派手な照明効果もなく、和やかな雰囲気でした。

キャタリーナを演じたスー・ジン・カンさんは荒々しい振る舞いと、その合間に見せるションボリした感じの対比がとても可愛らしく魅力的でした。
ペトルーチオを演じたフィリップ・バランキエヴィッチさんはワイルドな力強さがあり、圧倒的な迫力がありました。
群舞はズレが目立ち、あまり精密さは感じられませんでしたが、楽しげな雰囲気が伝わってきて良かったです。第1幕ラストで全員がドミノ倒しになり、そのままの状態でカーテンコールをしていたのがユーモラスでした。

新古典主義時代のストラヴィンスキーやプーランクのようなスタイルでスカルラッティの旋律をアレンジした音楽はキビキビとしたリズム感が心地良かったのですが、前半はオーケストラの演奏が少々ギクシャクしていたのが残念でした。

キツネの嫁入り

キツネの嫁入り

青☆組

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/05/25 (金) ~ 2012/06/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

むかしむかしの立ち位置から見えるもの
物語のフォーマットであるネオ昔話のようなものに
すっと心を開いてしまい、
だからこそ受け取ることができた
その世界に漉きこまれたものが
深くこころを染めていきました。

作り手が、作品の織り上げ方に
さらなる手法を手にいれたようにも感じました。

ネタバレBOX

語る態での導入がとても効果的で、
観る側を一旦現実からすっと切り離してくれる。

そこから次第に紡ぎあげる物語も
密度が拡散せずに
物語としての前提や骨格と
しっかりとした空気が
まっすぐに観る側に伝わってきます。
むかしばなし的なシンプルさと、
奇異なことをもそのままに観る側に受け入れさせてしまう包容力と
どこか滑稽な感じも、ちょっと哀れな風情も、
恐ろしげな場面も、
むかしばなしの枠組みの中に収まると、
そのまま観る側が受け取ってしまう。

しかも、役者たちそれぞれに、
むかしばなしを纏いつつ、
一方で舞台を平板にすることなく、
それぞれのロールの色をビビッドに作りだす力があって。
物語は単に筋書きをたどるにとどまらず、
その筋書きに繋がれた思いの重なりとして
観る側に組み上げていくのです。

まるで、子供のごとく、
ノーガードで物語をそのままに追わせ、
浸り込ませる力が
舞台にはあって・・・。

そこまでに観る側を捉えておいた上で
作り手は、物語に漉きこんだ観る側の今を
少しずつ露わにしていきます。
むかしばなしでは割に定番の
立ち入ってはいけない場所のタブー。
その中にフォーカスを緩めて包み込むからこそ
あからさまに浮かび上がり俯瞰されるものがある。
その場所の大昔にすっと観る側の今を重ね合わせて、
物語と観る側の過ごす今の間に
時間軸を描きだして。
物語の事象に観る側の今日との因果が現れて
むかしばなしの枠組への視野が
目を閉じることも、心を閉ざすこともできずに、
観る側の時間から眺める未来へと置き換わる。

キツネたちが絡み、人が人でありつづげることなく
やがて滅失していくような感覚、
それは、むかしばなしの態だからこその
やわらかで懐かしい肌触りとともに
観る側に深く沁み込んで。
やがて、今を生きることの
どこか底知れないおどろおどろしさを秘めた
リアリティが
物語に埋め込まれた、
その中でも変わることのない
人を想う気持ち、さらにはキツネたちに抱く
様々な普遍的な心の肌触りと共に降りてきて息を呑む。


美術もその場所の内の世界の密度と
外の広がりを、
むかしばなしのファンタジーの色と共に
観る側に届けてくれていて、
実に秀逸。

作り手は、これまでに持っていた引き出しのいくつかから
さらなる新しい引き出しを創り出したように思えて。
従前のリーディング公演などで見せた
イメージや表現の間口や独特のテイストが
さらなる引き出しを創り出していくような感じもあって
今後の作品の広がりが本当に楽しみになりました。
リリオム

リリオム

こどもの城 青山円形劇場/ネルケプランニング

青山円形劇場(東京都)

2012/05/25 (金) ~ 2012/06/03 (日)公演終了

満足度

原作通り?
はっきり言えばとっても退屈だった。
演出家が何も仕事をしていない印象で、脚本通りの演出と割と自分のやりやすいようにやっている役者と云う感じ。

主役のリリオムが若すぎて、何か子供の我がままの芝居に見えてしまった。要するに深くない、から感情移入できない。

ネタバレBOX

冒頭のシーンから何故?オンパレードでした。客を置いていくならば置いていって欲しかったがそれすらもなかった。

特に死後の世界のシーンをもっと特異なものに見せられなかったのが残念。

演出の若さから今後に期待か?
看板娘ホライゾン

看板娘ホライゾン

ホチキス

インディペンデントシアターOji(東京都)

2012/05/31 (木) ~ 2012/06/10 (日)公演終了

満足度★★★★

さすがのホチキス
最初はなんか展開も遅く,やはりホチキスの看板女優がいないと,笑いは随所に盛り込まれてはいるものの,アクセントはないなぁ,ストーリーもホチキスの色が薄いなぁなどと思っていたところですが,いやいや,後半の展開,弾けっぷりは,まったく予想を超えており,さすがホチキス,見事だ米山さんといったもの。これはいいですよ。お気楽にしっかりと芝居を楽しめます。おススメです。ただ,やはり,個人的にはホチキス=小玉さんというのがしっかりインプットされているので,ほんの少しだけ足りなさを思ってしまうところです。

ともだちのそうしき

ともだちのそうしき

RONNIE ROCKET

大吉カフェ(東京都)

2012/05/26 (土) ~ 2012/05/27 (日)公演終了

満足度★★★★

いろんなバージョンを観る楽しさも
女性2人バージョンの内ふた組を拝見。

それぞれの世界の完成度に加えて
バージョン感のテイストの異なりも面白くて。

作品の懐の深さを実感

ネタバレBOX

この作品は演劇形式でもリーディングでも何度も見て
内容もよく知っている作品なのですが
にもかかわらず、それぞれの役者たちが織りなす時間に、
観る側が既知の作品であることを忘れさせる
豊かなテイストがあって、
しっかりとその流れを追わせてくれる。

17時の回は冒頭からキャラクターがしっかりと作りこまれていて
観る側をあっという間に二人の時間に引き入れる力があって・・・。

二人がそれぞれに戯曲を読み込んでいて、
お互いの手の内に作品の流れが明確にあって
だからこそのしっかり見切った距離感や
阿吽の呼吸が生まれていて。
でも、そこに収まるという感じが役者に観られないのが凄く良い。
醸し出された膨らみから、
互いに踏み出し
さらに生みだされたビビッドな奥行きには
戯曲の行間をさらに超えた
ふたりの空間を感じて。

両方とも関西出身の役者さんなので、
個人的にそのキャラクターの染め方や
間のとり方にも、抜群の安定感があって、
しかも、空気が貫かれていても、
佇んだり澱んだり硬直することなく
しなやかに膨らんでいく。

ほんと、満ちたパフォーマンスでした。

20時の回、前回の公演と同じ役者での公演予定が
そのうちの一人が急病とのことで
急遽代役を立てての公演。
稽古も通常よりはるかに少ない状態での
本番だったそう。

でも、二人の役者たちは
焦ることなく、たがいに空気を探りながら
ゆっくりと自らのペースを撚り込んで
その場の物語を組み上げ、広げていく。
冒頭の数分には、
観る側にも息をつめて、
二人に現れるテイストを探る感じがあったのですが、
それが、戯曲に重なり始めると
これまでのどのバージョンにもなかった
初対面の場のリアリティに変わって・・・。

一旦物語が解け始めると
それぞれの役者たちが
自らの紡ぎあげる色を楽しむような風情が生まれ始める。
刹那にそれぞれが自らの世界を組み込み、
すると、それを受け取り自らにとり込んでの
色のふくらみが生まれていく。
そのシーンごとの空気が、
観る側を強く惹きつけてくれる。

本当に一瞬の空気の澱みや
投げっぱになった印象がなかったわけではないのですが、
それも含めて、場に現れてくるものに、
これまでのバージョンとは異なる
様々なフォーカスのビビッドなおもしろさがあって
気が付けば二人が互いに醸し出す世界に
すっかりと身を委ねてしまっていて。

前回観た、予定されていた役者の方でのバージョンも
非常に高い完成度があって
囚われてしまったのですが、
今回のバージョンには、
それと全く異なるベクトルの吸引力が生まれていて。

このフォーマットの懐に深さに舌を巻き、
さらにいろんな役者さんが、
そのパフォーマンスで生みだす世界を
観たいと強く思いました。



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