最新の観てきた!クチコミ一覧

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火男の火

火男の火

「火男の火」製作委員会

紀伊國屋ホール(東京都)

2013/08/03 (土) ~ 2013/08/06 (火)公演終了

満足度★★★

骨太な作品です。
 熱演は伝わってくるのですが役者さんの演技力にばらつきがあり登場人物の個性が微妙に表現しきれていない印象が感じられました。
 ただ、作品自体は、人によって相当好き嫌いが分かれると思いますが、報われることのない境地にありながらも胸にくすぶるなにかに火をつけようと懸命にもがく主人公を含めた人々の姿と運命の非情さを描いた骨太な作品で、人間の深部をえぐりだしてゆくストレートな描き方やラストへ向けての話の展開の仕方などはなかなかよくできていると思いました。

「空のハモニカ-わたしがみすゞだった頃のこと-」

「空のハモニカ-わたしがみすゞだった頃のこと-」

てがみ座

座・高円寺1(東京都)

2013/08/01 (木) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★

美しい言葉
どの台詞も美しく、胸にしみいるようだった。
特に素敵だったのは序盤の女二人の出会いのシーン。ケンカ腰で来たのに次のシーンでは一気に距離が縮まり親友になる。そこに全く無理がなく、クボカンさん演じる持井の立ち位置も絶妙でした。
演出も全体的に目新しさはないが過不足なく研ぎ澄まされていたように思いました。

『もしイタ』2013ツアー

『もしイタ』2013ツアー

青森中央高校演劇部

国立オリンピック記念青少年総合センター・カルチャー棟・小ホール(東京都)

2013/08/05 (月) ~ 2013/08/05 (月)公演終了

増幅するメッセージ力 3.11発

セットすら、照明すら、効果音すら、音響すら なかった。

何故か。


東日本大震災の被災地、つまり小学校で、避難所で、瓦礫が見守るなかすぐさま上演できる演劇を志向するからである。


青森中央高校演劇部員たちの、「被災者の方々に観てもらいたい」という たった一つの想いを形作ったのが、『もしイタ』なのだ。

先に示した「なかった」の例として、照明を挙げたと思う。
広い舞台のなかで、「ここだけを観てほしい」スポットライトの技術も今作はお蔵入りだ。
だから、背景を形作る役者一人ひとりに、観客のスポットライトは自由自在で降り注ぐ。

それは、仲間から遅れた一羽のカラスであり、紙パックのストローを吸う生徒であり、ホテルの壁掛け時計の針である。
甲子園大会青森県予選を巡る、地元の野球部員と岩手県より やってきた高校生の交わりこそ、私たちに訴え掛ける真骨頂だろう。

ただ、その展開の後ろ、あるいは真横で役者によって形作られる 背景が立体感を与え、観客にとっても重層構造だった事実を無視してはならない。


甲子園を目指す球児•マネージャー•イタコの姿が眩しかった。


高校野球をスローモーションで描く あの身体は躍動感そのものではないか。ボールなど必要なかった。


3.11から 年月が経って なお、『もしイタ』のメッセージ力は増幅し続ける。





「バカの瞳はもれなく綺麗」

「バカの瞳はもれなく綺麗」

GORE GORE GIRLS

北池袋 新生館シアター(東京都)

2013/08/06 (火) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

ブッ跳んだ発想が楽しい
終盤がやや弱い感あるも、冒頭の「外国映画に出て来る誤った日本像」的な地方から見た東京像でツカミはオッケー、本題部分もナンセンスだったりシュールだったりでその発想の跳び具合が楽しい。
ま、一部地域の方は「ディスられた」と怒るかも知れないけれど、あくまでフィクションということで。あれを架空の地名にしてしまうと意味合いが違ってしまうもんなぁ。
上演時間は約70分。

春琴 Shun-kin

春琴 Shun-kin

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2013/08/01 (木) ~ 2013/08/10 (土)公演終了

満足度★★★★★

評判通り
過去ご覧になった方々の、満足度が高いので、観劇。評判通り、素晴らしい作品でした。正直なところ、深津絵里さんに、あまり魅力を感じていなかったのですが、特に素晴らしく魅力的でした。照明も心情も、陰影が醸し出す濃厚さが、良かった。ナレーター役の方の豊かな朗読、佐助の若かりし姿も晩年も、素晴らしかった。三味線の音色も素晴らしく、作品に深みを、与えていて良かった。

ネタバレBOX

人形を使うことで、より幻想的であったり、よりリアルに感じたり・・・
畳の使い方も面白く、様々な空間を作り出すのに成功してました。
鳥の見せ方とか、蝋燭の炎とか、…魅力的な演出でしたが、日本『和』を強く意識して演出されているような感や、ラストの三味線が潰れるシーンに、やや、過剰に感じる点も、あった。

全役者さん、素晴らしかったのですが、春琴の痛みや弱さよりも、佐助の美しさを、強く出していた演出が、ちょっと、気になりました。
ので、カーテンコール6回だったけど、、、私の中では、そこまでには、、、大満足なんだけど、、、



「バカの瞳はもれなく綺麗」

「バカの瞳はもれなく綺麗」

GORE GORE GIRLS

北池袋 新生館シアター(東京都)

2013/08/06 (火) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

おもしろかったです
ステージ上に長机と何脚かの椅子。

ネタバレBOX

シンプルだなぁと思っていたら、商工会議所、という設定。宇宙人はいるというのが大前提の、またそれ信じなきゃ活動してる意味ない消防団。地方⇔東京の図式は一時期の松尾さん思い出してしまった。ラストは、こういう着地の仕方かぁ〜、という。でもこうじゃないと持たない気もしました。
鬼灯町鬼灯通り三丁目

鬼灯町鬼灯通り三丁目

劇団桟敷童子

西新宿成子坂劇場(東京都)

2013/07/30 (火) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★

スイカ組
初めての劇場、とても小さな中にセットが組まれており、客席との境界もないような、客席を含めてのセットの印象を受けました。 そのせいもあるのでしょうが、とても濃密濃厚な時間を過ごさせてもらいました! 時代設定が戦後すぐな為に、その頃の人たちの気持ちや想い、すべてをリアルには感じとれなかったですが、面白かったです。 ラストの終わり方も良かったです! 鬼灯のあかい色が印象的でした。

ファミリアー

ファミリアー

ミナモザ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/07/29 (月) ~ 2013/07/30 (火)公演終了

満足度★★★★

魅力が凝縮
アフタートークでも触れられてましたが、リーディングだからこその魅力の詰まった作品だと思いました。原作の本は未読だし、動物も飼ったことがない自分が、こんなに心動かされるとは思いませんでした。子供でも見れるバージョンの上演も、実現すると素敵だなと思いました。

彼らの敵

彼らの敵

ミナモザ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/07/24 (水) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧倒っっ!!
物語の内容も演出もキレキレで、観劇後に我が身を振り返ってゾクゾクする様な観劇体験でした。ラストシーンも含め、何度もゾッとするような緊張感のあるシーンがあり、この体感は演劇だからこその、一回性の感動・興奮だなと思いました。出演者も、他の劇団公演でもっとこの人の芝居を見たいと思った人達ばかりで、本当に贅沢な時間でした。

不思議の国のアリスより

不思議の国のアリスより

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/07/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

『不思議の国のアリス』
『不思議の国のアリス』

児童文学の世界では,挿絵は,作品の重要な一部である。作家ルイス・キャロルと,画家ジョン・テニエルは,歴史的な出会いであった。さらに,1832年生まれのキャロルは,1852年生まれのアリス・リデルと運命的な出会いをしている。オックスフォード大学の寮に,リデル一家がやって来た。当時,次女のアリスは,三歳であった。キャロルの趣味は,写真だった。レンズを通して,キャロルとアリスは見つめあった。そして,キャロルは,アリスの心をつかんだ。キャロルとアリスの出会いから,約160年が過ぎた。

テニエルが描いた美少女,実際には栗色のショート・カットであったが,金髪の美少女になっている。テニエルは,パンチ誌に勤務しながら,生涯38冊の本の挿絵を描いた。29歳のとき結婚したが,二年後に愛妻に先立たれた。師であり友であるジョン・リーチは,『クリスマス・キャロル』(ディケンズ)の挿絵画家である。テニエル(1820-1914)は,『船長の降船』で,プロイセン宰相のビスマルクを描いている。普仏戦争に勝利し,1871年ドイツは統一された。1890年皇帝ヴィルヘルム二世によって,ビスマルクは辞職に追い込まれる。そのときの風景である。テニエルは,20歳のとき,事故で左目を失明している。キャロルとの共同作業は,二作。アリスの中に出て来る白ウサギ,それは,どこかで一度は見ているようなイメージがある。ヴィクトリア朝時代,テニエルの挿絵で,アリスに親しみを覚えた。懐かしい気持ちになれたのだ。

『アリス』に人気が出て,キャロルは,劇化したいと思うようになった。挿絵も,当初自分で手がけようとしていたので,自分で脚本は書きたい。舞台装置も決め,俳優を選び,音楽などの演出もしたかった。キャロル自身,芝居好きであった。未完成ながら,四幕ものを手がけたこともあった。舞台上でアリスを見たいというキャロルの夢は,容易に実現できなかった。ここで,劇作家・演出家,サヴィル・クラークは,『アリス』を劇化しようとキャロルに提案する。キャロルは,これを受入れ,共同で舞台版『アリス』を作る。これは,1886年に上演された。キャロル自身は,二度上演を目にした後,亡くなっている。この演劇は,18回上演された後,衰退する。演劇としての『アリス』には,どのような問題があったのだろうか。

クラークは,子どもだけで上演したかったが,キャロルは,演技力のある大人をその中に入れるべきであると考えた。9歳下の,マイナーな劇作家に,キャロルは多くの意見を言ったが,演劇において自分はしろうとであるとの自覚はあった。初年度は好評であったが,その後は下火になっていく。キャロルは,演劇においても,もう少し言うべきは言わないといけなかった。

プリンス・オブ・ウェールズ劇場の幕があがる。妖精たちは,アリスを不思議の国に呼び起こす。わきでイモムシがパイプを吸う。白ウサギが,舞台を横切る。声をかけた白ウサギに,アリスは無視される。アリスは,チェシャ猫と踊り,歌う。そこに,帽子屋と,三月ウサギと,ネムリネズミがテーブルを用意する。帽子屋は悪いやつ。帽子屋は気違いだ。そのとおりさ。そのとおり。トランプたちが,入場する。女王は,チェシャ猫を処刑せよと言う。ハートのジャックには,罪はない。当時,『アリス』は子どものファンタジーに思われていた。その後,あらゆる大人の心をときめかすナンセンスの傑作となっていく。

挿絵画家テニエルは,『アリス』の持つ魅力を倍増した。これに対し,劇作家サヴィル・クラークはあまり評価されていない。キャロルのアドバイスでは,二作を融合させるのは至難であった。サヴィル・クラークは,凡人だったので,これに失敗した。後に続く者たちは,二作を上手に融合させている。一貫したストーリーはない『アリス』では,むしろ大胆な発想ができる。むしろ奇抜な場面を楽しむべきなのだ。常に新しいものを求めることこそ,『アリス』なのだ。芝居は,常に刷新されるべきものだ。芝居そのものを残すのでなく,人々の記憶に残る作品を作りたい。『アリス』の舞台化に失敗したサヴィル・クラークは,52歳で亡くなっている。1898年,サヴィル・クラークの『アリス』は,ミュージカルではなく,オペラとなった。

チャールズ・ラトウィッジ・ドットソン(1832-1898)は,牧師の息子だった。兄弟は全部で11人いて,彼が長男であった。11歳のとき,ダーズベリから,クロフトに移住している。母親は,47歳で亡くなっている。1868年には,牧師である父親が急逝している。児童文学としては,『不思議の国のアリス』は,まさに不思議な物語である。兄弟もいないし,友達を見つけようともしない。感銘する大人も出て来ない。冒険により,成長する主人の姿も見えない。ただ,ただ,アリスは誇り高い。キャロルの作品は,どういう出発点から生まれたのだろうか。

アリスは,未知の国に一人で迷いこむ。私はだれなの?お前はだれ?大きさが変わることは,別人になることなのか,否か。アイデンティティとは何か。イモムシの変態,身体が少しくらい変わっても,別人にはならない。自分がだれかは,自分ではなく,相手が決めるもの。ここにいるものは,みんな狂っている。おまえもだ。自己のアイデンティティの決定権をほぼ完全に他人にゆだねる。我慢ならない不条理の世界に,アリスは投げ込まれる。ひとびとが疑いを持たない地位・身分なんて,脆いものなのだ。背景がちがえば,価値などないのだ。

キャロルは,成長するにつれて,リデル家と,アリスと切り離されていく。キャロルとリデル家は,もともと住む世界がちがったのだ。横柄で冷酷な女王,人がいいだけの愚鈍な王,彼らのキャラクターは,実在したのだ。アリスを愛するキャロルから,遠ざけた無粋な大人たち。『アリス』作品中に出て来るのは,おかしげな大人の影,理解されないキャロル自身が批判的に感じた価値観だ。しかし,気位の高さ,と使命感に燃えるアリスは美しい。アリスのアリスらしいところは,自分を信じる勇気ある子どもであることだ。

参考文献:出会いの国のアリス(楠本君恵)

ミュージカル「王様と私」2013

ミュージカル「王様と私」2013

一般社団法人映画演劇文化協会

はつかいち文化ホール・さくらぴあ(広島県)

2013/08/04 (日) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しかったです。
満員でした!!
楽しくて、でも考えることもあり観ごたえはありました。
子役が可愛い。

桜の園

桜の園

時間堂

日本基督教団 巣鴨教会(東京都)

2013/08/04 (日) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★

予備知識があったのが幸い
主要人物3人に絞り、他の人物は台詞も含めて省略するという大胆な手法の小1時間。
吉田秋生原作・じんのひろあき脚本の「櫻の園」を観て概略・人名と相関関係・一部の台詞などを知っていたのでついて行けたしそれなりに楽しめたが、予備知識なしだったら厳しかったろうなぁ。

「空のハモニカ-わたしがみすゞだった頃のこと-」

「空のハモニカ-わたしがみすゞだった頃のこと-」

てがみ座

座・高円寺1(東京都)

2013/08/01 (木) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★

役者さんがよかった
脚本家の長田育恵さん主宰の劇団ということだが、個人的には、脚本よりも役者さんの演技がとても印象的だった。と言っても、役者を活かす脚本こそ良い脚本だともいえるので、そういう意味では、脚本も素晴らしい。

役者さんは、皆よかったが、特に、

てる役:今泉舞さんが金子テルを見つめる姿はとても印象的だった。

金子テル役:石村みかさん、坂口秋枝役:福田温子さん、持井肇役:久保貫太郎さんも、とても印象に残った。

私が観た千秋楽には、作品の中にも登場する上山房子さん(金子みすずの娘)本人が、観劇に来ていて、最後に舞台に上がって挨拶をしていた。
これもとても感動的な場面だった。

飛龍伝

飛龍伝

COTA-rs

シアターサンモール(東京都)

2013/08/01 (木) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★

わからなかった。
作品の内容的には、つかさんの脚本ということで面白かったが、それが演出レベルでうまくいっているとは思えなかった。何が中心なのかわからなかった。

鬼灯町鬼灯通り三丁目

鬼灯町鬼灯通り三丁目

劇団桟敷童子

西新宿成子坂劇場(東京都)

2013/07/30 (火) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

役者の層の厚さ 「スイカ組」
「ホタル組」を観てからの「スイカ組」だったので、こちらは比較して書きます。ネタバレボックスにですが。

ネタバレBOX

スイカ組について

<松尾大吉役:稲葉能敬さん>
 ホタル組の井上さんが時代に振り回された男の軽さと、滑稽さを演じているように見えたのに対して、稲葉能敬さんの演じる松尾大吉は、重い。
戦争で味わったものの重さを抱えているように見える。すべてのシーンに松尾大吉の影が見える。それはとても人間くさい。欲望の匂いがする。
戦争の論理、つまり男の論理を戦後まで引きずっているように見える。
井上さんとは好対照。どちらも、それぞれに素晴らしいかった。

<松尾弥生役:徳留香織さん>
 こちらも、ホタル組の大手忍さんとは好対照。大手さん演じる松尾弥生がすぐに感情を露わにする強い女性なのに対して、徳留さん演じる松尾弥生はちょっとしたことでは感情を露わにはしない。そのため、一見穏やかそうに見えるのだが、ひとたびスイッチが入ると、溜まっていたものが堰を切って流れ出し暴力的な一面を覗かせる。落差が大きい分、こちらの女性の方が怖い。
 その人物像の違いが、狂気の質の違いにもなっている。これは大手さんの演技が、どこかで時代などの大きなものによって追い込まれ、やり場のない怒りを抱えているように見えるのに対して、徳留さんの演技では目の前の現実に押しつぶされているように見え、さらに松尾大吉にその怒りを向けているように見える。
 時代に追い込まれているのか、目の前の現実に追い込まれているのか、という印象の違いは、作品の印象を大きく変える。ただし、これは、大手さんと、徳留さんの違いだけではなく、松尾大吉役の井上さんと稲葉さんの違いもその印象に大きく影響している。井上さん演じる松尾大吉は、純粋に見えるので、責任の所在は彼にはないように感じる。それに対して、稲葉さん演じる松尾大吉は、戦争を引きづっているように見えるため、責任を彼に向けたくなる。

<番場鶴江役:山本あさみさん>
ホタル組の芝居が、夫婦を中心に描かれているように見えるのに対して、スイカ組は、徳留さんの演技が引いた演技だということもあり、その分、番場鶴江役:山本あさみさんの演技が前に出る。
山本さんも、ホタル組の番場鶴江役:鈴木さん同様に、強弱がとてもうまい。それに、台詞をしゃべっていない部分でも、細かい演技がとても豊かで魅力的でもある。ホタル組同様、番場鶴江役が場を作っているように見えるが、他の役者さんとの関係で、こちらでは、番場鶴江役が前に出て見える。

<鍋島小梅役:外山博美さん>
ホタル組の川原洋子さんとは対照的。ホタル組の松尾大吉役井上昌徳さんと近い印象。とても軽い。元娼婦という憂いなど微塵も感じさせない。それが、とてもよかった。その軽さによって、舞台が深刻になりすぎずに済んでいる。また、軽いが故の切なさも孕んでいた。


総じて、配役のバランスが絶妙だと思った。それを演じた役者さんたちの演技力の素晴らしさは言うまでもなく、それと同時に、この配役のバランスによって、それぞれの個性が最大限に活きていると感じた。
グレイハウンド'88

グレイハウンド'88

女王陛下

駅前劇場(東京都)

2013/07/31 (水) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★

観劇の感想です.
女王陛下、面白くて大好きです.
役者さんが皆さん濃くてすばらしいし、これだけ非日常のファンタジーな世界をすてきに表現できるのが本当にすばらしいです.
見終わった後はいろいろまねして遊んだりしています.思い出すたびに幸せになれます.
ミュージカル仕立てなので少しオーバーめの芝居や演出がとてもキュートで楽しいです.
ロイヤル....のくだりは最高でした!





鬼灯町鬼灯通り三丁目

鬼灯町鬼灯通り三丁目

劇団桟敷童子

西新宿成子坂劇場(東京都)

2013/07/30 (火) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

役者の層の厚さ 「ホタル組」
4人によるシンプルな舞台なので、役者の演技を思う存分堪能できた。

「ホタル組」「スイカ組」合わせて8名の役者さんが演じるが、全員がそれぞれに魅力的。同じ芝居でも、役者が違うと舞台がまったく違う印象になる。

別の芝居を観るように楽しめた。
また、観比べることで、役者と演技・演出の関係についてとても勉強になった。

とにかく、桟敷童子の役者の層の厚さに圧倒された。

ネタバレBOX

「昭和二十一年の夏
 男が戦地からやっとの思いで帰り着いた我が家には
 初恋の人を待ち続ける妻と、見知らぬ二人の女がいた・・・」(当日、パンフレットより)という話。

帰ってきた男:松尾大吉が、偉そうに、女に「戦争もしてないお前らにはわからないんだ」という主旨のことを言う場面がある。
そこで、番場鶴江は、「男だけやない、女・子供も戦争してたんや。そもそも男が戦争しよ言わなんだら、戦争など起きへんかったんや」(方言が正しくなくて、すみません)というようなことを言う。
このシーンはとても印象的で、この芝居トーンはここに象徴されている。戦争という男の論理・男の暴力に対して、戦後になっての女(弱い者)の立場から反撃がなされている。


「ホタル組」について

<松尾大吉役:井上昌徳さん>
演技というより、井上さんの人間性からくるものなのだろうが、
「まっすぐ」な感じがとてもよかった。
戦中は戦争に振り回され、生還してもまた戦後の日本に振り回される一人の実直な男の姿が、本来は悲劇的なはずなのに、とても喜劇的に見える点が素晴らしかった。深読みすれば、戦中は戦争という男の論理に振り回され、帰還後は生活や感情という女の論理に振り回されるという解釈も成り立つ。いずれにせよ、時代に振り回され続ける人間の姿をこれほどまでにうまく演じる、いい意味での軽さがとてもよかった。

<松尾弥生役:大手忍さん>
松尾大吉役:井上昌徳さんの軽さに対して、大手さんの抱えているものは重い。彼女が抱えているものは、男が勝手にはじめた戦争や男が作った家制度(つまり天皇制)に振り回された女の苦悩でもある。その鬱屈は、敗戦により、家が(天皇制が)崩壊すると共にに、晴らされたはずだったのだが、家長である夫が帰還してしまったことで、行き場のないものとなる。それに、愛し待ち焦がれている初恋の人は戻らない。そして、鬱屈は怒りへ、そして狂気へと変わる。その様をとても熱量のある演技で魅せてくれた。

<番場鶴江役:鈴木めぐみさん>
強弱、緩急が絶妙だった。自身の演技の緩急というだけではなく、他の役者さんとの掛け合いで、出るところと出ないところをわける間合いも素晴らしかった。井上さんや大手さんが強い演技なので、一見鈴木さんの印象は薄めなのだが、実は鈴木さんが、どっしりと構えて全体のバランスをとっているという印象。彼女が実は場を作っているとさえ言える。自分を表現するだけが役者じゃないという点には、改めて驚いた。

<鍋島小梅役:川原洋子さん>
一番地味なのだが、実は、松尾弥生役:大手忍さん以上に、闇が深いのは、こちら。その背負っているものの深さ・奥行を一番感じさせられた。実は演技で一番印象的だったのは川原さんの演技。お金のために身を売らなくては生きていけない女の姿、それは戦前も、戦中も、戦後も変わらない。進駐軍に街娼が追われている時に見せた、鍋島小梅の怒りの中には、「自分の意志では抜け出せない場所に追い込まれながら、それでもなんとか生きようとしている者をも殺そうというのか」という思いがあったのだろう。
cocoon

cocoon

マームとジプシー

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/08/05 (月) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

初日
わたし、事件を目撃しました。
語れる気がしません。体感しに行ってください。

アングラ部分は飴屋さんの影響かな。
いやはや、すごいものをみたぞ。
これをマチソワやるのは精神的にも肉体的にも厳しそう。
追加公演も決まったし、後半ボロボロになっていそう……
お早めに!

雲の影

雲の影

スポンジ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/07/24 (水) ~ 2013/07/31 (水)公演終了

満足度★★★★

よかったです
この劇団いつもどんな話だろ?とワクワクして観に行くのですが、今回も期待を裏切らないクオリティーの高さ。独特の話作りには毎回唸らされます。実にイイですねー。しかし、男の友情は身を滅ぼすのかな。

鮫に喰われた娘

鮫に喰われた娘

INGEL

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2013/07/31 (水) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しめました
いろいろとゼイタクな舞台でしたね。椅子の座り心地はいいし、話もシュールでブっ飛んでいて、実に面白い。役者さん達も個性的でしたし。無理を言えば、もうちょっと上演時間を短くして欲しかったです。

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