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第79回「a・la・ALA・Live」

第79回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

座・高円寺2(東京都)

2024/04/03 (水) ~ 2024/04/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

バラエティに富んでいてとても楽しめました!
観客も含め会場全体で楽しもうという思いが伝わってくる
演目もあり思わず笑みがこぼれました。

 三月大歌舞伎

三月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2024/03/03 (日) ~ 2024/03/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「円熟の『御浜御殿』」

 真山青果が徹底した資料考証をもとに創作した『元禄忠臣蔵』は新歌舞伎の名作として知られている。なかでも1940初演年の「御浜御殿」は科白劇の傑作である。本作をたびたび手掛けた当代仁左衛門による綱豊を観るのは17年ぶり2回目である。

ネタバレBOX

 江戸城松の廊下で浅野内匠頭が吉良上野介を刃傷に及んでからおよそ1年あまり、次期将軍と目される徳川綱豊(仁左衛門)の別邸の浜遊びに、赤穂浪士の富森助右衛門(幸四郎)がやってくる。助右衛門の目的は、浜遊びに招かれている吉良上野介の顔を見ることだった。綱豊は助右衛門を呼び寄せ、浪士たちは浅野家再興を望んでいるのか、あるいは主君の仇を討とうとしているのか探りをいれる。この二人のやり取りが本作の白眉である。

 仁左衛門の綱豊は上の幕のお浜遊びでゆったりほろ酔いの様子の登場がまず周囲を華やかにさせる。中の幕で屋敷にブレーンの新井勘解由(歌六)を呼び寄せ浪士たちに討ち入りをさせたいと本心を打ち明ける、そのときに歌六の勘解由が「したり!」と返すその間が絶妙だった。

 いよいよ下の幕で綱豊と助右衛門のやり取りとなる。ここは幸四郎の助右衛門がいいから盛り上がる。この助右衛門はごく普通の朴訥な青年であり、彼が意地を張るほどに仁左衛門の綱豊がおおらかに包み込むような、遊ばれることを遊ぶような大きさを見せていて面白い。終盤で助右衛門が吉良と思い飛びかかろうとするところを静止するくだりも二人のイキが合っており、かつ仁左衛門のキレイさが際立って見応えがあった。
詩×劇 つぶやきと叫び~ふるさとはいまもなお~

詩×劇 つぶやきと叫び~ふるさとはいまもなお~

遊戯空間

上野ストアハウス(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★


「言霊を舞台に乗せる」

 福島在住の詩人・和合亮一が、2011年3月11日の東日本大震災の発生直後からツイッター(当時)で発信した言葉を編み刊行し大きな反響を呼んだ原作を、過去にも和合作品を度々手掛けた篠本賢一が舞台化した。

ネタバレBOX



 冒頭、仮面をつけた女が佇む舞台に向かい客席後方から出演者たちが「黙礼」と題した言葉を読みあげ入場する。こうして和合が発した言葉の数々が、ギリシャ悲劇のコロスのような能楽の謡のような俳優たちによって重層的に、立体的に構築されていく。

 度重なる余震や緊急地震速報のアナウンス、福島第一原子力発電所の爆発による放射能被害など、13年前に観客の誰しもが震撼した災事が頭をよぎり、思わず身を震わせる。言葉を発することでかろうじて正気を保とうとした、和合に象徴される被災者の苦境に思いを馳せた。ただ警報音を用いた演出や災害を扱った内容であるため、事前のアナウンスは必要であったように感じた。

 物語は出演者が群読に合わせ鬼の面を被った女が舞うなか終わる。死者への鎮魂、中央政府への怒り、望郷の想いなどさまざま織り込まれていて圧巻であった。
ナマリの銅像

ナマリの銅像

劇団身体ゲンゴロウ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

「イメージの飛躍が際立つ歴史劇」

 2022年初演の劇団代表作の再演である。私は最終日のAキャストを鑑賞した。

ネタバレBOX

 圧政に苦しむ島原の少年益田四郎(初鹿野海雄)は内気で人付き合いがうまくない。友人のハチ(小林かのん)とともにほかの少年たちのからかいの対象となっている。彼らがバイトしているパチンコ店では年貢を納められない百姓たちや、パチンコ玉を拾い陰で銅像を造って売っているナマリ(山﨑紗羅)らがたむろしているのだった。ある日声が出なくなった店長(越智愛)にけしかけられて四郎が客寄せのマイクパフォーマンスをすると皆は一気に惹きつけられる。

 四郎の隠れた才能に目をつけた山田(四家祐志)は一揆軍に加わらないかと誘う。手品の仕掛けに四郎の見事なアジテーションも相まって、山田は四郎を神の子として皆に認めさせることに成功する。こうして一揆軍は原城に籠もり叛乱を続けるのだが……

 私が面白いと感じたのは天草四郎が創られた神であったという取材をもとにさまざまなイメージを作中に展開させた点である。一攫千金を狙う農民たちがパチンコ店に詰めかけ、それをまた搾取する店長という構造を圧政に苦しむ農民に重ねたり、ナマリが銅像を造って売るという行為に四郎の崇拝化を重ねるなど、穏当な歴史劇にしなかった点が面白い。

 しかしこのイメージの豊富さとは裏腹に作劇自体はもう一捻り必要と感じた。一杯飾りのシンプルな舞台にもかかわらず場所の設定がたびたび変わり、一部の俳優が何役か兼ねるため、いま一体何を観ているのかわからなくなっていく事態が頻発した。山田が代官と通じているというのも平板であったし、そのため窮地に追い詰められた四郎の絶望や、神を失いかけた一揆軍の疲弊がまざまざと伝わってこなかったのが残念である。

第79回「a・la・ALA・Live」

第79回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

座・高円寺2(東京都)

2024/04/03 (水) ~ 2024/04/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/03 (水) 14:30

演劇、ダンス、マジック等、大人も子供も楽しめるエンターテインメントのステージで最高でした!

天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

少ない人数でよど号ハイジャック事件(1970年3月31日)をよく描いた。脚本の工夫には感心。自分は山村新治郎が次女に刺殺された事件(1992年)や田宮高麿の怪死(1995年)など後追いで事件に興味を持った口。当時『噂の真相』や『創』なんかを毎月買っていた。
未だによく判らないのが共産主義の魅力。戦前の太宰治的キリスト教文脈の解釈としての憧れならば理解出来るのだが。ただ“革命”に参加したくて、それを肯定する理由付けの為だっただけなんじゃないかと。大義名分による暴力衝動の正当化。

テーマは「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」。
ギリシャ神話に登場する女神テミス(=ローマ神話のユースティティア)像。目隠しをして左手に秤、右手に剣を持つ。秤は善悪を量る「正義」を象徴し、剣は裁く「力」を象徴、目隠しは「法の下の平等」を。1872年、ドイツの法学者ルドルフ・フォン・イェーリングの『権利のための闘争』から。その元となったのはフランスの哲学者ブレーズ・パスカルの死後、1670年に発刊された遺稿集『パンセ』の一節、「力のない正義は無力であり、正義のない力は圧制的である」。

機長役、祥野獣一氏が物語の重心となる。
山村新治郎役、山村鉄平氏が事件を追想する額縁。
ハイジャック犯、田宮高麿役は高橋亮二氏。乗客達に「(退屈しのぎの為、)希望者には自分達が持ち込んだ本を貸し出す」と告げて書名を読み上げる。このシーンが一番観客が沸いた。

乗客の生命、安全を最優先にすることが日本航空乗務員の“正義”。
“革命”の為にどんな障害があろうとも計画を遂行することがハイジャック犯の“正義”。
今、最優先すべきものは何なのか?その判断の根幹、“核”になるものとは果たして何なのか?

ネタバレBOX

この事件を起こした共産主義者同盟赤軍派の9人はリーダーの田宮高麿が最年長27歳、最年少の柴田泰弘に至っては16歳の高1。しかも犯行に使った日本刀、拳銃、爆弾など全て玩具でしかなかった。目的は北朝鮮をオルグ(勧誘によって仲間にすること)して“赤軍化”すること。勿論、朝鮮語も英語もできない。こんな無計画な度胸だけの若者達が国家相手に大立ち回りを演じ、見事国交のない北朝鮮に入国したことは世間に衝撃を与える。当時は国家権力は“悪”の象徴だった為、「あいつら凄えことやりやがったな、俺達だって出来る筈、負けてらんねえ。」の気分。ある種、痛快な英雄でもあったのだ。(無論、革命ごっこに夢中な愚かな連中と白眼視もされていたが)。

この人質を取って荒唐無稽な要求を国家に呑ませるというアイディアは、ゴジが撮った『太陽を盗んだ男』という映画になる。
冴えない中学校の理科の教師が、自宅で原爆を作る。証拠を携えて日本政府を脅迫。要求は「プロ野球中継を最後まで放送しろ。」「ローリング・ストーンズの日本武道館公演を開催しろ。」(当時、ストーンズは前科が問題となって入国審査が下りず)。実は彼にはそれぐらいしか望みはなかったのだ。

この事件の裏の主人公は乗客の中にいた米国人のダニエル・マクドナルド神父。彼はどうもCIAのエージェントだったらしく、北朝鮮で尋問を受けることを米国は危惧。日本と韓国に、北朝鮮には絶対に行かせないよう要請。朴正熙(パク・チョンヒ)大統領はKCIAに命じ、よど号を金浦(きんぽ)空港に着陸させた。そして3回、別々の米国人の3人が神父の身代りになりたいと空港に申し出てくる。更に管制塔から神父との交信を求められる。山村新治郎が身代わりになることで乗客は解放され、飛騨号で帰国することに。だが神父の姿は消えてしまい、結局日本に帰ることはなかった。この神父の存在がこの事件をここまで込み入ったものにしている。

一番ぐっと来たのは山村新治郎が母親に電話して「母ちゃん、最後にもう一度、直義(彼の幼名)と呼んでくれないか」と頼むところ。国交のない北朝鮮に行けばどうなることか誰にも分からない状況。死を覚悟した男の名シーン。

後年、山村新治郎は24歳の次女により、寝室で出刃包丁で滅多刺しにされて死んだ。精神疾患を患っていた次女は「心神喪失により責任能力なし」で無罪に。その4年後、飛び降り自殺。

今作の物足りなさはよど号グループ、田宮高麿に全く感情移入していないこと。ただの馬鹿ガキの起こした事件にしてしまっている。これではドラマにならない。“正義”を後生大事に崇めているだけでは何も変わらない。間違った何かを変えるのはいつも“暴力”だ。行動なくして何も動きはしない。そんな異なる“正義”の対立が観たかった。その為には全く別の視点が必須。
前田日明が批判としてよく使うのは、歴史の「後出しじゃんけん」について。結果を知っている現在と、何も結果が未確定の当時とでは評価が違って当然。いつだって闇の中を無我夢中の手探りでどうにか進んできたのが人間の歴史。現在から過去を安易に断罪することの愚かさ、無意味さ。未来から見れば今の世界の“正義”など全くの無意味、ナンセンスなのかも知れない。

ちなみに田宮高麿の子分だったのが後の連合赤軍トップ・森恒夫。田村は森を腰抜けだと馬鹿にしていた。
見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

ことのはbox

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チラシの鮮やかさに惹かれて観劇。この手の作劇はあまり好みではなかったのだが、本作は不思議とのめり込めた。いやらしさを感じなかった。役者の熱演もあったためだろうか。

ナマリの銅像

ナマリの銅像

劇団身体ゲンゴロウ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いい意味で小劇場演劇の王道をいく作品だった。静かな演劇をベースとする今の若い劇団の中では異質な団体かもしれない。とにかく熱量がすごく圧倒された。

(あたらしい)ジュラシックパーク

(あたらしい)ジュラシックパーク

南極

インディペンデントシアターOji(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

お客さんの層にびっくりした。いわゆる演劇界隈とは違う人々も取り込んでいる。これからくる劇団なのは間違いないですね。

​骨と軽蔑

​骨と軽蔑

KERA CROSS

シアタークリエ(東京都)

2024/02/23 (金) ~ 2024/03/23 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

KERAさんは本当にずっと面白い。いい意味で若さがずっとあるように感じる。同年代の演出家に感じる若干の痛々しさを微塵も感じない稀有な存在。ファンタジーとのブレンドの巧みさ、音楽のセンスなど技術的意匠も健在です。次回作も非常に楽しみ。

人形の家

人形の家

劇団東京座

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

正直うーんという感じでした。このような形なのであれば今やる必要はあったのだろうか…

いい旅、現実気分。

いい旅、現実気分。

人間嫌い

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

やはりおもしろいですね。楽園との親和性も高かったです。

エアスイミング

エアスイミング

カリンカ

小劇場 楽園(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

戯曲でしか読んだことなかったので。熱演が観れて嬉しかった。
セットも魅力的だった。

見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

ことのはbox

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この演目は何度も観てますが、改めていい脚本ですね!?
あらすじは、基本変わらないので、舞台セットの違いに注目して見てました

ナマリの銅像

ナマリの銅像

劇団身体ゲンゴロウ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

思い切りのよい構成とスタッフワークで、一揆を思春期の人間ドラマという手に取れる形に描ききり、それぞれの人物の思惑を演じきったのが再演の見事な点だ。若さに対してストレートな芝居ができる珍しい団体であり、より大きな劇場での活躍が期待できそう

見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

ことのはbox

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/28 (木) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めて見たが名作という意見にも納得
筋、演技、そして舞台に流れる雰囲気作りが巧みであり、後半の展開には目が離せなかった
今後もぜひ見てみたいと思っている

新ハムレット

新ハムレット

早坂彩 トレモロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

現代にこのような形で舞台に起こした試みがよかった。特に舞台美術は印象的だ

漸近線、重なれ

漸近線、重なれ

EPOCH MAN〈エポックマン〉

新宿シアタートップス(東京都)

2024/04/01 (月) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/02 (火) 14:00

座席1階

前作「我ら宇宙の塵」が非常に面白く、小沢道成という才能を知る。今作は古くからの友人というか、知り合いである俳優の一色洋平との2人芝居。劇場に入ると客席をかなり前まで伸ばした先にある舞台はあちこちに窓がついた斜めの板。結論から言うと、この斜めの板をうまく使うなど秀逸な舞台美術が客席を魅了する。

タイトルの漸近線とは、限りなく近づいていくがけして交わることはない2本の線を指す。最初に一番手前の窓を開けて登場する一色が、新たにこのアパートに入居するところから始まる。あちこちの窓は、他の入居者たちだ。ただ、漸近線のもう片方は入居者ではなく、遠く離れた故郷から出てきた一色の高校時代の友人である。2人の関係だけでなく、漸近線は故郷と都会などというけして交わらない関係をうまく描き出している。
後段で出てくる音楽シーンがすばらしい。詳しくはかけないが、一色の歌声や楽器演奏に客席は引きつけられていく。選ばれた言葉を紡いでいくモノローグや会話は、この舞台の核心だ。大きな悲劇が語られるわけではないのに、客席のあちこちですすり泣きが漏れた。

小劇場ならではの迫力も十分だ。この舞台は面白い。見ないと損するかも。

天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

様々な点で考え抜かれ作り込まれた舞台だと感じた。
開演前のBGM、劇中での言葉遣いや会話の内容、客室乗務員の制服は「時代」を感じさせる。コックピットを模した舞台装置、冒頭の機内アナウンス、音響や照明、そして「楽園」という劇場が持つ濃密感そのものが飛行機内という「場」を感じさせる。
必定、観客は「よど号」の乗客と化している。臨場感や緊迫感が半端ない訳だ。

物語は歴史的事実を正確に追いながら、登場人物の心の機微にも触れていく。速いテンポのセリフの応酬はますます緊迫感を高める。演者さんたち、見事だったな。犯人役の杉浦さんは口角泡を飛ばしていたし、客室乗務員役の吉水さんは終始、目が潤んでいるように見えた。運輸大臣役の斎藤さんの狡猾さも見ものだったし、指導教官役の下平さんのらしさも光っていた。

そして何より吉水さんの脚本がなければこの作品はこの世に生まれてこなかった訳です。脚本の力を改めて感じました。

観終わった時には何時間も経過していたように感じた(大げさでなく)のだが、劇場を出て時計を見たら2時間経っていなかった。これぞ舞台のマジックだ。映像では決して味わうことのできない感覚。これは演劇初心者の人に観てもらいたい作品だなあ。



天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久々の風雷紡観劇。再演だったとの事。好評ゆえとすれば納得である。冒頭でよど号ハイジャック事件が題材と分かる。透明プラスティックの椅子二台を動かすだけの転換で、場面を淡々と構成。「楽園」の狭い舞台で感情が爆発するとダイレクトに波動を受ける。ハイジャック犯一人の他は、機長、副操縦士、CAのキャップと部下二名、行政官(大臣と政務次官)、キャップの先輩も行政サイドに居る、という人物構成で、事件解決に向かう人物たちの群像だ。乗客がゼロ、ハイジャック犯が一人(ここはやや気になったが)でも、この歴史的事件をうまく現代に浮かび上がらせ、観客に強い関心を持って事件を見据える事を促している。各場面が事態の進行と共に人間模様の簡潔な描写を兼ねて面白い。後半の展開のテンポも良い(程よく間を省いている)。

ネタバレBOX

改めてよく出来た作劇、テンポ感、照準の絞り方、広げ方がよく、蠱惑的な空気があったのだが、何故だろう?と考える。答えは見つからないが、やはりこの劇団の特徴である「左翼」の歴史に分け入ったドラマである点が一つ、考えられる。ハイジャック犯の役は一人で代表させている点では、ステロタイプを担わせ、グループメンバーそれぞれ背景の異なる個人の人生までは分け入ってない。が、理想を望む情熱と、打算の振れ幅を体現させ、観客目線では身近な存在として見る事を許している。
もっとも、法を犯した者を絶対悪としがちな昨今の風潮では、予め悪人と見、韓国の金浦空港に騙して連れて来られた後に人質入れ替えにより平壌へ向かう算段が付いた時の犯人の浮かれた名調子、演説の軽薄さに「悪の烙印」を押させてもらって溜飲を下げた、といった感想があってもおかしくない。
「悪」には両義性、多義性があり、ルールがそう決まってるから悪とされているに過ぎない悪もあれば、たとえ法に規定がなくとも倫理上はどう考えたって「悪」だろうという事もある。こういった題材はそれを考えさせる。
旅客機の乗客の代わりに人質となった外務官僚のその後の顛末として、ある悲劇が冒頭とラストで僅かに紹介され、恐らく史実をなぞったものと思われるが、ドラマの中に意味的に取り込みづらい。単なる英雄譚で終わらせられなかった人生への大いなる謎。
とは言え、よど号犯人たちのその後は決して「楽園」でのそれでは無かっただろう事と、波長として重なり合うものがある。

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