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諸国を遍歴する二人の騎士の物語 風に吹かれてドンキホーテ 交互公演

諸国を遍歴する二人の騎士の物語 風に吹かれてドンキホーテ 交互公演

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/15 (水) 19:00

座席1階

Pカンパニーの別役実シリーズ。「諸国を遍歴する」を鑑賞。不条理の中にもいくつか笑いがあるのが別役さんの芝居のいいところであり、不条理でも安心できるところなのだが、今作はさすがに笑えない。不条理の果ては背筋が寒くなる展開である。

舞台は「移動宿泊所」という看板を樹木に引っかけた宿屋で、テントの中にベッド、その脇に簡素なテーブルだけ。ここを訪れる医者と看護師、牧師、そして二人の騎士と部下というメンバーで話は展開する。テーブルにさりげなく置いてある水差しに下剤を入れて、体調が悪くなったのを見て治療をしようとか、死んだら祈りを捧げてあげようとか、医者や牧師は自分の仕事で儲けようとする下心からスタート。その先は何でこうなるのかという「事件」が次々に起きていく。背筋が寒くなるというのは、次々に起きる事件の後味がよくないからだ。

これぞ別役ワールドというわけなのだが、Pカンパニーが上演した「トイレはこちら」のような笑いはない。手厳しい展開になっていく今作の方が、この世の中で生きていると身近に起きる裏切りとか、策略とか、見たくないものが眼前に現れ、世の中の不条理を浮き彫りにしている。

レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最初から最後迄、ボーっとしてる暇もないくらい、舞台を観いってしまう迫力がスゴい。
入ってすぐ、インパクトのある音響で、もう役者さんがすでに演じている。
ビックリして仰視してしまった。
内容は、本当に申し分なく素晴らしい。
愛情の強さゆえに起こる悲劇。
観ていて恐ろしいが、ある意味では興味深い。
悲劇なので、おもしろいといっては語弊があるかもしれないが、退屈しない。
迫真の演技で、本当に素晴らしかった。
ハツビロコウ、期待を裏切らない。
次回も楽しみ。

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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/03/15 (水) 19:00

1時間×2劇団を4組上演する企画の第1弾。
#東京にこにこちゃん #elePHANTMoon を観た。58分(16分休み)51分。

東京にこにこちゃん『またね?ばけものかぞく』
 1度だけ観たことがある劇団だが、馬鹿馬鹿しい(誉めています)コメディを力技で演じる力がスゴイと思ってて、本作もそう。終盤の飛行場面を頑張って演じるあたりは割り切り方が潔い。

elePHANTMoon『落書き』
 旗揚げから全作品を観ている劇団だが、主宰のマキタが映像系にシフトしたために8年ぶりの公演。今回、全4組を観てみようと思ったのは、本劇団の参加が大きい(もう一つはMuの『変な穴』)。いつもながらのヒリヒリしたメンタルの痛みを感じさせてくれて、主人公の井神沙恵の存在感が見事だが、4人の役割をしっかり描き分けた脚本と、しっかり演じる役者陣が強烈。


 芝居とは関係ないが、4組全てを観ようと思って、事前精算の指定席を取ったが、それがD列で、目の前を通路として使われる。これってヒドクないでしょうか。

Light on TennesseeWilliams

Light on TennesseeWilliams

一般社団法人 壁なき演劇センター

シアターX(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/15 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今まで観たこともない客席の配置で、新鮮な驚きでした。
難解というコメントもあったので、恐る恐る行きましたが、あまり深く考えずに楽しんでしまいました。
これでいいのでしょうか?個人的にはおもしろかったです。
お母さん役の役者さんの演技が、インパクトがあり、素晴らしかったです。
最後のオチはビックリでした。
テネシーウイリアムズらしいかな、と思いました。

預けた靴、探せるのか心配でしたが、とてもステキな返還で、感激でした。
のりの良い音楽と共に...

次こそは男

次こそは男

銀プロ

雑遊(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日を観劇。
宮崎弁の会話劇。佐藤銀平さんの熱い芝居。面白かったです。
26日まで。
お時間ある方はぜひ。

since 1991

since 1991

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ssチームの初日を観劇。
沢山の架空劇団の会話によって演劇界から見た時代の移り変わりを見せた舞台でした。
役者さん達の芸達者に魅入りました。
特に糸原舞さんと小林知未さんが良かったです
19日までの上演。
お時間ある方はぜひ。

Light on TennesseeWilliams

Light on TennesseeWilliams

一般社団法人 壁なき演劇センター

シアターX(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/15 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

テネシー・ウィリアムズという人物を、靴を題材にして表現された舞台でした。
役者さんの熱演で、自分に中で、何となくですが人物像が浮かんできました。
斬新な演出で、独特の雰囲気は良いのですが、自分の座った席が悪いのか、ずっと舞台照明が目に直撃で、眩しくて見えにくく、目も痛かったです。
良い舞台なのに、集中がそがれ残念でした。

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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#elePHANTMoon
#落書き
#井神沙恵 #加藤なぎさ
#菊地奈緒 #寺内淳志 (敬称略)
B初日。8年振りの公演を披露する彼等が、今回の企画に参加する団体8組の中の目玉だと思っている。参加を知ってリアルに叫んでしまったし、もう楽しみで楽しみで仕方なかった。マキタカズオミさんが紡ぐ世界は、いつだって危険な香りが漂う。怖いけれど嫌じゃない。そのヒリッとするのに気持ちがイイ感覚は、少し早いのに瘡蓋を剥ぐような、蚊に刺されて出来た膨らみに爪で十字の跡をつけるような、ゾクッとする快感に似ている。
その世界の真ん中に大好きな井神沙恵さんがいるのだから堪らない。
トラウマって何だろう。幻覚って何だろう。優しさや思いやりから生まれる善意が、意図に反して誰かや何かを、ましてや救いたい対象を傷つけたり苦しめたりする結果を招いたらどんな気持ちになるのだろう。それが多くの人間に周知され、利用され悪用されたら、人は狂うだろうか、戦うのだろうか。
この世はいつでもどこでもスケープゴートを生み出す魔女裁判の法廷なのかもしれない。そこに暗躍する黒魔術。どこかのアビゲイルによって、誰もがジョン・プロクターにされてしまうかもしれないなら、もう正義が勝つ方法はないのかもしれない。
ヌルッとしたソレを飲み込んだ先に……アナタは何を見ることになるのだろう。
その目で確かめて欲しい。

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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#東京にこにこちゃん
#またね?ばけものかぞく
#るい乃あゆ #四柳智惟
#澁川智代 #モリィ
#木乃江祐希 #髙畑遊
#鳥島明 #尾形悟(敬称略)
A初日トップバッター。
『日本一チケットの取れる劇団』が売り文句の彼等を最初に観たのは2018年の荻窪小劇場だった。当時から出演していたキャストも活躍し、演劇界で知られる俳優もキャスティングされ、今や人気沸騰中。それでも、変わらず作風も上演する姿勢もシャイで可笑しくて謙虚。そして可愛い。そう、この団体の持つオーラは紛れもなく『可愛い』だ。
作演出の萩田頌豊与さんが作る世界は、心の声が漏れる世界。いや、漏れるレベルでは無い。呟くも超えて心の声を語る世界。伝える世界と言ってもいい。その『全部言っちゃう』感じ、『全部説明しちゃう』感じが可笑しくて楽しくて可愛い。
大好きな木乃江祐希さんが躍動していて嬉しい。
髙畑遊さんの面白さは今後の活躍に疑いの余地は無い。
そして、作品に最もフィットし安定していて、あのクセのある台詞を自分のモノにして滑らかに届けてくれるモリィさんに惚れ惚れする。ヤバイわ。
クセ者ばかりのクセの強い作品なのに、後味スッキリ。
奇妙で可笑しいヒューマンドラマを観て欲しい。

果てのない 物語のない 旅にでる

果てのない 物語のない 旅にでる

精華高校演劇部・芸術総合高校演劇部合同東京公演実行委員会

シアター風姿花伝(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「ファウスト-大阪、ミナミの高校生5-」2023.3.12 17時 風姿花伝
 素舞台、上手に階段を設え登場しない生徒たちが座って待機する。タイトルに入っている5という数字は、ミナミの高校生がシリーズ化されており、今作が5作目であることを表していよう。
ところで今作を拝見し既発表作品も脚本を読みたくなった。何より最も本質的な問題に真正面から挑んでいるからである。この勇気を高く評価したい。

ネタバレBOX


 ミナミと関西人が聞けば、その雰囲気は誰でも知っているが少し説明しておこう。自分は最初に入った大学が京都にあったせいで夏休みにミナミでアルバイトをした経験があり、いきなり度肝を抜かれた。キタが東京でいえば銀座辺りの高級イメージだとすれば、ミナミはその真反対、現在の情況は知らないが当時は真昼間からタチンボが道頓堀にもうようよ居た。その姿に驚いたのである。ガキの頃から渋谷、新宿等を中心に遊んでいたからタチンボの存在は当然知っていたが、真昼間から公然と仕事をしていることに驚かされたのである。
 で、この話である。恋バナだ。どんな学校でも若い男女の恋は頗る大切な問題であり、誰しもが経験することでもあるが、実際問題の最たるものは、妊娠ということであろう。自分たちの時代にもスケバングループやグループに入っていなくとも我々、不良と付き合いのあった女生徒からは時々その深刻な話題は伝わってきていたこともあり全くヒトゴトでは済ますことのできない作品として拝見した。恋をして最終的に最も大きなリスクを負う女性が、経済的自立の覚束ない年齢で妊娠をしてしまうという状況で、人間として、女性として、母となる身として、恋する乙女でありながら余りにも若すぎる己の未来へ向けてはリスクしか無いと判断する大人に対し、母の心配も理解しつつウザイと蹴って彼の下へ走りたい純な念は、現代学歴社会に於いては現実社会的には下層へ落ちるしかない中卒乃至高校中退というレッテルに甘んじ乍ら生きてゆくか、悲観して自殺するか或いは心ならずも堕胎するか、最悪大きな悩みを抱えながら隠れて出産し自ら我が子を殺害するか迄を含めて悩まねばならぬ問題を同じ女子高生の助けで最善の方向に持ってゆく内容も実に温かく人間的で心を打った。ゲーテの「ファウスト」が外延として絡んでいる点もグー。
果てのない 物語のない 旅にでる

果てのない 物語のない 旅にでる

精華高校演劇部・芸術総合高校演劇部合同東京公演実行委員会

シアター風姿花伝(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「Twinkle Night」 2023.3.12 17時 風姿花伝 埼玉県立芸術総合高校演劇部
 某侯爵邸が舞台の作品である。板上は下手奥に侯爵令嬢の肖像画を懸けたイーゼル。上手奥に絨毯を敷いた応接セット。ソファの豪華さでその富を偲ばせる。

ネタバレBOX

時は錬金術師が未だ残っていた時代のイースターの時期。肖像画に描かれた女性は宝石を収集していることで著名であった。ところで侯爵令嬢は張り紙を街に張らせた。「求む、錬金術師」とあった。屋敷を訪れる数多の自称・錬金術師。然し大半は既に亡くなった侯爵の遺産を高価な宝石に換えて所有しているという令嬢の富を狙った詐欺師、盗人などであったが、本物の錬金術師も交じっていた。
 全く同じセットの中に登場人物が入れ替わり立ち代わり現れる。新たに現れた二人組は未婚のまま生涯を終え寂れて居た侯爵邸を購入し謎だった隠し場所から令嬢の集めた宝石を見つけたらしかった。彼らもまた張り紙を出した。「求む、超能力者」張り紙にはそう記されていた。成功報酬は、豪華な旧侯爵邸であった。令嬢が張り紙を出した約200年後の矢張りイースターの頃であった。無論、今回も集まった連中の殆どは碌な者ではなく、単なる手品師だの人語を話し二足歩行できる兎等であったが本当に特殊な超能力を持った者もいた。
 さて美しく富に恵まれた侯爵令嬢は、何故か独身を通して世を去った。原因は彼女が恋した同じ貴族が、ある日訪れていた侯爵邸から突然消えてしまったことにあった。理由はこの屋敷の建っているエリアはかつて錬金術師が用いた特殊な力を秘めた石が多く採掘された場所であり、そこに別の何らかの石か宝石が持ち込まれたことで相互作用を起こし一時的に時空に歪みを生み、その歪みに呑まれ彼はタイムスリップしたということが分かった。
 即ち不可思議な力を持つ石と照応した宝石が、今再び出会い互いの力が衰えて居なければ再び時空の歪みを生みタイムスリップができる可能性は零ではない。寂れていた屋敷を購入した紳士は、この可能性に賭け成功した。200年の時を遡り、彼は彼女の下に還り夫婦となった。肖像画は睦まじい二人を描いた物に替わっている。


レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 この内容は当然5つ☆
尺は休憩なしの2時間15分を超える程度。然し一瞬たりとも気の抜けない舞台だ。観る者は、普段自分が拠って立っている存在感の基盤を揺すられ極めて濃厚な時間を過ごすことができよう。良く考えられた照明、音響、舞台美術効果も体験すべし。いつも通り、スタッフの対応も素晴らしい。

ネタバレBOX


 物語の内容そのものは、知らずに観た方がインパクトがあって良かろうし、原作は鐘下辰男さんと発表されているから興味のある方は原作も読んで比較してみると良いかも知れない。役者陣の誰しもが優れた演技を見せ、上演台本、演出、演技と三面六臂の活躍を見せる松本光生さんの底力をも見せる力作である。
 舞台美術はちょっと変わった作りになっている。板上に下手から上手迄両側に狭い通路スぺースをとった平台を置き、平台のやや奥に物語が進行する山奥の部屋が再現されているからである。板上は、窓やカーテンを夏でも締め切るという物語内容の設定もあり上演中殆どの場面で落とした照明である。室内のメイン照明は天井から下がる電灯だが、上演中はランプや大型懐中電灯を用いる場面も結構長く、いやがうえにも緊張感を高めて効果的な演出だ。出捌けは下手側壁及び上手側壁、劇場入口に設えられ、下手は玄関を通して外に繋がり上手は奥の部屋に繋がる構造を示す。更に始終仄暗い空間の正面、ホリゾントの中央には壁掛けの鏡が掛かっており、四転、五転する緊迫した物語の中で出演者の隠れた表情まで映し出される効果が抜群だ。下手奥のコーナーには冷蔵庫その上手にはポットやコーヒーを飲む為のマグカップやシュガー、スプーン等の載った収納家具、その更に上手にも収納家具やイーゼルに掛けた楽譜等が並び、上手側壁には壁に沿うように奥から小型の机、間にスツールの入った化粧台が置かれ、上手客席側コーナーには扇風機、下手客席側コーナーには電話台に置かれた受話器がある。また、部屋の真ん中辺りにダイニングテーブルとイス。尚平台客席側残余の板空間は家屋の外のシーンで用いられる。この辺りの工夫も決して広いとは言えない劇場空間を利用している今回の公演で演出の知恵であろう。
Light on TennesseeWilliams

Light on TennesseeWilliams

一般社団法人 壁なき演劇センター

シアターX(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/15 (水)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

『キレナイ/Dear Me!』

『キレナイ/Dear Me!』

ラゾーナ川崎プラザソル

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2023/01/21 (土) ~ 2023/01/29 (日)公演終了

実演鑑賞

「Dear me! 」も「キレナイ」に続いて拝見していたが随分日が経ってしまった。WELLMADEな話ではあるものの、終盤私は興が冷めた。時代的な問題、というか、限界というか。
保育園に出入りする人間には親たちの他にこの保育園を建てる青年園長に出資をした旧友(見た目からして反社。子どもが泣く)とその同僚らしきイカツイ男が連れでやって来る。何しに来るでもないが「旧友の仕事ぶり」を「出資(無利子の融資)した者として」にかこつけて、癒されに来てる模様。
この存在がラストでちょっとしたどんでん返しをやるのだが。。

ネタバレBOX

一応ネタバレに。
園長は夜間保育園を立ち上げる夢が実現した。
ここに集まる親は事情を抱えていたり一癖二癖ある。一人は新生児を連れた若いシングルマザー。一人は障害=老化症・・格好は幼稚園児だが顔は大人で言う事もませている・・を連れた中年の母で、息子も登場(黄色い帽子に薄青のスモックという幼稚園児スタイルで背の高い青春事情俳優が演じて笑わせる)。いま一人は、出来ちゃった婚で三つ子を背負う事になり「大変だ」とボヤきながら何とか世渡りしているらしい多弁男だ。
保育園に居るのは上記青年園長と、彼を献身的に支えようとする(せざるを得ない?)若い女性保育士。そこへ奇妙な来訪者がある。見れば園長が毎回見ているTVのサスペンスドラマの女刑事役の年配女優、「役作りのため」の体験入職を受け入れてしまう。が、女優は実はここで働く女性保育士の母であり、どうやら敢えてこの場所を選んだらしく、姿を見せた保育士は驚き、園長に待ったを掛けるが彼はこの時ばかりは聞く耳を持たない(ドラマのファンなので)。娘の方は反発し、二人の間の複雑な過去を匂わせる。
先程の濃い男二人も「笑い」を起こしつつも「謎」を帯びてドラマが進む。保育園という場が他人同士の行き交う場となり、絶妙に絡んで人情ドラマを作っている。

引っ掛かった問題は何か・・。
まず親子のドラマの中心は障害を持つ母と息子のエピソード。「ませた今時の子ども」な台詞と幼児性とのギャップで笑かせる中、子どもの挙動から少しずつ母との関係に「納得いってない」「居心地悪い」感が見える。そして母登場。夜間の預かりであるので、朝方という事になるが、「こんな時間になぜ起きてるの(周りに迷惑をかけて)」と叱責する母親。この様子は、子どもの証言を裏づけるものに思われる。・・ある時母親が「息子がいなくなった」と血相を変えて保育園にやって来る。皆が協力し、連携して事に当たる一つのクライマックス。と、シングルマザーのファインプレイで子どもは無事、皆が待つ保育園にやって来る。彼が失踪したのは母との関係ではなく別の理由があったと判り、大団円を迎える。
従業員の女性と母との確執も、雪解けが訪れ、母がこれを娘に言いたかったという事を漸く伝える場面が訪れ、胸を熱くする結末を迎える。
そしてその後にもう一山ある。三つ子の父と奇妙な来訪者二人の話で、残念だったくだりだ。
彼は何かと愚痴ったり仕事の話をしたりして憂さを晴らすが、この時彼は、背に腹は代えられずといったノリでどうやら違法なギャンブル場の管理(裏世界での名ばかり店長みないなものか)を始めた事を、ポロリと口にする。さて、そこに居たのは園長と、彼の幼馴染み、プラス1名の奇妙なコンビだ。妙な間が訪れ、園長が「それ、ダメ」と手振りで制するが、父はキョトンとしている。そしてヤクザ風の男は、大きく間合いをとってから彼に「それ、何だ?」と訊く。「だからね、・・」と相手は軽いノリで仕事の話をする。やがてヤクザ風は相手と1メートルの間合いで対峙し、「違法だよな。」と言う。「聞いた以上、聞かなかった事にはできんのよ」と言う。そして、彼ら二人が実は警察官であった事が明かされる訳である。

ヤクザ関係に見えた二人が実は・・という展開には既視感があるがそこは問題でない。愚痴が好きな男は「親としての自覚」を問われる事になる。ヤクザ風の警官自身が子育て真っ只中である事も効いている。
このオチは私に言わせれば「出来すぎ」であり、これを「出来すぎ」などんでん返しにしているのは、ヤクザ関係の知り合いを持っているという不安感(緊張)から、観客は一気に解放される(緩和)という判りやすい図式。そこで笑いが起き、収まるべき所に収まった、という流れになる。
だが、「警官だから安心」というマインドに、自分は引っ掛かってしまうのである。権力に対して「無警戒」過ぎるでしょ・・というのがこのオチを目にした瞬間の感想だった。そんな感想を持つのは私くらいなものだろうけれど。。
もし彼らがヤクザなら、逆に出入りは控えるだろう。幼馴染みの間柄に甘んじて「暇つぶし」に来る彼らは、ヤクザでないから出入り出来ていた、という訳ではあるのだが、仮にマル暴であっても、関係は成り立って良い。受け手がOKなら本来的には問題はない。包摂的な有り方を観客がそこに見出すことができれば、願ったりである。
が、この作者はその追求はしなかった。代わりに、警官だったんだよ、ね、安心したでしょ? 大いに笑ってくれ、という展開になってしまった。
庶民的な警官が居ても全然良いし、それがヤクザな髪型と服装であっても別に良いが、刑事ドラマのような悪の前に毅然と立つ警官(Gメン75とか)像を、三つ子の父親の前にヒーローのように現前させるのはイケてない。
まず、既に説教モード、相手見下しモードなのが(それを正当化するキャラ設定ではあったが)いけ好かない。
「真面目に探せば職は見つかるはずだ」「違法の仕事で楽をするんじゃない」・・という予断がこの幼馴染み警官にはあるが、本当にそうなのか? 探せば職は見つかるのか? 刑法の規定もよく知らないこの男が、自分が得意とする仕事にありついたところが、任された店はゲームセンター、その実違法賭博場。そんな話を相手がヤクザと信じて話すのも現実的でない(相手のテリトリーであっても無くても面倒な話になる)が、そこを飲んだとしても、もし社会状況とそこに暮らす庶民の事情を慮れる警官であれば、上から目線で説教するのでなく、せめて知り合いのよしみで皆の前でなく別の所に呼び出し「残念ながら違法は違法」と、むしろ「法の番人」である事を卑下しつつ申し出るくらいの姿勢でいたい(悪法も法として人を従わせる因果な商売なのだから)・・と思ってしまった。
警官=正義の味方=格好いい=法を破る者を上から目線で説教しても良い・・現代日本の世相を反映していると言えばしているが、そこは私は非常に問題だと思っている。
殺人、窃盗に比べ、賭博場の開催はどの程度「倫理」にもとる違法さだろうか。大麻を規制は、どのような「倫理性の確保」を社会にもたらし、効果をもたらすか。
法とは単なる便宜上の決まりである事も多く、賭博というと言葉がきついが、「賭け事」と少しマイルドに言ってみれば、可愛いものだ。「違法だ・・!」と伝家の宝刀をドラマで安易に使ってほしくない。「キレナイ」とは真逆の評価になってしまったが、作劇の巧さは認めた上で、社会性もやはり重要であり、直に触れた観客に大きな影響力を持つ演劇だからこそ、深く考えたいと思う。(これを言うのにこの尺は不要だったかも知れないが。)
レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主演の松田佳央理さんがやたら美人。丸川珠代の横山めぐみ風味。開演前から舞台上では豪雨と稲光、轟く雷鳴。毛布を被って恐れ慄く姿は中世の修道僧。独特な指の握り方。不安を掻き立てる。

嵐の中、突然の停電、けたたましく鳴る電話のベル。何かに怯えている人々。人里離れた田舎の山奥の家、十年前から因縁のあるストーカーの影がちらつく。娘を守る父親の必死の戦い。

父親の松本光生氏は竹原慎二っぽい。
医師の井手麻渡(あさと)氏は長井秀和的。
沖縄から出て来た新垣(あらかき)亘平氏は石井智宏のようなふてぶてしさ。
酪農家でアダルトグッズ屋も兼業している高田賢一氏、パロディTシャツに悠然たる髭を貯えた巨漢。ジョン・テンタを思わせる。
画家の田辺日太氏は小松政夫の味わい。

ウイスキー、煙草、砂糖の入れすぎたコーヒー、ナイフ、ラジカセ、カセットテープ、精巧なレプリカ人形。

誰もが肚の底で松田佳央理さんの美しい肉体を我が物とせんと静かに欲望をたぎらせているようだ。
『10 クローバーフィールド・レーン』みたいな雰囲気。アメリカのサイコ・スリラーを思わせる。誰の言うことを信じ誰の言うことを信じてはいけないのか。誰が誰を騙し誰が誰に騙されているのか。
張り詰めた狂気、二転三転する緊迫の舞台。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

今作の初演が2000年だがそれにしてもカセットテープというのは古い。もっと前の時代設定なのかも知れない。

クライマックス、新垣亘平氏が新聞記事の縮刷コピーを部屋中にばら撒く。それが本当に大量で充分な効果を上げている。誰が本当に狂っているのか?それとも誰もが狂っていたのか?

ラストが余り好きじゃない。それまでのヘラヘラしながらもふてぶてしいキャラクターに似合わない行動。やることがしょぼい。
人間ども集まれ!

人間ども集まれ!

ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

浅草九劇(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

えっ?新人!??
今後のイッツフォーリーズがとても楽しみになりました。
「無性人間」対「人間」
そんなSF。
人間は恐ろしいわ。

デラシネ

デラシネ

鵺的(ぬえてき)

新宿シアタートップス(東京都)

2023/03/06 (月) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/10 (金)

うひゃっ!!うす笑いを浮かべながら観てしまった。
そして最後スカッとしたと言うかなんと言うか
どうなったのでしょう 笑
「女」怖い!でも好き!!ともなった。
ここ数年でそんな怪物たちも居なくなりつつある。
いないで欲しいと願う。

Dramatic Jam 5

Dramatic Jam 5

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/03/10 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本年6月で閉館となる新宿歌舞伎町のシアターミラクルのコント企画を観劇

9つのショートコントの詰め合わせ
岸田國士のパロディもあり、9作の小品1時間は、あっという間であった。

シアターミラクルは、上演作品どれをとってもほぼ素舞台、音照、美術に頼らない脚本・構成・演出と役者の表現力で、作品を提供してくれる、かなり出演者側には手強く、観客側に見応えのある、そして低廉なチケット代で、演劇の世界を魅せてくれる素晴らしい劇場である

この劇場で腕前を遺憾無く振るい、今も中劇場・小劇場で活躍する脚本家さん・演出家さんそして俳優さん達は綺羅星の如くいる

6月の閉館にむかって、小劇場・学生演劇界では知らないものがいない「ナイゲン」(富坂さんもこの劇場で新作にチャレンジしていたのを思い出すが)を2バージョンで、そして劇場主の池田さんの代表作「ホテルミラクル」が上演される

お見逃しのないようにお気をつけ召されたい
閉館を惜しむ声が湧いているが、推しは推せる時に推せ!は鉄則
決まったあとでは何の力にもならない
もし惜しむ声が本物であれば、上記2作(いや、3作かな)に足を運んで、劇場主池田さんの創作にかける情熱が消えてしまわぬよう、火を灯し続けられるように、しっかり見守ってもらいたい

Laghu prarthana

Laghu prarthana

中央大学第二演劇研究会

ザムザ阿佐谷(東京都)

2023/03/09 (木) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/09 (木) 18:00

 中国西部のとある国。そこでは国を挙げて1つの宗教が信仰されており、教えでは教祖は寿命を終えるごとに輪廻転生を繰り返し人々を理想郷(シャンバラ)へと導くとされていた。しかしある日、その国で新たな転生者は現れなかった......ことと、現代の日本にて新人刑事の結城は署内で煙たがられている先輩刑事見取と共に事件を調べていき、出どころが分からない銃が使用されたことで難航する捜査の中、見取は15年前のとある事件の資料を結城に渡す。とある宗教団体が起こしたというその事件は今回捜査している事件と類似点が多いこと、更に虐待を受け、不良仲間とつるんで学校をサボっている郷田ツカサがこの物語全体において最重要人物であり、その幼馴染の比丘レンなども絡み、ただの宗教2世の悩みや新興宗教による犯罪を取り扱った刑事サスペンス劇かと思いきや、思った以上の2重3重に物語が展開して、賛否両論を呼びかねないラストを観るに至って、一気に引き込まれた。

 警察の刑事を束ねるパワハラを通り越した恐怖で周りを威圧し、叩き上げの女班長常田、はみ出し刑事見取と新人女性刑事結城を中心とした刑事サスペンス、郷田ツカサ、その親でやたらとツカサに暴力的な郷田清、ツカサの幼馴染の比丘レン、ツカサの不良仲間達を取り巻く他愛もない、だがいつ崩れるかもわからない青春群像、新興宗教団体の儀式や絆の物語、第二次世界大戦中の中国における国を挙げてのトゥルク王を中心とした1つの宗教を日本政府の命を受けて中国共産党の役人による大規模な弾圧の物語、これらの物語、あんまり噛み合わないようでいて、そこに郷田ツカサという人物が全ての話において深く関わりがあり、人々を誠に救済できるのはツカサだということがわかってくるという、徐々に物語を回収しつつ、劇の後半では生死の間でツカサが殺されたお母さんに会い、過去に遡ったりと一気に激的な急展開に持っていくあり方が、作品の構成として、とても学生劇団のレベルを遥かに飛び越えており、これからの可能性を感じ、見事だった。

 郷田ツカサに対して、親父である郷田清が酒浸りで、ツカサに対して暴力的に振舞う行為は傍から見立ても、ツカサからみても虐待だが、そういう行為をするようになった経緯は、ツカサを守るために仕方なくやっていたことが後になってわかるが、息子であるツカサは信用しきれないところもあり、その事実に複雑な心境になりつつも、急に親父を抱きしめるという親子の絆の場面で、色々と感慨深くなり、感動して、思わず、涙が出た。

 全体的には、緊張感、臨場感ある劇だったが、ところどころ笑える場面もあって、程よく肩の力を抜くところは抜くというふうに加減して観ることができたので、思ったよりかは疲れなかった。

 個性的だったり、アクの強い登場人物、それにコミットした役者が多くて、可能性を感じた。
 特に、女班長常田役の夏炉冬扇
がボーイッシュな上、過剰にパワハラ的で、鬼の如くに高圧的な態度と喋り方が普段からそうなんじゃないかと錯覚させるほど、出てきたときから雰囲気が感じられて良かった。

 ただ、強いて言うなら、途中10分ほどの休憩を入れたのは間違いだったと思う。なぜなら、この手の刑事サスペンスで途中休憩を挟むと集中力が一旦途切れるから。案の定、後半戦が始まってすぐは客席がざわついていたきらいがある。
 あと、あまりにも声が枯れ、言葉に詰まったり、噛んだりするところを気を付ければプロになれると感じた。
 最後に、この劇のラストには賛否両論あると思うが、個人的にはラストで、郷田ツカサとトゥルク王が過去を彷徨い続けながら、だからといって過去が変えられるかは皆目見当がつかないが、人々を救済する至高の実態のない神のような存在となっていく終わり方は、上手い逃げ方をしたなと感じ、多少の不快感さえ感じた。
 本当の意味で、戦争や争い、弾圧を止めさせ、抑圧され、自由を奪われた人々を救済し、全ての人が平穏な日々を遅れるようにするためには、過去は変えられる可能性なんて薄いのだから、今、この生きている瞬間を大事にしつつ、今私たちにできることを、小さなことからでも良いから実践していく。そうするといずれ平和に結び付いていくというような終わり方のほうが私的には、トゥルク王と郷田ツカサを自己犠牲にすることによって全てが救われる在り方よりかは、よっぽど共感出来るんじゃないかと感じた。

マリー・キュリー

マリー・キュリー

アミューズ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2023/03/13 (月) ~ 2023/03/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

キューリー夫人の一代記を韓国製ミュージカルにした。二十分の休憩含み2時間45分
夫人は超有名科学者だからその人生はよく知られている。その一生は、現代にも通じるテーマ満載で、主だったところでは、ポーランド出身者への民族差別、女性科学者へのアカデミズムの差別。科学とその実用化のモラル、科学の人体での実験モラル、日本人にとっては放射能科学の先駆者が自身も放射能被曝のために死去したこと、わかりやすい世界的名声などだが、このあたりを、本は古いタイプのミュージカル本の型どおりのパターンで作っている。その人生そのものが波瀾万丈だから見ていて飽きないが、現在の世界の課題と関わると偉人伝だけではすまなくなる。そのつめは結構甘く、難しいところは詰めずに八方うまくまとめた韓国製で物足りない。
スターとして確立している俳優は出ていないが、皆一生懸命にやっていて動きも歌も無難だが、突き抜ける天才の話としてはおとなしすぎる。主役の四人だけ(キューリー夫人:愛華れいか(タカラヅカ娘役出身))、夫:上山竜治、起業家:屋良朝幸、娘:清水くるみ)が持ち役で、そのほかは九人の男女のカンパニーダンサーが、さまざまな役をこなしていく。ほとんどノーセットの舞台をこの手のミュージカルはお得意の演出鈴木裕美が手堅くまとめている。キャストを考えれば、よく出来ているのだが、本がとにかく安全なところでまとめてしまい、曲も今の英米ミュージカルを見ていると曲想も古くオセンチな曲が多い。アミューズの中堅おさらい会である。

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