最新の観てきた!クチコミ一覧

87221-87240件 / 189750件中
紅白旗合戦

紅白旗合戦

アガリスクエンターテイメント

サンモールスタジオ(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

『ナイゲン』の延長線
今回も面白かった。とはいうものの、ボケと屁理屈の点では『ナイゲン』のほうが上だったかなあ。それぞれの担当の人がもっと活躍出来るストーリーならよかったのに。

前半は料金が500円安く設定されてましたが、エンジンがまだ100%かかってない役者がいたのが500円の差か。だとしたら、ケチケチせず、来週あたりに行ってたら、100点満点+のステージを見ることが出来たかなあ。(Aga-risk Entertainmentの大ファンだからこその、ちょっと辛口の意見)

ネタバレBOX

数人が先生役に移行している中、大胆にも高校生役にとどまり、ああいう生意気な奴いるいる的な高校生になりきって登場した淺越岳人のインパクト大。だからこそ、もっと屁理屈こねまくって会議の場をひっかきまわして欲しかった。
PRISM

PRISM

sp/ace=project

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/02/04 (水) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★★★

敵は味方
敵と味方に分かれているが、後半敵は味方と言ったところか。殺陣もなかなか盛り込まれておりよかった。主役二人の恋模様は引かれ具合をもう少し掘り下げて描いたり、サブキャラのあの支配力(畏怖力?)や何の為にももう少し描いてもよかったかな。

ヒガンノウタ

ヒガンノウタ

BASEプロデュース

BAR BASE(東京都)

2015/03/04 (水) ~ 2015/03/21 (土)公演終了

満足度★★★★

山本さん標準語Ver.
東京公演千龝楽。

本公演なので、今回の山本さんは標準語Ver. プレ公演で関西弁Ver.を観ていたせいか、ここまでの公演回数がそうしたのかは別として、かなり「かっちり」してたなあ~というのが印象。
東京生まれとしては、関西弁が持っている!?ユル~イ感じ(いい意味でね)が好きかな。どちらのVer.も捨てがたいけど。

あらすじは解っているので、それを踏まえて、OPからの流れ・1つ1つの台詞と反応・3人の表情などなど、深く堪能させてもらいました。
リピートする事で別の味を味わえる、噛めば噛むほどの作品だなぁ~

残すは熱海公演だけですが、場所はお寺の御堂とか…一気に広くなるけど、どんな空間になるのやら??気になるねえ。

はてしないものがたり

はてしないものがたり

キシノカワモト

インディペンデントシアターOji(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★

笑った
4つの話から成り立っていて、1話目のインパクトが強かった。かなり笑った。いやいや、1話目だけじゃなく、2話のハリーも、ファルコンもかなり強烈ではあった。印象という観点からすると、工藤さんがすごい。今日は仕事帰りに観に行ったのですが、一日の面倒臭いことすっかり忘れて笑いました。良い時間をいただきました。

逃げる五右衛門

逃げる五右衛門

追撃☆ニトロ

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2015/03/13 (金) ~ 2015/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

五右衛門が小判を撒く 舞台は金の紙吹雪
自由  役割  生きる世界  から逃げる  逃げきりたい  自由に生きる事は自分勝手に生きる事ではなんですよね  初演では観きれなかった所が、再演で観えた。 役者の皆さんが一回り上手く成っている様に感じた、面白かった。

ネタバレBOX

 

追撃☆ニトロ 「逃げる五右衛門」

五右衛門さまに恋をいたしました― 普通の男の子に戻りたーい! ニトロで最も面白かった作品 今回はパワーアップの予感 楽しみです。

ごぼごぼ ごぼごぼ 石川 五右衛門 釜茹 // 五郎 次の五右衛門つがない盗んだ物返す // 城へ 姫と出逢う 姫が五郎に一目惚れ オープニング ダンス 殺陣 // 盗人の大会を開き 五右衛門が優勝 姫と結婚の算段 実は、盗人一網打尽 エントリー 五右衛門 ネズミ小僧 ヨモギ(五右衛門の妹分) ナツ(カラクリ) 藤乃(姫の世話役)  トラップ ゴロゴロ ゴロゴロ 鉄球だ // 私らカラクリは五右衛門に仕えているの まじで継がないのか // 姫は自由が欲しい 藤乃が城から連れ出す 姫は、どうしたら いいか 途方にくれる // 菅谷が盗人をとらえる 100人 // 五右衛門は世襲じゃない 証が姫の首に、 あっ あの時返した 一緒に、 百地は2代目と競った 草太と競う ネズミ小僧は、証を奪おうとする // 一網打尽 皆捕らえられる、 藤乃が姫と会わす 鍵を受け取らない 迷惑がかかる。 キャッツアイの3女が 鍵を開ける // 五郎と草太が戦う 倒れる二人 五郎の手に 証の首飾り // 五右衛門が小判を撒く 舞台は金の紙吹雪

自由 役割 生きる世界 から逃げる 逃げ切りたい 自由に生きる事は自分勝手に生きる事ではなんですよね 初演では観きれなかった所が、再演で観えた。 役者の皆さんが一回り上手く成っている様に感じた、面白かった。
セルロイド

セルロイド

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★

冷蔵庫
身近な家族に対する一方的な暴力がドミノのように連鎖していく。
父は子どもを殴り、やがて殴られた兄は母を、娘は赤ん坊を、そして兄は自分自身を、
それぞれ勝手な理由で叩きのめす。
淡々とした描写が一転驚きの展開、一気に緊張が高まるオープニングが秀逸。
4人の中でただひとりの女性の声がハスキーで実に魅力的だった。
ただ、勢いに頼る台詞には切羽詰まった感がにじまない。
若手が若干“台詞に負け気味”だったのが残念だったが、エネルギーは伝わって来た。
ラスト近く「目乾いてが黒くなって・・・」という台詞にリアルで不気味な手触りを感じた。

ネタバレBOX

アクティングスペースを挟んで対面式の客席が設けられている。
開演少し前、ひとりの女性が登場して椅子に腰かけた。
スナック菓子の袋を持ってポリポリ食べている。
ほとんど一袋食べ終わってしまうんじゃないかという頃電話が鳴った。
明るく元気そうな対応をして電話を切る。
その後間もなく暗転、爆音鳴り響く中、突然横倒しになった冷蔵庫のドアが開き、
強烈な明かりを浴びながら、中から男が3人飛び出してくる。

互いに他をけん制するかのように四隅に陣取って、怒鳴り合いが始まる。
女性はけがをした若い男を無理やり連れてきたらしく、
「ここにいて私を助けて」と懇願する。
若い男は「俺に何ができる?!何をしろって言うんだ?!」といら立つ。
3人のうち年輩の男は父親、もう一人は女性の兄であることが分かる。
兄は「俺はいるけどもういないんだ」と言っている。
父親は昔幼かった二人の子供に暴力を振るい、加えて女性には性的暴行を加えた。
一方兄は母親をターゲットに暴力を振るうようになる。
女性はその後子供を産んだが、その子を放置して死なせた。
自分がこんな風になったのはお父さんあんたのせいだ、と父親に懺悔させ謝らせ、
見て見ぬふりをしていた兄のせいだ、と激しく非難する女性。
ラスト、暴力の応酬ののち女性がひとり、何か尋問のように質問に答えている。
母に暴力を振るった兄が自殺したこと、赤ん坊が次第に乾いて行くのを見ていたこと・・・。

女の頭の中で渦巻いている家族と暴力への激しい嫌悪感を
父、兄、そして自分が産んだ赤ん坊の3人にぶつける脳内バトルと言えようか。
強烈なオープニングから怒涛のバトルが始まるのだが、
同じところをぐるぐる回っているかのような出口のなさが
八方ふさがりの現実を表している。

誰にも理由があったのかもしれない。
父親の性的暴行を受け入れた(ように見えた)のは“そのときだけ優しかったから”
殴られなくて済むから、という理由が切なく痛ましい。
女を演じた岩野未知さんのハスキーな声が素晴らしくはまっている。
“女”を使って身を守らなければならなかった屈辱まみれの過去を語るのに
なよなよしていない分だけ、“誰が喜んでなどいるものか”という強い怒りが伝わってくる。

女には救われたい一心で子どもを産んだのに何の助けにもなりゃしない、
という絶望感だけが残る。

人は本能だけで子どもを愛し育てるのではないと思う。
行政の介入も形式ばかりで効力はなく、個々の家庭は孤立している。

有効な解決策などありはしないのだ。
親が子どもの人生の責任を誰とも分かち合えず、一人で背負わなければならない時
同じようなことはまた起こるのだ。
そしてそれは地下深く秘密のうちに行われ、簡単に隣人にバレたりはしない。
その暗澹とした時代の匂いが色濃く出ている作品だと思う。

紅白旗合戦

紅白旗合戦

アガリスクエンターテイメント

サンモールスタジオ(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/29 (日)公演終了

満足度★★

すごく計算された作品
劇団初見。

とても稽古場で計算して作ったのであろうということはわかりましたが、役者さんがそれに付いてきていない感じでした。セリフやテンポにいっぱいいいっぱいで残念。もっとその場の空気を楽しんで欲しかった。特に先生軍団は色々とおぼつかなくて...

20回記念とのことですが、このまま30回、40回となってしまわないように今後を期待します。

ネタバレBOX

対面式にしてもあまり効果を感じられず。むしろ見えないところにフラストレーションを感じるくらいに。
トリプル・ビル

トリプル・ビル

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2015/03/14 (土) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

進化する舞台
今回は同じキャストで観る機会にめぐまれて、まさに舞台は生きて、呼吸していると感じました。
一人、一人の個性が融合して素晴らしい輝きを放っていました。

忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆

忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆

企画演劇集団ボクラ団義

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/03/11 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

何度も観たくなる作品
ヤングチームステージも合わせて4回観ましたが、まだまだ発見がある。
細かいものも入れるとどれだけの物が発信されてるのか?
全通してもまだ拾いきれないかも。
とはいえ一回でも楽しい作品なのは間違いありません!
散りばめられた伏線や謎が最後繋がって線になる快感は久保田さんの作品の醍醐味でクセになる。そしてもう一度観たくなる麻薬みたいな魔力がありますね。
初演の「忍ぶ阿呆に死ぬ阿呆」でボクラ団義に出会ったので、再演を待ち望んでました。
ボクラ団義の作品の中でも、殺陣に笑いにとロジカルアクション時代劇は伊達じゃない。素晴らしいエンターテインメント作品です。

クロノス・ジョウンターの伝説『パスファインダー』

クロノス・ジョウンターの伝説『パスファインダー』

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2015/03/06 (金) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

キャラメルなんて
高校生の演劇だとバカにするやつもいるが、面白いものはやっぱり面白いのだ。サービスもいい。みんなが喜んで写真を撮ってSNSに投稿するから、それがまた広告になる。要するに、総合プロデューサーの腕なんだろうな。

ネタバレBOX

しかし相変わらず、若い役者は叫ぶだけなのが多いね。
子供の時間

子供の時間

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★

非常によくできた「作品」だった
 タイトルとチラシのあらすじから芝居の枠組みはほぼ明らかになる。にもかかわらず引き込まれたのは「作品」の力によるものだろう。作品でなく、「作品」と書いたのは、戯曲に若手の役者がついていけていないと感じたから。翻訳調の台詞がしゃべりづらいのはわかるけれど……。

忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆

忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆

企画演劇集団ボクラ団義

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/03/11 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

初ボクラ団義
初めて観て、気づけばもう5公演観て、まだ観る予定というはまり方をしている今作!
ドキドキする縦横無尽な殺陣、ワクワクする和装ダンスシーン、歴史の謎を観客と一緒に解いていくような展開。
表情や視線、仕草など観る度に、楽しめる日々。
日本史が好きな自分には堪らない舞台!
残り5公演も楽しみです。

セルロイド

セルロイド

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★

衝撃的な幕開けから始まる
4人の役者さんによる濃密な会話劇。連鎖する虐待という極めて重いテーマを正面から扱って見応えありました。最初のシーン、スペース雑遊の構造を知っていても、かなりショッキング。一瞬にして劇場が不穏な空気に包まれましたね。音響、ライティングの演出も見事で、こうした小劇場ならではの舞台でした。ただ、暗転無しのこれだけの会話劇を、緊張感を保ちつつ最後まで魅せ続けるには、ちょっとセリフが甘かったですね。滑舌の悪さも気になった。こういうの一旦気になってしまうと、こうしたタイプの劇は最後まで抜けられない。あ、小物の使い方がリアリティがあって見事でした。なんか怖かったです。

ネタバレBOX

もう一つ気になったのは、女優さんの声のトーンがあまり高くなく、男優さんの声とかぶってしまい、虐待の原因になっている性の問題の悲惨さがあまり感じられないこと。開始直後はハスキーで素敵な声だな、と感じましたが、これだけの会話劇だともう少し女声で変化が欲しかったところ。少女時代の虐待されるシーンが全く思い浮かばない・・・・。つまり、虐待の連鎖が情報としてはよく伝わったけれど、感覚的にイマイチよく伝わってこない。少し残念でした。
カリスタの海に抱かれて

カリスタの海に抱かれて

宝塚歌劇団

宝塚大劇場(兵庫県)

2015/03/13 (金) ~ 2015/04/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

エネルギッシュな公演
1幕の『カリスタの海に抱かれて』 はカリスタを舞台に3人の男女の三角関係を描いた作品で2幕は春夏秋冬を取り入れたレビューショー。
若さ溢れる生徒さんが中心になった華やかでエネルギッシュなステージは見応えたっぷりです。

ネタバレBOX

詳しくはこちらで。
http://ameblo.jp/sunpack/entry-12003552209.html
子供の時間

子供の時間

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

よかった!
とてもよかったです。
素敵な時間でした。

誰も見たことのない場所2015

誰も見たことのない場所2015

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2015/03/13 (金) ~ 2015/03/19 (木)公演終了

満足度★★★★★

自殺を取り巻く状況が赤裸々に...
この劇団の公演はやはり素晴らしかった。この公演は「自殺」にまつわる体験談を積み重ねる...取材を通して得た、当事者でなければ語れない貴重な発言を役者の体を通して紹介していく。その生身の証言が本当に観る者の心に響く。「ドキュメンタリーシアター」という手法は、観客に向かって語りかける、それは「自殺」を考えた当事者の思いがそこにあるからだろう。

さて、この劇団の演出であろう、ストップモーションから始まり...自殺しようとする者の逡巡が現されており、ラストは...

ネタバレBOX

ムーブメント...運動いや生きている。顔を上に向け両手を挙げて、手のひらを大きく開く動作にホッとする。

日本の自殺率は、発表機関によって統計数値が異なるが、いずれにしても世界の国の中でも高率だといわれている。
この「自殺」に関わる人々を取材しているが、その自殺に追い込まれた原因の追求は...。本公演は個人レベルの視点からの「自殺」の印象が強い。
その取り巻く状況を赤裸々にした先は......やはり、その示唆になるようなものを描くのは難しいのでしょうか。

多くを書くには心が苦しくなる。本当に見事な内容だった。
次回公演も楽しみにしております。
チンチンブラソーブラソーセージ

チンチンブラソーブラソーセージ

ザ・プレイボーイズ

上野ストアハウス(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

演劇の歴史を変えた…!?
前説中なのに拍手が起こったっ!!主宰の覚悟が成せる業なのでしょう!!この圧倒的90分間を観に来たらいいと思います!!

家族

家族

オーストラ・マコンドー

吉祥寺シアター(東京都)

2015/03/05 (木) ~ 2015/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★

家族の普遍と時代の変遷
たまたま小津安二郎の「東京物語」をBSで観ていて、
それとは異なる舞台だからこそ描きうる精緻さもしっかり感じることができました。
映画に描かれた想いの肌触りが舞台の空気に新たな感触として広がっていて、映画が紡がれた時代と演劇に描かれる今の視座から描かれる家族の姿の異なりに、この国の家族という概念の変遷を感じたことでした

ネタバレBOX

中央に東京とその家のスペースがおかれて、舞台上手と下手が兄弟たちの家。
未亡人の主人公紀子について、その命日なのでしょうか、同級生たちが話を始めて、そこから物語に導かれていきます。

東京にやってきた亡夫の両親を兄弟たちはそれぞれの事情で世話することができない。で、在京中、紀子は甲斐甲斐しく世話をするのは映画と同じ。
ただ、舞台でしか描き得ない温度があって、舞台の作りや、シーンごとの重さのバランスが、物語の構図をすっと観る側に落とし込む力となり、その中に登場人物の距離感が息を呑むほどに丁寧に編み上げられていく。
中でも紀子と義理の両親の時間が圧倒的、紀子が何度もつかう「いえいえ・・」という返事が一度ごとに異なるニュアンスを編み、場ごとの空気の細微を描き出していくことに心を奪われる。紀子、そして彼女と呼応してその想いを受け取る両親の一瞬ずつにがっつりと捉われてしまう。
また紀子の義理の兄弟たちの家庭にしても、キャラクターの風情をすっと立ち上げる役者の力量に裏打ちされていて、雰囲気がまず訪れ、そこからそれぞれの事情が解けていくことで、彼らの日常がとても自然に観る側に伝わってくる。その感覚が紀子と両親の時間マージして、気が付けば、紀子を取り巻く世界がすっと観る側の腑に落ちてくる。

実を言うと、描かれているものは、スカイツリーがあるような今の肌触りからすると少し古風な感じがします。家族の事情や紀子の家に義理の両親が泊まっていることは今の感覚からすると少々奇異にすら思えたりもする。にもかかわらず、舞台にはかつての家族が当たり前に抱いていた感情を解ききほどく力があって、その違和感を溶き、やがては観る側を浸していく。冒頭の同級生の風情にしても、子供たちの遊びにしても、少々セピアががかった色を感じたりもするのですが、作り手はかつてこの国では当たり前だった温度の記憶を観る側にしたたかに蘇らせていくのです。
観終わって、役者達の人間描写のしなやかさに感じ入りつつ、その先に、舞台に醸された感覚に浸り自らの幼いころの親戚などのことを思い出していました。

ただ、この舞台に小津安二郎が映画に描いた世界を重ねると、家族や親族のありようを次代の流れの向こう側とこちらから見ているような気がする。
随所に登場人物たちの家族という概念に対する想いの普遍を感じたりもするのですが、そうであっても、映画を観終わって残ったのは、作られた時代(1950年代)のそれまでの日本の濃密な家族の絆が東京という街や核家族化の時代の流れに崩れていく中での孤独や不安だったし、この舞台に描かれたものは、そんなものをはるかに通り越した時代の、むしろそのような家族のつながりですらオールドファッションというか懐かしいぬくもりに思える感覚だったりする。

たとえば東京を訪れた母親がすぐに亡くなるのは映画も舞台も同じ。でも、その先に紡がれる、紀子や残された家族の心情は二つの世界で全く逆の歩みのように思えた。そこに、この国が歩んできた時代の揺らぎや変遷がすっと浮かんできたりもして。

実は、終盤に現れる映画にはない設定の未だ自らの家族を持たない末っ子が、今の家族の感覚を一番背負っていて、それは不安定だけれど、でもとても今のありようにも思える。
舞台に描かれた家族の感覚が、この先の時代の時代にどのような変遷を遂げていくのか、劇場を出ての帰り道、吉祥寺の人の流れに身を任せながら、家族の形というものは、いつの時代にもどこか定まりきれずに、でもきっと時代の歩みに折り合って、崩れることなく移ろい、変っていくのかもしれないなぁなどと思ったりしたことでした。
はるヲうるひと

はるヲうるひと

ちからわざ

ザ・スズナリ(東京都)

2014/04/03 (木) ~ 2014/04/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

熟成!
再演となるが、観る側がストーリーの重さと愛の大きさに押し出されそうになるほどのパワーを持った秀作。

東京の下

東京の下

劇団 贅沢貧乏

江東区北砂の一軒家(東京都)

2014/11/12 (水) ~ 2014/11/18 (火)公演終了

満足度★★★★

進化!
とっても素敵な舞台!。
江東区北砂の築30年ほどの2階建ての一軒家を丸ごと使って演じるというハードルの高い演劇に挑む若き表現集団、贅沢貧乏の夏の初回公演「タイセキ」続く第2回公演「東京の下」を観劇。
夏の初公演から数カ月の間に間違いなく進化。それも当然。なぜなら作り手がこの家と、土地に対する愛情がより深く、より寄り添う心が育まれてきたからに他ならないなと。一見シンプル過ぎるぐらいの舞台演出の裏で、投入する素材の物量の多さと、それらを手ぬかりなく丁寧に仕上げていく根気強さと周到さに、若い集団ながら本当に頭が下がる。12月初旬にまた同じ場所で再演も決定したとのこと。更に進化してるかが楽しみ。

このページのQRコードです。

拡大