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恋愛漫画~鳳凰篇~

恋愛漫画~鳳凰篇~

ライオン・パーマ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

(笑えた度)5.1(今感)3.06(完成度)5.1(平均)4

永遠の愛を作品に閉じ込めて。

ホラー風味あるラブコメファンタジー。

再演重ねている作品だけあり、文字通り、笑えて、ちょっと怖くて、ほっこりして、リトルビットキュンキュンして、しんみりして、全てのバランスが心地良い至福の時間。

ネタバレBOX


調布から先は誰も知らない京王線の悲哀、、、

、、、、わかります。

次々繰り出される漫画の世界の、何て豊かなこと!

役者の皆様の総合力というか、歳を重ねたからこその滲み出る人間力を強く感じますね。

メインのお話は文句のつけようのない極上の出来です。

あと、客入れのジャズから始まって、相変わらずの選曲の良さ。
音も光も効果的にしっかり使い切る、舞台作りの巧み。

個人的にはラブコメ定番コマ割りがバンバン炸裂していて大満足でした。

ブリザード・ミュージック

ブリザード・ミュージック

旋風計画

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2025/10/17 (金) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

きちんとした安定感のある舞台ですね。大いに楽しめました。開演前のアニメ(?)は泣ける。

Query

Query

『Query』製作委員会

シアター・アルファ東京(東京都)

2025/10/16 (木) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

観念的、哲学的でハイブローな話ですが、ヴィジュアルと歌はイイ。分からないなりに、楽しめました。

おっぱい温泉

おっぱい温泉

劇団BLUESTAXI

テアトルBONBON(東京都)

2025/10/21 (火) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

病気をどんな切り口から描くのだろうと思っていたら、どストレートで胸に刺さりました。客席のあちこちで啜り泣きが聞こえましたが、おもに男性だったような……。女性客は、涙を流す以上に深いところで心を動かされたのかもしれません。

焼肉ドラゴン

焼肉ドラゴン

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/10/07 (火) ~ 2025/10/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/10/23 (木) 13:00

腹の底から搾り出すような、やり場のない怒りと悲しみの台詞に圧倒される。
怒涛のように笑っても歌ってもつかみ合いの喧嘩をしても、
深いところには涙の川が流れている。
宿命とか運命とか言ってあきらめるにはあまりにも過酷な人生。
国って何だ? 人を幸せにしない国って何なんだ?
それに耐えて生きている人々の姿に、ただ泣いているだけの自分が情けなくなる。

ネタバレBOX

1970年大阪万国博覧会があった頃・・・大阪国際空港に近いこの一角は、在日の人々が
肩を寄せ合うように暮らす地域だ。
そこに「焼肉 ホルモン」という看板を掲げる小さな店があった。
人々がこの店を「焼肉ドラゴン」と呼ぶのは、太平洋戦争で左腕を失った店主、
金龍吉の名前に“龍”の文字があるから。
店主は先妻亡き後、二人の娘を連れて再婚し、後妻とその連れ子の娘、二人の間に生まれた
長男、という複雑な6人家族となった。

この店に出入りする人々、とりわけ男たちの焦燥とあきらめ、そこから逃げるように
毎日酒を飲んで歌う様子に女たちが怒鳴り散らすのもうなずけるというものだ。
在日の人々の制限の多い社会で、濃密な人間関係が否応なしに絡まってしまう、そのジレンマ。
長女も次女も三女も、申し合わせたように結婚はトラブルだらけだ。

進学校へ進んだもののいじめに遭い、多分そのせいで「あ~」と発するだけの“失語症”に
なってしまった長男が哀れでならない。
彼だけは“日本生まれの日本育ち”であり、大人たちのように酒や歌で憂さを晴らすことも知らない。
逃げたり帰ったりする故郷を想像して心を慰めることもできない。
辛酸をなめ、逆境の中で生き抜いてきた父親の強さもない。
出席日数が足りずに中学校を留年することになり、親からは転校も許されず、絶望の果てに二階の屋根から飛び降りて死んでしまう。
唯一彼が自ら選んだ選択肢がそれかと思うと、差別の激しさと何に対してなのかわからない悔しさで胸がいっぱいになる。

その長男が、物語の冒頭屋根に上って大声で叫ぶように語る。
「この町が嫌いだった…」
そしてラスト近く、死んだはずの彼は再び屋根の上から叫ぶのだ。
「今は…この町が好きだ」
ことばが出なくなった時間を取り戻すかのようなその声が、登場人物の中で一番切羽詰まって聞こえた。

立ち退き、取り壊し、バラバラになる家族、と最後は別れを惜しむ時間をたっぷり
取ってくれたおかげでずっと泣き通しだった。
この先の運命を知っていると余計に希望が持てなくて暗澹とする。
それでもきっとドラゴンは、その片腕で生きていくのだろう。
そのへんのヘタレとはわけが違う。
でもだからこそ、余計に涙が止まらないのだ…。

韓国語の訳がタイミングよく表示されるので勢いが損なわれることなく話が進む。
人を根本から支える母国語の強さを感じる。
そのことばを失った長男の孤独が、痛みを伴って際立つ。
開演前から演奏されるアコーディオンと太鼓の演奏、劇中歌われる当時の流行歌、テレビのCM等
時代を彷彿とさせる要素が盛りだくさんで、当時の日本の空気感が色濃く漂う。
ハマリ過ぎの配役に考える間もないほどの台詞の応酬、完全に持っていかれた3時間強。
最後の「ドラゴン」を観たいけど、泣き虫の私は観られないかもしれない (/_;)

蕎麦にいるね

蕎麦にいるね

劇団武蔵野ハンバーグ

OFF OFFシアター(東京都)

2025/10/23 (木) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/10/24 (金) 15:00

90分。休憩なし。

プラライ

プラライ

インプロカンパニーPlatform

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2025/10/23 (木) ~ 2025/10/23 (木)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/10/23 (木) 19:30

 インプロ(即興演劇)の要素の濃い作品や、完全なインプロ公演も私は意外と観てきているが、大抵の場合、始まる前に紙が渡されて、劇中にBoxの中に観客が書いた単語や言葉、台詞の紙が入れられ、役者がその紙を引きながら、例え書かれた言葉や単語、台詞が劇の方向性を逸脱していたとしても、何食わぬ顔で、劇の場面にあった自然な感じで、吹き出したりせずに言わないといけないという役者の演技力やその場の臨機応変な対応力が問われるが、劇全体としては1つの物語や世界観で進んでいくことが多い長編劇を観ることが多かった。
 また、インプロ劇でも、激しい殺陣や全篇終始ミュージカル劇になっているインプロ劇など、同じインプロの即興演劇と1言で言っても、今まで自分が観てきたインプロ劇はかなり捻りを入れてきていることが多かった。
 それに、インプロ劇でも、アイドルや声優を数多く入れていたり、2·5次元演劇のオフオフブロードウェイバージョンの如くに、演劇の役者にしては、普通にイケメン、美女芸能人ランキングとかに入っていてもおかしくないようなヴィジュアルの男女の役者ばかり出ていたりと、同じインプロ劇と言っても、本人の演技力やその場の対応力、アドリブ力は2の次、3の次となってしまっている本末転倒のインプロ劇も昨今では見受けられる。
 そうした中で、今回観たインプロ集団platform(実はそんなに前じゃなくに、platformの定期公演を1度観たことはある)は、良い意味で、土着的で、大衆的、今時ここまで泥臭さ漂って、見た目よりも個性が滲み出て、突発的なアドリブを次から次に飛ばし、思い付きの一発芸も盛り込み、私も含めた観客を終始抱腹絶倒にし、純粋に役者の演技力やその場の対応力が問われ、白けた際やハプニングが起こっても、以下に慌てずその場を持たせるか、台本もない中で、手探りながら良い感じに結末まで持っていけるかといった能力が役者に求められるインプロ定期公演となっており、生半可な気持ちでは成功しない役者の能力頼みの公演だと感じた。
 しかし、プロの役者も去ることながら、途中の戯曲の本読みコーナーでは、舞台の朗読に参加したい人を公演前に神に書いてもらい、その中から抽選で選ばれた一般の観客もプロ顔負けの演技力やアドリブ力、対応力があり、声1つ、表情1つでその人が演じる役のイメージが伝わってくる個性が溢れ出ていて、更には舞台慣れしているのには、驚き、感心してしまった。

 今回のインプロ定期公演は、前に違う劇で観たことがある役者が何人かいたということもあるし、会場の雰囲気が暖かくて、居心地が良いと言うこともあるが、出ている役者全員、どことなく中央線沿線や下北沢界隈の空気感があって、あんまり緊張しなくて良かった。
 例えるなら、今時の鉄骨の高層マンションではなく、古ぼけたアパートに佇んだり、昔ながらの商店街を歩くと、何とも言えずほっこりすると言うか、妙な安心感やじんわりと幸せを噛みしめることがあるが、それと同じような幸福状態だった。
 なかなか、意外と他の劇団の劇で、ここまでリラックスして楽しめることってないので、良かった。
 カプセル兵団の世界の神話や民話を題材にした朗読劇の際にも、何とも言えない幸福感と懐かしさを感じたが、そのカプセル兵団と今回のインプロ集団platform以外では、意外とそのような状態になることができないもので、こうやってリラックスして、身構えずに肩の力を抜いて、観れるインプロ劇というのも良いものだと感じた。

 唐十郎さんの戯曲を上演する唐組や梁山泊のテント芝居に出れるんじゃないかと思えるような役者も、今回のインプロ集団platformのインプロ劇で観かけて、これは、これからの演劇界もまだまだ希望が持てると感じた。

エノケン

エノケン

東宝

シアタークリエ(東京都)

2025/10/07 (火) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

日本の喜劇王と言われた田榎本健一の悲運の生涯伝である。昭和初期から戦争をまたいてTV初期まで、森繁以前に、日本の初期のレビュー音楽劇を制覇した男の生涯である。活躍した時期が悪かった。TVでも「お父さんの季節」など30分連ドラをやっているが、映像はほとんど残っていない。ましてや、カジノフォーリーズや笑いの天国はないし、映画は名前を看板にしたドタバタしかない。黒沢の勧進帳(中編)くらいしか見るべきものは残っていない。しかし、その存在が日本の音楽入り喜劇レビューミュージカルの嚆矢となったことはほとんどの演劇史が認めるところで、ここを素材にしたドラマは長く渇仰されてきた。
ようやく見ることが出来たのは、唯一横内健介の「菊谷物語」。再演までした作品だが、小劇場の作りで肝心のカジノフォーリーズの舞台などほとんどないし、菊谷のエノケンの舞台もない。だって、資料がないんだもん。横内は高校演劇の出身で小劇場から出ているが、そこはルールをよくわきまえて、礼儀正しいが、それではエノケンの本質に迫れない。ロッパや夢声は日記を書くこまめさがあったが、エノケンにはそれがない。だから、演劇の想像力が要る。そこを逃げたのか、知らないのか、参ったの出来である。
東宝が旗艦のクリエでエノケンをやると聞いた、しかも市村正親というので四月も前からチケット買っていた。
がっかりである。
まず、本がまるで出来ていない。シライケイタも腰がが入っていない。菊田一夫流の人情劇に纏めようとしたのが大失敗である。時代を越えようとした喜劇の天才が、時代と病魔に斃れる悲劇を背景にしたストレートな劇にすれば何年も上演できる芝居になって、パリの「天井桟敷の人々」に匹敵できる日本のバックステージものの傑作になって、歴代喜劇の覇者を目指す者は必ず挑戦する作品になったのに、みすみすそのチャンスを潰した。気軽に出来ると思った芸人の作者を責めるのも気恥ずかしい。「エノケン」にある時代と演劇への無神経は恐るべしである。
市村正親は現代のミュ-ジカル俳優である。上手いし、声もいい。歌も上手い。私の知っているエノケンは声も悪いし、歌はコミックソングである。もうほとんど昔日の動きの片鱗もなかった。それなのに、若いときはいわゆる「舞台の愛嬌」はスゴかっただろうと思わせはしたがったが、その実態のとっかかりがない。良かったのはポスターにあったシルエットだけである。ホントは舞台の動きを見せなければ芝居にならない。
だから、この際、今見るなら、新しいミュージカルに仕立て直して、歌あり、、踊りあり。巨大マッピングありの現代レビューに作り直して再演できるような舞台にして見せてほしかった。
超人気者だった名にあやかって。チケットは完売だそうだからいくら本当のことを書いても良いとして★はホントなら二つ星である。素材への取組みが致命傷である。

∞人姉妹/夜を泳ぐ

∞人姉妹/夜を泳ぐ

アムリタ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2025/10/11 (土) ~ 2025/10/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/10/13 (月) 13:00

あれこれでくたびれたオトナのためのメルヒェン/ファンタジーから壮大なSFに変貌してゆくとはオドロキ。
個人的なものではあるがアムリタに抱いていたイメージを残しつつさらなる進化を遂げたいわば「シン・アムリタ」?(笑)
また、会場の演技エリアと客席を通常と逆に使い、冒頭で普段はオペレーションエリアであろう入口上部に人物を登場させたり入口を時に出ハケ口、時に採光に使ったりしたのもなるほど納得。

暮らしとペニス/音楽とヴァギナ

暮らしとペニス/音楽とヴァギナ

食む派

スタジオ空洞(東京都)

2025/10/23 (木) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

全作ではないものの、これまで「食べ物関連」のモチーフを多く扱ってきた食む派(はむは)の新作公演。観劇前は「かなり大胆にハンドルを切ってきたなぁ」と考えていましたが、実際に観ると、食む派らしさを多く感じることのできた上演でした。はぎわら流のボーイ・ミーツ・ガールも健在。

ネタバレBOX

『暮らしとペニス』は女性による一人芝居、そして『音楽とヴァギナ』は男性による一人芝居、後にこの二人が出会う第3幕がある3部構成。劇中に出てくる性器などは多様な解釈ができ、比喩であり、心象であり、葛藤であり、等々。全編を覆う雰囲気はシリアスで、作り手の問題意識の高さ、常に問いかけ続ける真摯な姿勢が窺い知れる。男女の性差、性行為や性欲、それらを根本とした暴力などを描き、その上でなお葛藤し続ける様子が作品の誠実さを物語ります。全編に孤独感の漂う作品ですが、ラストは夜明けを想起させるシーンで幕を閉じ、一筋の柔らかな光が差し込むような余韻が残りました。
舞台「近松心中物語」

舞台「近松心中物語」

CCCreation

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2025/10/18 (土) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

秋元松代による1979年初演の古典をベースにした本を。
本はそのままいじらずに。
大胆な美術と演出で魅せる。

オープニングから度肝抜かれます。
とても派手で猥雑でアングラ感すらある。
このオープニングは公開されてるので、観てほしい。

可動式のセット(大道具)は、大胆にポップアート的に落書きされていて。
これを縦横無尽に動かして、動かすのはアンサンブルって呼んでいいのかしら?
きっと、みな名前ありの役もやってるよね。舞台に立つ役者たちです。
次から次へと場面を転換してくるのは、アクション主体の舞台のような昂ぶりもあった。
(壱劇屋 東京支部さんのアクションモブを思い出した。)

衣装は現代風なのに、本はそのまま。
翻案しなかったのは正解だと思う。とても美しく力のある言葉やセリフが聞き心地良く。
最初はややわかりにくく感じてたのも、観てるうちに不思議とすんなり入り込めるようになっていった。

生演奏の素晴らしさも触れないわけにはいかない。
今回、楽隊は下手なんですが。
演奏だけじゃなくて効果音とかもその場で奏でられます。
毎回、ただ圧巻だ。

全体的には、軽やかさを感じた。
心中って重たいけどね。生きることや恋をすることの不思議。
それは滑稽なのかもしれないけど、人間の愛おしさでもあって。

物語のスジ自体は、凡庸とゆう気もするんだけど。
見入るシーン満載で、凄い舞台でした。

さる

さる

中野坂上デーモンズ

水性(東京都)

2025/10/15 (水) ~ 2025/10/22 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

会場の水性って、元々クリーニング屋だったフリースペースなんですよね。
その会場をうまく使っていて、こういう飲み屋さんあるよなって美術を立ち上げていて。
客席と舞台の取り方もよくあるのとは違っていて、おかげで会場の小ささからくる、せせこましさをあまり感じなかった。
特にシャッターとカウンターの使い方が良かったな。

上質な3人芝居。
モヘーさんって、間が独特で、会話の噛み合わない感じが味だったりするんですが。
そのあたりと、今回のシチュエーションコメディ的な作りの相性が抜群だと思った。
不穏さを感じ取りながらも笑ってみてると、後半は決壊して地獄絵図。
でも彼方へ行ってしまうのではなくて、なんだか残るものあった。

パンドラの鐘

パンドラの鐘

劇団月光斜

立命館大学衣笠キャンパス学生会館1階小ホール(京都府)

2025/10/23 (木) ~ 2025/10/25 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

野田さんの代表作の一つだが初観
泣けると聞いていたが…
長崎の原爆投下、天皇批判を考古学者?の発掘現場と卑弥呼?もどきの女帝(高市が首相になったことにかぶる…)と墓守の対話を用いながら進む
演出が学生と言う事も有るのか、分かりにくい
全体的に野田さん作品は分かりにくいのだが、実演は分かりやすい方だとも…
基本2プロットの話は分かりやすいのだが…
後ろのオッサンが常にビニール袋をカサカサさせていた為に集中出来ないことも有ったが、歴史は繰り返されると言う事?

朧な処で、徐に。

朧な処で、徐に。

TOKYOハンバーグ

ザ・ポケット(東京都)

2025/10/15 (水) ~ 2025/10/20 (月)公演終了

実演鑑賞

初演の微かな記憶が、少しずつ蘇って来た。こういう作品だったか・・と。女性劇作家の苦労を描いた秀作、という記憶であったが、劇中の各フェーズに通底するテーマ「人(存在)との別れ」の最もコアな(メインの)フェーズを忘れていた。
劇作家のいる現実の場面以外の場面は、彼女の書く作品の世界であったり、回想される過去だったり、また別の現実の場面だったりするが、後から謎解きされるのが面白い。時に作中人物と作者が対話したり、案が没にされかけた方の人物らがリストラするなと騒いだり、作者の脳内の葛藤・格闘が垣間見えてこれも面白い。ただし先述のコアなフェーズは現実のそれ(彼女の取材先)でありながら、書かれた作品のそれにも見え、実と虚の混濁の具合が、劇全体を劇作家の執筆現場であるかに印象付けている。
その意味で自分の記憶は正しかったと思うが、劇作家自身がその本質的なテーマを問い、問われ、作品を書いている、その図式にもう一つ感動の種があったよう。

ロンリー・アイランド

ロンリー・アイランド

ティーファクトリー

ザ・スズナリ(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

電車遅延で冒頭を逃し、約10分経過した時点から観劇。冒頭に伏線が凝縮しているのかそうでないのか判別つかず。「戦争」の時代である近未来の風景が、斜に構えた目線の中に真顔がよぎるような調味の塩梅で描かれている。加藤虎之介(空気が似てるなァとは思ったが風貌からは本人との認識に至らず)が担った役が戯曲のその目線を体現しており、舞台をある意味で織り上げていたとも言える。
21世紀は人類から戦争を召し上げられぬ事を我々に知らしめたばかり。80年間自国だけの平和を享受した日本が、「戦争抑止の装置を手にしてはいなかった」事実も早晩目の当たりにしそうである。
今の世相、「戦争」の概念が記号として、「感情」を遠因とする主張や感情表出に用いられている中、戦争に接する事を余儀なくされる時代の手触りを伝える舞台。

ネタバレBOX

冒頭を見逃したので会場で売っていた戯曲本を買ったが、台本は自分が見た箇所から始まっている。開演は定刻通りだと聞いたから、戯曲に更に何かが付け加えられたのだろう。
そこを知りたいが、戯曲には書いてなかった。
テキストを手に取り、テンポ感ある場面展開(一場面は短い)を記憶をなぞりながら読み進めた。ぐっと来た。ここ最近の川村氏の新作の中では明快で台詞が効いている。虎之介演じたヒロという人物は「ディアハンター」や多くのベトナム戦争(の時代性を色濃く反映した)映画に登場する精神の半分イカれた人間になって行くが、戦争後遺症を含めて戦争が人間精神にもたらす影響を、数名の人物類型それぞれに対して描き込んでいる。

後遺症と言えば、日本で唯一これを取り上げたと言って良い精神科医による「戦争と罪責」が、地上の戦いで「殺し」を行なった元軍人のその後(多くが精神を病んでいた)について記したものだろう。取り上げられている大半は中国戦線での経験。東南アジアを日本軍は破竹の勢いで進撃し、途中虐殺もやったようだが「占領者」として短期間君臨したのであり、その後の太平洋戦争では殆どが米軍との海か空での戦闘。ガダルカナルは地上戦があったが敗走か玉砕か餓死である。
従って真珠湾攻撃以前、以後通じて「殺し」とその心的外傷の大部分の原因となったのは中国戦線での経験であった。
「殺る」側と、それを目の当たりにした側の中に、深く大きな傷が残された事を想像する。この想像力を人間の武器として、ステロタイプなイメージと記号による「戦争」の闊歩をとどめたい。
「あとは戦争しかない」狂気を正当化する美談ちっくなドラマより、真っ当な感覚を取り戻すような戦争ばなしが、観たい。自分を冷静に保つために。
不愉快犯~別府三億円保険金殺人事件~

不愉快犯~別府三億円保険金殺人事件~

ハルベリーオフィス

小劇場B1(東京都)

2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

なかなか面白い巧みな台本と演出で、最後まで目が離せない。いしだ壱成さんは貫禄ある俳優になったもので、この作品では存在感というかキャラクター性が抜群。

明日を落としても

明日を落としても

兵庫県立芸術文化センター

EX THEATER ROPPONGI(東京都)

2025/10/22 (水) ~ 2025/10/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

捩れた時間軸。この作家の武器は語り口にある。話が時空を超えてすっ飛んでいく刹那の快感。遣り口が小説っぽい。あれ?これ、いつの話なのか?と頭の中でガチャガチャ構成を手繰り寄せる。ばら撒かれたフラグメントを脳内で整える。BUCK-TICKに『VICTIMS OF LOVE』という曲があって再録BEST版では歌詞の順番がバラバラにされている。当時、櫻井敦司は「歌詞を書いたカードをばら撒いて拾い集めたような構成」と語っていた。それでも伝わるものは伝わる不思議。話の関係性を読み取る脳の認識機能。関連する物事を推理し少しずつ組み立てていく。

阪神・淡路大震災、1995年1月17日5時46分52秒にマグニチュード7.3の地震が発生。死者6,434名、行方不明者3名、負傷者43,792名。2011年3月11日に起きた東日本大震災は死因の9割以上が津波による溺死であったが、こちらは建造物の倒壊による窒息、圧死が殆どであった。
震災から10年、復興のシンボルとして建てられた兵庫県立芸術文化センター。開館20周年記念作はピンク地底人3号氏の書き下ろし。
作家は演出の栗山民也氏との相性がいいのでは。互いに足りない部分を補うような関係性。

舞台は新神戸駅近くの桐野旅館、2025年現在の様子と1994年から1995年に掛けての日々が交互に描かれる。旅館を継いだ社長に尾上寛之氏。妻の田畑智子さんは女将として取り仕切る。産まれたばかりの赤ん坊、遥。先代からの番頭格、春海四方氏。
主人公である佐藤隆太氏はやる気のない従業員、社長の弟である。かつて定時制高校に通っていた時代、ボクシングに情熱を燃やしたがそれも靭帯を切って呆気なく終わった。追憶の残り火のように吊るされたままのサンドバッグ。
物語は田畑智子さんの学生時代の級友(富田靖子さん)が息子(牧島輝氏)のバイト採用のお願いに来たことから動き出す。息子は喧嘩っ早いヤンキーで礼儀知らず、定時制高校にも禄に行ってない。職に就いてもすぐに喧嘩でクビになる。社長はこのどうしようもなさが弟そっくりだと思った。3ヶ月の見習い期間中、教育係として佐藤隆太氏が面倒を見ることに。

MVPは牧島輝(ひかる)氏。リアルなイキったヤンキーキャラを自然に演じている。富田靖子さんを背後から軽々と持ち上げたり人形のように横抱きにするシーンは場内バカ受け。
佐藤隆太氏がヤンキーをスポーツで更生させる流れは『ROOKIES』っぽいのでは。(観ていないが)。ボクシングに嵌まっていく流れが興奮する。

佐藤隆太氏は昨年の『GOOD -善き人-』の自然に段々とナチスに取り込まれていく大学教授役が素晴らしかった。普通の人間の尺度を持っているので観客も心を寄せ易い。

酒向芳(さこうよし)氏は映画『検察側の罪人』に大抜擢され、怪演で狂い咲き注目を浴びた。蜷川幸雄似。今作でも妙に意味有りげな存在感。

30年前の震災の傷が全く癒えないままの主人公。同じ所をぐるぐるぐるぐるループしている感覚。歳だけ取るが見える景色は何も変わりゃしない。そのリアルさといつまでも繰り返す悔恨。もしあの時ああだったら。もしあの時こうだったら。全てが自分の選択でどうにかなったものだとの誤解。そんな力は個人にはないよ。受け止め切れない現実と時間を掛けて折り合いを付けるしかない。とにかく時間は掛かるだろう。けれどきっとその時は訪れる。きっと訪れる。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

旅館のモデルとなったのは「料亭旅館 ほてるISAGO神戸」。売りが同じく神戸ビーフロースト・握り・ステーキ・しゃぶしゃぶのフルコース。

56歳の富田靖子さんと44歳の田畑智子さんが幼馴染、45歳の佐藤隆太氏が恋愛対象として好意を抱く。それを成立させる富田靖子さんの美貌。まだまだ可愛い。

川島海荷さんが赤ん坊だった自分を抱いていた女性が誰だったのか気になり、震災当時にそれを見た酒向芳氏に写真を見せて尋ねる。この話は佐藤隆太氏も父親も亡くなった母親について詳しく教えてくれなかったことを示す為のエピソードなのだが、誤解を招きやすい。川島海荷さんの母親が別にいるのではないかとミスリードさせる。(全くそんな話ではない)。

佐藤隆太氏が富田靖子さんに恋する展開も道理が欲しい。ただ顔が好みなだけだと話として浅い。(以前から見知っていて気になっていた、とか)。

自分に出来ることは人に体験を伝えることだけ、と知った佐藤隆太氏は川島海荷さんに語り出すラスト。死んでいった奴等と生き続けた奴等。どうせいずれ死者の世界に帰るのならば、せめてそれまで生者の世界にバトンを託そう。
リーディングセッション『蠅取り紙ー山田家の5人兄妹』

リーディングセッション『蠅取り紙ー山田家の5人兄妹』

OVER40S

ザムザ阿佐谷(東京都)

2025/10/18 (土) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かった!アコーディオンの生演奏も得した気分。良かったです。

223番のはなし 東京公演

223番のはなし 東京公演

劇団芝居屋かいとうらんま

OFF OFFシアター(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演技力の高い方が多いと感じました。何を伝えようとているのか、こちらも読み取ろうと真剣になる舞台でした。
環境問題だけでなく、異文化コミュニケーションや風習、現代社会のストレスなど、様々な問題を含んだ、興味深い作品でした。
ありがとうございました。

当番の娘

当番の娘

劇団匂組

「劇」小劇場(東京都)

2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

感動!傑作!最高!「当番の娘」の話は知っていましたが、舞台で観るとかなり腹に堪えますね。ほんとすばらしかったです。この舞台はすべての女性、すべての男性に見てもらいたいですね。とくにロシアの男性に… 若い俳優さんから年配の俳優さんまで演技派の方たちばかりで安定した舞台でした。正直、着替えがはじまるまで「このペースで終わりまでいくのかな…だとしたらちょっときついな…」と思っていましたが、着替えがはじまってからのスピード感は半端ないですね。あと演出がすばらしかったです。今回のようなスタイルはあまり見かけないのでとても新鮮でした。最高の時間をありがとうございましたm(_ _)m

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