
クノセカイ
劇団普通
Gallery & Space しあん(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★
初、劇団普通。
日本のラジオ・屋代秀樹氏のweb公開戯曲を取り上げ、「劇団普通」流演出を試みたという事のようだ。御徒町駅から徒歩10分ほどの木の門扉と庭のある日本家屋の二間を使い、観客は奥の間から庭の見える居間をステージとして眺める形。木造建築の中で演じられるイタリアのマフィアの話は、天然照明、音響無しで二時間弱、静かに、地道に場を重ね、ラストへと辿り着いた。「日本のラジオ」を二度ばかり観て、言葉少なく行間を読ませる映画的なタッチと、適度な「暗さ」が好感触だったが、本戯曲は変わり種。何しろイタリア人の名前を呼び合う。ジーナ、サルバトーレ、その中にファウストとクラウディア(ドイツ名)が出て来て、これは内容に絡むが、入り組んだ人間関係が、主に二つの時代を行き来する場面の積み重ねの末に、見えてくる。
ただ、興味深いものはあった一方、それ以上踏み込もうという気を殺がれたのは、この近距離で(外からの雑音もあったが)台詞が聞こえないこと。極端な場合は「口パク」に等しい。的確な演技が為されていれば、声が聞き取れなくても抑揚や表情等でどうにかニュアンスを汲み取れる事もあるし、逆に効果的な場合もあるだろうが、実力あっての話。役者の半数が「超・小声」を駆使していたが、これが効果につながっていた役者は一名、他は小声と大きな声を使い分けて緩急があったが、気になった2名は終始小声で、しかも耳をそばだてて聞けば演技が必ずしも正確でなく、台詞もろとも沼の中である。
それはあたかも地声を聞かれて人物像が壊れてしまうより、台詞を犠牲にしても「雰囲気」を維持するのが得策だと、演出なのか本人かが判断して、やっちまったかのようで。
そういう立ち姿じたいが、役のイメージ以前に俳優の心構えが問われるような問題になりかねず(誤解だとしても)、「聞こえない台詞」だらけにした演出意図は全く理解ができなかった。
短いコマを重ねて縺れたヒモをほどいて行く謎解き型の戯曲の、種明かしの面白さが、全体としては見えてきたので難を逃れたという事だろうと思うが、俳優の努力が「声量」一つで泡に帰しかねない(私の中ではもう帰してしまったが)事例は、中々ないと言えばない経験だ。貴重な・・という事で。
客の動員に難点があるものの、日本家屋で打たれる芝居の趣きは代え難い。過去観劇した三公演が思い浮かぶが、どれも良かった。今回も何はともあれ「場所」が良い後味を残した。

渇いた蜃気楼
下鴨車窓
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/05/13 (金) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
あ、蜃気楼。
タイトルが振りで、劇中符合する効果(観劇中は気づかなかったので効果になってないが・・)。冒頭の振りが最後に出てきて閉じられるパターンなど、戯曲とは振り(謎かけ)の回収(謎解き)である、とシェイクスピアなどを読むと思うけれど、また別の話(失礼)。
昨年の公演は途中からの観劇で、リアル劇なのかどうなのか判別する材料を得なかった。今回拝見した結果、リアリズムである。が、どこか、その場面から浮遊してどこか異次元に飛ばなくもない雰囲気を醸す瞬間がある。微妙な、意図の判然としない、けれど鋭利な刃でサッと切れたような(流れる血にも気づかない)ドキリとする台詞があったり、不安定なシチュエーションが注視を促す。もっとも二人の男女にはどうやら信頼、そして愛がみえ、現在に影を落とす過去への言及を経て、ハッピーエンドである。過去の不幸な出産が台詞(のない反応)で仄めかされ、最後の景で影を払拭される訳だが、妻の心象風景を描いた芝居だったのか、とも思えたり、解釈を多様に許容する空白の多いテキストが、想像力をたくましくさせる。他の作品も観てみたいと思った。

「ダークマスター」
庭劇団ペニノ
OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)
2016/05/05 (木) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
イヤホンと生調理…、楽しかった!
劇場でイヤホンと生調理、初体験でした♪
ステーキを焼く緒方さん、香り付けのワインで炎が…、料理番組みたい!
そして早々に屋根裏に上がった緒方さんが、イヤホン越しに笑わせてくれます…。
上演時間140分、無邪気な好青年が辿る…、輪廻のようなダークサイド…!
楽しかったです(かなりお尻が痛かったですが…)。
それにしても、舞台装置が凝ってました、本当のビストロのよう!
そして舞台と客席が通常と逆配置になっていて、オーバルって客席の裏側はこんな風になってるんだ、屋根裏もあるんだ…、と、とっても新鮮でした!
いや待ってよ。
二階はレストランじゃ…、って、屋根裏って??
謎だ…。
そしてそして、演劇初心者ですが、結構、観劇公演数は多いはず…。
なのに…、今回、初見の女優さんばかり…、まだまだ関西の演劇人の層の厚さを感じました!
そしてそしてそして、女優さん男優さん含め、今回の俳優陣の演技力、完成度、高かったです!
追伸、今、認識しました。
緒方さんは来週のStone Ageに出演されないのか…、そらそうだ!だけど、少し残念!でも来週のStone Ageも楽しみです♪

わが家の最終的解決
アガリスクエンターテイメント
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2016/05/04 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
最高!
アガリスクエンターテイメントの新作且つ名作。
歴史的背景から、笑っては不謹慎なんじゃないかとの懸念があったが、人間ってどんな時でも笑えるのかもと感じさせてくれた。
ライフ イズ ビューティフルを思い出した。
是非再演を。

演劇
DULL-COLORED POP
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/05/12 (木) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
「空気」は周到に作られ、演出される。その極意。
感動はしても行動にならない、ぐっと来て涙が流れても本当の勇気は湧かない・・・そんな「演劇」どもをなぎ倒し、ここに確かに「演劇」屹立せり、と見届けた。良い芝居を見た後は笑顔で談笑も可だが、ここは旧交を温める場面にそぐわない。その場所を鋼の刃先に喩えるなら、居心地よく佇む場所では勿論なく、何処かは知らねど何処かへと促されて立ち去る場所である。活動休止は消滅と同じでないが、「なくなること」の視野で「演劇」がその本来の使命を探り当てようとして探り当てた場所なのだとしたら・・。
舞台上で起こったことが全てで、他は要らない、と潔く去らせてくれのは、この芝居が「良い芝居」であるための点数はきっちり稼ぎながら、その余韻にではなく「演劇」が既に明白に導き出しているある真実のほうに浸ることを促しているから、だと感じた。(うまく言えないがそんな感じだ。)
多彩な趣向はあるが色目使いになる事なく、ただ一つの目的に全てを集約した「潔さ」「硬質さ」が直球のように腹に来た。
ダルカラは実はまだ2作目(谷賢一作は4作目)、俳優の顔も初めて間近で見た。個人的思い入れのある燐光群『ブーツ・オン・ジ・アンダーグラウンド』で特徴ある役をやった東谷英人が今回も核になる役に。とにかく‘物凄かった’渡邊りょう(悪い芝居)、これも初めて間近に見た‘できる’小角マヤ(アマヤドリ)など、各俳優がこのお話の中心にある「出来事」の周辺で渦巻くそれぞれ感情を、精度と熱度をもって表出した。かく導いている脚本力もさりながら、人間の複雑な感情を的確に表現する俳優の姿にこそ「格好良さ」を感じる「演劇」、これぞ「演劇」の鑑。
ところで「演劇」とは食ったタイトルだが、劇中で「これは演劇です」の意味では使われない。少なくとも、人を食ったタイトルでない、とまで。後は劇場で。

1789 -バスティーユの恋人たち-
東宝
帝国劇場(東京都)
2016/04/09 (土) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
小池、神田、花總、東京楽日
約一か月振りの観劇。神田オランプは初見でした。
神田さんの父方の祖母である旭輝子さんに可愛がって頂いた過去があるので、ずっと、神田さんの活躍を楽しみにしていて、彼女が、立派に主役を務められる女優さんになられたことが嬉しくてなりませんでした。
小池さんは、ずいぶん、歌唱力が向上されたと感じます。
小池さんと、神田さんの声の相性が良く、二人のデュエットは、聴きごたえがありました。
それにても、このカンパニーのダンス力には、惚れ惚れします。
フェルゼン役の広瀬さんの成長も著しく、花總アントワネットとの格の差がなくなり、二人の恋情を信じられるようになったので、物語の深みが増した気がしました。
もう少し、ストーリーを骨太にして、是非また再演してほしいと思います。

渇いた蜃気楼
下鴨車窓
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/05/13 (金) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
90分強
僻地のアパートに二人で暮らす人生崖っぷち(?)の晩婚夫婦の話。
重い要素満載なれど、見終わった後いくぶん心が軽くなったのは、私と年が近いうえ、私と同じく乗り越えるべき課題が山積みのこの夫婦がどこか楽天的で、逆境に置かれながらもめそめそし過ぎず明るく生きているせいか?
そんな夫婦を描いた本作、二人の暗いバックボーンに重きを置きながらも、私にはちょっとした人生讃歌のように感じられたもの。
ひたすら重かった前回のアゴラ公演『漂着(island)』より、ずっと私好みの作品でした。

星降る夜に猿は哭く
青年団若手自主企画 伊藤企画
アトリエ春風舎(東京都)
2016/05/13 (金) ~ 2016/05/19 (木)公演終了
満足度★★★★
約95分
ある家庭の重すぎる事情をこの上なく生々しく描き、作・演出デビュー作でだだならぬ才気を見せつけた青年団の俳優・伊藤毅の作・演2作目は、主に病院を舞台とする恋愛エピソード集といった趣。
主として描かれるのは恋の芽生え。芽吹いた恋に浮かれ立つ男女の、ハタから見ればバカみたいな感じが元・芸人志望の伊藤毅によってコミカルに、しかし微笑ましいタッチで描かれていて、思わず頬が緩んでしまう。
いくつかの悲恋も描かれるけど、これもこれでしっかり魅せてくれました。
作・演第3弾にも期待!

アンコールの夜★ご来場ありがとうございました★
KAKUTA
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2016/05/07 (土) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★
「男を読む。」最終日観劇
男性脳と女性脳の思考の違いが明確に出ていたような舞台。
リーディング力の上手さに聞き惚れ、疲れている時に見に行ったら、心地よい眠りを誘ってくれそう。
「井戸川さん〜」人間っていろんな一面を持ってるよね、って感じ。「天使〜」の東京の雑踏で起こった純愛模様がまさに男性思考だな、と思ったり。「昨日公園」はリーディングというより、舞台をまんま見ているようだった。ちょっと泣きそうになった。
挿入されるオリジナルストーリーは先に「女を読む。」を見ていたので、2人の結末はわかっているはずなのに、自然とその経緯を興味深く見ることに。関係を積み上げていくのは時間もかかるけど、それもまた楽しい。でもどこかでボタンのかけ違いが出てくると2人で直すより1人でやる方が簡単な場合もあるようで。気持ちの行ったり来たりが目に見えて分かれば苦労しないんだが、わからないのが人間というもの。
本を読むように、行間を見ていたようなオリジナルストーリーでした。
朗読順
桐野夏生「井戸川さんについて」
いしいしんじ「天使はジェット気流に乗って」
朱川湊人「昨日公園」

不幸の家族
立川志らく劇団・下町ダニーローズ
小劇場B1(東京都)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
初日拝見
不幸の家族、初日拝見して来ました。笑いと涙がそれぞれ大きな渦となって交互に襲いかかって来る、とんでもない人情喜劇でした。もう一度行こうと思います。必見。

漫劇2
漫劇プロジェクト
テアトルBONBON(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★
漫画である意味は
漫画家と演劇のコラボレーションとの触れ込み。確かに、漫画家さんが書いているだけあって作品は悪くなし。でも、何というかイマイチ感がある。それは、何かと考えると、元になる漫画が存在していないためだろうと思う。期待したのは、こういう漫画(漫画家が描きたかったもの)を芝居にしたらこうなりましたという差分が見えること。そこに、この企画の肝があるように感じた。(少なくとも、以前はそうだったハズ。)そうでないと、漫画家である意味がなく、小説家が脚本書いて演出するのと代わり映えしない。何よりも漫画を謳う意図が薄れる。これからも企画を続けるのであれば、原作の漫画を物販するくらいのことはして欲しい。

太陽
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2016/05/06 (金) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★
5年ぶり
観劇前に蜷川幸雄氏の訃報を知る。もともと、氏の「太陽2068」演出よりもイキウメ版の方が好みだが、なんとも言えん気分で観劇することになるとは…。
初演も見てるし、話はわかっているはずなのに円形劇場では味わえなかった今回の太陽の光は、妙にドライで明るく感じた。同じように照らし出されていても、その明るさには前回は希望も感じたが、今回は手探りの現実を照らしているようで哀しく思えたのは、今の社会に似た状況だからかな。ザラつくようないろんな後味のその状況に、泣きたいけど泣けない、でも泣けてくる。
影の部分も多いがバッドエンドと思えないのは、作品から発せられる力に前回よりも希望を捨ててない部分を感じたんだが、それは良いように思い過ぎかな。
映画も見に行かねば。
約2時間10分。

悪名 The Badboys Return!
ココロ・コーポレーション
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2016/05/09 (月) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
ロックを感じたステージ
ロックが生まれる前の頃の設定だと思いますが、ロックのサウンドが似合うステージでした。最後は客席のお姉様方のスタンディングオベーションで大盛り上がり。

舞台 下天の華 夢灯り
オデッセー
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2016/05/13 (金) ~ 2016/05/23 (月)公演終了

おとこたち
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2016/04/04 (月) ~ 2016/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
笑いと切なさ
はたからみたら笑いごとですが、本人たちにとってはすべて切実。笑えるけど切ない。二時間で本当におとこたちの人生をみたような気がしました。非常に面白かったです。

8月の家族たち August:Osage County
Bunkamura/キューブ
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/05/07 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★
ぎくしゃく母娘の崩壊劇
コクーンシートから観劇したので見切れる場面も多かったので、演技を見るよりセリフを聞いていた。一軒家の中で繰り広げられる様は、まるで玩具のシルバニアファミリー屋敷内を覗いているような態勢だったが、母娘の性格が似て非なるアメリカンなチェーホフかつ向田邦子的要素を合わせ持ったような女優舞台だった。
孫娘役の小野花梨って鈴木先生や南極料理人に出てた娘か!
休憩2回あり、約3時間15分。

同想会
劇団ヨロタミ
ウッディシアター中目黒(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
“ヨロタミ・カラー”
全体的に、コメディとしてストーリーは展開していくのですが、
おバカで笑っちゃうシーンとシリアスでヘビーなシーンとの落差が凄いです。
設定に、盛り込み過ぎや、少々強引なところを感じもしましたが、
これも、“ヨロタミ・カラー”の不思議な魅力には不可欠なのかもしれませんね。
私の好みからいうと、ミステリーな要素がもっと欲しい。
さらに、どんでん返しも欲しいところではあります。

翼とクチバシもください
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
完成度高し
いきなり独特な世界引き込まれ、気がつくと終わっていた。物語もしっかりしていて、不思議な感覚を感じながらも面白かった。特に終盤の、アンサンブルは圧巻だった。
全体的にいつも以上に洗練されている感じを受けた。その分、毒気は少なめ。
もしかしたら、ターニングポイントになる作品かも。次回以降に期待が高まる。

傘をさして嘘をつく
ユーキース・エンタテインメント
STUDIOユーキース(東京都)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★
若さ溢れる芝居【傘チーム】
未見の劇団、初めて行く劇場(スタジオ「ユーキース」)である。そのはずである、この劇団のVol.1旗揚げ公演、この劇場は、この上演が こけら落としになるという。この脚本は、2015年佐藤佐吉賞優秀脚本賞を受賞した大石晟雄 氏が作・演出ということで興味を持った。
ハガキサイズの公演チラシの一行目...「俺お前のこと、すきなんだよね、けっこう」とあるが、自分はこの芝居、結構好みである。8回公演(Wキャスト)であるから、同じチームの上演は4回しか観られない。
この芝居、第153回芥川賞を受賞した又吉直樹の処女小説「火花」を少しイメージした。かけがえのない時間の共有。日本独特の話芸・漫才の世界で生きることの現実と夢を謳い上げる。その人間(若者)讃歌がうまく表現できている。

星にかえろう
サンピリ
ぽんプラザホール(福岡県)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇
初めて演劇を観る友達と2人で観に行きましたが、楽しい時間をすごせました。
友達も楽しかったのでまた行きたいと言ってもらえました。